GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
その1
リポート21 なんでもない、だけど特別な日常 その1
~ヒャクメ視点~
「これはどういうことなのね?」
心眼が復活したと小竜姫に聞いて私はとても喜んだ。心眼は横島さんの心の支えになっていて、そして狂神石を抑制してくれている存在だ。横島さんが横島さんらしくあれるのは心眼のお蔭なのでそんな心眼が死んだと聞いたときは私も悲しんだが、心眼が復活したと聞いて良かったと思っていたら小竜姫の隣の銀髪の少女が心眼だと言うのだから何がどうしてこうなったのかと問いただしたくなるのも当然の事だ。
「横島の魔力と神通力と霊力と眼魂が混ざってしまったのだヒャクメ。外見は横島の印象深い女性の特徴が色濃く反映されてる……かな?」
「それは間違いないのね、くえすと琉璃と蛍がメインなのね」
「うぐっ……やっぱり私の要素ないですか?」
「多分、この民族衣装っぽい巫女服は小竜姫なのね」
自分の要素が余りにも少ない事に絶望している小竜姫を無視して心眼の触診を開始する。
「ここはどうかな?感覚ある?」
「ある」
「ふんふん、じゃあここは?」
「そこもある」
「なるほどね。食欲とかはある?」
「それもある」
末端までしっかりと感覚があって食欲もあるっと……。
「一応聞いておくけどトイレは?」
「それはない」
「やっぱりなのね。なるほどなるほど」
食事をしても排泄が無いと言うのは英霊と同じだ。今触ってみたけど肉体と言う感じではなく、高密度の魔力や霊力が集まり擬似的に肉体を作り出している事が分かった。
「やっぱり限りなく英霊に近いのね~とは言え、英霊とは少し違うから……擬似んー、仮英霊って所かな」
英霊になるには歴史が足りていないし、伝承もない。だが精霊や幽霊にしては存在感がある。精霊、幽霊以上、英霊未満っというのが私が心眼を調べて分かった結果だ。
「擬似英霊って言うのは分かっているんですよ、ほかに何かないんですか?ヒャクメ」
「ほかにって言われてもね~分からないって事が分かったことくらいしかいえないのね」
心眼の状態が奇跡に等しい状態だ。そもそも小竜姫が作り出した心眼は元々は横島さんの霊力の補助具。いうならば自転車の補助輪のようなものだ。横島さんの霊力を潤滑に運用するように出来ているが、ここまで横島さんを教え導くようには作られていない。そう考えれば心眼がここまで成長している事がまず異常なのだ。私や小竜姫のように前の世界の記憶を引き継いでいたとしても、心眼のあり方は異常なのだ。
「良いも悪いも横島さんの影響を色濃く受けているとしかいえないのね」
「それはあれか……?私にも狂神石の影響があると?」
横島さんの影響と聞いて心眼はすぐに狂神石の影響があるのかと不安そうに尋ねてきた。
「んーあれは魂に反応する物だから、心眼は擬似霊魂だから影響は殆どないと思うのね。強いて言うのならば狂神石の膨大なエネルギーが今の心眼を構成している一部ってことくらいなのね」
狂神石の狂気だけが排除され、B・Aランクの妖怪や魔界の動物を神魔クラスにまで強化する狂神石の良い所だけを心眼は受け取っているような物なのである。
「危険性は……ないようですね」
「あるわけないのね、むしろ横島さんの精神安定の為にすぐにでも横島さんの所に帰すべきなのね」
心眼と横島さんの関係性を考えると横島さんに思いを寄せている私や小竜姫からすると複雑な部分はあるのだけど、横島さんのためを思うとすぐに心眼を戻すべきというのが私の出した結論だった。
「心眼、戻る前に竜神王様から手土産があるからそれを持って帰って欲しいのね。勿論私から横島さんへのお土産もあるからそれもお願いしたいのね」
「ず、ずるいですよ!し、心眼。少し待っていてください。わ、私もお土産を準備するので」
とはいえポイント稼ぎが出来るところを見過ごすつもりは無くお土産を横島さんに渡すように頼むと、小竜姫も自分もお土産を準備するから待っていてくれと言って部屋を飛び出していってしまった。
「土産を渡すのは良いんだが、ヒャクメは横島の家の問題を分かっているのか?」
「問題?なにかあったのね?」
