GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その4

リポート22 どらごんぱにっくぅ その4

 

 

~美神視点~

 

取り逃がしてしまった変態の事や、英霊召喚の実験の為の触媒捜索などをしていて気が付いたら日付が変わっていた。

 

「んー!いっちゃん、コーヒー貰える?」

 

【すぐにご用意しますね、軽食はどうしますか?】

 

「そうね……ハムサンドでも貰おうかしら?」

 

間違いなく徹夜コースなので軽く物を入れて、コーヒーを飲みながら文献に目を通そうと考え、いっちゃんがハムサンドとコーヒーを用意してくれている間に顔を洗おうと思って椅子から腰を上げた瞬間凄まじい振動が私を襲った。物理的な振動ではなく、霊的な振動が横島君の家の方角から響いてきた。

 

「いっちゃん、ごめん。コーヒーもサンドイッチも良いわ。バイクをガレージに準備して」

 

【ただちに、美神さん。お気をつけて】

 

「ん、ありがと」

 

顔だけ手早く洗って眠気を飛ばしてから精霊石、神通棍、横島君から預かっていた陰陽札に文珠と今準備できる最高の装備をし、決死の覚悟で横島君の家へ向かった私が見たのは信じられない光景だった。

 

『私は横島をレ〇プしようとしました』

 

『私は横島に夜這いしました」

 

という看板を首から下げたシズクと清姫が半裸で正座していて、その膝の上に石が積み上げられていた。

 

「……これどういう状況?」

 

「そのまま見た通りですわね、横島の家のほうで凄まじい霊気を感じて見に来たら、脳内ピンクの龍神が横島を襲っていたのですわ」

 

「……ガープとか、四大天使の襲撃と思って慌ててきたらこれですよ、美神さん」

 

「うん、私もそう思ったわ」

 

化粧なんてしている暇は私もなく、ここにいる全員がすっぴんや寝巻きに近い格好で横島君の家の前に集まっていた。

 

「ご安心ください!危険はありませんので家へおかえりください!」

 

「悪霊などの仕業ではありませんのでご安心ください」

 

西条さんやオカルトGメンの職員が野次馬に帰るように叫んでいるのを見ながら横島君の家へ視線を向ける。

 

「あの変態トリオ優秀だったのね」

 

「変態ですけど、あの3人は優秀ですよ、変態ですけど」

 

「変態で全部台無しよ」

 

横島君の家は壊れている箇所と壊れていない箇所が両極端だが、居住空間は見た所壊れていない。結界のエキスパートの変態龍族3人の結界が十分に機能していたようだ。変態でなければ頼りにしたい相手だが、変態すぎるので力を借りるにはかなり躊躇いがある。小竜姫様も複雑な表情をしているので、思っていることは私と同じだろう。

 

「なんでこんなことをしたんですの?」

 

「……大分ムラっとしたから」

 

「孕めば勝てると思ったのですわ」

 

「重り倍プッシュしましょうか」

 

自称精霊の術の影響だとしても仮に神魔、そして龍族の大御所がやって良い行いではない。というか普通に考えてやって良い訳が無い。

 

「所で横島君は?もしかしてまだ家の中に入るの?」

 

「あ。いえ、紫ちゃんも爆発にビックリして起きたらしいのでとりあえず異界に避難して貰ってます」

 

異界にいるならとりあえず横島君は安全だろう。これだけ壊れてしまえば横島君の家にかけていた結界や認識阻害はまともに機能しないだろうし、早い内に安全な異界に避難してもらったのは一安心だ。

 

「……好きだから襲って何が悪いというのだ」

 

「大体最終的な目的地は一緒のはず、貴女達が怒っているのは出し抜かれたからでは?」

 

「「「……」」」

 

シズクと清姫の言葉に図星だったのか気まずそうな顔をしてる蛍ちゃん達を見て私は溜息を吐いた。色恋に右往左往する時期なのはわかるけど、今はそういうタイミングじゃないし、そもそも横島君もヘタレすぎてるからこれだけ拗れてるんだからもう少し誰かアプローチしなさいよっと内心思いながら、このままだと第二第三の夜這い事件が発生しかねないので蛍ちゃん達の頭を引っぱたくとして……。

 

「横島君の住む家どうしようかしらね」

 

「そうですね……これ賃貸だから賠償金はとりあえずGS協会から出しますけど、新しい物件は流石に無理ですよ?」

 

