GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その3

 

リポート21 なんでもない、だけど特別な日常 その3

 

~蛍視点~

 

今頃横島は異界で魔獣やアリスちゃん達と戯れているのだろうかと思うと、やっぱり着いて行きたかったなあと思う。だけどそうも言ってられない事情があるので仕方なしに、それこそ文字通りに後髪を引かれる気持ちで私はGS協会へ来ていた。

 

「姫様と妹紅については感謝します。神代さん」

 

「いえいえ、私というか横島君の方にお礼を言って貰えると嬉しいです。」

 

永琳さんがもう来ていて琉璃さんと話をしているのを見て私は気を引き締め、美神さんが座ってる席の隣に腰を下ろした。

 

「おはようございます。美神さん」

 

「おはよう蛍ちゃん」

 

挨拶を返してくれた美神さんはそのまま自分の見ていた資料を私に回してきたので、それにザッと目を通す。かなり分厚いその書類の束の内容の6割は月神族への対応だった。

 

「月神族が独自権を放棄して神魔の傘下に……通るんですかこれ?」

 

「通らない、通るわけ無いでしょ。とりあえず当面としては月神族は監視、それと詳しい条件に関しては永琳が決めるけど、輝夜と妹紅が自由に歩き回るようになるのは間違いないわね」

自由に歩き回るようになるのは間違いないわね」

 

「それはそれで問題ありません?」

 

蓬莱人の2人はどう考えても狙われる立場なのに自由に出歩かせるのは余りにもリスクがあると思う。

 

「それに関しては横島の家と横島が所有してる異界への入場に変更するので安心してください」

 

私と美神さんの話に割り込んで永琳さんがそう言ってくれるので最悪は回避できるかと考えていると会議室の扉が開いた音がし、そちらに視線を向けた私は絶句した。

 

「ちょっくえす大丈夫なの!?」

 

「大丈夫……ですわよ」

 

髪はぼさぼさ、目元には深い隈とボロボロの様子のくえすとめぐみさん、そして何時ものように不気味な笑いをしている柩と余りにもアレな光景に思わず大丈夫なのかと叫んでしまった。

 

「とりあえず……やる事終わったら寝ますから……」

 

「くひひ、きひいいいいいッ! 先にやることやろうかああ」

 

いつも以上に電波入ってる柩に本当に大丈夫かと心配になる中、くえす達の話に私達は耳を傾けた。

 

「まず私達が見つけた大魔道書にはかつての四大天使の悪逆が記されていました、その中には当然強い洗脳への対策もありました」

 

「魔道具と薬ですね。必要な物は事前に配った書類にあるので目を通してください」

 

めぐみさんに言われて書類の中の必要な材料に目を通した私達は目を見開いた。

 

「これマジで言ってる?」

 

「大マジですわ。それとも対策せず、人造救世主の慰み者になって横島と敵対します?」

 

くえすの冷ややかな視線と言葉に美神さんは深い溜息を吐いた。

 

「それは絶対に嫌よ。でも……黄金の林檎とか、黄金の蜂蜜酒とかどこで手に入れれば良いのよ?」

 

天使の洗脳を防ぐ術として必要な材料もまた神話に出てくるようなアイテムが必要だった。それに加えて魔道具に至っては会議に参加している小竜姫様達でさえ唸るレベルだった。

 

「スレイプニルの鬣に龍の抜け殻……」

 

「バロールの魔眼に、ガルーダの羽……どれもこれも入手困難な品ばかりですね」

 

神話・伝説に語られる魔獣、神獣の素材が必要だとわかり顔を歪める小竜姫様達にくえすは何を勘違いしているのかと言った。

 

「これはあくまで前のそれこそ1万年以上前の素材ですわ。これを元に更に発展させなければ何の役にも立ちませんわよ。私の要求は天界・魔界が所有している貴重な素材。その全ての提供ですわ」

 

「しょ、正気ですか!?」

 

