GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
リポート4 横島INワンダーランド その2
~ハーピー視点~
横島のおかげでアリスちゃんの世話役と言う事でネビロス様とベリアル様の屋敷に就職できたのは、あたいの人生の中で1番幸福な出来事だった。
「よっと」
神魔の話し合いで一時魔界で横島を匿う事が決定し、その場所としてネビロス様達の屋敷が選ばれたのでベッドメイキングや、食器の準備、それに人間が食べても大丈夫な食料の準備と慌しく毎日を過ごし、今やっと準備が終わった。
「そろそろ来るかなあ」
アリスちゃんの出迎えに屋敷の外に向かうと丁度ゲートが開いてアリスちゃんと横島が姿を見せたんだけど……。
「うえ?」
人数があたいの予想よりも遥かに多かった……。
「ほーここが魔界かあ、暗いのに明るいって変な感じじゃなあ……」
鬼の娘が1人――魔界の空を見て物珍しそうにきょときょとと当たりを見ている。
【ちょっと空気がひんやりしてますけど、私は結構好きかも知れません】
神魔……?いやでも魔力は感じないし、英霊かな?アリスちゃんと同じ位の年頃の少女が1人。
「ふふ、こうやって皆で出掛けるのは楽しいですわね」
神通力と魔力を放っているドレス姿の幼女が1人――。
「ここに来るのも久しぶりですね」
……いやあれルキフグス様じゃない?なんであんな偉い人がメイド服で横島達と一緒にいるのかと一瞬頭の中が真っ白になった。
「あ、ハーピーお姉ちゃん!お兄ちゃん達連れて来たよー♪」
「お世話になります」
「あ、うん。判ったじゃん?」
何でこんなに多いの?と思いながらも楽しそうに話しているアリスちゃん達を見ているとそれを指摘するのは無粋と言うのはあたいにも判った。
(ベッドを増やさないと……)
とりあえず今あたいがやるべき事は増えた人数分のベッドと食器、それに食材を買って来ることだと悟る。
【ノブノブ!】
【ノブノブー!】
屋敷から出てきたチビノブと横島が連れてきたチビノブがハイタッチをし、ノブノブと合唱し、そこにチビとなんか猪?神通力はなってるけど多分猪が加わって鳴き声の四重奏が響く……なんと言うかとんでもない事になってきている。
「いらっしゃい横島」
大騒ぎに気付いたのかネビロス様が屋敷の外に出てきて、横島に声を掛ける。すると横島は鞄からワインとウィスキーのボトルを取り出して、ネビロス様に駆け寄る。
「黒助さん。どうもお久しぶりです、えっとこれお土産のウィスキーとワインです」
「これは丁寧にありがとう。所で……鬼に神魔の子供に英霊っとこれはどういう状況かな?」
ネビロス様も困惑を隠しきれない表情で横島に尋ねる。私達が事前に聞いていた話では横島とチビ達と聞いていたのに、更に子供が3人――これに困惑するなというのが無理な話だったのだが……。
「アリスのお友達」
「そうか、それならしょうがないな。ゆっくりと魔界を楽しんで行ってくれたまえ」
心底幸せそうなアリスちゃんを見てしまえば何も言える訳が無く、よろしくお願いしますと言う横島達をあたい達は屋敷の中へと招き入れたのだが、ネビロス様の耳打ちにあたいは凍りついた。
(もしかするとルイ様がやってくるかもしれない、もう少し多めに買い足しておいてくれ)
(……はひッ!)
