GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その10

リポート2 竜の魔女リターンズ その10

 

~ルイ視点~

 

横島を抱えて慌てて帰っていく美神達を見ながら私はにんまりと笑みを浮かべた。

 

「実に良い出し物だった。もう少し面白みがあれば御の字だが、まぁ今の段階ではあの程度だろう」

 

本当に趣味が悪いとフォーティスが呟くが、私からしてみれば自分が消えるまではすべては娯楽あるべきだと思っているので趣味が悪いのではなく、神魔ゆえの退屈さを紛らわせたいと思ってくれたほうが良い。

 

「おや?もう行ってしまうのかい?夕食をご馳走しようと思っていたのだけど?」

 

「お気持ちだけで十分ですよ。ルイ・サイファー……見届けたい物は見ましたから」

 

「道が繋がったというだけで満足かな?」

 

私の言葉にフォーティスは薄く微笑み、手にしていた本を開いた。ページが青白く燃え上がり、私の見ている前で消え去った。

 

「竜の魔女によって全てが壊される。その結末は消え去りました、どうも彼女は純粋でそして幼すぎた」

 

「だけど君は最悪の展開に備えていたのだろう?」

 

「さぁ?どうでしょうね……私は今はまだ傍観者――表舞台に立つ気はありませんよ。ではまた何れ……」

 

溶けるように消えていくフォーティスを見て、隣に控えていたルキフグスが信じられない者を見るような目をする。

 

「ルイ様、あの男は一体何者なのですか?人間にしか見えなかったのですが……」

 

「そうだね。彼は人間である事は間違いない……だけど私達の領域に足を踏み入れているのさ。だからこそ面白い」

 

何をしてあそこまで力をつけたのか、そして世界を超える力を持ち何を見届けようとしているのか、何もかもが分からないからこそ面白い。

 

「さてと、私はベルゼブルのフォローでもしてくるかな。ルキフグスは横島がどうなったのか見てきてくれたまえ」

 

「畏まりました」

 

一礼し屋根の上を飛び移って去っていくルキフグスを見送り、傘を片手に歩き出す。

 

「ルイ様……さきほどは失礼しました」

 

「いやいや。別に怒っている訳ではないよ?とても面白かったしね」

 

私の命令に逆らい、自分の感情を優先したというのは実に面白い。私よりも横島を優先したということはそれだけベルゼブルが横島に気を許していると言うことであり、実に面白かった。

 

「申し訳ありません。私は……」

 

「良いさ、神魔であれ心はある。心を御すという事は面白みもなく、つまらないことだ。そんなことで私は目くじらを立てはしない」

 

この全てが娯楽であるべきだと私は考えている。だからこそ、神魔で上から数えた方が良いほどの地位にいるベルゼブルが人間に絆されたというのが面白くて仕方ない。

 

(当面はなさそうだしねえ)

 

ガープ達は準備をしていて動く気配がない。人間共は政治闘争をして内輪揉めをしているので実に馬鹿らしい……つまりだ。私が楽しめる物が今はないのだ。月で何かしているようだけど、実際問題月神族は余り好きではないし、絶滅しようが、高レベルの魔力や神通力を抽出されようが、それこそ孕ませ袋になろうが興味はない。傲慢で愚かで閉鎖的な思考の月神族を気に掛けている神魔なんていないし、月から地球に何かされるまでは私は静観するつもりだ。

 

「さてと、ベルゼブル。共をしてくれるかな?」

 

「畏まりました。どちらへ?」

 

「そうだね。適当にフラフラしてみようかなあ、暇つぶしに」

 

天界も魔界もそれこそ人間界でもいい、私の暇を潰せる物を探してベルゼブルと共に博物館に背を向ける。

 

(さてさて、どうなるかな)

 

世界は最早横島を中心に回っていると言っても良い、最高指導者達が世界を巻き戻し、何かを成そうとしていた。その何かが横島であることは明らかだ……そう考えれば最高指導者が隠している事がなんなのかを予測するのは簡単なことだった。だがそれは愚かな選択だ、逆行というのは大きなリスクを背負う事――これだけ横島を中心に世界が動いているのは全て逆行の影響だ。今頃容易に逆行なんて言う選択をしたのを悔いているのではないだろうかと思いながら私はその場を後にした……今度はどんな面白いことがあるのか、それを想像し、その困難を苦難をどうやって乗り越えるのか――それも困難を乗り越える事が出来ず、心を砕いてしまうのか……何があっても退屈する事だけはないだろうと思い、これからおきる事を想像しながらその場を後にするのだった……。

 

 

 

~ルキフグス視点~

 

横島の家に戻った私は目の前の光景を見て思わず声を失った。巨大な影が横島の家と庭を埋め尽くしていたからだ。

 

「「「ずもおおお……」」」

 

そんな効果音が聞こえてきそうなサイズのうりぼーの分身体が周囲を埋め尽くしていたからだ。

 

「だから横島君の誤解だって、話をしましょう」

 

「横島さん、何もしませんから。約束しますジャンヌ・オルタにはなにもしませんから」

 

「横島ー。本当に何もしないって約束するから」

 