「正気も正気ですわよ。神魔の尻拭いをする為に必要な物をまさか出さないとでも?」

 

くえすの言葉に小竜姫様はうぐぐっと唸り、観念したように溜息を吐いた。

 

「分かりました、最高指導者に話を通します」

 

「私もお父様へ話を付けますわ」

 

「最初からそう言っていれば良いのですわ。アスモデウス、ガープも厄介ですが、それ以上に四大天使は邪悪で厄介と分かりきっているのですから、それへの対策が最優先ですわよ」

 

四大天使がいればS達やジャンヌ・オルタの語った最悪の結末へ繋がる。それを阻止する為に形振り構ってられないのも事実だ。

 

「永琳にもお願いがあります。これから月神族と今後の事を話し合うのですよね?その際に月神族が保有している道具も提供するように付け加えて欲しいのです」

 

「ええ、構わないわ。横島達への迷惑料も含めてふんだくってあげるわ」

 

にやりと笑う永琳さんの姿に冥華さんに通じる邪悪さを感じた。

 

「なんかお腹痛くなってきました」

 

「うん……私も、これ絶対神経性ね……」

 

横島の為なら文字通り何でもするくえすは敵に回せば恐ろしいが一応味方なのは今は頼もしいと思うべきだろう。

 

【えっと……?】

 

「ああ。恥知らずがやっと連絡してきましたね。さてと月神族?貴女達が犯してきた罪、その全てを清算して貰いましょうか」

 

悪魔より邪悪な顔をしているくえすにどっちが悪役か分からないと思いながらも、くえすの言っている言葉には私も同意だったので、くえすと永琳さんに完全に怯えている迦具夜に一切同情する事無く、何の容赦も温情も無いくえす達の取立てにどんどん青褪めていく迦具夜を無視して、くえす達が用意していた書類に美神さん達と共に目を通すのだった……。

 

 

 

 

~輝夜視点~

 

永琳が美神達と話をしている間横島の所に行って良いと言われていたのでもこと2人で横島の所に行けば死神がいるし、横島の家ではなく異界に遊びに行くという横島に大丈夫かなと不安を抱きながら異界に来たまでは良いが、異界に足を踏み入れた瞬間に魔獣に拉致された横島の姿に思わず叫んでしまったのは絶対に悪く無いと思う。

 

「だ、だだだ……だだだッ!?」

 

「どうどう、落ち着きなさいよ」

 

死神がめちゃくちゃ動揺しているのを落ち着かせようとするが、死神は完全に混乱していた。

 

「駄目だわ、この死神ポンコツだわ」

 

「気持ちは分かるけどなあ」

 

行き成り魔獣に連れ去られた横島に動揺するのは分かるけど、多分害はないんだと思う。

 

「だってほら。横島の妹を乗せて走り回ってるし、多分横島が来て嬉しくてしょうがないのよ」

 

犬っぽいのとか、虫みたいのとか、小さな龍みたいなのが横島の回り駆け回り、そして横島を兄と慕ってる子供達もきゃっきゃっとはしゃいでいる声がするので多分歓迎のつもりなのだと思うと話をしていると背後から声を掛けられた。

 

「いらっしゃい、横島に連れて来られたの?」

 

その声に振り返ると髪を二房にした吊り目気味の少女が私達を見つめていた。

 

「ええ。横島が遊ぼうっていうから来たの」

 

「あれ、横島様は大丈夫なのか?」

 

「ああ。あれ、大丈夫よ。まぁ涎塗れとか泥まみれにはなってるけど大丈夫よ。あたしはカマイタチ、横島の家の管理みたいなことを成り行きでしてるわ。よろしく」

 

管理……女中って事かしら?まぁ横島が家を任しているのなら問題はないかと判断した。

 

「蓬莱山輝夜よ、よろしく」

 

「藤原妹紅だ。えっと本当に大丈夫か?」

 

「え、エレシュキガルなのだわ」

 

一通り自己紹介を終えた所でカマイタチはこっちと言って歩き出すので、その後を着いて歩き出す。

 

