GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その5

リポート21 なんでもない、だけど特別な日常 その5

 

~天竜姫視点~

 

横島が異界に来ていると知り父上に許可を得てから異界にやってきた私を出迎えたのは黄色い鼠の群れでした。

 

「ぱも~」

 

「パモ!」

 

「ぱもぱも~」

 

もふもふとした身体で踊っている黄色い鼠の群れの中には何故かアリス達もいて……。

 

「パモー」

 

「パモー」

 

【パモパモー】

 

「ぱもっ!」

 

パモパモ言いながら一緒に踊っているのを見て何をしているんだろうと私は本気で困惑したのですが……。

 

「パモ」

 

「え?私も?私はいいですよ」

 

「パモ!」

 

「ぱもぱも!」

 

「え、え、ええッ!?」

 

背中を押され、腕を引かれ、何時の間にか私もパモパモ言いながら黄色い鼠と一緒に踊っていました。

 

「お疲れ様、水飲む?」

 

「あ、はい……ありがとうございます」

 

横島に差し出された水を飲みながらまだ踊っているアリス達を見つめる。黄色い鼠は確かに可愛かったですし、一緒に踊るのも楽しかったですけど……。

 

(子供っぽかったかな)

 

横島が微笑ましい物を見るような目をしながらアリス達を見つめていて、私もあんな感じで見つめられていたと思うと何か複雑だ。

 

「おお、横島様。見てくれ、この子自分の尻尾の上に乗って跳ねてる」

 

「るりるり♪」

 

「はー器用だなあ」

 

「こっちは歌を歌って……ぐう……」

 

「え?輝夜ちゃんなんで寝た?」

 

「おいおい、こんな所で寝るなよ。輝夜」

 

ピンクの魔獣の歌を聞いていた女性が急に眠ってしまい、横島と妹紅が呆れているとピンクの魔獣が怒ったような素振りをみせ……。

 

「ぷりいいッ!ぷり!ぷりいッ!」

 

「へぶへぶうっ!?」

 

「わわッ!死んじゃう、死んじゃうからッ!」

 

怒りの形相の往復ビンタに女性が出していい声ではない呻き声を上げるのを見て、横島が慌ててピンクの魔獣を抱き上げてる。

 

「みーむう」

 

「え、わ、私も?いや、私はいいかなあ?」

 

「パモ!」

 

「ぱもぱも!」

 

「いやいや、待って流石に恥ずかしいんだけど!?待っててばあッ!?」

 

古い神様もチビ達に掴まって一緒に踊っている。あの黄色い鼠は踊るのがそんなに好きなのだろうかと思っていると……。

 

「……そのお水。横島が少し飲んでましたの」

 

「ぶぼっ!げほっ!」

 

背後からミィが告げた横島が飲んでいた水と聞いて思わず噴出してしまった。

 

「……嘘ですの、むっつり天竜姫」

 

にやにや笑うミィに大分しっかり殺意を抱いた。

 

「……ふふふ、さっき横島が近くにいたときちょっと汗ばんでる横島を見てドキドキしてましたの?」

 

「……」

 

「……まだ子供の自分を見てちょっと悲しくなりませんでしたの?」

 

「な、何を……」

 

「……アリス達とは違う好きなんですの?」

 

「あ、あ、あいえいえや」

 

核心を突かれてしどろもどろになるとミィはにやあって音が聞こえてくるような顔で笑い。

 

「……一緒に横島の寝込みを襲いませんの?むっつり天竜姫」

 

まさか龍神の姫である私をサキュバスである自分と同類認定しているミィの言動が頭に来た私は素早くミィの後ろに回り。その腹に腕を回してしっかりとホールドした。

 

「……あ、いや冗談、冗談ですのよ?」

 

「ふんッ!」

 

今更冗談なんて言い分けが通用する訳も無く、私はミィをホールドしたままブリッジをし、ミィの頭を思いっきり地面に叩きつけた。

 

「てんりゅうちゃぁぁんッ!?何してるのっ!?」

 

