GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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リポート5 鍛錬/その頃の横島君 その1
その1


リポート5 鍛錬/その頃の横島君 その1

 

~蛍視点~

 

目の前を通過する白刃を上半身を仰け反らせるように回避し、地面を蹴って距離を取る。刀の持ち主牛若丸を見て私は冷や汗を流していた。

 

「はぁ……はぁ……死んじゃうわよッ!?」

 

今のは反応が少し遅れていたら胴体と首がおさらばしていた、それを確信し牛若丸に文句を叫ぶ。

 

【何を甘い事を、修行を頼んだのは其方だ。死ぬ気で、それこそ数度死んでもまだ足りんッ!】

 

凄まじい爆発音と共に牛若丸の姿が消える。周囲は地面を蹴る音が何度も響くが、その姿を確認することは出来ない。

 

【まだ私はこれでも手加減しているぞ、主はこれよりも早くても対応して見せたぞ】

 

投げかけられる言葉に唇を噛み締める。確かに横島の霊能力者としての知識は私達よりも遥かに劣るものだったかもしれない、だけど戦闘技術は窮地の中で磨かれ続けていた。見えないからとか、追いつけないとか考えている場合ではない、横島はこの速度に追いついている……ならそこに届かなければ私は何の役にもたたないと言うことだ。

 

(と言っても本当に何も見えないんだけど……どうしようかしら)

 

ちょっと頭のねじが緩んでいて天然だけど牛若丸の英霊としての格はかなり高い。むしろノッブとかも規格外の霊格の持ち主で神魔としても遜色ないのだ。馬鹿な事をしている頻度は高くても日本有数の英霊なのは間違いない、考えて考えてどうやってこの速度を見切るかと考えていると絶望的な言葉が耳を打った。

 

【後1分だ、後1分で攻撃を仕掛けるぞ】

 

60秒でこの速度を見切るのは不可能だ。回避は論外、防御は確実に貫かれる、攻撃は当たらない――どうすれば良いのか、時間がどんどん削られる中で答えなんてまるで見つからない。地面が弾ける音、牛若丸が壁を蹴りつけた音があちこちから響いて考えが纏まらない。

 

【いつまで考え事をしている。たわけ】

 

「ごっほっ!?」

 

牛若丸の声が聞こえた瞬間腹に強い衝撃を感じ、サッカーボールのように蹴り飛ばされる。

 

「げほげほごほっ!」

 

【動きを止めて咳き込むとは死にたいのか?】

 

連続で振るわれる刀を転がって回避するが、すべてを避けきれず防具が切り裂かれる。

 

(判ってた事だけどやっぱり強いッ)

 

戦闘技術や霊力が圧倒的に違う。そもそも生身の人間が英霊と戦おうというのが正気の沙汰ではない、だがそれを乗り越えなければ私達は何も出来ず見ていることしか出来ない。

 

(なんとかコツを掴まないとッ!)

 

英霊に打撃を与えるにはピンポイントで相手よりも霊力を上回り、その霊的防御を貫く必要がある。だがそれは現代式除霊とは間逆の方向性であり、染み付いた除霊の知識がそれを邪魔をする。

 

「くうっ!?」

 

【遅い、遅すぎるぞ】

 

神通棍が中ほどから曲がり始める、その光景がますます焦りを呼び私は混乱させる。どうすれば牛若丸の速さに対応できるのか、そして有効打を当てる事が出来るのか……判らない事ばかりだ。

 

「うっ!?」

 

その時だった牛若丸の蹴り上げた砂が目に入り、思わず目を閉じた。涙が滲み、目を開けない。牛若丸が迫ってくる音が聞こえてきて恐怖心が込み上げて来た時だった。

 

(あ……見える)

 

目は閉じているのに見える。牛若丸の霊力が尾を引いて空中に漂っているのを目ではなく魂で理解した。そして自然体で振り上げた神通棍が牛若丸を捉えたのを手応えで感じた。

 

【遅すぎる、それで主の師を良く名乗れるものだ】

 

「そうね……不甲斐無いにも程があるわ」

 

英霊の強さを恐れ霊視で見ることも思いつかなかったとか本当に馬鹿だと反省する。目潰しされたのも牛若丸なりのヒントであり、手助けだったのだろう。

 

「ふー……」

 

【主が何時帰ってくるかも判らん、早く戦い方を掴む事だな】

 

「うん、判ってる。続き大丈夫?」

 

【嫌だと言っても続けてやるッ!】

 