「そうよね。とは言えあの大世帯だし……はぁ……本当どうしよう「それなら私に良い考えがあるんだけどどうかな?」……ルイ……サイファー」

 

「や、中々愉快で大変な事になってるみたいじゃないか。実に面白くて私は良いと思うよ、うん」

 

ベルゼブルとルキフグスを控えさえ、楽しくてしょうがないと言わんばかりに笑ってるルイ・サイファーの姿にこれ絶対禄でもないことになるし、ルイの提案を受け入れるしかないと気付き、私と琉璃と小竜姫様は揃って厄日だと呟くのだった……。

 

 

 

~蛍視点~

 

 

シズクと清姫の夜這いによって横島の家が崩壊するという信じられない出来事から1夜経った訳だが……正直進展が無いから無理矢理進めようとして何が悪いって言われた時反論できなくて、自分にもそういう部分があるって気づいてなんか嫌悪感が凄かった夜だった。

 

「とりあえず住める状況じゃないから引越ししないといけないんだけど……」

 

「え、それは凄く困るんですけど……チビ達と引っ越せる場所ありますか?」

 

チビ達と一緒で無ければ引越しは簡単に済むのだが、チビ達が一緒じゃないと横島は絶対にうんとは言わない。

 

「私や美神さんじゃ横島君が望んでる条件の物件は紹介出来ないの、だけどルイさんが紹介してくれるって言ってるんだけど……一時的に

異界でチビ達を「ルイさんの紹介なら安心ですね!どんな物件なんですか?」……ああ、うん、そうね」

琉璃さんが凄く遠い目をしている。一時的にチビ達を異界で生活させるっていう琉璃さんの案を完全無視して、ルイさんの紹介してくれた物件について教えてくれと言う横島に私も溜息を吐いた。

 

(横島はなぁ……ルイさんを信用してるからなあ)

 

横島の感覚的にはルイさんは信用出来るって認識なんだろうけど、ルイさんは神魔の中でもめちゃくちゃ危険人物ってことを理解して欲しいなあっと心から思う。

 

「あ……美神さん、琉璃さん。シズクと清姫ちゃんは多分出来心だと思うんであんまりひどいことは……」

 

「そういう予定はないから心配しないで良いわよ。ただあの自称精霊の影響が抜けるまでは妙神山にいるってさ」

 

襲われ、家が壊されたのにシズクと清姫の事を心配してる横島。懐に入れた相手に甘いのは横島の特徴だけど、もう少し警戒心を抱いて欲しいと思う。

 

「とりあえずルイ・サイファーが紹介してくれる物件の場所は聞いているので見にいって見ますか?なんなら誰かの家に居候しても良いですわよ?私の家とか、長期間は無理でもGS協会の寮とか、美神の事務所とか「迷惑を掛けると悪いんで、ルイさんの紹介してくれた物件が駄目だったらその時に考えたいかなって思うんですけど、駄目ですか?」……横島が決めたならそれで良いですわよ」

 

出来ればルイさんの紹介する物件は諦めて欲しいんだけど……横島が乗り気だし、私達に迷惑を掛けたくないと言っている以上無理に連れて行くわけにも行かない。全員の善意が複雑骨折してる状況に絶望しながらルイさんが紹介してくれた物件へと向かったのだが……。

 

「あれこんな通りありましたっけ?」

 

「……そうね、無かったと思うんだけど」

 

ルイさんが紹介してくれた物件は正確に言うと一晩の間に横島の為だけに認識をゆがめて作り出された異界だった。

 

(これ大丈夫ですか?)

 

(かなり駄目ね)

 

(不安要素しかないわ)

 

東京と地続きではあるが、別の場所というとんでもない場所だ。しかもそれでいて商店街や、電車、バス停まである。ルイ・サイファー……いやルシファーという強大な悪魔の底力に驚かされた。

 

「広いお家だと良いですわね、お兄様」

 

「そうだな。チビ達とかが思う存分遊べるくらいの庭とかあると良いかな」

 

【きっとルイさんもお兄さんの家の事を知ってるからそこら辺は配慮してくれてると思いますよ!】

 

紫ちゃんとリリィちゃんと手を繋いで遠足気分の横島達の姿に胃痛を覚えながら歩き、遠くに見えてきた家に胃痛は限界を向かえた。

 