「……しぬ……しにますの……」

 

「死んでしまえッ!」

 

その凄まじい轟音に振り返った横島が何をしているのと叫ぶが、私はそれを無視して死ぬと呟いているミィを更に全力で地面に押し付け、本気でミィを殺すつもりでその動きを完全に封じ込めるのだった……。

 

 

 

~横島視点~

 

ジャーマンスープレックスでミィちゃんを地面に叩きつけていた天竜姫ちゃんに何であんな事をしたのかと聞きたかったのだが、鬼一法眼さんに、俺は少し待てと言われたのでアリスちゃん達にお菓子を出しながらログハウスの前で行なわれている戦いに視線を向けた。

 

「パモッ!」

 

他の鼠が黄色い中1匹だけピンク色の鼠が地面を疾走しながらチビノブとの距離を詰める。

 

【のぶ!】

 

火縄銃のようなもので迎撃しようとするチビノブだが、ピンクの鼠はそれらをするすると避けチビノブの目の前に飛び込んだ。

 

「パモッ!」

 

【の、のぶう……】

 

バチンっという静電気のような音を立てる拳を喰らったチビノブは崩れ落ち、ピンクの鼠はその場でくるりと回転してVサインをする。

 

「強い……」

 

「うん。凄く強いですね」

 

【後可愛いです】

 

「うん、可愛い!」

 

可愛くて強いピンクの鼠はふんすと気合を入れた表情をし、切り株の上にいたチビに視線を向けた。

 

「ぱもぱもッ!」

 

「みむ」

 

チビノブ、うりぼー、モグラちゃんと撃破したピンクの鼠の挑戦を受けたチビとピンクの鼠の戦いが始まった。

 

「……なんでこうなった?」

 

「あのピンクの鼠さんはお兄ちゃんの使い魔になりたいから強さの証明をしてるんだよ」

 

「……ええ……?」

 

かってに使い魔を増やしたら美神さん達に怒られるから出来れば止めたいんだけど……。

 

「ぱもぱもー!」

 

「みむッ!みむッ!!」

 

「パモ!?」

 

激しい雷と電気の応戦にとても止めれる雰囲気ではなかった。

 

「心眼。美神さん怒るかな?」

 

【そこまで大きくないから大丈夫じゃないか?多分】

 

まあ確かにぬいぐるみくらいのサイズ……とそこまで考えた所で気がついた。

 

(紫ちゃん達の護衛に丁度良い?)

 

大きさがぬいぐるみだからバックとか、抱き抱えていてもおかしくないサイズだ。チビ達は基本的に俺のそばにいるし……最近物騒だから紫ちゃん達専属のマスコットって事で許されないだろうか?

 

「ぱもぉぉ~~!!」

 

「みーむうううッ!!」

 

光り輝いたチビの右拳とピンクの鼠の光り輝く右拳がぶつかり合い、凄まじい爆風を起しているのを見て、俺は何とかして美神さんを説得して連れて帰ろうと思った。

 

「ぱ、ぱもお……」

 

目をグルグルにして倒れたピンクの鼠とその後で右拳を掲げるチビ。善戦したが負けてしまったピンクの鼠を抱き上げる。

 

「あの子達を守ってくれるなら一緒に来る?」

 

「ぱも?パモパモ!」

 

紫ちゃん達を守ってくれると尋ねると任せろと言わんばかりの胸を叩いてくれた。

 

(他の子には悪いけど……今回はしょうがない)

 

月の事で分かったが味方だと思っていた相手が敵の場合もある。紫ちゃん達もそうだが、アリスちゃんや天魔ちゃん、それに天竜姫ちゃんも人質にされる可能性が極めて高い事を考えれば俺の家に良く遊びに来るのでそこでも狙われる可能性がある。そう考えればチビと互角に戦えるこの魔獣が使い魔になりたいと懐いてくれているのならば、俺の家に来て貰おうと思った。

 

「パモさんだ」

 

「パモッ!」

 