「もう横島の家は満室を通り越して崩壊一歩手前だぞ?」
「あー……確かに、でも簡単に引越しさせるのも難しいのね」
異界になっている横島さんの家を放置するわけにも行かないし、かといって引越しさせたとしてアリスちゃんや天竜姫様が入り浸る事を考えれば生半可な場所じゃ駄目だし……月の問題が解決したのは良いが、そのかわりにずっと私達の頭を悩ませていた横島さんの引越し問題が再び浮上してきたのだった……。
なお冥界で復活した際に若返ったメドーサはと言うと……。
「きゃーメド様、素敵ですッ!」
「そうだろうそうだろう。これも買いだな」
「なんで月に行ったメドーサ様が若くなってるんだよ」
「分からん……俺に言うな」
若くなった事で服を買いに着ていたメドーサが、そんなメドーサを着せ替え人形にしているクシナと荷物持ちをさせられている陰念と雪之丞を引き連れてキャッシュカードで気に入った服を買いあさっていたりする……。
~蛍視点~
心眼について色々と聞きたかったから横島の家に来て、朝食を作って散歩に行っている横島が戻るのを待っていたんだけど、横島が帰って来たらかえって来たでとんでもない騒ぎになってしまっていた……。
「出て行きなさいよぉぉおおおお」
「いーやーでーすうううううッ!!」
コヤンスカヤを追い出そうとするタマモとソファーにしがみ付いて耐えているコヤンスカヤの絶叫が響き……。
「……む、子供服のセールがあるぞ、横島」
「え?マジで?ミィちゃんとかの服を買うチャンス?」
「……私このままでも良いですのよ?」
「駄目です」
痴幼女のミィの為の服を買おうとしてチラシを覗き込んでいる横島とシズクにいらないと言って怒られているミィ。
「みむーみみー」
「ぷぎゅう」
【ノブノブノブ】
「うーきゅーうー」
鳴声を重ねて遊んでいるチビ達に……。
「紫、学校に遅れるでござるよ」
「お兄様がいるから行きたくないかなー?」
【私もです】
「駄目でござるよ。せんせー、紫達が学校をサボるって言ってるでござるよー?」
「ん?それは駄目だぞー、帰って来たらまた遊んであげるからちゃんと学校に行っておいで、ミィちゃんも」
「「【ふあーい】」」
不満そうに返事をしながら紫ちゃんの作った障子の中へ吸い込まれていく3人……。
「なんかとんでもない事になってる」
「随分前からとんでもない事になっていたと思いますけど?」
おキヌさんがそういうが前はもう少しちゃんとしていたと思う。ただ事件が起きるたびに爆発的に横島の家が人外魔郷になって行ったのが家が本格的に手狭になった事で明確な問題として浮上した感じだ。
【ノッブー、お仕事手伝ってくださいよー。沖田さんだけじゃ大変なんですよ~】
【分け前は?】
【6-4でどうですか?】
【よーし、乗った。牛若丸お前はどうする?】
【暇ですし私も乗りましょう】
【これなら万全ですね!じゃ、横島君!お仕事行って来まーす】
気をつけてなーと見送る横島の姿にこれが何時の間にか横島の日常になっている事に私はこのままじゃ私の居場所がなくなる?と焦りを覚えた。良く考えてみれば最初のリードは完全に消え去り、優位性なんか完全に消え去っていた事を今初めて心の底から実感した。なんとかしなければと思い……。若干の焦りと共に私は口を開いた。
「1回引越しできそうな物件見てみる?」
引越しに関してはめちゃくちゃデリケートな問題なので勝手な事をするなと言われていたのに、テンパっていた私は物件を見てみる?と横島に声を掛けてしまった。
「え、マジで良いの?行く行くッ!なんかあれだろ?霊能者って良い物件見れるんだろ?見て見たい」
めちゃくちゃ乗り気の横島に今更駄目なんて言えるわけも無く、お前なんて事をしたんだ?と言わんばかりの目で見ているシズク達に見送られながら私と横島はGSが借りれる東京近辺の物件を見に行く事となった。
「ちなみに横島はどんなのが良いの?」
「庭が広いと嬉しいかなあ、あとプール。めちゃくちゃ高いと思うけど六道みたいな屋敷だと嬉しいかもしれない」
「それ絶対言わないでね?」
横島は何で?という顔をしているが本当にお願いだからその要望だけは言わないで欲しい。
(あの狸がニコニコで動き出す未来しか見えない……)
