GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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クリスマス番外編

クリスマス番外編

 

 

クリスマスとクリスマスイブ……幼馴染や顔見知りといった関係から恋人関係へと進む大きなチャンス……本来ならばそうなる筈なのだが……。

 

「どうしてこうなるの」

 

「姉さんがヘたれてたから」

 

「ぐっふ……もう少しオブラートに包んでくれないかしら?」

 

蓮華の正論に思わず呻く、確かにヘたれていた自覚はあるけれど、まさかこんなにも横島がモテモテになるとは思っても無かったのだ。

 

「デートとか絶対無理だよね?」

 

「うん、アリスちゃんとかが人間界に来るらしいし」

 

チビッ子が横島の家に集まってくるので確実にデートとかは無理、そしてクリスマスパーティもチビッ子向けになるのも分かっている。

 

「アリスちゃん達と仲良くなるのが一番かしら」

 

「打算とかだと絶対駄目だと思う」

 

それはなんとなく分る気がするから……今私がやるべき事は……。

 

「アリスちゃん達とかが喜びそうなプレゼントを用意することよね」

 

「まぁそうだと思うけど……遊び道具とか良いんじゃない?姉さんが得意な工作を活かす感じで」

 

やっぱり自分の得意な物を活かして行くのが1番よねと蓮華と話しているとリビングの扉が開いた。

 

「蛍ちゃん、蓮華ちゃん!見て欲しいでちゅ!横島が作ってくれたんでちゅよ!」

 

満面の笑みで赤いサンタを思わせる上着と帽子をかぶってあげはが帰ってきた。横島が作ってくれたと言っていたけど、売り物と大差のない服をあげはは着ていた。

 

「サンタさんでちゅー」

 

ぴょんぴょんっと嬉しそうに跳ねているあげはを見て、私は隣の蓮華に視線を向けた。

 

「横島がめちゃくちゃスペック上がってる」

 

「元々横島はハイスペックだよ。だからもっと早く勝負を決めればよかったんだ」

 

「ごもっともです」

 

「勝負?勝負って何の勝負でちゅ?」

 

あげはの清らかな視線になんでもないと返事をしながら本当になんでもっと早く積極的に動かなかったのかと反省する。

 

「それでね!横島は皆にマフラーとかを編んでくれてるでちゅよ。どんなのが出来るのか楽しみでちゅ!」

 

プレゼントではアリスちゃん達の心を掴むのは難しそうで、やっぱり打算とか、横島との距離を詰めたいとかいう目的ではなく、純粋にパーテイを盛り上げる方向で行くのが1番確実なような気がしてきた。

 

「パーティの招待状ですか……まぁ期待しても無駄でしょうけど……チャンスではありますわね」

 

蛍があれやこれやと考えるのに対してくえすは即決でこれがチャンスであると判断した。

 

「子供が喜びそうな物……まぁ奇をてらった物よりも確実性ですわね。ゴーレムを応用して使い魔でも作ってみますかね」

 

ゴーレムの技術を応用して子供が喜びそうなデザインの使い魔を作ろうとするくえす。

 

「……パーティね、招待されてるなら行くけど、んー期待してるようなのは無理よねぇ。んーやっぱり紫ちゃん達が喜んでると横島君も喜ぶし……ジュースとか、お菓子とか準備して、あ、パーテイグッズとか良いわね」

ぶし……ジュースとか、お菓子とか準備して、あ、パーテイグッズとか良いわね」

 

琉璃もまた望むような男女の関係を進めるのは無理と即座に判断し、パーティを盛り上げる為に動き出し、考えるばかりの蛍と違って積極的に琉璃もくえすも動き出しているのだった……。

 

 

 

 

庭に俺がトンカチを振るう音が響く、その音が興味深いのか紫ちゃん達が楽しそうに俺の作業を見ている。

 

「お兄様、もうすぐ出来ますか?」」

 

「もうちょっとかな、牛若丸。釘頂戴」

 

