GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その1

リポート25 レクスゲーム その1

 

~雷視点~

 

誰よりも憎い、八つ裂きにしても飽きたり無いほどに憎んでいる相手であるレクス・ローに完全に主導権をとられてしまった。だが病院の入院患者を全て人質にされてはレクス・ローの言葉を聞き入れる以外の選択肢はなかった。

 

「そう睨まなくても良いでしょう?「今」は何もする気は無いですよ「今は」ね」

 

今を強調するレクス・ローを睨みつける。それは私だけではなく、この場にいる全員がそうだった。視線だけで人を殺せるならレクス・ローはとっくの昔に穴だらけになっているだろう。

 

「子供を人質にするような相手を睨まない訳が無いでしょ」

 

「それは確かに」

 

美神の嫌味にレクス・ローはくっくっくと楽しそうに喉を鳴らした。その姿は余裕そのものであり、この人数を相手にしても勝てる自信があるのは確実だ。事実この面子でレクス・ローを取り囲んでも、恐らくレクス・ローは余裕を崩す事無く全員を殺す事が可能なのだろう。それだけの力と謎の力をレクス・ローは有している。

 

「ゲームをしましょう。貴女達は私の正体を知りたいようですし、私も表舞台に立つと決めた以上いつまでも舞台袖に引っ込んでいては演目として面白く無いでしょうからね」

 

これだけ世の中を引っ掻き回しておいて何を言っていると怒りが込み上げてくる。

 

「私の分身をこの東京の中に5体配置した。彼らを倒す事が出来れば君達が知りたい事を知ることが出来るだろう」

 

「負ければ死ぬと?」

 

「まさか、これはゲームさ。戦えば敗れると分かっている相手に無謀にも挑み敗れる者達、最高のショーだろう?まぁ万が一、億が一にでも勝てればそれ相応の報酬は出るさ。但し戦えるのは一度だけ、そして事前に得れる情報も無い。だがそんなのはずっと横島がやってきたことだろう?ならば師である君達が出来ないわけはないさ」

 

息を吐くように煽るレクス・ローはにやにやと笑いながら立ち上がり伝票を手にした。

 

「この場は私が払うよ。それが男としての甲斐性というものでだろう?good luck、君達の行く末に良き困難があらん事を」

 

悠々と歩き去っていくレクス・ローを私達は見送るしかなく、苛立ちを隠すように注文したコーヒーを口にする。

 

「やるしかないですね、どうします美神さん」

 

「先ずは小竜姫様達に連絡、作戦会議と前にくえすが頼んでいた神魔混成軍の装備を借りる。それで貴女達はどうするの?」

 

美神の問いかけに私達は立ち上がり美神達に背を向けた。

 

「目的は同じでも馴れ合うつもりは無いし、そもそも私達は貴女達が嫌いだ」

 

「なので一緒に行動することはありません」

 

「それでは失礼致します」

 

確かにショットライザーとフォースライザーは砕けて壊れてしまったし、プログライズキーもドクターカオスの元に行ってしまっているので私達は仮面ライダーとして戦う事は出来ないが、仮面ライダーとしてでなければ戦う術は残してある。

 

「2回までです。分かっていますね、2人とも」

 

「分かってるよ、1回は使う。でももう1回は残す。それで良いね、雷」

 

「ええ、それしかないですから」

 

ショットライザーでも、フォースライザーでもないがそれと同等、いやそれ以上の危険性を秘めてはいるが私達にもまだ最後の切り札は残されている。

 

「レイドライザーを出してちょうだい、マリア」

 

「了解です。ですがこれは使い捨てに加えて戦闘可能時間は10分までという事をお忘れなき用に……」

 

レイドライザーとそれにセットする用の使い捨てのプログライズキーを受け取った私と焔はこれ以上美神達にあれやこれやと聞かれる前に病院を後にするのだった……。

 

 

 

~トネリコ視点~

 

紫ちゃんを病院に連れて帰ってきた横島の顔には血の気が感じられなかった。不安と恐怖で押し潰されそうになっている横島は紫ちゃん以上に調子が悪そうだった。

 

【大丈夫ですか?横島】

 