美神達が声を掛けているが横島からの反応はまるで無く、メドーサ達が困り果てた表情で庭や家の前の道路に腰を下ろしていた。

 

「これはどういう事なのですか?」

 

「ルキさん……えっとですね。私達がジャンヌ・オルタに何かすると思っているのか篭城してしまいまして」

 

「そんな話をしたのですか?」

 

横島の性格を考えれば処罰するとなれば反対するのは明らか、それを匂わすような事を口にしただけで横島が篭城するのは当然だ。

 

「いや、そういう話はしてないんだけど……かなり刺々しいというか」

 

【まぁ恋心の暴走という感じね】

 

見ていたから分かっていましたが、ライバルと認定してギスギスしているのをジャンヌ・オルタを処罰しようとしていると勘違いしてしまったようだ。

 

「横島君。大丈夫だ、君の心配しているようなことにはならない」

 

「大丈夫だ。信用して欲しい」

 

全員での説得態勢だ。横島も相当頑固だから中々OKを出さないのかもしれないですね。

 

「やっぱりくえすが悪い」

 

「はぁ!?責任のなすりつけは止めてくれませんか」

 

「いやでも事実1番くえすが刺々しかったわよ?」

 

余りにも進展しないのでついに責任の擦り付け合いが始まってしまった……しかしそれだけ焦っているとも解釈出来る。しかしよく見るとシズクや、タマモ達の姿がないので家の中でも説得は間違いなく行なわれている筈だ。しばらくそのままの状態で睨みあいになっているとうりぼーが小さくなったので、また大きくなる前に横島の家の中に入る……するとそこでは。

 

「なに馬鹿やってんのよ」

 

「ぷぎい」

 

「みみーむうー」

 

タマモにチビとうりぼーが叱られていた。そしてリビングのソファーの上では……

 

「【死ーん……】」

 

「……ああ、やっと入って来れたか、悪いんだが手当てを手伝ってくれ」

 

ジャンヌ・オルタと横島が揃ってダウンしており、シズクが呆れた顔で治療をしていた。

 

「横島君じゃなかったんだ……」

 

「そうみたいですね。というかよく考えたら横島さん何も出来ないですよね」

 

ジャンヌ・オルタ、蛍、くえすの攻撃を受けた横島は当然気絶したままだし、ジャンヌ・オルタは魔力の消耗でダウンしていた。

 

「せんせーではなく心眼が動かしていたでござるよ」

 

【揉めてる間に休ませようと思ったのだ】

 

ああ。なるほど、口論している間に横島を休ませるほうが有意義だと判断した訳ですね。私はジト目で美神達を見つめ深く溜め息を吐いてキッチンに足を向ける。

 

「軽く夜食でも用意します。色々と思う事はあると思いますけど、状況把握よりも自分の欲求を優先するのはどうかと思いますよ?」

 

「「「はい……」」」

 

恋心を御すのは難しいと判ってはいますが、それでも優先順位を間違えないで欲しいと反省を促し夜食の準備を始めるのだった……。

 

 

 

 

~横島視点~

 

ジャンヌさんと神宮寺さんと蛍の喧嘩を止めようとしたらぶっ飛ばされた、正直あ、死んだと思うくらい凄まじいダメージだった。

 

「……あんまり動くなよ、ジッとしていろ」

 

「うい」

 

シズクにあんまり動くなよと注意され、ゆっくりと身体を起こしたが正直痛すぎて動きたくない。でも美神さん達が話し合いをしているので、それを聞くだけでも聞くべきだと思い何とかソファーに背中を預けて座る。

 

「とりあえず野菜スープにしました、皆さんもどうぞ」

 

「ありがとうございます、ルキさん」

 

ルキさんが用意してくれた暖かいスープを飲むと身体がじんわりと暖まってくる。しかも熱が伝わると身体の痛みも軽減されている……様な気がする。

 

「それで今回のはジャンヌなりの私達の訓練だったと……」

 

【まぁ最終的にはそうですけど、もしも何も変ろうとしないのならば私は殺す気でしたよ】

 

殺すつもりだったというジャンヌさんの言葉に思わずその顔を見つめる。

 

【……】

 

「……」

 

顔を背けて逃げるので痛みを我慢して無理に視線を合わせる。暫くそうしているとジャンヌさんが白旗を上げた。

 

【……いや、そこまでするつもりは無かったと言うか……シズクがいれば治るしって思ってたのはあります】

 

殺すつもりというのが嘘だったと判り、思わずホッと一息ついた。本当博物館を出た時にジャンヌさんと神宮寺さんと蛍が喧嘩をしているのを見た時は肝を冷やしたので、こんな心臓に悪い事はもう出来ればしないで欲しい。

 

「ジャンヌさんもこういってますし……許してくれますか?」

 

「……まぁ、こいつのおかげで新しい事を見つけましたし、少し考えを改めないといけない部分もあったのでそれでトントンという事で」

 

「私もそうかな、と言うか多分ジャンヌ・オルタがいないとこれは身につかなかったし……思う所はあるけど、本気じゃなかったって事で良いと思うわよ」

 