【はい、どうぞ。主殿】

 

「ん、ありがとう」

 

牛若丸から受け取った釘を目の前の木に当ててトンカチを振るう。暫くそれを繰り返し、しっかりと固定出来た所で裏向きにしていたソリを表向きにする。

 

「中々な良い出来だな、横島」

 

「うん、俺も上手く出来たと思うよ心眼。良し、うりぼー、うりぼーおいで」

 

「ぴぎー?」

 

なぁーにという感じで鳴きながら近寄って来たうりぼーにソリに繋いでいる紐を向け、うりぼーが咥える棒を口元に向ける。

 

「はい、あーん」

 

「ぷぎゅ」

 

「これ引っ張れるかな?」

 

「ぴぎー」

 

ずりずりとソリを引っ張り始めるうりぼーを見て、紫ちゃん達が目を輝かせる。

 

「うりぼー乗せて!」

 

【私も乗せて欲しいです!】

 

「あんまり沢山乗るとうりぼー大変だから1人ずつな~!」

 

「「【はーい!】」」

 

元気よく返事を返し、1人ずつ順番でうりぼーの引っ張るソリに乗ってはしゃいでいる紫ちゃん達を見ていると横からタオルが差し出された。

 

「……ご苦労だったな」

 

「ん、ありがとシズク」

 

シズクが差し出してくれたタオルで汗を拭い、淹れてくれたほどよい温さのお茶を飲んで一息ついて、庭に置いている椅子に腰を下ろして机の上に乗せていた毛糸と編み棒を手にして編み物を再開する。

 

「……器用だな」

 

「んー元々手先は器用だしなぁ。なんかやってると楽しくなって来てさ」

 

自分で作っている物が形になっていくのが楽しくなってきた。シルバーアクセサリーもそうだが、マフラーなどの縫い物に、あげはちゃんに作ってあげた赤いサンタ風の上着とかも作ってるうちに楽しくなって来てしまった。

 

「……まぁ分からないでもないが……私の分もあるのか?」

 

「え?シズクも欲しい?」

 

「……欲しいか、欲しくないかで言えば欲しい」

 

シズクまで欲しいというのは予想外だったが欲しいと言って貰えるのは作ってる側としても嬉しい物だ。

 

「分った。シズクの分も作るよ」

 

「……ん、楽しみにしてる」

 

ひらひらと手を振り歩いていくシズクを見送り、編み終わりを丁寧に縛る。

 

「良し、これでOKっと」

 

異界の俺の家の周りに住み着いている魔獣は身体が大きかったりするのでサンタ風の服は無理なのでマフラーを編んでみた。俺の家の周りに住み着いている魔獣の分は用意出来たと思うので、また服を縫う作業を再開し、足踏みタイプのミシンの電源を入れる。

 

「お、おおお……ッ」

 

「ぷぎー、ぴぎー」

 

「楽しいですわ!」

 

「ぴぎゅー♪」

 

ソリを引っ張るうりぼーもソリの上の紫ちゃんも楽しそうだなぁと思いながら俺は縫い物を再開するのだった……。

 

 

 

 

マメって言うか変わってるって言うか……私の知ってる横島と今の横島は大分違う。

 

「そこのところどう思う?」

 

「拙者はどっちのせんせーも大好きでござるよ?」

 

「……さいですか」

 

別に横島が好きって言うのは否定しないけど、どうしてあの煩悩魔神がこんな子煩悩になったのかは少し気になるところだ。

 

「はい、チビ。おいでー」

 

「みむう!」

 

「ほら、出来た。可愛い」

 

「みむう♪」

 

チビにサンタ風の衣装を着させて可愛いと褒めてる横島と嬉しそうに尻尾を振ってるチビ。まぁ平和で楽しそうだから良いんだけどさ……。

 

「どうしてこうなったのかしら?」

 

「知らんでござるよ」

 

どこでどうしたらこんな横島になってしまうのか、やっぱり最初にグレムリンが家に住み着いたかどうかが分岐点だったりするのかしら?