再び牛若丸の姿が視界から消えるが、それでも霊視の目には牛若丸の姿はぼんやりと映っている。しっかりと確認出来ないのは私の霊視の能力が劣っているからだろう、それを見て自嘲気味に笑う。私自身がまだまだと、知識を得ただけでそれを習得したと思っていた。ルシオラと横島蛍の知識があっても私はまだスタート地点にすら立てていないのだと実感した。言うならば攻略本や参考書を見ただけでそれを自分の物にしたと思いこんでいた子供だったのだと痛感した。

 

「ふっ!!」

 

【そんな霊力の練りこみでは私には届かないッ!】

 

反撃の蹴りに弾かれながらも神通棍を握り締め、歯を噛み締める。

 

「届かないなら届くようにするまでよッ!!」

 

見ているだけ、自分には出来ないなんて言う頭が良い振りをして諦めるのはもう止めだ。血反吐を吐いてでも、向かわなければならない領域がある、そこに届かなければまた横島だけを戦わせる事になる。

 

「それだけは絶対に嫌だからッ!!」

 

【気迫だけで何とか出来るなどと思うなよ】

 

「そんなのは判ってるわよッ!」

 

今までの知識は全部捨てる。新しく、現代式と旧式の除霊術を組み合わせて新しい戦闘スタイルを作り上げる。それだけを考えて、圧倒的格上である牛若丸へと私は向かって行くのだった……。

 

 

 

 

~美神視点~

 

確かに手加減なしで、多少の怪我はシズクが治してくれるから大丈夫とは言ったのは私だ。だけど……だけどッ!

 

「殺すつもりッ!?」

 

シズクとノッブのタッグ相手に私1人とか正直殺意しか感じない、思わず隠れていた場所から顔を出した瞬間だった炸裂音が響き、頬を霊波弾が掠めて行った……頬から流れる紅い血にさーっと血の気が引いた。

 

【文句は聞かんと言ったはずじゃ、ほれほれ、早くワシらの所に来てみい】

 

「……来れるものならばな」

 

霊波弾と氷柱の弾丸が私の隠れていた岩を粉砕し、その爆風に転がるようにして別の隠れ場所に身を潜める。

 

「あんまり壊しすぎると請求するわよ~」

 

「鬼いッ!!!」

 

修練場として場所を貸してくれた冥華おば様の言葉に思わずそう叫んだ瞬間、広範囲に雪の結晶が降り注ぎ氷柱を作り出した。

 

「……そこか」

 

【はっはっは!! 死ねいッ!!!】

 

氷柱にノッブの霊波弾が命中し、氷の散弾が広範囲にばら撒かれる。

 

「本当に死ぬッ!!」

 

頭を抱えて転がって散弾を回避する。ほんの少し掠めたけど掠り傷程度だ、だけど距離はどんどん離れているし、六道の敷地の破損範囲もひどいことになっている。

 

(本当にどうすれば良いの!?)

 

牛若丸とタイマンの蛍ちゃんも相当厳しいと思うけど、ノッブとシズクのタッグを相手にしている私も相当厳しいと思う。その時だった強烈な寒気を感じて咄嗟にしゃがみこむと頭上を何かが通過し、髪がこげたのか嫌な臭いが鼻をついた。

 

「あら?避けましたわね?」

 

「……なんでいるのかしら?」

 

オイルの切れたブリキのような緩慢な動作で振り返ると私の背後に燃え盛る薙刀を手にしている清姫がいた。彼女は口元に手を当ててころころと笑うが目が笑っておらず殺意が半端無い。

 

「それはもう勿論、横島様の師ということで尊敬されている貴方をころ……げふんげふん、修行のお手伝いに」

 

「今殺すって言おうとしたわよね?」

 

「気のせいですよ?」

 

そう笑うが目が全然笑ってない、本気で殺される気がしてきた。龍神2人に英霊1人とか完全に私のキャパシテイオーバーだ。

 

【ほれほれ、良く考えてみい】

 

「……切り抜ける策はあるぞ」

 

「手加減はしてあげますわ」

 

……無理。死んでしまう遠距離2人に近~中の距離のエキスパート相手では幾らなんでも対処方が無い。

 

「良く考えるべきですわね。平安時代で何を見てきたのです?」

 

「平安時代で……?」

 

清姫の言葉を鸚鵡返しでそう尋ね返すが、返答は無く振るわれたのは薙刀の一閃だった。

 

「手掛かりはあげました。後はご自分で考えなさい」

 

振るわれる薙刀と氷柱、霊波弾に追い回されては考える余裕なんてあるわけが無い……それでも必死に頭を働かせてこの状況を打破する術を考える。ヒントは平安時代……そこで私に出来た事なんて何もないに等しいけれど、何か、この状況を打破できるヒントがそこにある筈だ。

