GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
リポート21 なんでもない、だけど特別な日常 その6
~鬼一法眼視点~
僕から見た横島忠夫という人間は天性の人たらしである。ここは高島と同じだが、横島は高島よりも更に厄介な事があった。
「むふー♪」
「楽しいの?」
「楽しい!」
横島に手を広げさせ、その手の上に顎を乗せて満足げにしているフランを見れば一目で分かる。横島は人外たらしでもあると……。
(高島もそうだったが、横島には悪意が無いからなあ)
高島も人外に好かれていたが、高島は基本的に自分の役に立つ、もしくは陰陽術の触媒を提供してくれるという利害関係で考えていた。まぁそれでも好感を持てたのだが、横島はそういう打算が無いだけに余計に好ましく見える。
「ふかふか、ふか!」
「変わってるなあ」
フランが替わったら今度は魔獣の子供がやって来て、同じ様に横島の手の上に顎を乗せ、横島に撫で回されるのを尻尾を振って喜んでいる。その後には紫が並んでいるし、その後には魔獣と順番待ちをしているのを見て思わず笑ってしまう。
「かんらからから、微笑ましい光景じゃな」
神魔の子供も、魔獣も皆等しく横島を好いている。なんとも微笑ましく、そしてそれでいてゾッとする光景である。
(悪意のある人間でなくて良かったの)
ここにいる子供達の多くは次期天界や魔界の重鎮となる者達だ。英才教育を受けている者ですら横島を慕っている。それは横島がある意味魔界と天界をコントール出来る立ち位置にあると言っても過言ではない。
「あわ、あわわわ」
「大丈夫?」
「だ、だいひょうぶれふッ!」
「熱でもあるんじゃない?」
「あ、あわわわわッ!!」
天竜姫がめちゃくちゃテンパって噛んでまともに返事も出来ておらず、耳まで真っ赤で横島がそれを心配して顔を近づけると脱兎のように逃げ出してしまった。
「どうしたんだろう天竜」
「分かりませんわ」
【分からないですねぇ】
兄のような相手として横島を慕っている紫やアリス達。天竜姫も間違いなく横島を兄のように慕っていたが、天竜姫はそこから1歩先へ進んでしまったようだ。
(おしゃまだったかなぁ)
ほんの少しだけ天竜姫は他の子供よりも精神的に熟していただけと思いながら僕は腰を上げて、尻についた草を払った。
「さてと異界の構造は分かった。これから遊び場を僕が作ってやろう」
「え?そんな事出来るんですの?」
「出来るとも、見てると良い」
魔獣の棲家と少しの遊び場が現在の異界だが、これでは遊び場としては少々狭い。団扇を振るい異界の中に少しだけ手を加える。
「おおお……」
「わ、私の異界なのに……」
「法眼様は私の先生ですからね、出来てもおかしくないですよ。紫」
「すげえ」
「かんらからから。ほら、これで遊びやすいだろう?」
人間の世界を見ていたから知っている。子供が運動する広場に、滑り台やブランコと言った遊具を作ってやって振りかえるとアリス達から惜しみない拍手と尊敬の眼差しが僕へと向けられた。
「あそぼー!」
「ふかあ!」
「突撃い!」
「パモー!」
「みむう!」
「ぴぎゅー!」
わーっと大はしゃぎで遊具と広場に駆けて行く子供達と怪我をしないかと見に行く横島の背中を見つめながら僕は思う。
「どうしたものか」
横島がその気になれば天界と魔界のパワーバランスを容易く崩す事が出来る。今の横島はそれだけの次代の神魔と親しくなっている。その危険性を本当の意味で理解してる神魔はどれだけいるのやら、まぁ理解していたとしても手遅れに近いわけで、横島が善人で良かったと思うべきだろうなと考えながら僕も遊びまわっている子供達の元へ歩き出すのだった……。
~天竜姫視点~
心臓が凄まじい勢いで脈打っている。今までこんな事は無かった、横島は偶に会える親戚のお兄さんみたいな感じに思っていたのに……急に何故と脈打つ心臓と熱を伴い紅くなっている頬を両手で押さえて蹲ると視線を感じて顔を少し上げる。
「何してるんです?」
「ふっ、カリスマガードよ」
帽子を両手で押さえて同じ様に蹲っているレミリアの何故か自信に満ちた返事に何故か冷静になった気がしました。
「何から身を守ってるんですか?」
「横島の無意識に人の心の踏み込んでくる部分ね。乙女回路は壊れやすいのよ」
何を馬鹿なと言いたくなったが、少し考えてみる。横島は完全に私の事を子供扱いであり、すっと顔を近づけてきたりすると心臓が騒ぎ出して……。
「分かります、これもう少し頑丈に出来たりしませんか?」