魔界で決して触れてはいけない存在――ルイ・サイファー様もやってくるかもしれないと聞いて、あたいは勘弁して欲しいと心からそう思うのだった。
~ルキフグス視点~
横島達と判れ、この屋敷のもう1人の主――ベリアルの元を私は尋ねていた。
「どうもお久しぶりですね。ベリアル」
「……お前、何があった?」
メイド服姿で女になっている私を見てどうした?と尋ねてくるベリアル。そんな物聞くまでも無く判っているでしょうに……。
「ルイ様ですが何か?なんです?貴方も女の子になりたいですか?今ルイ様はチャイナ服が御気に召しておりますが?」
「……止めてくれ……頼むから」
神魔はそもそも性別なんてあってない物に等しい。ある程度の男性性、女性性は神魔は皆有しており、後は人間のインスピレーションや信仰で性別なんて容易に変るが、ルイ様は遊び半分でその性別を変える位は平気でやるし、着替えさせて脱げなくなる呪いの衣服だって簡単に精製してくれる。
「赤おじさんが赤おばさんになりますか?」
「ならんッ!」
「冗談ですよ」
まあルイ様が来たらどうなるか判りませんがと言いながらベリアルの前の席に腰掛ける。
「何か分かりましたか?」
「狂神石自身の原型は魔界統一戦の時にはある程度形になっていたが、そこまでの毒性も感染性もなかった。何百年の前の資料になるが……持って行け」
「どうも、助かります」
狂神石はかなり前からガープが研究していた物らしく、ちょうどビュレトが戦線の永久離脱を宣言した頃から開発が始まった物らしい。その頃にガープとアスモデウスと行動を共にしていたベリアルは当然狂神石の事をある程度は把握していた。未完成ではあるが、その作成方法などは貴重な対策になる。
「横島に狂神石が投与されたというのは本当か?」
「ええ。ですからこうして魔界に来たのですよ」
狂神石の危険性は人間界でも知られている。今は安定しているとは言え、横島の中にあると知れば神魔を排除するべきと声を上げる人間や、狂神石のサンプルが欲しい科学者達に横島が狙われる可能性がある。魔界の中でも最も安全であるこの区画に匿うのが1番安全だと言う決定は私も賛同している。
「面白くないのですか?」
「……なんとも言えん。哀れとも思うし、気に食わぬとも言える……」
かつての友の悪逆に巻き込まれた横島を憐れに思うが、自分の義娘が懐いているのを見ると気に食わないと思う……と
「では魔界にいる間に見極めればいいでしょう。どの道2週間は魔界住まいですしね」
「そうさせてもらうとするか……」
1度見に行くかと立ち上がったベリアルと共に部屋を出て、庭に視線を向ける。
「そりゃーッ!!」
「にゃあああーーッ!?」
「茨木ちゃーんッ!?」
ボール遊びで奇声を上げて吹っ飛ぶ茨木童子とそんな茨木童子を気遣う声を上げる審判席に腰掛けている横島の絶叫が庭の中に響いた。
「ぶいッ!」
【やりまし……「ふふ、勝ったと思うのはまだ早いですわよ?」……へぷうッ!?】
勝ち誇っていたアリスちゃんとリリィだったが、紫が障子の中にボールを取り込んで、そのままの勢いで跳ね返しリリィが水平に吹っ飛んでいく。
「ああ、リリィちゃんッ!?」
横島がその惨劇に声を上げるが、相手は英霊にゾンビに神魔に鬼だ。その程度でどうこうなる訳も無く……空中で身体を反転させて着地し、ボールを大きく振りかぶる。
【楽しいですねッ!】
音速の壁を突破して投げ返されるボールは人間の目には確認出来ない閃光となっている事でしょう。
「ふんぬうッ!!!」
風を切り裂く轟音と魔力と神通力と妖力の応酬と炸裂し破裂するボール。
「ほら、横島。新しいボールを入れてあげないと」
「え、あ……うん」
横島がボールをコートの中央に投げ入れ、アリスと紫が同時にジャンプする。
「そりゃーッ!!」
「うりゃーッ!!」