神宮寺さんと蛍も許すと口にしてくれた。そのまま美神さんにも視線を向けると美神さんは小さく頷いた。

 

「正直追詰められた事で出来るようになったし、私としてもちょっときつめの訓練だったって思うことにするわよ。今回の件はそれでおしまい。それで良いわよね?小竜姫様」

 

「……思う事はありますが……それで良いというのならば私から言うことはありません」

 

「私もです、それに確かにジャンヌ・オルタとの戦いの中で美神達は新しい物を見せてくれましたしね」

 

天界と魔界でも今回の事は問題にしないと聞いて心の底から安堵した。後俺が気になっているのは1つだけ、リビングの隅に視線を向ける、そこではタマモがチビ達を叱りつけていた。

 

「あんた達も勘違いしすぎ、もっとよく考えて行動しなさい」

 

「みみむー」

 

「ぷぎい」

 

【ノブウー】

 

タマモがさっきからずっとチビ達に怒っているんだけど、一体何があったんだと首を傾げているとシロと心眼が教えてくれた。

 

「ジャンヌ殿が危ないと思って美神殿達を締め出したでござるよ」

 

【お前が気絶していたからチビ達なりに考えたんだがな……方法に少し問題があったな】

 

ジャンヌさんが小竜姫様達に連れて行かれないように考えて行動してくれたんだと分かり、チビ達を説教しているタマモを止めようと思いタマモの名前を呼んだ。

 

「甘やかしたら駄目よ」

 

「チビ達も反省してるみたいだし、とりあえずそこらへんで……」

 

「……おい、茨木童子、金時。電子レンジが壊れているんだが……?」

 

【こいつがやった】

 

「吾を庇わぬか!」

 

【俺ッチがいない時に壊したのに何で俺ッチまで叱られなきゃなんねえんだ。素直に謝っとけ】

 

「横島助けてくれ!吾は悪くない!」

 

シズクに睨まれてこっちに逃げてくる茨木ちゃんとチビ達の助けてという視線を向けられる。庇ってあげたいのは山々なのだがどちらか1人でも怖いのにタマモとシズクの2人なんて絶対に無理だ。

 

「どうして神魔に効果的な戦い方を知っていたの?」

 

蛍がそう問いかけるとジャンヌさんは眉を細めて小さく呟いた。

 

【私は1回別の場所で召喚されたからよ、あんまり詳しくは覚えてないけど……神魔と戦う事もあった。だから知っているだけよ】

 

別の場所で召喚されたという言葉の意味が判らず思わず首を傾げる。ジャンヌさんは深い深い溜め息を吐いて、俺を指差した。

 

【私は知ってるのよ、復讐者のこいつを】

 

復讐者?俺が?思わず自分を指差してしまった。美神さん達は目を見開きジャンヌさんに視線を向ける。

 

【……ぐっ……やっぱり邪魔が……ッ】

 

美神さん達が口を開く前にジャンヌさんが苦しそうな呻き声をあげた。額からは脂汗が滴り落ち、自分の身体を抱き締めてその痛みに耐えているような素振りを見せる。

 

「なにが……まさかこれはッ!?」

 

【黙りなさいッ!それ以上は言うな!お前達が消えたら誰が横島を守り育てるッ!】

 

鬼気迫る表情のジャンヌさんは俺を指差し、苦痛に顔を歪めながらも微笑みかけてきた。

 

【ごめんね、今は……私はこれが限界みたい……だけど……また会えるから】

 

「ジャンヌさん……?」

 

【大丈夫よ。少し寝るだけ……本当はもっと話したいこともあった。教えたいこともあった……だけどこれ以上は世界が許さないみたい……気をつけなさい……世界は横島を欲している……ッ!ぐ……くそおッ……時間切れ……ッ!】

 

悔しそうに時間切れという悔しそうな言葉はジャンヌさんの口から発せられ、その身体が弾ける消滅し、凄まじい光が俺達の目を焼いた。

 

「まぶしッ」

 

俺だけではなく、美神さん達もその光を直視して眩しいと口にしている。時間切れという言葉に最悪の結果が脳裏を過ぎったが、英霊は消える時には粒子になって消えるので絶対に違うと心の中で思う……そして光が消えた時、ジャンヌさんの姿は無く……いや無いと言うのは正しくなかった。

 

【サーヴァントランサー、ジャンヌダルク・オルタ・リリィです! これからよろしくお願いしますね、お兄さん♪】

 

「「「「うえ?」」」」

 

紫ちゃん達くらいの背丈になったジャンヌさん――いや、ジャンヌちゃんがピースサインをしているのを見て、俺達の口からは揃って間抜けな声が零れるのだった……。

 

 

 

リポート3 迷いの竹林と月の姫君 その1 へ続く

 

 




ジャンヌさんが霊力を使いきりジャンヌちゃんにクラスチェンジしました。次回からのリポートは日常系の話で書いて、1度横島君を魔界でアリスちゃんとマスコットとロリーズときゃっきゃさせて、美神さん達はトレーニングをして、おキヌちゃんの合流、ガープの攻撃とイベントを続けて行こうと思います。まだ暫く日常で穏やかな感じの話を書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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