「それは無理何じゃない?私ももう少し頑丈にして欲しいなって思うのよ」
横島が構ってくれるのは嬉しいし、遊んでくれるのも嬉しいのだが……なんというか、これは何と言えば良いのでしょうか……。
「凄く複雑です」
「そうね。私もそう思う、フランみたいだったら楽なんだけどね」
フラン……それを言われるとアリス達みたいに無邪気に甘えることが出来たのなら多分こんなにも頭を抱えることは無かったと思う。
「ちなみにこれがもう一段階上になるとミィみたいになるわ」
「それは嫌です」
頭の中ピンク色のミィと同じ扱いは耐えられない、というかなんであの子はあんなに頭の中がピンク色なのだろうかと少し心配になる。
「子供扱いは嬉しくて嫌って複雑よねぇ」
「そうですね……」
嬉しいのに嫌なのだ。でもそれでも……。
「横島に甘えたいんですよ」
「それね」
横島に甘えたいし遊んで欲しいのである。なんとも我侭で、自分勝手と分かっているのだがこの複雑な心情はどうすれば正常になるのか知りたい。
「多分今の段階だと私と天竜姫だけでしょうね、でももう少し時間が経つと増えるかも」
「……それははい、分かります」
おしゃまというわけではないと思うが、他の子よりも少し精神面が成長したのが今の私とレミリアの状態だと思う。
「ちなみに私は角が生え変わらないと見た目は変わらないんですけど、レミリアはどうですか?」
「私はうん、多分あとン百年は掛かると思うわね」
「「はぁぁぁ~」」
見た目こそ子供だが私もレミリアも横島の倍以上は生きているわけですけど、見た目が変わるのはいつの頃だろうかとレミリアと揃って深い溜息を吐いた。
「……まぁなんかあれば相談には乗ってあげるわよ」
「……はい、それはそのお願いします。私も話は聞きますし」
「ありがと」
この複雑な心境はどうすれば良いのかと考えてもどうしようもないのだ。だって……。
「……横島が大好きなんですのね」
凄く微笑ましい物を見ている目で私とレミリアを見ているミィが見た事が無いような美しい笑みを浮かべて……。
「……3人で横島の寝込みを襲いませんの?」
私とレミリアまで自分の同類と思っているのか、とんでもない誘いを掛けて来るミィに私とレミリアは無言で立ち上がった。
「……怒りましたの?何故へぶうッ!」
超加速からの平手打ちで倒れたミィの背中にレミリアが座りこみミィの足を両脇に挟んで思いっきり上半身を逸らした。
「天竜姫、炎の準備して」
「了解です」
「待って!?了解しないで欲しいですの!?」
レミリアが魔力で作った槍でミィを吊るし、少し離れて突き始めるのを見て私も大きく息を吸い込んだ。
「ふーッ!」
「いたたたたッ!いたいですのッ!熱い!熱いですの!?」
そして私は口から小さく炎を吐き、この頭の中ピンクのサキュバスが少しでも真面目になることを祈りながらこんがりと炙るのだった……。
「横島、なんか寝ちゃった」
「うーん、赤ちゃんなのかな?」
「かもしれないな、こんなに小さい魔獣は初めて見……わぷッ!?な、なんだ?」
ミィが処刑されている頃横島は輝夜と妹紅の使い魔が赤ちゃんなんだろうなと話をしている所にガゼルのような魔獣が投げたエレシュキガルのスカートに視界を奪われ変な声を上げていた。
「わ、わああああッ!?なんでもない、なんでもないのだわッ!?」
そして自分のスカートだと横島に認識される前にエレシュキガルがスカートを剥ぎ取るとカオスな状況になっていた。
「お前弱そうだな」
「どおーッ!」
ぴこぴこと短い後ろ足を振ってふんすっと自慢げな表情をする奇妙な魔獣に茨木童子は何とも言えない表情を浮かべた。
「これ攻撃してるつもりなんだろうか?」
「うん。本人は凄く真面目に攻撃してるつもりだね」
【可愛いですよ?もちもちです】
【茨木、懐いてるんやからちゃんと面倒見たらなあかんえ?】
「酒呑……分かっておる。分かっておるのだが……」
複雑そうな視線で茨木童子は自分に懐いている魔獣を見る。
「やぁん?」
「どお~?」
「なんでこんなに吾に懐く魔獣は馬鹿そうなのだ?」
魔獣にも好き好みがあるわけだが、何故か自分に懐く魔獣はどこか抜けているというか馬鹿にしか見えない魔獣で茨木童子は深く方を落とした。
「あああああ~~~」
「今ミィちゃんの悲鳴聞こえた?」
「気のせいじゃない?」
「私は聞こえなかったですよ?リリィは?」
【聞こえ無かったです!】
「じゃあ気のせいかな?よーし、次は原っぱでそりやろうか」
「「「やるー!!」」」