パモパモ鳴くピンク色の鼠にパモさんという名前を与え、パモさんを新しい使い魔として迎え入れるのだった……。

 

「ふ、ふかあ……?」

 

「よ、よぎい」

 

「お兄ちゃん、凄くショック受けてるよ?」

 

「遊ぼう、全力で、力尽きるまで遊びまくろうっ!え?わああああああッ!?」

 

「お、お兄ちゃんが飲み込まれた!?」

 

【た、大変です!れすきゅー、れすきゅううーッ!!】

 

「お兄様が見つかりませんわあッ!」

 

嘘だろって顔で俺を見ている魔獣達とその言葉を翻訳してくれるアリスちゃんに、俺は全力でログハウス周辺の魔獣に遊ぶぞと叫び、次の瞬間再び魔獣の群れの中へ飲み込まれ、俺を救出しようとわやわやしてるアリスちゃん達の声が聞こえる中、俺は嘗め回されたり、噛まれたりと散々な目に合っているのだった……。

 

 

 

 

~美神視点~

 

唐巣先生の教会に私と琉璃、そしてくえすの3人とドクターカオスと西条さんの5人で訪れていた。小竜姫様達との話し合いや、迷惑料として月面から分捕った資材や素材を使い四大天使への対抗策を見つけ出すのも大事だが、唐巣先生からシルフィーちゃんから興味深い話が聞けたと連絡があったのでその内容を聞く為に私達も唐巣先生の教会へ来たのだ。

 

「シルフィー君。美神君達にも私に話してくれたことを話してくれるかい?」

 

「シルフェニア。これはお前でなければならん事だ。辛くても話してくれ」

 

唐巣先生とブラドー伯爵に促され、ピートの後に隠れていたシルフィーちゃんが顔を出した。その目は赤く腫れていて、泣いていたのが一目で分かった。

 

「……私が呼んだ……私が呼び寄せたんです。あの3人を……ううん、もっといるかもしれない」

 

S、北斎、ユウユウの3人を呼び寄せたのは私だと鼻水を啜りながらシルフィーちゃんは呟いた。

 

「どうやって呼び寄せたのですか?あれらは英霊、ハーフで膨大な魔力を持っているとしても英霊を呼び出せば貴女は枯れ果てて死ぬ。どんな裏技を使ったのです?」

 

くえすの身も蓋もない言葉のほうがシルフィーちゃんには楽だったのか、私の質問に答えるよりも楽な感じで口を開いた。

 

「夢を見たの……寒くて、苦しくて、痛くて……あれは……地獄だった。理想郷って呼ばれてる地獄だった……天使……沢山の……「それ以上はやめろ、それ以上は思い出すな。それだけで十分に伝わった筈だ」

 

ブラドー伯爵がシルフィーちゃんの言葉を遮り、暗示を掛ける。どこかぼんやりした表情を見せるシルフィーちゃんを見て、私達は小声で話をする。

 

(シルフィーが見たのは……)

 

(まず間違いなく四大天使の制圧された未来の世界ですわね)

 

(自分達を召喚出来る素質を持つ者に夢を介して自分達を召喚させた)

 

(ありえない話ではないね)

 

英霊から干渉を受けてシルフィーさんがS、北斎、ユウユウ……もしかするとそれ以上の英霊を呼び寄せたのかもしれない。

 

「Sは……えっとお嬢様だった、近くに奴隷のメイドさんがいた……北斎は……北斎は……おじさんが近くにいた、後古いお家……ユウユウは……豪華な御屋敷だった。そこで誰かに膝枕をしながら楽器を弾いてた……それしか思い出せない」

 

「良し、もう良いぞシルフェニア。もう眠るんだ、ピエトロ。シルフェニアを連れて行け」

 

ブラドー伯爵の言葉に頷き、ピートがシルフィーを抱き上げるようにして奥へと連れて行った。

 

「かなり衰弱してるみたいですね」

 

「直接的な繋がりはないんだ。だけどあの3人の記憶を夢で追体験してるみたいでね……」

 

