GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
リポート3 迷いの竹林と月の姫君 その7
~輝夜視点~
膝をついて私と妹紅を唖然とした様子で見つめている横島の師の見下しながら2人で宙を浮かぶ。神通力をただ固めて球体にしたものを自分の周りに浮かべ、妹紅は両手に炎を灯している。
「姫様!どういうおつもりですかッ!?妹紅も何をしてるの!」
私と妹紅の蛮行を言ってもいい光景を見て永琳が声を上げる。そうそれは当然の事だ、私達は美神達に依頼している側。こんなことが許される立場ではない……だが私も引き下がれない。
「永琳――下がりなさい」
「悪い永琳。私も輝夜も駄目なんだよ、こればっかりは引き下がれないんだ」
姫の立場としての強い言葉で永琳に下がれと命じ、妹紅が悪いと謝りながらも自分の意見を曲げるつもりの無い強い意志の光をその目に宿した。
「一応聞いておくけど……どういうことなのかしら?」
「そうね。聞く権利はあるわよね。美神令子、芦蛍。横島を永遠亭において帰りなさい」
私の言葉を聞いて美神と蛍が驚きの色をその顔に浮かべた。
「横島はガープに狙われているそうね、それに人間達にも決して受け入れられている訳ではない……違う?」
私達は冥華から聞いている。横島がいまの霊能者の中では決して受け入れられない存在であると……勿論私と妹紅が直接聞いたわけではない、永琳と冥華の話を盗み聞きしたから知っているのだ。
「それは……ッ」
「違うって言えないんだな。じゃあ駄目だ、私はあんた達が違うって即座に言ってくれれば止めるつもりだった」
「ちょっと、なんでいきなり裏切るって言うのよ」
「守れるって言うならそれを信じたいって思うさ、横島様の話なんて大体美神か蛍か、チビ達の話だし」
横島が信頼しているのならば、それを信じたいと思う。だけどあの2人は横島の信頼に応えれる力を持っているかとなると私はそうは思えなかった。
「横島は心配ないわ、私の能力で横島は時間を認識しない。どれだけ暴れても、どれだけ時間が過ぎても横島はそれを認識出来ない」
「なんで……こんな事するの?」
「判らない?横島は優しいわ、私も妹紅も大好きよ」
そこにいるだけで幸せになるような、悩みも何もかもを聞いて話を聞いてくれる……絶対の安心が横島からは与えられる。
「でも横島は苛烈よ。私も妹紅も知ってる、貴女達も知ってると思うけどね」
月の使者を1人で食い止め暴れた横島を私と妹紅は知っている。何回か前に私達を捕えに来た月の使者が吐き捨てるように言っていたから……勿論そいつは殺したけれど、横島を悪魔と、破壊の使者と呼ばせたのは私と妹紅の責任だ。
「戦えば戦うほどに横島様の心は軋み、痛み続ける」
「そしたらいつかは壊れてしまうわ。貴女達は一緒に戦えない、弱過ぎるもの。だから横島が傷ついて、磨耗していつかは壊れてしまうわ。それなら戦わせない、横島を傷つける場所に行かせないって思って何が悪いの?」
横島の意志を私達は完全に無視しているのは判ってる……それでも私達は横島の事を案じているのだ。
「私達も良い事をしているなんて思ってないさ。だけど……うん、心配なのさ。横島様がさ……」
「だから大丈夫って見せてくれたら横島は返すし、ちゃんと謝るわ。でも無理って思ったら返さない」
私と妹紅の言葉を聞いて美神と蛍も覚悟を決めたのか、私達を睨みつける。
「耳が痛いけど、そっちの言う通りなのは間違いないのよね」
「でも横島は大切なの、貴女達2人を認めさせて連れて帰らせてもらうわ」
「駄々を捏ねてもちゃんと横島様は返すから、大丈夫って判ったらな」
「手加減なんていらないわよ?私も妹紅も死んでも生き返るし、生半可な攻撃なんて効かないんだからね、全力で掛かってきなさい」