自分の陣地にボールを入れようとして2人のスパイクが炸裂し、ボールが粉みじんに吹き飛んだ。
「駄目だって、ちゃんとどっちかの陣地に入れないと」
ルールをいまいち理解していない様子の横島だがコートに視線を向け、輝かんばかりの笑顔をしているアリス達を見てボールを投げ入れ、再び轟音の応酬が始まるのを見て私とベリアルは同時に頷いた。
「楽しく遊んでいるようで何よりですね」
「アリスと真っ向から遊べる者がいるとは……驚きだ」
魔界の遊びは基本的に暴力的ですからね。手足が吹っ飛んでも治癒は出来ますし、そもそもこういった遊びの中で魔力のコントロールを覚えていくので、庭が抉れようが木々が吹っ飛ぼうが余り大きな問題ではない。
「みッぎゃあああああッ――」
「ぷぎゅうううッ――」
【「「「がんばえーッ!!」」」】
チビとうりぼーがボールを口と牙の間から撃ちだした破壊光線で打ち合い、その周りとアリス達がキャッキャッとはしゃぎ回るのを見て、とても楽しそうで良かったと私は笑みを浮かべるのだった……。
~横島視点~
アリスちゃん達の全力のボール遊びで庭が消し飛んだのが2時間ほど前、そして夕食と風呂を出た後の俺の目の前には完全に元通りの庭と……作業員?の姿があった。
「心眼。あれなに?」
【スケルトンだな。魔界では割とポピュラーな使い魔だ】
ツナギ姿のスケルトンの群れが愛想よく手を振り返して来るのでとりあえず手を振り返す。そしてアリスちゃん達のボール遊びを改めて思い出した、吹き飛ぶ木々に花畑、抉れる地面に、砕け散るベンチや噴水――。
「あれは戦争だった」
【人間界では手加減していてくれて良かったな】
マジでその通りである。俺と遊ぶ時はかなり気遣ってくれているようだが、自分達と同じ様な存在ならば全力で遊べると、特殊能力などをガンガン使う凄まじいボール遊びだった。人間が巻き込まれたら死んでしまうような危険な遊びだったんだけど……不思議と怖いとは思わなかった。
【あれを見て、どう思った?】
「楽しそうで良かったなとは思った。ちょっと余りに派手に吹っ飛ぶから心配はしたけど」
【お前らしいな】
結局の所やっぱり俺は神魔や鬼や悪魔とかはあんまり気にしないって事を改めて実感し、チビ達を抱えてホールへと歩き出すのだった。
「動かないなー」
「みもももまあああ――」
お風呂に入り湯気を上げているチビにドライヤーの風を当てて乾かし櫛で綺麗に毛並みを整える。
「ほい、綺麗になった」
「みむう♪」
もこもことした毛玉その物になっているがチビが楽しそうなのでOKだ。満足そうに鳴いて頭の上まで飛んで来たチビに苦笑しながら、伏せて待っていたうりぼーを抱き上げて机の上に乗せる。
「ぷぎゅーぴぎー」
「まだ寝るなよー?」
毛並みを整えている間に眠ってしまいそうなうりぼーにまだ寝るなよ?と声を掛け、櫛で毛並みを整えていたが終わる頃には鼻提灯を出して眠ってしまっていた。
「しょうがないな」
風呂セットを入れていた桶の中の予備のタオルを取り出し、それを畳んでから濡れているタオル等の上においてうりぼーを抱き上げて寝かせる。
「ぷ、ぷぎゅー」
一瞬起き掛けたうりぼーだが、すぐにまた伏せて鼻提灯を出し始める。風呂に入ってドライヤーを掛けるとすぐに寝ちゃうんだよなあと苦笑し、そわそわとした様子で待っていたチビノブを膝の上に乗せる。
「チビノブも楽しかった?」
【のぶう!】
ふんすふんすっと鼻息を荒くして返事を返す素振りを見れば楽しかったというのが良く判る。ドライヤーの温度を変えて、チビとうりぼー用とは別のブラシでチビノブの髪を整えようとしていると黒助さんが姿を見せた。
「少し良いかね?」
「あ、はい、大丈夫ですよ」
【のぶう……】
不満そうにしているチビノブに少し待っててと声を掛けて、黒助さんに視線を向ける。
「えっとなんでしょうか?」