「英霊とのパスはあるわけですか……令呪とやらはないのですか?」

 

英霊を召喚すれば令呪が出るはずだとくえすが尋ねるがブラドー伯爵は首を左右に振った。

 

「あくまでシルフェニアは座を開いただけだ。英霊の召喚者ではない、どうも魔力の残滓が原因でパスが繋がっているだけだ。つまりS達は……」

 

「単体で成立してる英霊って事ですね?ノッブ達と同じ」

 

「厳密にいうと同じじゃない。信長に牛若丸は霊基に制限が掛けられているが、S達はその制限が無いようだ」

 

制限が無い……つまりそれはS達と繋がっている外神の力を無制限に行使出来るという事を意味していた。

 

「やっぱり戦うのは無理ね」

 

「自殺行為でしょうからね……。シルフィーちゃんが見た夢がヒントだと思うんですけど……」

 

お嬢様と奴隷のメイド、おじさんと古い家、そして誰かを膝枕して楽器を弾いている。ヒントとしては余りにも抽象的すぎる。

 

「もう少し手掛かりが欲しいけど……」

 

「流石にこれ以上はシルフィー君には負担を掛けられないよ」

 

「分かっておる。シルフィーを壊してまで情報を得るつもりはないからの、ユンユンに関しては大分絞り込めただけで御の字じゃ」

 

「「「え?」」」

 

ユンユンの正体が大分絞り込めたというドクターカオスに思わずどういうことだと尋ね返す。

 

「ユンユンが着ていたのはチャイナドレスじゃった。それに持っておった楽器は中国の物じゃ、それらからユンユンは恐らく宮廷付きの楽師か、もしくは皇帝の嫁と行ったところじゃろうな。まあこれが分かっただけで進展は余りないが、言動や着ていた服、持っていた楽器の作りから年代を絞ればもう少し詳しい事もわかるじゃろ。こっちはワシで調べておこう」

 

中国系と情報は余り多くないが、生きていた年代から絞り込んでみるというドクターカオスの言葉は正直かなり頼もしかった。

 

「それで行けば北斎の着物の柄もかなり特徴的だったわね」

 

「確かに一般的な柄では無かったですわね」

 

「調べるのは大変だけど……やるしかなさそうね」

 

S、北斎、ユンユンの正体を探り、そして四大天使への対策を手に入れる。どちらも腰を据えて調べなければ進展は疎か、手掛かりを得ることすら難しいが、例え亀のような遅い足取りでも少しずつ前に進んでいかなければならない。

 

「近い内に英霊召喚実験もやるって言ってましたよね。触媒どうします?」

 

「……どこかのオークションに顔を出すしかないわね」

 

「それかどこかのコレクターと交渉ですかね」

 

「……やる事が増えますね……」

 

都内の辻斬りもまだ手掛かりは疎か痕跡すら見つける事が出来ず、国際GS協会とオカルトGメンの監査員という名のスパイか敵が来る日程も迫っているのに無限に増えていくやらなければならない事、人間では対処法を見出す事が出来ない難関、難問の数々。それでも立ち止まることは許されない、S達やジャンヌ・オルタに告げられた最悪の未来を覆す為に動き続きなくてはならないのだから。

 

「見てください、パモさんです」

 

「パモ!」

 

「えーりん、えーりん見て見て!私も使い魔が出来たのよ~」

 

「可愛いだろ?」

 

「だからスカートはやめてぇッ!!」

 

異界から帰ってきた横島君達が魔獣を使い魔として連れているのを見て思わず崩れ落ちそうになるのは、頑張るしかないと心に決めた僅か数時間後のことなのだった……。

 

 

リポート21 なんでもない、だけど特別な日常 その6へ続く

 

 




後2話はこんな感じのほのぼのでのほほんとした話を書いて、次のリポートに進みたいと思います。次のリポートは英霊召喚か、それともついに卵の孵化か、やりたい事は沢山ありますが戦闘系ではないリポートにしたいと思っているのでシリアスでは無い事をお約束します。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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