 

(平安時代、平安時代……霊力のコントロール?それとも札?何、何をすれば良いの……)

 

平安時代の事はあんまり思い出したくない、だけどそこにヒントがあるのならば思い返さなければならない。だが、平安時代で私に出来た事はほとんどなく、清姫達が何を言っているのかが理解出来ない。

 

「ふうっ!!」

 

「ッ!!」

 

清姫の口から放たれた広範囲の広がる炎を見て身体を強張らせる。逃げ道は無く、完全に袋小路――このままでは焼かれてしまう。

 

(精霊石も結界札も無いのにどうしろって言うのよ!)

 

私が持ち込む事を許されたのは神通棍のみ、それで何をしろって言うのよと自棄になりながら自分に迫ってくる炎に向かって神通棍を振るった。

 

「あ……れ?」

 

炎は簡単に消えた。龍族の姫、しかもエリート中のエリートの攻撃をやけっぱちの攻撃で打ち消せる訳が無い。それに妙に身体が熱い……自分の身体が自分の物じゃないようなそんな感覚……だがそれは数秒で消え、私はその場に崩れ落ちた。

 

「……うっく」

 

指一本動かない、凄まじい疲労感が襲ってくる。長いこと霊能者をしているけど、こんな感覚は初めてで何がおきたのか分からない。

 

「少し前に進めたようですわね」

 

「……な……にを?」

 

「起きたら説明してあげますわ、よいしょっと」

 

自分よりも遥かに身長の低い清姫に担ぎ上げられ、引き摺られている私は意識を失ってしまうのだった。

 

【不完全じゃなあ】

 

「……切っ掛けはつかめただろ。前世が魔族だ、人間でも同じ事は出来る」

 

【負担は大きいじゃろうがな!】

 

前世が魔族メフィストである美神はある程度魔族の能力を引き継いでいる。しかし先祖返りはしていないので表に出ていない、あるいは美神とメフィストの性質が合わないというのもあるかもしれないが、窮地に追い込む事で目覚めていない魔族の性質をノッブ達は引き出そうとしていたのだ。

 

「……元々はサキュバス系列の能力だ、他の人間の霊力や神魔の神通力を取り込んで己を強化できるはず」

 

【さっきやって見せたしの、これで漸く舞台に立たせそうじゃ】

 

他人の霊力を取り込み己を強化する、今まで色んな霊能者が理論を考えたが実用出来なかった物――それを美神に習得させる。それがノッブとシズクの計画なのだった……。

 

 

 

~横島視点~

 

美神や蛍達が決死の修行をしているなんて夢にも思っていない横島は魔界のベリアルとネビロスの屋敷とタタリモッケの所で保父のアルバイトに精を出していた。

 

「せんせー、せんせーあそぼー」

 

「よこー遊ぼうよー♪」

 

「はいはい、今行くよ。チルノちゃん、降ろすね」

 

「ヤダーッ!!抱っこーッ!!」

 

「チルノちゃんは甘えん坊だなあ……よいしょっと」

 

遊ぼう遊ぼうと足元にじゃれ付いてくる5歳くらいの神魔達に、その性質上温かみを知らなかったチルノに纏わり付かれ、忙しいながらに慕われるというのは横島自身もそう悪い気はしないのか、元々面倒見が良く子供に優しい横島はタタリモッケの手伝いを社交辞令ではなく、心から楽しみながら魔獣と新生した神魔の世話をしていた横島は自分に懐いてくれている子供達を寝かしつけてから、使い魔同士で遊んでいるチビ達の中から太陽神の化身の妖精だけを抱き上げ、チビ達に少し待っているように声を掛けて応接間に足を向ける。

 

「すいません、お待たせしまして」

 

「「いいえ、構いません」」

 

温かい太陽神の化身の赤ちゃんを抱っこして応接間に入ると、赤とオレンジの巫女服を着た双子の女性がいて、俺は少し驚きながら小さく頭を下げてからタタリモッケさんの隣に腰掛けた。

 

「ぴい、ぴい!!」

 

「ちょいちょいちょい!!悪戯しない!!」

 

膝の上の幼生がよじよじと俺の身体を登ろうとするので、それを止めて再び膝の上に戻すがそれでもまだよじよじと動いている。それを見てこれは悪戯とかではなく、目の前の女性達から逃げようとしているように俺には思えた。

 

「「何故お逃げになるのですか?私達は貴方に使える巫女ですよ?」」

 

