GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その3

 

リポート25 レクスゲーム その3

 

 

~琉璃視点~

 

六女の演習場の1つにレクス・ローの姿はあった。余計な手出しは無用と通達しておいたおかげでメドーサの分身が倒されたことで発生した爆発以外の目に見えた被害が出ていないことに安堵する。

 

「ようこそ、私のゲーム会場へ。参加者に制限はないですが……貴女達4名での参加という事でよろしいでしょうか?」

 

美神さん、私、蛍ちゃん、おキヌちゃんの4人を指差すレクス・ロー。付き添いの牛若丸と小竜姫様はいるが、カウントされていないのを見る限り、やはり英霊と神魔はこのゲームに参加出来ないようだ。

 

「ああ。そんなに険しい顔をなさらずに、これはゲーム。負けても命を奪うことはありませんよ。ほら、GS試験のルール。あれと同じです」

 

「霊力の削りあい?」

 

「exactly。これはゲーム、報酬を賭けてのゲームですから。命を奪うことはしませんとも、まぁ……貴女方がルールを破ればその限りではございませんがね」

 

レクス・ローはそう言うと複数のカードをその手の上に浮かべて見せた。遠目だが、それが強化形態へと変化させるカードであるのは一目で分かった。

 

「じゃあそのルールとやらを聞かせてもらおうかしら?」

 

「ルールは簡単。貴女達はこの仮面ライダー斬月を貴女達の力だけで倒してください。ですので、事前のルーンによる強化などは全て無効となります」

 

やはり見抜かれていた。ここに来る前にブリュンヒルデさんに施されたルーン魔術が無効化され、少しだけ身体が重くなったが、これは元々駄目元だったので仕方ないと割り切る。

 

「正し挑戦するのは1度限り。報酬を得れるのもまた1度限り……準備はよろしいですかな?」

 

レクス・ローの言葉に頷くとレクス・ローの姿は溶けるように消え、マネキンのように動きを止めていた白い仮面ライダー……斬月が盾と剣を構えたと思った瞬間激しい衝撃が私を襲った。

 

「うっ!」

 

「きゃっ!?」

 

私とおキヌちゃんの悲鳴が同時に悲鳴を上げると共に霊力がごっそり抉られる感覚に気分が悪くなった。何をされたのか、一瞬分からなかったが斬月が手にしていた剣から煙が出ていた。

 

(銃と一体化した剣、大型の盾……やっぱりこれは私達の敵)

 

今まで様々な仮面ライダーを見てきた。特異な能力を持つ者が多かったが、今対峙している斬月はどこまでも基本に忠実な仮面ライダーだった。盾で防ぎ、剣と銃で反撃する。

 

【!】

 

「やっぱり重いわねッ!!」

 

振るわれた剣……無双セイバーと霊刀がぶつかるが、当然ながらたった一合で霊刀が軋みを上げたので即座に札を叩きつけた。

 

【……】

 

煙を上げて斬月は後退したが、今の一撃でどれくらい霊力にダメージを与えれたのかは全く予想もつかない。

 

「左右で叩くわよ、蛍ちゃんとおキヌちゃんがフォローしてくれるわ」

 

「了解」

 

私達の敵……ここにいる全員は基礎能力ではくえすや雪之丞達よりも劣っている。もてる物、基本を何処までも忠実に鍛えて、劣っている身体能力を努力で埋めた。目の前の斬月もまた特異な能力を持たず、基本を徹底的に鍛え上げた仮面ライダー……私達が辿りつくべき1つの境地である相手を敵として差し向けて来たレクス・ローの真意、何を考えているのかますますレクス・ローの謎が深まっていくのだった……。

 

 

 

~美神視点~

 

蛍ちゃんのはなった霊体ボウガンの矢を盾で防ぎ、剣と銃が一体化した武器で銃撃しながら後退し、盾と剣を構えなおす。

 

「本当にセオリー通りね」

 

「でもセオリーを究極に突き詰めた相手は何よりも厄介ですよ」

 

琉璃のいう通りだ。どこまでも基本に忠実、油断も慢心も無く、大きく動く事も無く詰め将棋のように確実に追詰めてくる。霊刀も神通棍もあの剣を何度も防ぐ事が出来ず、武器というよりかは相手の攻撃を弾く為に使う防具としての使い道しか既に無かった。

 

♪~♪~♪~

 

おキヌちゃんの吹いてくれているネクロマンサーの笛の音色が私達を強化してくれるが、それは微々たる物、本来の考えだった斬月の弱体化は期待ほどの効果はなかったが、それでも私達にある道を示してくれていた。

 

(琉璃、斬月は殆ど霊力が無いと思うわ)

 

(私もです、ネクロマンサーの笛の音色に反応もして無いですしね)

 