「あ、ああ……とね、トネリコさん。あ、うん、大丈夫。大丈夫……」

 

大丈夫ではなさそうですね……明らかに平常心を失っている。パスを通じて伝わってくる横島の内面はグチャグチャで今にも壊れてしまいそうだった。

 

「大丈夫、大丈夫だ横島。美神達はお前の師だ。上手くあの場を切り抜けるはずだ」

 

「……そ、そうかな」

 

「ああ。大丈夫だ、それよりもお前も酷い顔だ。少し休むほうが良い、ルキ悪いがこの場は任せる」

 

ルキというメイド服の神魔の返事も聞かずに心眼は横島と紫を連れて屋敷の奥へと向かってしまう。横島と紫ちゃんの調子が悪いのが心配なのか他の子供達もチビ達も屋敷の奥へと行ってしまったので子供達に聞かせることの出来ない話も出来るようになった。

 

「ちょっと心配でござるな。病院でござったな、ちょっと見て来るでござる」

 

【私も行きましょう。シロのスピードについていけるのは私くらいですからね】

 

「頼むでござるよ」

 

シロと牛若丸が屋敷を飛び出して行き、私は少し考えた後にソファーに腰を下ろした。

 

【あんたは動かない訳? トネリコ】

 

【動く理由がありませんから、それに横島は本調子ではなく、この場にいるのは戦えない貴女と信長と使い魔達。もしも敵がいるなら拠点を守るが最優先でしょう】

 

舌打ちするジャンヌ・オルタは無視し、鋭い視線で何かを考えている信長にここ数日で理解した横島の敵について尋ねる。

 

【アスモデウス達でしょうか?】

 

【いや、違う。派手なドンパチになればここまで反応がある筈じゃ、たぶん第3勢力……】

 

第3勢力、そして横島の顔色を見て脳裏に過ぎったのは怪人レクス・ローの名前だった。

 

【レクス・ローとはそんなに危険なのですか?】

 

【正直言って良く分からん。強い事は強いが、どうにもな掴み所も強さの底も見えん。ついでにいうと敵か味方も分からん】

 

敵なのか味方なのかも分からない厄介な相手という事ですか……。

 

【結界でも張りますかね】

 

【出来るのか?】

 

【ええ、とりあえず守りは固めたいですしね】

 

襲撃されないとは言い切れないので屋敷の周りの守りを固めようかと杖を手に立ち上がった所で屋敷の扉が開いた。

 

「……ただいま」

 

「やっと落ち着いたわ」

 

「なーんで私まで道づれなんですかねぇ……」

 

小柄な人影が3つ……多分話に聞いていたシズクとタマモとコヤンスカヤの3人だろう。

 

【おお、丁度いい所に帰って来たな、こいつは横島が召喚したキャスター(?)のトネリコじゃ】

 

【どうも初めまして】

 

「……横島のサーヴァントか、それで横島がかなり動揺しているみたいだが何があった?」

 

軽く挨拶を交わし、私よりも横島と言わんばかりにシズクが信長に問いかける。

 

【レクス・ローがまた出たそうじゃ、どうも美神達が心配みたいでな、見にいってくれるか?勿論ワシも行く】

 

「あの怪人が出たなら私は行きましょうかね、浅からぬ因縁もありますし」

 

「私はパス」

 

「……私はこの屋敷の中を把握したいから残る」

 

自由人が多いが、横島の事は心配というのは皆共通しているようで、それぞれが動き出す中私も杖を持って屋敷の外に出る。

 

【確か備えあれば憂いなしって言うんでしたっけ?】

 

美神達と私には余り繋がりが無いので横島が心配していても、私はそうまで気にならず、美神達を守るよりも横島と横島の家族を守る事を優先する。

 

【しかし、本当に横島は何者なんですかね……】

 

人類悪までいるし、龍族も普通に暮らしてるし、私はますます自分のマスターになった横島が分からなくなりながら、横島の屋敷の周りに結界を展開するのだった・……。

 

 

 

~レクス・ロー視点~

 

東京の外れの公園のベンチで本を読んでいるとベンチの端のほうがギッと音を立て、私は読んでいた本から顔を上げた。

 