「ぴー!!ぴゆーッ!!!」

 

その視線から逃れるように暴れる姿を見て、この子が巫女を怖がっていると俺は確信し、Gジャンの上着の中に幼生を隠す。すると巫女さん達は俺を睨みつけてくる。凄い美人なので睨まれるとかなり怖いが、幼生は服の中で震えているのでこの子のためにも引く訳には行かなかった。

 

「「何故そんなことを?」」

 

「この子が怖がっているからです。タタリモッケさんから貴女達が本当はこの子の面倒を見る役目というのは聞いてます、でも失礼ですが貴女達は世話役に向いていないと思います」

貴女達は世話役に向いていないと思います」

 

「「何ですって?人間に何が判るのですか、私達の一族は「そんなもんは俺に何の関係も無い。この子が怖がってて逃げようとしてる、俺に重要なのはそこだけです」

 

この人達が巫女としてどんな風に生きていたかなんて俺は知らないが、それでもだ。1つだけ分かる事がある……この人達が見ているのはこの子の親の太陽神の化身と言われる燃える蛾であり、この子本人(?)を見ていないと言うことだ。

 

「すいませんが、お帰りください」

 

「「ですが」」

 

「お帰りください」

 

タタリモッケさんがつよい口調で帰ってくださいというと渋々という様子で2人は立ち上がり応接間を出て行った。

 

「すいません」

 

「かまいません、私も横島さんと同じ気持ちです。この子が何れ太陽神の化身へと至り、神となるとしてもそれは偶像ではなく、生きている存在なのです。それが分からないのならば……彼女達は巫女として相応しくないのです」

 

俺の知ってる巫女さんはおキヌちゃんや琉璃さんだけど……あの2人はどうもあんまり巫女さんって感じはしなかったような気がする。

 

「あの人達に引き渡す事はないので安心してください。それと保父のお手伝いは嫌になっていませんか?」

 

「全然、皆良い子ですし、俺も楽しくやらせて貰っていますよ」

 

「そうですか、それは良かったです。大してお礼も出せずに申し訳無いですが、そろそろおやつの時間なので。配膳を手伝って貰えますか?」

 

タタリモッケさんの言葉に分かりましたと返事を返し、俺はおやつの準備を手伝い始めたのだが……。巫女服が木の陰から見えていてどうすればいいのかと思わず動きを止めてしまった。

 

「あまり意識をしないでください、あの人達はすこし凝り固まった考えをしているのです。少し広い世界を見るべきなんです」

 

「そういうものですか……タタリモッケさんがそういうのなら良いんですけど……」

 

隠れているつもりで思いっきり丸見え巫女さんが同じ魔獣と遊んでいる太陽神の幼生を凝視しているのは本当に大丈夫なんだろうかと不安に思いながらも、

 

「もーアリスちゃんもチルノちゃんももっとゆっくり食べないと」

 

「えへへー」

 

「むふー」

 

ほっぺに生クリームをつけている2人にしょうがないなあと苦笑しながら、ハンカチで生クリームを拭ってあげるのだった。

 

「「……あんな風に楽しそうな姿を見た事がない……私達は間違っていた?」」

 

閉鎖された空間で生きていた巫女達は信じられないと言う顔で、チビ達の輪の中に加わり美味しそうに果物を食べている太陽神の化身の幼生をジッと見つめているのだった……。

 

「さてと、もうひと踏ん張りだな」

 

保父さんのアルバイトを終えて帰ってきたが、俺にはまだもう1仕事残っていた。それは……

 

「みむう?」

 

「ぷぎゅー」

 

「ふか?」

 

「よぎー」

 

「ココ?」

 

「モノーモー」

 

皆と遊びすぎてドロドロの泥まみれのチビ達を綺麗に洗うことだった。帰宅後にネビロス達の屋敷の風呂場で腕捲りをし、ブラシを手に懐いてついて来た魔獣の身体を洗っていたりする。

 

「はいはい、暴れない」

 

「ふかッ!! ふかあああーーッ!!」

 

悲痛な声を上げて暴れる手足のある小さな鮫にお湯を掛け、ペット用ボデイシャンプーを付けたブラシでごしごしとその身体を擦る。

 

「ふ、ふかあ……」

 

「怖くない怖くない」

 

初めてのシャンプーを恐れて暴れていると俺は思ったので大丈夫大丈夫と声を掛けながら、泥や鰭の間に挟まっている砂、爪の間も綺麗に洗い泡を洗い流した後にお湯を張ったタライの中に入れる。

 

「ふかぁ~」

 