挨拶代わりの霊波弾を妹紅と共に同時に撃ち出したのを合図に、私達と美神達の戦いが幕をあけるのだった……。
~蛍視点~
永琳さんの話を聞いて、私も美神さんも輝夜も妹紅も強くないと思っていた。だが実際は違っていた、地面の上を転がり目の前を通過した炎を纏った拳を回避する。
「そらそら!逃げてるだけじゃ勝てないぜッ!!」
「くっ!?」
速い上に重い、神通棍で受け止めた所が拉げ、そこから熱で溶かされ始めているのを見てぎょっとして、慌てて神通棍を振るい妹紅の腕を受け流す。
「っととッ!」
重心を崩された事で判りやすく妹紅が姿勢を崩す。本来なら追撃のチャンスだったんだけど、私は地面を蹴って後ろに向かって跳んだ。
「あら残念。それよりも妹紅。もうちょっとしっかりしなさいよ」
「いやさ。私達の敵って基本的に力で潰してくるじゃないか、技を使われるとどうもなあ」
輝夜は完全な中~遠タイプ、妹紅は接近戦タイプ――。
「とは言い切れないわねッ!!」
放たれた霊波砲が着弾すると弾け、美しい模様を描きながら私と美神さんに降り注いだ。
「いっつう!?」
「熱っ!」
一撃で致命傷とは言えないけど、攻撃範囲と速度、それに攻撃に付与されている熱が凄く厄介だ。
「うー……美神さん、攻略法とか思いつきました」
「全然無理ね。対処法が思いつかないわ……」
妹紅と輝夜に共通しているのは技術不足――スペックによるゴリ押し特化で体術等はあんまり得意ではない――のかもしれない。正直2人の戦闘力に関しては2人とも未知数とか言いようがない。
(あの霊波砲を見る限りだと技術が無いとは言い切れないんだけど……)
(やっぱりお姫様だからですかね?)
着弾し、距離が開くにつれて角度を変える霊波砲はかなり緻密な霊力の操作をしていると思う。それは美神さんも同意してくれた、今回は着弾したけど、霊波砲の特性状着弾させる必要は少なく空中で破裂する可能性も十分に考えられる。一種の芸術とも言える霊波砲に対して体術がお粗末なのはやはりお姫様だったからって事なのかもしれない。
「もうちょっと綺麗に散らせないの?」
「んー難しいんだよな。もっとこうぱあっと開きたいよな」
「そうそう、花火みたいな感じでね。横島が花火好きって言うんだからもっと綺麗にしましょう」
「おう!」
……なるほど、あの霊波砲は横島が花火が好きだからって言う理由で……。
「とりあえず1発殴っておきましょうか?」
「やめてあげてください、お願いします」
冗談よと笑う美神さんだったが、その目は全く笑ってなかったので多分本気だと思う。
「それッ!」
「行くぜッ!」
輝夜が霊波砲を撃ち出し、妹紅が地面を蹴り背中から炎の翼を噴出し爆発的な加速で斬り込んでくる。
「あんまり無駄話をしてると、火傷じゃすまないぞッ!」
「ご忠告どうもッ!」
神通棍で受け止めて、即座に受け流し姿勢を崩した所を神通棍で薙ぎ払ったのだが手応えが無い。生半可な攻撃が効かないって言っていたけど、もしかするとある一定のダメージ以下は無効化できるのかもしれない。
「ちょっとー!綺麗なんだからちゃんと見なさいよ!」
「見たら大怪我するでしょうがッ!」
美神さんは輝夜の霊波砲が破裂する前に打ち返し、輝夜が文句を言っているけどもしかするとこれが1番の正解の対処法なのかもしれない。
(後は私がどうするかね)
妹紅はあんまり霊波砲を使ってこない、圧倒的な身体能力と炎を併用した白兵戦だ。技術は無く、完全に喧嘩殺法。普通ならそれを切り返して反撃するのは基本と言ってもいいけど……その不死性と無尽蔵の霊力と神通力が大きな壁として立ち塞がる。下手に攻撃しても、バランスを崩すのがやっと、反撃してもダメージが通らない。逆に私は直撃を受ければワンパンはほぼ確定と来た――だけどその窮地は逆に私にとって歓迎するべきものだった。
(横島はこんなのを何回も潜り抜けてきたのよ。こんな所でビビッてられないわッ!)
