GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その4

 

リポート20 2人で1人のゴーストライダー その4

 

~横島視点~

 

胸の中でざわざわと何かが蠢く感覚がする。まるで身体の中を蟲が動き回るようなこの不快感を俺は知っていた。

 

(狂神石だ……美神さん達が危ない)

 

狂神石が活性化している狂神石に呼応している……それはガープ、アスモデウス……そして小竜姫様達を裏切っていたセーレのうち誰かがこの擬似冥界にいるという事を現していた。

 

「急がないと……」

 

美神さん達が……いや俺自身も危ない。心眼が消えてしまったので今の俺には狂神石の力に抗う術が無い……消えたと言うのは正しくない、姿は見えないし、声も聞こえないが確かに心眼の気配は俺の中にある。僅かに残された心眼の力の残滓が俺の中の狂神石を押さえてくれているのが分かる。

 

「メドーサさんを連れて行かないと……」

 

擬似冥界の最深部の手前で眠っていたメドーサさんを起せば超加速で美神さん達と合流できるかもしれないと息を切らしながら冥界の砂を踏みしめて必死に走っていると目の前に影が落ち、反射的に足を止めて身構える。

 

【主殿ッ!】

 

「牛若丸!?なんでここに……」

 

【主殿を探しに来たんです!ノッブとシズク、それに高城もいますよッ!私が1番早いのでこうして先行していたんですッ!】

 

牛若丸だけじゃなくてノッブちゃんとシズクも来てくれているという事に一瞬安堵したが、すぐに不味いという事に気付いた。

 

「蛍達の方は誰もいないのか!?」

 

【エレシュキガルと小竜姫とブリュンヒルデがいますのであちらは大丈夫です】

 

エレちゃんと小竜姫様それとブリュンヒルデさんがいると聞いてとりあえず蛍達は大丈夫だと安堵する。

 

【とりあえずシズク達と合流をッ!】

 

「待って、その前にメドーサさんを連れて行かないと」

 

【メドーサ?メドーサがいるのですか?】

 

牛若丸はメドーサさんを見てなかったのか、メドーサがいるのかと問いかけてくる。

 

「この擬似冥界の入り口の近くなんだ」

 

【なるほど、分かりました。私が運んだほうが早いので失礼しますよ】

 

牛若丸はそう言うと俺を抱き上げ、地面を蹴ると凄まじい勢いで景色が吹っ飛んでいく……。

 

【どっちですか?】

 

「あっち、あの崖のほう」

 

【私達が来たほうとは逆ですね。道理で見かけないわけですねッ!】

 

俺の指差したほうへ方角を変えて走り出す牛若丸の隣に赤い影が追いついてきた。

 

【お前ら何処に行くんじゃ!?美神達はそっちじゃないぞ!?】

 

「ノッブちゃん違うんだ!メドーサさんがいるんだ、あの人も連れて行かないと」

 

俺がそう言うと何時の間にか俺の反対側に来ていたシズクが眉を細めた。

 

「……あいつもいるのか?横島」

 

「いる。メドーサさんもいてくれたら多分助けになると思う」

 

メドーサさんは乱戦に強いし、ビッグパイパーを呼び出す能力もある。間違いなくメドーサさんの力は助けになる筈だ。

 

「そういうことならば仕方ないな。牛若丸、横島を落とすなよ」

 

「あ。高城さん、元気そうですね」

 

【主殿……そんな事を言ってる場合じゃないと思うのですが】

 

【いやいや、横島らしさがあって良いと思うぞ】

 

「……ああ、この横島らしさはこういう場面にはありがたいさ」

 

なんか馬鹿にされてる気がするけど、確かにこういう場面で言う事じゃなかったなと思いながらメドーサさんが眠っている檻の元へと辿り着いたのだが……。

 

【なんか若くなってません?】

 

【これ本当にメドーサか?】

 

「いや、確かにさっきまでは俺の知ってるメドーサさんだったんだッ!」

 

少し見ていない間に俺と同年代……いや、琉璃さんやくえすと同じ年齢くらいになっているメドーサさんには驚かされたが、この檻の中にいるのは間違いなくメドーサさんなので、俺は檻を栄光の手で抉じ開けた。

 

「……んん?横島……それに牛若丸、ノッブに……なんで私は若くなってるんだ?」

 

「と、とりあえず後で説明しますからッ!蛍達が危ないので早く行きましょう」

 

詳しく説明したかったが、そんな時間はなく、移動しながら説明すると言って俺はメドーサさん達と共に美神さん達の元へ向かい……セーレが蛍達の前に立つのを見て牛若丸に向かって叫んだ。

 

「蛍達のほうに投げてくれッ!」

 

【え、で、でも「早く!」わ、分かりましたッ!!】

 