ネクロマンサーの笛は鎮魂の音色。荒ぶる霊力を鎮めるもの……霊力の削りあいというルールがある以上斬月にも効果が無ければおかしいがそれがない。つまり元々の霊力や神通力が殆ど無いに等しいのだ。あの巨大な盾は霊体ボウガンや破魔札を防ぐ為の物と見て間違いない。当てることが出来れば勝てる筈なのだが……。

 

【!!!】

 

「それが1番難しいのよねッ!!」

 

隙が無く、攻撃と攻撃の間に必ず守りを挟む。仮面ライダーとしての高い身体能力を使ってのその動きはまるで要塞だ。

 

「このっ!!」

 

【!!】

 

私と琉璃の同時攻撃にも斬月は対応し、即座に霊体ボウガンと破魔札に備える。分かっていた事であり、どこかで認めたくない事実でもあった。私達は前線では戦えない、前線で戦うだけの能力が無いと見せ付けられている気がする。

 

「それは分かってる。分かっているけど……それで心折れるほど弱い女じゃないのよッ!!」

 

「やれることは全部やるわよッ!」

 

今の手札で足りないのならもっと多くの手札を、元々私達に才能はない、その才能の無さを埋める為に様々な物に手を出し、頭を下げて教えを乞うたこともある。

 

「私に才能が無いってことはとっくの昔に分かってるのよっ!!」

 

分かっているのだ。私はもう追い抜かれるだけの存在であると言うことはとっくの昔に分かっている。だけど……ッ!

 

「女にだって意地があるのよッ!!」

 

思いっきり地面を踏み込み、神通棍を大上段から振り降ろす。

 

【!!】

 

「こっのおおおおおッ!!!」

 

盾で防がれるのも承知の上……だから盾に防がれた瞬間に霊力を全て神通棍の先に回す。まだGSという職業が無い時代、巫女やお坊さんだけが除霊を出来た時代の古く、錆び付いた除霊技術。一瞬に全てを賭けて、一撃で除霊する。成功すれば除霊、失敗すれば自分が死ぬ。そんな一か八かの除霊術……今の時代ならまず使われないその技術を学び、自分に合う形に作り変えた。英霊や、神魔と戦う為に、プライドを捨て、泥臭くとも相手に勝つ為の術を求めた。

 

ビシビシ……

 

【!?】

 

斬月の手にしている盾から異音が響き、人形のような斬月の動揺する気配がするが遅い。

 

「このままぶち砕いてやるわッ!!」

 

渾身の気合を込めた叫びを上げながら力強く踏み込み、私の神通棍の一撃は斬月の盾……メロンディフェンダーを砕くのだった……。

 

 

 

 

 

~小竜姫視点~

 

レクス・ローの召喚した仮面ライダーが持っていた盾が音を立てて砕け散ったのには流石の私も驚いた。盾が砕けたのは勿論なのだが、あの一瞬だけ美神さんの霊力は下級神魔に匹敵するレベルまで上昇していたからだ。

 

【やっとコツを掴んだみたいですね】

 

牛若丸のいう通り美神さんも琉璃さんもコツを掴んだのか、斬月と切り結ぶ事が出来ていた。英霊や神魔と戦うにはまだ少し力不足だが、あの一瞬だけの霊力の急上昇、それを完全に身につければ神魔や英霊と戦うことだって不可能では無くなる。

 

「それだけ……悔しかったのでしょうね」

 

【当然ですね。仮にも師を名乗り、主殿達よりも長く除霊に携わっていた自負はとっくの昔に砕け散っていたでしょうしね】

 

美神さん達は確かに強い、だがそれは人間基準であり、これからの戦いには力不足だった。霊具で補い、技術で補ってもまだ足りない。根本的な部分で美神さん達は弱者なのだ。才能はある、応用力もある、技術もある、発想力もある。だが天賦の才を持つ相手には届かない、一流ではあるが、超一流になれない。それが私から見た美神さん達の正直な評価だったのですが……。

 

「無理矢理一流に踏み込んだ……ッ」

 

【それが人間でしょう。何を驚く事があるんですか?】

 

牛若丸の言葉に私は言葉に詰まった。神魔であるからこそ、人間についての理解が足りないと言われれば、違うとはとてもでは無いが言えないと思う。

 

「出来るだけ全部やってやるわよッ!!」

 

「これでどうだッ!!」

 

美神さんの神通棍がその一撃が斬月の肩にめり込んだが……さっきのように斬月にダメージを与える事は出来ず、琉璃さんの一撃は斬月の胴に浅い斬撃の跡を刻みつけたが、僅かに後退させるに留まった。

 

「……完全に使いこなせているわけではないですね」

 

【きっかけを掴んだだけでしょうからね。そうそう使いこなせるものではないでしょう】

 

きっかけを掴めただけで十分と思うべきなのだろうか、それとも神魔でありながらそんな状況の美神さん達を前線に出すしかないこの状況を恥じてはいる。本来ならば私達が前に出るべきなのに、守るべき人間に守られているこの状況は情けないにも程がある。

 

【!?!?】

 