「随分沢山の魔獣がいるのね」

 

「横島の周りは安全だからね。ほら、赤ちゃんとかもいるでしょ?」

 

指を指されたほうを見ると目も開いてない魔獣を咥えて歩いている魔獣が何頭もいた。胴体がやけに長い丸っこい生き物と、鋭さを感じる魔獣がとてとてと横島の家へと駆けていった。

 

「横島様の周りは安全なんだ」

 

「喧嘩すると横島に怒られるからね、でも遠くの方へ行くと気性の荒い魔獣もいるから遊ぶなら横島の家の周り、ちゃんと遊び道具のある方にしないと怪我するわよ」

 

ぶっきらぼうな口調だがあれやこれやと教えてくれるカマイタチの話を聞きながら歩いていると横島の姿が見えてきた。

 

「わふわふわふッ!」

 

「ふかーッ」

 

「どうどうどう、落ち着い「ほげーッ!」あいたあッ!?」

 

魔獣に遊べー遊べーと囲まれている横島は困っているようだが、その顔には笑顔がある。

 

(これなら大丈夫そう)

 

横島の魂の不安定さを心配していたが、これなら大丈夫そうと思っていると私達の先頭を歩いていたカマイタチが手を叩いた。

 

「はい!横島に迷惑を掛けない、まず荷物を置かせて落ち着かせてから遊んでもらいなさい」

 

「ぴー?」

 

「駄目よ。はいはい散った散った」

 

カマイタチの言葉に渋々と言う感じで魔獣達が一度横島から離れた。

 

「イタチちゃん。凄いなあ」

 

「なんか横島の家の掃除をしている間にいう事を聞いてくれるようになったのよ。はい、タオル」

 

カマイタチから受け取ったタオルで涎や泥を拭った横島がよいしょという掛け声と共に立ち上がった。

 

「ここが異界、良いところだろ?ちょっと先に行くと温泉プールとか滑り台とかあるんだぜ」

 

「それは凄いのだわ……私の異界とは全然違うのね」

 

「まぁここは遊び場みたいなところだから、エレちゃんの所とは違うのは当然じゃないかな。それでどうかな、輝夜ちゃん、もこちゃん、エレちゃん。ここは楽しそう?」

 

そう言われて横島の家の周りを3人で見てみる。

 

「たまーたまー」

 

「っとと、それー」

 

「たまー」

 

小川から顔を出している青いボールみたいな動物と子供がボール遊びをしている姿。

 

「よぎよぎよぎ」

 

「ふかー」

 

小さな魔獣達が楽しそうに穴を掘っている姿。

 

「頑張ってうりぼーッ!」

 

「いけーぐーちゃんッ!!」

 

「ぷぎぷぎいいいいッ!!」

 

「ぐううううッ!!!」

 

猪の上に乗った紫と黒い馬に乗った金髪の幼女が追いかけっこをしている姿。

そのどれもが迷いの竹林に無いもので、冥華達が持って来てくれるゲームは楽しくはあるが飽きが来る。

 

「ええ、すっごく楽しそうだわ」

 

「思いっきり身体を動かせるのはいつ振りだろなあ」

 

「は、はわわあああッ!?スカート、スカートは駄目ッ!?」

 

なんか1人魔獣に襲われて絶叫してるけど私ともこが楽しそうと返事を返すと横島は安堵したように微笑み……。

 

【お兄さんも、2人もあそぼーッ!!】

 

「とっと、良し、輝夜ちゃん達も行こう。みんなに紹介するよ、エレちゃんはどうする?」

 

「あ。後で!ちょっと本当に駄目だからぁぁあああっ!!」

 

執拗に着物を狙われている死神から横島は若干気まずそうに顔を逸らし、私ともこを連れて遊ぼうーと声を掛けてきている子供達の下へと歩き出した。なお私達が放たれた所で背後からはスカートを返してという死神の絶叫が響いて来て、私達は3人とも何とも言えない表情を浮かべる事になるのだった……。