確かに2人は本気で横島をここに軟禁するつもりかもしれない。だけどそれは横島の事を想ってくれていると言う証拠で、最悪の場合永遠亭に横島を匿って貰うもの私達にとっては決して悪い話ではない。納得は出来ないが、最善策の1つであると言う事は私でも判る。絶対に認めたくはないのでここで妹紅も輝夜にも負けを認めさせ、有事の際のシェルターの1つくらいにはしたいと思っている。
「ふー……」
息を長く吸い、長く吐く。意識して霊力の使い方を切り替えていく、私が動きを止めたのを見て不思議そうな顔をしている妹紅だったが、拳を握り締め再び突進してくる。
「シッ!」
「っと」
自分の間合いに入ったのを気配で感じ取り神通棍を振るうといままでとは違う手応えを感じた。妹紅は後ずさり、手をプラプラと振って再び握り締める。
「なんか変ったな」
「まぁね。私が弱いって言うのは自覚してるし、情けないと思ってるのよ」
そもそも私が横島を霊能の道に引き入れたのに見ているだけ、守られているだけって言うのにどれだけ歯がゆい思いをして来たか……妹紅と輝夜が怒りを抱いているように、私自身が私自身に怒りを抱いている。
「悪いけどこれ未完成なのよね。大怪我しても知らないからッ!」
「上等ッ!あんた達と一緒にいても横島様が大丈夫って私に思わせてくれよッ!」
恨みも殺意もない妹紅は私にとって理想的なスパーリングの相手だった。並みの攻撃は効かず、回復力があり、圧倒的な神通力と霊力を持つ――それは神魔、そして英霊との同じ条件だ。
(この中で掴んでみせるッ!)
霊力のコントロール、霊波の流れを読んだ攻撃方法――これから必要となる、横島が作り出した戦闘技法の切っ掛けを掴み、それを自分の物へと昇華させるという強い決意を抱き、私は普段と違う霊力の輝きを灯す神通棍を力を込めて振るうのだった……。
~輝夜視点~
跳ね返されてきた霊波砲を受け止め美神の評価を改めていた。私の霊波砲や神通力を用いた弾丸は基本的に横島に見せる為に暇つぶしで作っていたものだ。これは妹紅も同じなのだが……威力よりも見た目を重視しているからか破裂や着弾する前だと跳ね返されるという欠点がある。勿論跳ね返せるといっても並の霊能者や神魔ではそのまま押しつぶされるのが関の山だし、霊力とかの方向性を変えているのでこれだけ連続で跳ね返せると言うのも正直驚くべき点である。横島が師と呼んで敬う理由も判る――そしていま跳ね返されてきた霊波砲を受け止め、私は首を傾げた。
(なんか違う?)
私の霊波なのだから私にダメージは入らない、そもそも自分の分身と言っても良いのだからダメージなんか受ける訳がない……それが霊力や神通力の基本だ。跳ね返されたとしても、それに恐怖せず受け入れるように動けばその霊力は自分の中に戻ってくる。だけどいま受け止めた霊力は無効化こそ出来たが、身体の中に戻ってくる感覚がなかった。
(んんー……なんか試そうとしてる?)
妹紅も不思議そうな顔をしているのを見る限り、美神と蛍の2人は何かをしようとしているというのは私の目から見ても明かだった。
(まぁ少しは本気になったって事かしら?)
連れて行かせないと言うのは間違いなく私と妹紅の嘘偽りのない気持ちだが、横島はそれに反対する。それに永遠と須臾を操る私の能力で時間の感覚が止まっているが、横島はまだ人間なので何時までも止まった世界にはいられない……あんまり負荷を掛けない範囲だったとしても長い期間を止まった世界にいれば発狂するという実験の結果があるからいつまでも横島を永遠亭に置くのは無理だと私でも判っていた。それでもそれとこれは話が違う、横島を頼りきり彼にばかり負担を掛けると言うのならば永遠亭において、それこそまた蓬莱の薬でも、私達の生き胆でも何でも使って横島を蓬莱人にする覚悟が私にはあった。だってそうじゃないか、ただの1人に全てを押し付けて解決しようとしている。だけど私達には何も出来ないから頼るしかないから……そんなので誰か1人が頑張らないと滅びてしまう世界ならば滅んでしまえば良いと私は思う。そもそも蓬莱人は死ねないのだ、地球が滅んでも魔界なり天界なりで生きていける。一重に私達が地球に留まっている理由があるとすれば、それこそ横島がいるからに他ならないのだから。