牛若丸が足を止めて俺を蛍達の方へと投げ飛ばしてくれる。空中でウィスプ眼魂を取り出すと何時の間にか腰にゴーストドライバーが巻かれていた。

 

「変身ッ!!」

 

空中でウィスプへと変身し、そのままベルトのレバーを引いた。

 

【ダイカイガンッ! ウィスプオメガドライブッ!!!】

 

「うおりゃああああッ!!!」

 

霊力を纏い、俺は空中からセーレに向かって全力の飛び蹴りを叩き込むのだった……。

 

 

 

 

 

~セーレ視点~

 

腕にびりびりと走る衝撃に顔を歪めながら強襲して来た相手の足首を掴んで投げ飛ばすが、投げ飛ばされながらも空中から霊波弾を打ち込んでくる黄色い影に舌打ちしながら地面を蹴って短距離転移を行なおうとして、更に僕は大きく舌打ちした。

 

「やってくれるじゃないかッ!横島忠夫ッ!!」

 

「お前の能力は分かってるんだ!馬鹿正直に突っ込んで来た訳じゃねぇッ!!」

 

剣を手に突っ込んでくる横島の姿に僕は致し方なしと虚空から2本のレイピアを召喚する。誰の目から見てもレイピアではガンガンブレードを受け止める事は出来ない。誰もがそう思うだろうが、それは間違いである。

 

「くっ!」

 

「悪いね、僕の剣はそんじょそこらの安物とは違うんだよ」

 

細く、鋭く突く為のレイピアだが、僕のレイピアは特別製だ。並の剣では受けきれないガンガンブレードであったとしても受け止める事なんて分けない。

 

「これはね、魔人大戦で死んだ神魔の骨で作ったレイピアなんだ。だからこんな事もできる「爆ぜろ」」

 

僕の言葉に呼応しレイピアに封じられている神魔の魔力が励起し横島を火達磨にする。

 

「ぐううううッ!」

 

「避けた……いや加護か、まぁどちらでも良い。僕を封じ込めたのは褒めて上げるよ、よくやったってね」

 

空間転移能力をさせないために、物を盗むという能力を使わせないために空間を縛ったのは僕への対策としては間違いではない。

 

「だけど、今の君じゃあ対象までは選べない。そこが惜しいね」

 

僕を隔離する為に術者の横島も隔離され、美神達は応援も支援も出来ない。

 

「能力を封じられたとは言え、人間相手に負ける僕じゃない」

 

軽く地面を踏み込んだだけで横島の懐を取る。

 

「は、はやっ!?」

 

「違う、君が遅いんだ。僕は最速の神魔だよ」

 

腕の一振りで横島の全身が切裂かれ火花が散った。僕としては腕を切り落とすつもりだったのだが……五体満足とは少し驚かされた。

 

(あの鎧か、守りを固められると厄介だね)

 

僕は確かに最速の神魔ではあるが、攻撃力が高いわけではない。それに横島が1人で向かってきた理由も分かっている、シズク達が美神達の治療をしている。仮に万全であれば全員が回復した所で僕に負けは無いが……。

 

(隔離されると厄介だね)

 

空間転移が僕の持ち味であり、その空間転移を封じられてしまうと流石に少しばかり厳しい。盗む能力を駆使して攻撃できたとしても人間相手なら十分だが万全な状態の小竜姫達が加わると空間転移を使えないと流石に少し厳しい。

 

(聞いてたよりクレバーだねぇ)

 

最初の攻撃は自身に注意を引き寄せるため、その後は防御に回り美神達の回復の為の耐久戦を仕掛けてきている。あの鎧も思ったよりも固いし……簡単に決着はつけれそうにない。

 

「しかし君も酷い男じゃないか、心眼は君の為に死んだのに心を痛めないのかい?」

 

ならば暴走させるとしよう。僕の持っている狂神石によって横島の狂神石は活性化している。触れて欲しくない所に触れてやれば……ほらあの通りだ。

 

「……」

 

霊力に赤が混じり始め、黄色のパーカーが黒く染まり始めるのを見て、僕は笑みを浮かべながら横島に次の言葉を投げかける。

 

「僕のせいで心眼は消えた。仇はここにいるぞ、それなのに君は仇すら討とうとしないのかな?」

 

獣のような唸り声が周囲に響き始める。美神達の声がするが横島はそれに何の反応も示さず、憎悪と殺意が噴出してくるのを見て僕は懐の狂神石の入った小瓶を見せ付けるように横島へと突き出し、横島はその狂神石に当てられ、胸を押さえてその場に崩れ落ちるのだった……。

 

 

 

~蛍視点~

 

私達に治療の為に空間を隔離したとシズクに聞かされた事はなんて無茶をと思った。だが治療をしないことには私達が死んでしまうと横島が判断し、変身すれば耐えれると考えたのも分かる。だがそれは完全に悪手だった。

 

「憎いだろう、お前の仲間を奪ったのは僕だ」

 