「なに、そんなに肩を張ることもない。ここら辺についてどこまで横島は知っているかな?」
「えっと魔界でも安全な場所と使い魔を捕まえるから一緒に来てってことくらいしか?」
追い出されるように東京を出たので俺の知っている事はあんまり多くない。
「なるほど、では簡単に説明するとここは「新生の地」だ」
「新生?」
「そうだ。神魔は死んでも生まれ変わる、天界・魔界・下界の3つのバランスを取る為に神魔の数は減らせられない、そして同じ権限を持つ者が必要になる」
権限?ちょっと良く判らない……ので心眼を頭に巻いた。
「どういうこと?」
【簡単に言うとあれだ。シズクは仮に死んでも水神であり、龍神として蘇る。記憶は欠落していたりするが、神の役割を果たす。そうしなければ地球は滅びてしまうのだ】
「本来の神魔の復活のサイクルとは違う形式の復活を行うのがこの土地なのだ」
なんか凄い話になってるんだけど……とにかく神魔にとって大事な場所と言うのは理解した。
「かつての戦で死んだ神や悪魔がアリスと同じ位の年齢で蘇り復活している。彼らと多く会う事になると思うが偏見や恐れなど無く触れ合ってくれれば良い」
「子守ですか?」
俺の問いかけに黒助さんは大声で笑い出した。
「はははははッ!そうだ、そうだな。子守と保父の手伝いをしてくれと言う事だよ。とにかく明日アリスと共に出かけて行ってくれれば判るだろう。よろしく頼むよ、ああ、そうそう。もしも使い魔を捕まえて連れて帰れそうに無いのならば預かってあげるから好きにしてくるといい」
期待していると言って屋敷の奥に消えていく黒助さんをぼんやりと見送る。
「俺に何を期待してるの?子守?」
【……まぁ半分はそうだろうな】
残り半分はなんだ?と心眼に尋ねようとしたのだが、風呂場に続くほうからアリスちゃんの声が響いて来たので立ち上がり、腰を落として受け止める構えを取る。
「お兄ちゃん!髪といてーッ!!!」
大砲のような轟音を響かせて突撃して来たアリスちゃんを抱き止めて頭を撫でる。
「順番ね。今チビノブの番だから」
【ノッブウ!】
話の間待っていたチビノブが遅いと言わんばかりに怒鳴り声を上げるのを聞いてごめんごめんと謝り、チビノブを膝の上に乗せてその髪を整え始める。
「お兄さん!私も!」
【じゃあ次は私ですよ!】
「めんどくさいから吾は寝るぞ?」
「茨木ちゃんはめんどくさがらない、髪をちゃんと乾かさないと風邪を引くからちょっと待ってて」
めんどくさそうだが待ってると返事を返す茨木ちゃんに苦笑し、ドライヤーのスイッチを入れて俺はチビノブの髪を整え始めるのだった。
「さて。どうなるかな?」
「ルイ様の戯れごとはいつも手が込んでますな」
「ふふふ、良いだろ?私にとっては全ては暇つぶしなのだからね」
横島と新生したばかりの神魔を合わせて遊ぶという事を思いつき、遠回しにオーディンにブリュンヒルデに横島を魔界で匿うのはどうだ?と提案させたルイは様子を見にネビロスとベリアルの屋敷に来ていた。ハーピー?ハーピーはルイを見た瞬間に泡を吹いて気絶しているのでソファーの上で今もうんうん唸っている所だ。
「どうなるか楽しみだな」
今蘇った神魔はさっちゃんに反抗したり、人間を軽視した神魔達だ。そんな神魔が横島に出会ってどうなるのかと楽しみでしょうがないと笑うルイにベリアルとネビロスは困ったような表情を浮かべ、それを誤魔化すようにワインを口に含むのだった……。
リポート4 横島INワンダーランド その3へ続く
今回は導入なので短めです、次回は朝からほのぼのした感じで新生した神魔とかに出会うところまでを書いて行こうと思います。
後は魔界産のマスコットを遠目にみるとかそんな感じですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。