「つうッ!?」
「よっしゃあッ!やっと通ったわねッ!」
跳ね返されて来た霊波砲を受け止めようとして後方に弾き飛ばされた。美神の喜びの声を聞いて、自分の手を見つめる。すぐに回復したが、一瞬とは言え自分の手が焼け爛れているのを見て眉を顰め、それと同時に美神と蛍が何をしようとしているのかを私は理解した。
「古い除霊術ね。それを見るのは何百年ぶりかしら……」
平安京が没落し、陰陽寮が目に見えて力を失い。六道が新しい除霊術の考案を始めた頃の除霊術だ……そもそも人間が攻撃に回せる霊力というのは決して多くはない。自分の魂魄を守る必要があるので攻撃に転用しつつ、自分の命を削らない安全圏は約3割ほどだ。元々の所有霊力が多ければ使える霊力は異なってくるが……それでも絶対に越えてはいけないのが3割と言うラインだ。これを越えてしまえば相手からの攻撃に対する防御力が大きく変わってくるし、何よりも霊力とは生命力だ。それを使えば使うほど弱るのは当然の事――いまの霊能者は霊力枯渇による死を防ぐ為に道具を使っている。
「それが貴女達の出した答えって言う訳ね、妹紅は大丈夫?」
弾かれてこっちに転がって来た妹紅に手を貸しながら尋ねる。すると妹紅は右手を上げて手をふらふらと揺らした。
「手が痺れて全然力がはいらないわ」
「そう、お疲れ様。ごめんね、付き合わせて」
元々妹紅は今回の事に関してはあんまり協力する意志が無かった。妥協案で横島を定期的に遊びに来てくれるようにしましょうよと言うと2つ返事だったけど……美神と蛍と戦わせる方向に行ったのは私が原因なので謝る。
「良いさ良いさ、別に気にしてないし。そもそも横島様に頼りきるって言うのなら本当に永遠亭にいて貰った方が思ったのは私も同じだし」
妹紅はそう笑うと両手と背中に纏っていた炎を消し、私もそれに続くように纏っていた霊力と神通力を弱くさせる。
「決着って言う事でいいのかしら?」
私と妹紅から闘志と敵意が消えたのを見て蛍がそう尋ねてくる。んー正直かなり難しい所ではあるんだけど……試行錯誤しているって言う点は十分に評価できるし……妹紅と見つめあいどうするかと悩み、2人で小さく頷いた。
「「ギリギリ妥協点」」
認めたくはないけれど、私と妹紅にダメージを与えたという点では神魔や英霊へもダメージを与えれるという事だ。となれば横島に頼り切ると言うことも無いとも思える。
「妥協点か……やっぱりどこが駄目とかあるかしら?」
「そうね。もっと霊力を研ぎ澄まさないと駄目だわ、それに攻撃に対して霊力を割り振りすぎね」
横島にだけ負担を掛けないようにどこが駄目なのかというのを美神に助言しながら永遠と須臾を操る力を解除する。もう少しすれば横島も庭に出てくると美神に伝えてから、どこが駄目なのかを指摘する。
「永遠亭に来るときがあれば今度はもう少し準備してから来いよ。私で良ければ稽古の相手をするし」
「え、い、良いの?」
「うん。だって蛍が来れば横島様も来るだろ?そしたらチビ達とも遊べるし、横島様もいる。それなら少しくらいは手伝っても良いかなあって思わなくもない」
それは私も同じかなあ、横島が来てくれるなら少しくらい助言しても良いと思える。
「あれ?美神さんと蛍?輝夜ちゃんともこちゃんとなにしてるの?」
私達と美神達が戦っていたなんて夢にも思っていない横島が能天気な表情でチビ達を抱えて何をしているのか?と尋ねてくる。
「みむう?」
「ぴぎゅ」
【ノブウ?】
それに対してチビ達は私達が争っていたのに気付いたのか、なにをしてたの?と言わんばかりの視線を向けてきて、思わず噴出してしまった。
「本当にどうしたの?」
「霊力の使い方について話を聞いてたのよ。いい勉強になるから横島君も話を聞くといいわ」
美神の言葉に返事を返し庭に下りてくる横島を見て、ジト目で美神を見る。文句ある?と言わんばかりに笑っている美神を見て、良い性格してるわねと苦笑しつつ、私と妹紅は揃って教えるって何を教えればいいんだろう?と昔の除霊術?でもあれ不完全な上に危ないし……かと言ってどんなことを教えてくれるのかなあと目を輝かせている横島に無理とは言えず、私と妹紅は悩んだ結果縁側でお茶を飲んでいた永琳に視線で助けてと訴える。すると永琳は苦笑しながらも私と妹紅の意を読んで助けに来てくれるのだった……。