味方だと凄く頼もしいのだが腹黒さMAXの冥華さんが動き出す理由を与えないで欲しいのだ。
「まぁ今日は見るだけだから良いけど」
「そうね、こんな感じが良いって言うイメージだけでも出来れば良いんじゃないかな。後はそれを小竜姫様達にお願いしてみると良いかもね」
色気なんてあるわけもないが、久しぶりに横島と2人きりのお出かけに自然に笑みを浮かべながらGS専門の物件めぐりへと向かうのだった……。
~美神視点~
月でのとんでもないハードな戦いを切り抜けたばかりだが、私達には次の問題が圧し掛かって来ていた。
「マリア7世をどうするか……ね。ちなみにドクターカオスとかはどう考えてる?」
「小僧の所の紫が作った異界を避難所に出来ないかと考えている」
マリア7世は優れた霊能者としての素質を持っているからか、4大天使の聖母候補として狙われている。事実私達が月にいる間にホテルに軟禁されていたと聞いている。
「出来れば私もそれで行きたいんですけど、オカルトGメンとかが口を挟んできているんですよね」
「絶対攫われて終わりね、西条さんのほうで抑えられないの?」
「出来るならとっくにしているよ、令子ちゃん」
西条さんよりも上の権限を持ってる連中が邪魔をしてるってことね……んーじゃあ。
「飛行機を墜落させない?」
「「「はい?」」」
「だーかーらー飛行機だけ飛ばして、緊急転移の事故でどこに転移したか分からないっていうのはどう?マリア7世は文殊で作った幻影にして、小竜姫様とかに相談する必要もあるけどありじゃないかしら?」
帰国の道中の事故という形にしてマリア7世は別口で異界に入ってもらえば良い。事故による消息不明となれば四大天使やオカルトGメンのやっかみも回避出来る可能性がある。
「ん、んーん、かなりグレーですけど」
「いや、思いっきりブラックじゃが……1番安全なのがこれかの?」
誰も信用出来ない中でオカルトGメン達が出張ってくる自体を避けるには、それよりも先に形だけは出国してもらい事故を装うのが1番良いと思う。
「その後はその後で問題になりそうですけど……西条さん。オカルトGメンから誰が来るかとか調べが付きます?」
「少し時間はかかるけど調べれるよ」
「じゃあ、西条さん。それをお願いするわ、最悪小竜姫様を頼っても良いと思うけど……」
「そっちもそっちで不安なんですよね」
天界の情勢も酷いので小竜姫様を頼る事にも不安が残る、かといって人間の方も問題がある訳で……。
「本当どうしようもないわね、どこも解決出来ないじゃない」
私達の強さの問題、横島君の問題、天界、魔界の問題とどこもかしこも問題ばかり、しかもどれもこれも解決出来ない物ばかりで頭が痛くなる。
「そこに頭が痛くなる問題が1つ追加されますよ」
「……天界、魔界、それとも人間界?」
「合法ロリを認めない自称精霊の目撃情報が出てます」
「なんでよ……」
「またあのはた迷惑な精霊が……」
合法ロリ認めない精霊(自称)。本人が何歳になっても背が低く、胸も小さく、合法ロリと呼ばれることに嫌気が差し自分を精霊に昇華させた霊能者の目撃情報ありと聞いて本当に勘弁してくれと天を仰いだ。問題は問題でも別のベクトルでの大問題……20年以上除霊出来ていない、歳の割りに幼い容姿の女性を成長させるという意味不明な事を繰り返すはた迷惑な精霊の出現情報に私は本気で泣きそうになった……。
「絶対狙われる相手が多すぎるじゃない」
「シズクにノッブに牛若丸にアリスちゃん達に……は、ははは……どうしましょうね、これ」
「そんなの私が知りたいわよ……」
横島君の周りはこういったら悪いが合法ロリと言われるような相手が揃っているので、絶対にあのはた迷惑な精霊が東京に来ると確信出来てしまい、この場にいる全員の口から乾いた笑い声が零れるのだった……。
リポート21 なんでもない、だけど特別な日常 その2へ続く
今回は少し短めと今後のフラグを少し追加してみました。この合法ロリ認めない精霊がGSらしいカオスなギャグ展開にしてくれる予定なのでこの精霊が出てくる時を楽しみにしていてください、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。