 

「横島、横島。私の分もあったり~?「するよ?はい、コヤンちゃん」みこーん♪嬉しいですわ~♪」

 

「ちょっと横島!?私の分は「はい、タマモ」……え?」

 

コヤンに服を渡しているのを見て思わず声を荒げて詰め寄ると服を差し出されて、思わず動きを止めた。

 

「え?いらない?」

 

「いる!いるわよッ!ありがとう」

 

しっかり採寸をしているわけではないので本当に羽織るだけの上着だが、横島が作ってくれたというのが嬉しくてしっかりと抱きしめる。

 

「せんせー!拙者の分はあるでござるか!?」

 

「今縫ってる」

 

「やったでござる!」

 

シロが横島の近くに座って楽しそうに作業を見ているのを見て邪魔するんじゃないわよと声を掛けてから上着を羽織る。

 

「普通に上手ですわね」

 

「……うん、正直もっと雑かと思ってた」

 

売り物と大差ないとまでは言わないけど、ミシンと手縫いで作ってる事を考えれば破格の仕上がりだと思うし……。

 

「ほら、シロの分」

 

「やったでござるー♪」

 

横島の手先の器用さは知ってたけど、縫うスピードが尋常じゃ無いのよね……。

 

「あれ素かしら?」

 

「多分そうだと思いますけどね」

 

霊力とかを使ってる訳ではないのにあの速度……横島はGSとか霊能者じゃ無いほうが幸せに……いや、それだと私と横島の接点がないわけで……。

 

「ジレンマね」

 

「そこが困り所なんですよね~」

 

こいつと同じ意見なのは癪なんだけど横島は霊能者やGSじゃないほうが幸せになれると思うけど、そうなると私達と出会う事も無いし、接点が無くなってしまう。出会う為には横島に霊能関係者でいて貰わなければならないジレンマに思わず溜息が出た。

 

「はい、マフラーね」

 

「ふかあ♪」

 

「ほげえ~」

 

マフラーや帽子をかぶれる魔獣は帽子やマフラーを貰い、尻尾を振りながら跳び跳ねている。

 

「はい、新しい寝床な」

 

「ぴい!」

 

「みゅー」

 

マフラー等を身に付けれない魔獣は新しい寝床を貰いご満悦そうだ。

 

「はい、フランちゃんにはこのサンタさんの服」

 

「わーい!ありがとー♪」

 

「お兄ちゃん、アリス可愛い?」

 

「可愛い可愛い、良く似合ってる」

 

「えへ~♪」

 

完成した服やマフラーを持って異界へ持って行き、楽しそうに配ってる横島の姿を見てどうして横島が霊能者じゃないと出会えないのか、どうして横島は戦う定めにあるのか、この世界、いや宇宙意志の悪辣さに私は怒りを覚えずにはいられないのだった……。

 

「お兄様、お兄様。初めて見る魔獣ですわ!」

 

「ぐらぐらるぅぅぅぅ」

 

「……私も見つけましたの」

 

「げるう」

 

「フランも!」

 

「ウルォード」

 

「「それ以上はいけない!」」

 

紫達が何処から連れてきた身体が黄色いやたら目付きの鋭い2足歩行の獣と銀色の体色をした鳥……いや魚みたいに見える生き物と、青い狼みたいな魔獣を連れてきた紫達に私とコヤンは声を揃えていけないと反射的に口にしてしまうのだった……。

 

 

 

 

横島君の家のクリスマスパーテイに招待されたのでおキヌちゃんと一緒に来たんだけど……ルイさんが用意した横島君の屋敷の庭はとんでもない事になっていた。

 

「ふかッ!」

 

「よーぎい!」

 

「タマ~」

 

「クア~」

 

横島君に懐いている異界の魔獣が庭に集合していて楽しそうに駆け回っていた。あの1匹でも東京に出たら東京を半壊させるのも楽勝な魔獣がダース単位でいるこの光景を日常として受け入れている自分がいて頭痛がいたかった。