「これはこれは、ルイ・サイファー。私に何用ですかね?」

 

「なーに、随分と面白いゲームを始めたみたいだからね、何を考えているのか聞いておこうと思ったのさ」

 

にこにこと笑っているがその目は険呑な光を帯びており、誤魔化そうとすればその瞬間にルイ・サイファーに攻撃されるだろうが、別に誤魔化す理由も無いので正直にその質問に答える。

 

「時代を超えてまで私を追い掛けて来た人達がいるのでね、余計な事を言われても困るので別行動でもさせようかと」

 

「それほどまでにあの3人は邪魔者かい?」

 

「邪魔者というよりも面倒な相手でしてね」

 

敵ではなく、ただ面倒な相手。敵とも呼べないが、余計な事を言われて動きにくくなるのは避けたいだけだ。

 

「排除してしまえば良いのに」

 

「それをするなと言っておいてよく言いますね」

 

本当ならこの時代に来るまでに処理したかったのに、それをするなと言われたからこうして面倒なことをする羽目になったのだ。

 

「君は結局何をしたいんだい?」

 

「何をとは?」

 

「未来から来た者の武器を奪いはしたが、命を奪わず、美神達にゲームを持ちかけて君が何をしたいのかが私には分からなくてね」

 

分からないとはいうが、私からすればルイ・サイファーの方がよっぽど分からない存在なんだがと思いながら私は読んでいた本を閉じた。

 

「ただの戯れですよ、次が始まる前のほんの戯れです。可能性をつかめるのか、それともやはり駄目なのか、それを見極めるための遊びですよ」

 

横島にとっての大きな分岐点が迫っている。その分岐によってはこの時代のこの世界の結末は固定されてしまう。だからそうならないように、少しだけ手を出すのだ。

 

「結局の所この世界の行く末はこの世界の住人にしか決められない。私達は傍観者だ」

 

「ええ、その通り、ですが傍観しているだけには些か飽きたのですよ。それに……」

 

ルイ・サイファーの前から歩き去る前に手にしていた本を開いた。

 

「魔人姫の1人勝ちは嫌でしょう? 選択肢は多い方が良い」

 

黒いウィスプと蒼いウィスプ。そのどちらもこの先の横島の選択の末に辿り着く結末だ。ただこのままでは黒き闇に染まるのは目に見えており、そうならないようにゲームという形で美神達にも選択肢を与えようと思っている。極論を言えば私の行動理念はそれだけだ。

 

「選択肢ね、君はいつも選択しているようで選択できていないのにね?」

 

「……ふふ、ええ、そうですね、私は誰よりも美神達を信用していない、なのに美神達で無ければ運命の輪は閉ざされたまま。思い通りになることなど殆どありませんが、ここだけは本当に止めて欲しいものですよ」

 

出来る事は何でもしてきただが私は所詮傍観者、流れを変えることは出来ずただ見ているだけ、だからこそ、こうして介入するようになったが、まだ私の求める結末にはただの一度も辿り着けていない。

 

「何時まで続けるつもりだい?」

 

「勿論最良の結果に辿り着くまでですよ」

 

何重、何百、何千……どれだけ繰り返そうが、私は歩みを止めないと決めた。だから何でもするし、どんなことでもする。

 

「我が理念に迷いなし、すべてが正義です」

 

「そうかい、じゃあ君がどうなるか今回の私は見届けてあげる」

 

ルイ・サイファーに余計なお世話ですよと呟き、私は再び時空の狭間へと姿を隠し、私が用意した分身と戦う為の準備をする美神達へと視線を向けるのだった……。

 

リポート25 レクスゲーム その2へ続く

 

 

 




シズク達のカムバックとレクスと焔達の内面に今回は触れて見ました。この時代ではない時代を知っているからこそそれを変えようとするもの、奪われた物を取り返そうとするもの、様々な動きはありますがその中心は全て横島となっております。それは特異点なのか、それとも横島と言う存在が原因なのか、このレクスゲームの中で少しだけレクスの内面と目的を明らかにして行こうと思いますので、このリポート25がどんな話となるのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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