「グググウウウ……ッ」

 

セーレの挑発の言葉とその手に掲げられた赤い液体……いや狂神石の入った小瓶を掲げられ、ウィスプの姿にノイズが走り、黒と黄色が何度も何度も入れ代わる。

 

「横島!聞いちゃ駄目ッ!!セーレは挑発してるだけよッ!」

 

「横島聞こえていますか!セーレの言葉は聞くんじゃないありませんわッ!」

 

セーレの言葉を聞くなと叫ぶが横島は反応を示さず、獣のような唸り声が強くなり、シェイドの色に変わってる時間が延びてきた。

 

「小竜姫様!ブリュンヒルデさん!この結界なんとかならないんですか!?」

 

「今やってますッ!やってますけどッ!」

 

「セーレを逃がさないためにガチガチの結界を横島が作っているので簡単には行かないんですッ!」

 

私達の治療が終わるまでセーレに邪魔をさせないようにした結界が完全に裏目に出た。

 

「ノッブは!?牛若丸は何とか……」

 

英霊で横島が眼魂を持ってるなら転移出来るのではないかと思ってノッブ達の方に視線を向け、私は絶句した。ノッブと牛若丸も赤黒い霊力に包まれていたからだ。

 

【……悪いなあ……今は無理じゃ……ッ】

 

【ぐっくくく……かはっ!!】

 

ノッブと牛若丸が自分の身体を抱きしめるようにして押さえ込んでいるのを見て、2人にも狂神石の影響が出ていて、おキヌちゃんがネクロマンサーの笛を吹いて何とか暴走を押さえ込んでくれているがもしも横島が狂神石に飲まれてしまったら牛若丸とノッブも暴走しそうな状態だった。

 

「固すぎるのねッ!もうッ!このッ!!」

 

「病み上がりを酷使させすぎだよッ!!」

 

エレシュキガルとメドーサが結界を破壊しようと槍を振るっているが甲高い音と共に弾かれている。なんとかなんとかしなければと考えれば考えるほどに考えが纏まらない……なにか、何かこの状況をを打破できる奇跡のような……。

 

「そ、そうだ!文珠、文珠ならッ!!」

 

文珠、文珠ならと気付いて胸の間に挟んでいるお守り袋から文珠を取り出すために服の中に手を突っ込む。

 

「それよッ!文珠、横島君から預かっている文珠ならッ!」

 

美神さん達も横島から預かっている文珠の存在を思い出し、それを取り出そうとする。「何故か」今まで「文珠」の存在を忘れていた事に疑問を抱く事も無く、文珠がある事を唐突に思い出し、文珠を取り出したがそれは余りにも遅すぎた。

 

「それとも使い魔だから、使い捨てとでも……「セーレえええええええええッ!!!!」

 

セーレの言葉を遮る横島の怒号が響き、完全に黄色が黒に染まった……そう思った瞬間だった。その黒い光を掻き消すような純白の光がゴーストドライバーから溢れ出した。

 

「な、なんだ。何が起きて……」

 

【ツナゲテミナーッ!ツナゲテミナーッ!!】

 

【開眼心眼!!俺が私で、私がお前!2人で1人ゴーストライダーッ!!】

 

純白の光がはじけたとき、私達の前には2人のウィスプの姿が……いや、右半分に鎧を纏ったウィスプと左半分に鎧とナイトランターンを身につけた似ている様で似ていない2人のウィスプの姿があり、セーレだけではなく私達も目の前の光景に言葉を失う。ナイトランターンを身につけたウィスプも自分の手を見て、何がどうなっているのか分からないという様子だった。

 

「何がどうなって……」

 

「行くぜ心眼ッ!」

 

「横島……ああ。行くぞッ!!」

 

横島が心眼と叫んだ事でもう1人のウィスプが心眼だと分かったが、それがますます私達を混乱させた。この状況に動揺せず、そして何が起きているのかを理解しているただ1人の男……レクス・ローは満足げに微笑んだ。

 

「未来の分岐がまた1つ、横島誇るが良い。お前は最善の、そして最良の選択を掴み取ったのだ」

 

燃え尽きた1つのライダーカードが擬似冥界の空へと消え、2人のライダーカードが描かれているカードを本に挟むレクス・ロー。その手の中には「横島が心眼魂に変身するまで文珠の存在を忘れている」の一文が書かれているのだった……。

 

 

リポート20 2人で1人のゴーストライダー その5へ続く

 

 




次回は横島視点での心眼魂への変身と、セーレ撃退まで書いて行こうと思います。大分長くなりましたが、ここで心眼の擬人化解禁ですね。このリポートの後は暫く日常をやりたいと思いますので、もう少しだけシリアスのお付き合いください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


PS

11連で謙信お迎え成功しました。ルーラービシビシからの謙信でうおってなりました。
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