あえて霊体ボウガンを直撃させず、斬月の足元に破魔札を撃ち込んでいて、それを踏んだ斬月が大きくよろめいた。

 

「よっし!おキヌちゃん続けて!」

 

「は、はい!もう少し頑張ります!」

 

おキヌさんの吹いていたネクロマンサーの笛の音が上がり、斬月の足に張りついていた破魔札の力を爆発的に増大させた。ネクロマンサーの笛自体には斬月の動きを封じたり、ダメージを与えることは出来ない。破魔札を触媒にして、一時的に力を増幅させれば斬月の動きを封じるのは十分に可能だった。

 

「「すーはーッ……いっけええッ!!!!」」

 

【ソイヤッ!メロンスカッシュッ!】

 

深呼吸をして集中力を高めた美神さんと琉璃さんの一撃を足を封じらて動けない斬月は最大攻撃による応戦を選んだ。

 

「「あ……あああああああッ!!!」」

 

【!?!?】

 

体力も霊力も、全てを搾り出すような雄叫びと共に神通棍と霊波刀が振り切られ、そこから放たれた霊波の刃は斬月のエネルギーを伴った一撃ごと斬月を切り裂き両断し、声にならない断末魔を上げて斬月は爆発し消滅した。

 

「美神令子と神代琉璃の渾身の一撃によって、仮面ライダー斬月は無双斬りを砕かれ、霊波に飲み込まれて消滅した」

 

レクス・ローは手にしていた本を見せ付けるように開き、そこに書かれていた霊力で輝く一文に美神さん達のあの戦いですら、全てレクス・ローの手の内の物語であったという事実に私達は完全に言葉を失うのだった……。

 

 

 

~レクス・ロー視点~

 

 

美神達が新しい力の領域に踏み込んだ。それを見れただけで仮面ライダー斬月の役割は終わった。

 

「ゲームは終わり。そうですね……65点というところでしょうね。もう少し自分達の力を使いこなせていればいう事無かったんですがね」

 

あのままでは斬月には勝てなかった。一時的とはいえ、十分な力を美神達は見せた。メロンディフェンダーを砕き、力の切っ掛けを掴んだそれだけで今回は良いとしよう。

 

「あんたは何がしたいのッ!」

 

「何を?さてさてさて、前に言ったでしょう?神魔が守るならそれを壊す、神魔が壊すならそれを守る。それが私ですよ」

 

睨みつけてくる美神達を見て私は笑う。そんな美神達の態度ですら、私には面白い物であった。

 

「ゲームの報酬を差し上げましょう、頑張りには正当な報酬を……ですよ」

 

私の手にしていた本から別の本を取り出して、美神達の足元に投げる。

 

「……なにこのおんぼろ……っ!?」

 

「ふふふふ、良いでしょう?美神流の除霊術そのオリジナル。貴女の母が捻じ曲げた美神流ではない、本来元流の物ですよ。ふふふ、これで少しは強くなれると良いですね。ではではまた何れ、今度はそうですね……貴女達の敵として立ち塞がってみましょうかね」

 

本を閉じて呆然としている美神達から背を向けて転移する。

 

「……まぁ良いでしょう。あれは私の持ち物ではないですし」

 

美神達に渡した本は決して分厚い本ではない、だがそれが手元に無い……それが何ともいえない空虚感と虚無感を与える。

 

「悔いて……はっ、何を馬鹿な。最早私にそんな資格はない」

 

私がやりたいように、辿り着きたい結末の為に何もかも壊して来たし、何もかもめちゃくちゃにしてきた。だからこそ私には後悔も嘆く資格も無い。

 

「それが何もかも与えられて来た私への罰だ」

 

私は知らなかった……

 

何も考えなかった……

 

何をしても上手く行った……

 

何をしても名声を得た……

 

どんなに無計画でも大成功したし……

 

仲間にも……

 

友にも……

 

妻にも恵まれた……

 

だがそれは私の努力ではない、私の頑張りではない、私はただ成功を与えられていただけだ。

 

「変えてやるさ、結末を何度だって変えてやる。何をしても、成し遂げる。そう決めたんだ」

 

私に与えられた全てが、私が得ていた全てがある者を犠牲にして得た物、それを知ったとき私は全てを捨てレクス・ローへとなったのだ。だから私は歩みを止めない、どれだけ世界を壊そうが、どれだけ犠牲を払おうが、私は成し遂げる。そう決めたのだから……あの夕暮れの中の東京タワーで……。

 

 

 

 

リポート25 レクスゲーム その4 へ続く

 

 




レクス・ローはFGOでいうアルジュナのような立場にいた誰かです。自分は何もしていないのに成功と栄光が約束されている。その成功が誰かを犠牲にしていると知り、名をしてレクス・ローとなり、簒奪者となったものがレクス・ローですね。

それと今回の更新を持ちましてGS芦蛍は未完とさせていただきます。
詳しくは活動報告に書きたいと思います。

今まで本作の応援まことにありがとうございました。
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