「大きいですわ」

 

「そうだな。大きいな、でも皆で暮らすには丁度良いかも」

 

【魔界の子もお兄さんのマスコットに出来るかもしれないですね!】

 

明らかに魔界の魔獣も横島が使い魔として面倒を見れる前提で用意された屋敷の姿を見て朗らかに笑ってる横島達を見ながら私は琉璃さんの方を振り返った。この世の終わりと言う表情をし、俯いている琉璃さんを最初は励まそうと思ったのだが、私も、美神さんも、くえすも琉璃さんに掛ける言葉が見当たらなかった。

 

「どうだい、横島君。これなら君の希望にピッタリじゃないか?」

 

「はい!ありがとうございます、ルイさん」

 

「構わないとも、ここはね、昔私が暮らしていた屋敷なんだ。セキュリテイもしっかりしてるし、君も使い魔と暮すに丁度良い立地だと思うんだ。気に入ったかな?」

 

「凄く気に入りました!美神さん、琉璃さん!俺ここに引っ越そうと思います!」

 

はじける笑顔でここに引っ越すと決めたと笑う横島。ルイさんがいる手前反対も出来ず、引き攣った声で引越し先が決まって良かったと搾り出すように言うのがやっとなのだった……。

 

 

 

~横島視点~

 

家が爆発したのは正直焦ったが、その次の日にルイさんの紹介で引越し先が決まって良かった。美神さん達が車で荷物を取りに行ってくれている間に俺と心眼は生活雑貨が纏められた荷物をほどいて、それを洗面台や、風呂場、そしてリビングへと移動させていた。

 

「なんか悪い気がするなあ」

 

ルイさんの持ち家をそのまま譲るから家賃とかもいらないし、細かい手続きも全部ルイさんがやってくれたわけで、ここまでいたせりつくれりだと申し訳ないなと思う。

 

「まぁルイも思う所があるんだろう。好きに使ってくれて良いと言ってくれているんだ。そう気にする事はないだろう」

 

心眼がそう言ってくれるが、くえすの屋敷にも引けを取らない豪邸で、部屋の数多く、広い庭にはプールまである。

 

「なんか慣れるまでは狭い部屋に集まりそう」

 

「ふふ、そうだな。私もそう思う」

 

俺の元の家の数百倍の広さなので、慣れるまでは皆狭い場所に集まりそうだなと心眼と揃って苦笑する。

 

「とりあえず今日は寝具とかを運び込むのを最優先だな。食事に関してはルキが準備してくれるそうだから心配はあるまい」

 

「後でシズクと清姫ちゃんにも教えないと駄目だな」

 

襲われたのは正直思う所があるが、それはそれ、これはこれと分けて考えるべきだと思う。

 

「怖くないのか?」

 

「正直2人きりは避けたいかなって思う」

 

俺の返事に心眼はそうだろうなと苦笑する。確かに俺も男だからエッチな事に興味がないと言えば嘘になるが、あの捕食者その物の視線はちょっと今も怖い、半裸とかの艶姿よりも、その目が記憶に残っているあたりもしかしたらトラウマになってるのかもしれないと思いながら家から丁寧に運んできた卵をリュックから取り出す。

 

「そろそろ孵化するかな?」

 

「細かく動いているからそろそろ孵化する時期だと思うぞ?」

 

何時の間にか柄が増えて大きくなっているワイバーンの卵。大分長いこと温めてきたし、見守って来たけど一体何時になったら孵化するんだろうと心配になってくる。

 

「お兄様。探検してきました!凄く楽しかったです!」

 

【遊び道具も沢山ありましたし、琉璃の許可を貰えれば魔界の子もこっちでお世話出来るかもしれないです!】

 

「広いし、庭でも遊べて楽しそうだぞ!」

 

「……寝室も広かったですの……」

 

「みみみいー♪」

 

「ぷぎゅー」

 

「うきゅッ!!」

 

「ピー!」

 

【ノブノブ!】

 

屋敷の中を探検していた紫ちゃん達が階段から降りてきながら楽しかったというのでそちらに視線を向けた時、俺の背後でピキッという音がした。

 

「わ、わ!卵が割れてる!?」

 

今まで孵化する気配が無かった卵が左右に揺れ、少しずつ殻に皹が入っている。

 

「孵化するんですの!今行きますわー!」

 