気持ち良さそうにぷかぷかと浮く鮫の頭を撫でて幾つも並んでいるたらいに視線を向ける。

 

「こーん♪」

 

「ちゃあ~」

 

「やぁん」

 

茨木ちゃん達が捕まえて来た魔物も綺麗に洗って入浴中、やっぱりお世話になっている人の家を汚す訳には行かないからなと思いまだ洗ってない魔物に視線を向けた。

 

「脅えすぎじゃない?」

 

「ぴ、ぴいい……」

 

「よぎい……」

 

「こ、ここここッ」

 

芋虫と角の生えた子鬼とメタリックな犬が物凄い脅えていた。もうバイブレーションかってレベルで震えているので大丈夫?と声を掛けるとぎゅっと目を瞑り、ぷるぷると震えているので手早く洗う事にする。

 

「ぴ、ぴいいいいいい――ッ!」

 

「よぎゃああああッ!!!」

 

「―――!!!」

 

【水が苦手みたいだな】

 

心眼の言う通り水が怖くて仕方ない様子なので急いで洗い、泡を洗い流してタライの中に入れる。

 

「「……」」

 

鳴き声もあげずぐったりとしている3匹を見て悪いことをしたかな?と思いながら足元に手を伸ばし、うりぼーを抱き上げる。

 

「ぴぎ?」

 

何?と言わんばかりの様子を見ると自分がお風呂とは思っていなかった様子だが、うりぼーも今日はお風呂の日である。

 

「お風呂の時間です」

 

「……ぴぎい……」

 

嫌なんだけどというのを全身で表現するうりぼーに駄目っと言って叱り、うりぼーもシャンプーをつけて洗い始めるのだった。

 

「みむう~♪」

 

なお1番最初に洗ったチビは知らないと言わんばかりに犬掻きでタライの中を泳ぎまわりご満悦という表情を浮かべていたりする。

 

「綺麗になったね」

 

「ふかッ!」

 

「よぎい!」

 

洗い終えドライヤーとタオルでしっかりと乾かしたチビ達はきゃっきゃっとはしゃぎ回っている。

 

「もっちもちになったな、お前」

 

「ぶみい?」

 

ごろっと寝転がり今にも寝そうな茨木ちゃんが捕まえて来た魔物のお腹を撫でると独特な感触が手に伝わってくる。

 

「抱き心地は良くなったな、うん」

 

「やあん」

 

ぴこぴこと尻尾を振るピンク色の魔物は毛並みがないので良く判らないんだけど、すごくもちっとした独特の抱き心地になっていた。なんかこう癖になる柔らかさである。

 

「綺麗にして貰ってよかったわね」

 

「こん♪」

 

「ちゃ♪」

 

青い狐と黄色い鼠も紫ちゃんの周りを跳ね回って楽しそうだ。もふっとした柔らかそうな毛並みが良く判る。後はドライヤーとブラシで毛並みを整えれば完璧な状態になるだろう。

 

【お兄さん、この子どうすれば良いんですか?】

 

「うーん、どうしようか?」

 

水を怖がった3匹は今も沈黙して虚無状態であるのでどうしようか?とリリィちゃんとうーんっと唸っているとチビがマイペースにブラシを持ってきた。

 

「みむう♪」

 

「あーうん、判った」

 

とりあえずブラッシングしながら考えようと思いチビを膝の上に乗せてゆっくりとブラッシングを初め、それが終わった頃には落ち込んでいた魔獣達も楽しそうに鳴き始め、俺は安堵の溜め息を吐いていた。

 

「お兄ちゃん。明日はね、皆でハイキングに行くんだよ。お兄ちゃんも一緒に行こうね」

 

「うん、判ったよアリスちゃん」

 

東京で美神達が血反吐を吐くような修行をしているなんて夢にも思っていない横島は魔界で穏やかな時間を過ごし、狂神石の影響で傷ついている魂の回復に努めているのだった……。

 

 

 

 

リポート5 鍛錬/その頃の横島君 その2へ続く

 

 




東京と魔界で温度差が凄まじいことになっておりますが、リポート5は大体こんな感じでお送りします。今回は美神蛍ペアでしたが、次回はぺつのグループの修行を書いて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


現在鳴神ソラ様の作品とコラボ中です。

仮面ライダー要素メインのGS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! 仮面ライダーメモリークロスヒーローズという作品でWやオーズと共にとある事件の捜査をするという作品になっております。

下記にアドレスを記載しておりますので鳴神ソラ様の作品GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! 仮面ライダーメモリークロスヒーローズもどうかよろしくお願いします。


https://syosetu.org/novel/277162/
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