ミィの悲鳴は気のせいという事にされ、横島達はダンボールや手作りのそりを持って原っぱへと向かった。
「ぷぎ?」
「うきゅう?」
【ノブノブ】
「みーむう」
そしてその悲鳴が聞こえていたうりぼー達はチビのほっとこうと言わんばかりのジェスチャーを見て、天竜姫とレミリアに処刑されているミィの事を完全に無視して、横島の後を追っていくのだった……。
~琉璃視点~
やらなければならない事が山済みだ。1つずつ解決できれば糸口も見えてくるのだが、どれもこれも一筋縄で行かないものばかりなので中途半端な段階で1度終わってしまう。
「月神族との交渉はくえすに任せて、神魔については一時保留、マリア7世の異界への移住はすぐに……えっと後は……」
「英霊召喚と見た目より歳の人を変化させる自称精霊の撃退とオカルトGメンと国際GS協会への対処にS達の正体の特定と、対神魔・英霊への除霊術の確立と辻斬りの正体の特定ね」
私の言葉をついで他のやる事を読み上げてくれる美神さんに私は死んだ目で突っ伏した。
「やる事が、やる事が多すぎる」
「……はははは。完全にキャパオーバーだね。いつまで徹夜すれば良いのかなあ……」
西条さんと私に掛かる負担が凄まじすぎる。とは言え私と西条さんしか出来ないことなので、私達で何とかしなければならない。
「出来る限りは私達も手伝うわ」
「と、とりあえず。西条さんと琉璃さんは少し寝てください」
「ありがとう……本当ありがとう」
「……4徹は回避出来そうだなあ」
月から戻って来て、擬似冥界から横島君を救い出して、そこから働き続けている。本当に仕事に殺されるんじゃないかってレベルで仕事が押し寄せて来ている。
「英霊召喚は霊力が高まった段階でやるとして、聖遺物の確保は私のほうでやるわ」
「必要だったらエミさんにも声掛けください。ある程度は経費を出しますから」
英霊召喚のための触媒集めは美神さんとエミさんに任せて、S達の特定はドクターカオス……。
「蛍ちゃん。ブラドー伯爵のほうは?」
「小竜姫様にも頼んでるので小竜姫様達が戻り次第になると思います」
「ん、分かった」
マリア7世を聖母にするとかふざけた事を言ってる四大天使とその信徒へ対応はブラドー伯爵と小竜姫様達に任せるとして……。
「唐巣先生。除霊術の確立のほうはお願い出来ますかね?」
「分かった。それはこっちでなんとかするよ」
「すいませんけど、お願いします。辻斬りのほうは……クシナ達に頼んでみるとして……自称精霊は……冥子さんに任せるの大丈夫だと思います?」
私の問いかけに誰も返事をしなかった。冥子さんが囮を兼任してくれるかと思ったけど賛成する人がいないんじゃ見送りだ。
「躑躅院に任せたら?」
「あーそうですね。1回くらい、何か事件を任せても良いですね」
黒に近いグレーの躑躅院には重要な案件を任せられないが、皆嫌がるあの自称精霊は任せても良いかもしれない。それにもしかすると躑躅院なら何とかしてくれるかもしれないと期待し、とりあえずの案件の割り振りを決め、美神さんと蛍ちゃんにこの場を任せて少し仮眠をしようとしたのだが……電話が鳴り響き、思わず背筋が伸びた。もう嫌な予感しかしないわけで……。
『なにか横島君がパモさん~っていう新しい魔獣を連れてたわよ~登録ヨロシクね~』
「……美神さん。なんか横島君が新しい魔獣を拾ってるって冥華さんから電話が」
「「「え?」」」
また新しい魔獣を何で、どうしてと思ったのだが……。
「ぱもぱも」
「いや、私子供じゃ」
「ぱもッ!」
「あ、はい。ごめんなさい」
布団を掛けられ、軽く叩かれているのを見て子供じゃないと言ったら怒られて反射的に謝ってしまったが、なんで?と疑問に思っていたのだが……。
「……すやあ……」
「ぱもっ!」
横島君が新しく連れてきたパモさんというピンク色の鼠だか、熊だか、ネコだか良く分からないその魔獣は尋常じゃないほどにヒーリング能力に長けており、驚くほど早い睡眠、そして深い眠りといつの頃からか横島君に頼んで借りて来る事もあるほどに重宝する事になるとは夢にも思っていないのだった……。
リポート22 どらごんぱにっくぅ その1へ続く
と言う訳で次回は待ちに待ったドラゴンの卵の孵化を交えて龍神様達に重点を置いた話を書いてみようと思います。
どこかぬけたギャグの話にしようと思うのでひらがな表記にしておりますが誤字ではないのでご安心ください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
PS水着カーマ40連
水着なぎこさん×2
通常アナスタシア
ちゃうねん