【ドラゴン!ドラゴンの赤ちゃんですー♪】

 

「なんだ、何が孵化するのだ!?」

 

「……面白そうですの!」

 

紫ちゃん達も卵が孵化すると聞いて慌てて階段を駆け下りて来て、左右に揺れている卵を興味津々と言う表情で見つめる。

 

「頑張れ頑張れ!」

 

「後少しだぞ、頑張れ!」

 

【頑張ってくださいドラゴンさん!】

 

「……ひっひっふーですの、ひっひっふー」

 

「それは違うと思うぞ、ミィ」

 

1人だけ的外れな事を言っているミィちゃんに違うぞと心眼が突込みを入れた時、一際大きな音と共に殻が内部から弾け、白銀が俺達の目の前で輝いた。それはまだ小さく柔らかそうだが、紛れも無く翼だった。

 

「おお……ッ」

 

「綺麗ですわ!綺麗ですわ!」

 

「宝石みたいだなあ」

 

【凄い綺麗なドラゴンですね!】

 

「……元気な赤ちゃんですの」

 

みゃーっと元気良く鳴声を殻の中に響かせながら翼を動かし、殻の亀裂を広げて小さな前足を……前足?

 

「なぁ心眼、あれ前足じゃないか?」

 

「前足だな……おかしいな、ワイバーンの筈なんだが」

 

確かワイバーンの翼が前足だから、今殻の縁に掛けられているのは後ろ足の筈なんだが……どう見てもあれは前足にしか見えず、殻が前後に揺れ始めると卵の下の方から後ろ足が飛び出て来て、目の前に見えているのが前足というのが確定したが、なんでワイバーンの卵からドラゴンが生まれるのか疑問に思っているとあることに気付いた。

 

「そうだ、タオルがいる!」

 

孵化したばかりの身体をぬぐってやらないといけないことに気付き、慌ててタオルを持って洗面台に走り慌てて戻ってくると殻は殆ど砕けて白銀に輝くドラゴンの姿が見えた。

 

「お、おに、お兄様、こ、これはどうすれば良いのですか!?」

 

「風呂か、風呂に入れれば良いのか!?」

 

【わ、分からないんです!】

 

「……こ、困りましたの、よ、横島どうすれば良いんですの!?」

 

「みむー、みみむううー!」

 

「ぷぎーぴぎゅー!」

 

孵化したドラゴンをどうすれば良いのか分からずパニックになっている紫ちゃん達に大丈夫だよと声を掛けながら塗らしてきたタオルでドラゴンの身体や羽に残っている粘膜を綺麗にふき取ってやり、最後に顔を綺麗にふき取ると閉ざされていた瞼が開き澄んだ蒼い瞳が俺を写した。

 

「きゅー!きゅうーん!!」

 

「わっととと……」

 

「きゅうきゅう!!」

 

完全に刷り込みされたかなあっと思いながら頭をぐりぐりとこすり付けてくるドラゴンを抱き上げる。

 

「みゃー?」

 

なーにっと言わんばかりに首を傾げる姿は愛郷たっぷりで、まだふわふわと柔らかいのでぬいぐるみのようにも思える。

 

「名前!名前を決めましょうお兄様!私に良い考えがありますわ!」

 

「吾もだ」

 

「……私もですのよ」

 

【私もですよー】

 

「実は俺も、じゃあ、せーので言ってみようか?」

 

1回溜めてからせーのと俺達は声を揃えて、このドラゴンの名前を口にした。

 

「「「「【アルビオン!】」」」」

 

「「「なんでそんな名前をつけちゃうのッ!?」」」」

 

アリスちゃん達が持って来た本に書いてあったイギリスに伝わる伝説の龍アルビオンのように強いドラゴンに育って欲しいと願って、俺達は産まれたばかりの白銀のドラゴンにアルビオンと命名し、俺達の命名を聞いていた美神さん達の絶叫が屋敷の中へ木霊するのだった……。

 

 

 

 

リポート22 どらごんぱにっくぅ その5へ続く

 

 




というわけで最後のパニックはワイバーンの卵から孵化したアルビオンちゃんです。一体何処の妖精騎士にクラスチェンジするか分かりませんが、ベビードラゴンちゃんです。次回でリポート22は終わりで、次は英霊かユニコーンか、水子か、ほのぼの続行かシリアスかで考えてみようと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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