 

 

 

 

 

~カマイタチ視点~

 

タマモ達に安全だからと連れて来られた異界は横島を慕う魔獣の巣窟だった。最初はあたしよりも格上の魔獣ばかりに恐怖した物だが、気が付けばこの異常な環境に慣れている自分がいた。

 

「イタチーッ!横島来てる!?」

 

「来てるわよ。原っぱで遊んでるわ」

 

「やったー!行こう!」

 

「みゅーッ!」

 

魔界から来て、そのまま横島の所へ掛けていくちびっ子達を見ながら洗った洗濯物を干す。

 

「良い天気ねぇ」

 

ちびっ子達が作った世界とは聞いていたが、天気の移り変わりもあり外の世界と大差がが無い。人間に追われる事を考えればここで魔獣やちびっ子の世話をしているのも悪くないかもしれない。

 

「お姉ちゃんたちも呼ぼうかなあ……横島に相談してみようかな」

 

お姉ちゃんと妹も呼んで良いか聞いてみようかなと思いながら何時ものように洗濯物をして掃除をする。

 

「それーっ!」

 

「よっと、ほい。もこちゃんッ!」

 

「横島様上手ッ!そいやっ!!」

 

「ふかーっ!(パク、もぐもぐ、ごくん)ふかっ!」

 

「食べちゃ駄目だろ!?」

 

「あははははッ!!」

 

「あはっ!はははははッ!」

 

ボールを食べてしまった魔獣に横島が怒り、妹紅と輝夜が楽しそうに笑い。その周りのアリス達も、魔獣達も楽しそうに笑う。

 

「本当横島がいるとそれだけで笑顔が広がるわね」

 

横島の存在は思った以上に大きい、ちびっ子達も横島がいるだけで普段よりもずっと笑顔を浮かべているし、魔獣達も楽しそうだ。

 

「はい、これズボン。服と合わないと思うけど、無いよりマシじゃない?」

 

「……うう、ありがとうなのだわ」

 

スカートを奪われ下着を両手で隠しているエレシュキガルにズボンを渡すと着替えてくると言ってエレシュキガルは奥の部屋へ向かった。

 

「後はこれで横島の使い魔になれれば言う事無しなんだけどなあ」

 

後は横島の使い魔に慣れれば本当に言う事無しの日々なんだけどなあ……。

 

「タマモが怖すぎる」

 

主人としての好きと異性としての好きで全然好きの対象が違うのにめちゃくちゃ敵対心剥き出しにしてくるタマモが怖すぎるのをなんとか出来ないかなあと思ったせいかタマモまでやって来たのだが……。

 

「なんで増えてるのぉおおおお!?」

 

「うるさいわね!こいつは押しかけよッ!」

 

「出来る秘書コヤンスカヤ、よろしく!」

 

なんか増えてて、しかも増えたほうのタマモのノリがなんかおかしくて、あたしは心底困惑する事になり。

 

「九尾の狐こわッ!?」

 

「九尾の狐って一括りにするな!というかこれと一緒にするな!」

 

「理不尽ッ!」

 

コヤンスカヤと同じ扱いにするなと言って怒鳴り散らすタマモに理不尽と叫んだが、こんな風に八つ当たりされれば誰だって叫ぶものだ。

 

「こら、タマモ!イタチちゃんを苛めたら駄目だろう」

 

「う、うううーッ!」

 

そしてその叫び声に気付いた横島がやって来てタマモを注意してくれたんだけど、射殺さんばかりに睨んでくるタマモにあたしは心のそこからどうすれば良いのよっと叫びたくなるのだった……。

 

 

 

 

 

リポート21 なんでもない、だけど特別な日常 その4へ続く

 

 




コヤン入りで苛々してるタマモと異界での管理人ポジに落ち着いたイタチちゃんの話でした。次回も引き続き異界でのほのぼのを書いて行こうと思いますので次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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