 

「普通は異常なのに、これを普通に受け入れてるわね」

 

「私はもう馴れました」

 

馴れて良いのか悪いのかで言えば悪いのだけど……これも横島君らしさかもしれないと思い飾り付けられているイルミネーションを見ながら庭を進んでいるとなんか明らかに神気を放つ魔獣が3匹うろついているのを見た。

 

「美神さん」

 

「言わないの」

 

「でも美神さん」

 

「言っちゃ駄目よ」

 

「でもあれシズと」

 

「駄目よ」

 

明らかに神獣だけど触れてはいけない、下手に関わると大変な事になるので見ない振りをして開かれている扉を潜って屋敷の中に入る。イルミネーションに楽しそうな音楽、そして紫ちゃん達の笑い声が響いて来る。ガープ達との戦いの恐怖の中でこのなんでもない日常の風景はとても心を休めてくれる光景だ。

 

「美神さんも来たんですね」

 

「ええ、折角招待して貰ったしね。皆も楽しそうで何よりだわ」

 

子供向けなので明るく楽しい音楽とスクリーンに映されているアニメ映画。大人が楽しむには子供っぽい光景だが、それでもどこか落ち着くものがある。

 

「横島君。はい、これ差し入れ」

 

「わぁありがとうございます、美神さん!」

 

持って来たジュースを横島君に渡して周りを見るとくえすや琉璃もいた。横島君が招待してるからいるのは分かるんだけど……。

 

(ハンターの目をしてるわね)

 

クリスマスで横島君との距離を詰めようとしているのは分かるけど、チビッ子達とチビ達に囲まれている横島君との距離を詰めるのは無理そうねと苦笑する。

 

「ちょっと想像とか、期待してたのと違うんですけど楽しいんですよね」

 

「そうね、楽しいわね」

 

子供が喜ぶような料理とジュース、お酒なども無く良い雰囲気になることもないのだが……この子供が喜びそうなクリスマスパーテイはとても和やかで心を癒してくれるのを感じた。

 

「美神さん、おキヌちゃん、蛍!乾杯するからこっちこっち」

 

ジュースで乾杯だと締まらないけど、今回はこれで良い。守りたい日常、なんでもない大切な日々っていうのを再認識出来る。

 

「なんて乾杯するんですの?」

 

「そりゃもうやっぱりメリークリスマスでどうですかね?」

 

「良いんじゃない、それで」

 

机の上に用意されているグレープジュースの入れられたグラスを手に取りそれを掲げて、明るい音楽の中でメリークリスマスという私達の声が重なるのだった……。

 

「はい、皆行くよ~1・2・3はいっ!」

 

「うきゅ~」

 

「みむー♪」

 

「ふかあ~♪」

 

楽しそうに指を振る紫の指揮で歌い出すチビ達にその回りを踊る横島君の作ったサンタの衣装でジャンヌ・オルタ・リリィ達。

 

「……NO.1マスコット決定戦。第1回の開催ですの」

 

「ヨギー!?」

 

「ココオオ~!?」

 

庭に造られた特設のマスコットサイズのアスレチックでのチビ達の競争ではやっぱりチビが優勝だったり。

 

「あ、それ俺が作った指輪ですよ。美神さん」

 

「……え」

 

プレゼント交換では横島君が作ったとても手作りとは思えない仕上がりのシルバーの指輪が当たり、物理的というか、冗談抜きでしぬんじゃないかと思う位の視線を感じて恐怖したが、それでも楽しい一夜を過ごす事が出来たのだった……。

 

 

 




クリスマスっぽい話を書いてみました。何気ない、なんでもない日常の風景。霊能者だからこそ、こういうなんでもない日々が大事というのを書いてみました。仕事がハードで、執筆時間が余り取れなかったので短い話となりましたが、番外編と言う事で、お許しください。
それでは皆様メリークリスマス。
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