~西条視点~
神代会長や小竜姫様、そして冥華さんがオカルトGメンを尋ねて来た。そしてその理由を聞いて、僕はうーんっと呻く事になった。危惧していた小竜姫様やメドーサ、ブリュンヒルデの協力を得れたのは本当にありがたい。正直な所古い除霊術を応用し、神魔、英霊に有効打撃を与えると言うのは実験段階に等しく、仮に下位に効果があったとしてもガープクラスに効果がなければ意味が無く、練習という意味でも小竜姫様やメドーサに協力して貰えればより完成度を高める事にも繋がるので僕としても、人間としても万々歳と言わざるを得ない。問題は僕達が鍛錬している間横島君をどこに行かせるかという提案を聞けば難色を示さずにはいられなかった。
「私は~良い案だと思うんだけど~?」
「冥華さん。それは僕達に管理を押し付ければいいと思っているからでしょう?」
そんな事ないわよ~?と笑うが目が笑っていない。
「ちなみにブリュンヒルデさん、その魔界の子供が自分の使い魔を捕まえると聞きますが、どんな物がいるんですか?」
魔界の子供と言えど人間とは比べ物にならないほど強い、そもそもアリスを見ればその強さの一片が判る。そんな子供が捕まえる獣とはなんなのか?と尋ねる。
「そうですね、一般的にはグレムリンやヘルハウンドの子犬と言った感じの獣になります」
横島君も連れているグレムリンやヨーロッパ方面では稀に確認されているヘルハウンドの子犬というのは判る。
「では危険とされるものは?そう言う個体も普通にいるそうですね?」
「私もそれは危険だと思うから西条さんに相談したのよ」
日本列島の倍近い大きさの区画に危険な固体の幼生も放し飼いにされており、それらを探し使い魔にすると言う魔界の子供が楽しみにしているイベントらしいが、人外に好かれる個性を持つ横島君をそこに混ぜるのはどうなのか?という不安がある。
「えっとぉ……首が3つになってなんでも食べる性質のドラゴンや、マッハで走り、短時間ながら空を飛べる陸上龍――あとは山を1つ食べて成長する怪獣とか……全身が鋼鉄で出来た恐竜とか、魔界でも太陽の化身と呼ばれて崇められてる蛾の子供ですかね?」
「「スリーアウト」」
どれか1体でも横島君が拾ってきたら日本が滅びかねないレベルのモンスターである。下手をすれば危険と言われた魔獣を全て拾って来そうなので完全にアウトだ。
「子供の時は凄くおとなしいんですよ?横島さんが躾けてくれれば……なんとかなるかも……」
「不安に思ってるじゃないですか」
尻すぼみになっていくブリュンヒルデさん自体が1番不安に思ってるのが良く判る。
【でもボーイをおいていくにはいい環境だと思うヨ、国際GS協会やオカルトGメンの査察をかわすという意味でモネ】
確かに教授の言う通りではある。余りにも日本をガープが狙いすぎているので査察が来るという話もある……だけど、だけどなあ……。
「大惨事の光景しか脳裏に浮かばない」
「私もです」
横島君が必死に巨大なモンスターに声を掛けている光景が脳裏を過ぎる。余りにも危険すぎる……危険すぎるんだが……国際GS協会やオカルトGメンの査察官に横島君を見せるわけには……暫く悩みでた結論は1つだった。
「行かせるしかないだろうな」
「ですね」
アリスの所となればネビロスとベリアルの膝元、更に魔界の子供となればその保護者もガープやアスモデウスに匹敵する実力者もいる。魔界はあちらのホームグラウンドだが、それゆえに隠居している魔界の重鎮を戦場に出すわけには行かないのでガープ達が動かないと僕達は判断し、不安はありつつも魔界に横島君を向かわせる事を決断するのだった……。
リポート4 横島INワンダーランド その1へ続く
次回の前半は東京に戻った横島達と後半はアリスちゃんをメインで書いて行こうと思います。後魔界の危険なモンスターはモチーフがありますが、モチーフが何かと気付いてもお口にチャックでお願いします。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
それと年始の休みの間は毎日昼の12時に更新しますので明日の更新もどうかよろしくお願いします。