GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その4

リポート5 鍛錬/その頃の横島君 その4

 

~ブラドー視点~

 

神魔と英霊と戦う――口にすれば簡単だが、それを実際にするには考えられないほどの問題が立ち塞がってくる。

まずは神魔と英霊は人間とは桁違いの霊的防御力を有している。それを貫通するのは並大抵の苦労ではなく、古い時代の除霊術により一点に霊力を収束し相手の防御を突破すると言うのは確かに攻撃する為の手段ではある。だがそれは自分の防御を下げるという事でもあり、諸刃の剣である。カオスが何かを開発しているようだが、それでも命を懸けた戦いとなるだろう。

 

次に伝承である。神魔を神魔とし、畏怖し信仰を集める伝説。そして英霊が英霊となる逸話――それら自身も強固な鎧、強固な矛となる。人間に知られているから弱点が容易に判るというのは馬鹿の考える事だ。弱点を知られているから勝てないなんて言う馬鹿な神魔や英霊は存在しない、自分の弱点を知り、その対策を持ち、相手がそこを狙ってくると判っているからそこを待ち構える。英霊と神魔と戦うにはその弱点を利用しつつ、相手を出し抜くずる賢さ、自分の持てる札を効果的に切る頭脳が必要になる。

 

「ピエトロよ。お前には才能が無い」

 

「それはッ」

 

訓練を見続け、稽古の相手をした上で我はそう言いはなった。苦渋に顔を歪めるピエトロに指を向ける。

 

「お前は魔には向かん、更に言えば聖句も完全に使いこなせる訳ではない。そして体術も遠距離攻撃術も全てが中途半端だ」

 

我は魔法も体術も剣術も極めている。ピエトロも同じ様に複数の事を人並み以上に出来る才能がある……だが決して一流には届かない、どこまで言っても二流それがピエトロの限界だった。

 

「ブラドー伯爵、幾らなんでも言い過ぎでは?」

 

「黙ってろ唐巣、これは親子の問題だ。お前にはシルフェニアのような魔を扱う術はない、吸血鬼だから聖句も満足には扱えぬ……良く言えば万能型、悪く言えば器用貧乏のお前にだけ出来る事があるのに気づいているか?」

 

「……父さん、それはどういう……」

 

「考えろ。ヒントは与えている、それで判らぬのならば才能のある・なしではない、お前は間抜けだ」

 

ここまでの鍛錬でヒントはこれでもかと与えた。それでもまだ気付かぬ、それでもまだそこに辿り着こうとしていない。ならば1度叩き伏せ、現実を教えるしかない。

 

「光と闇を扱うのはそんなに簡単な話では」

 

「違う、そんな問題ではない。お前の武器はそんなありふれたものではない」

 

光と闇を扱えるのは長い歴史の中でもピエトロが初だろう。だが我が言いたいのはそんな話ではない、むしろそんなことしか思いつかぬのならば我が息子ながら無能と言わざるを得ない。

 

「良く考えろ、伊達雪之丞、横島忠夫にあってないもの、お前にだけある物はなんだ?」

 

これ以上のヒントを出すつもりはない。これは自分で気付かなければ意味がない物だ。同年代で、自分よりも高みにいる2人にあってない物……それは何よりも稀有な財産だ。我では手に出来ぬ物……とても稀少で、それであると同時にとても残酷な現実。

 

「……酷な言い方かもしれない。だけど私もそう思っている目に見える才能ではない、きっと何故と思うかもしれない。だがとても素晴らしい才能がピート君。君にはある」

 

唐巣もそれに気付いていたのだろう。だがそれは若いピエトロには受け入れ難い才能だ――とても残酷で救いが無い、目に見える武器ではない。そして秀でている武器でもない……だがそれは何よりも素晴らしい武器である。

 

「僕には雪之丞や横島さんのような武器はないです……弱くて、届かなくて……それでも僕は……諦めたくない。弱いままでいたくないんです。届かないなんて判ってる……それでも僕は前に進むことしか出来ないからッ!」

 

ピエトロの言葉に我と唐巣は頷いた。

 

「そうだ、それがお前の武器だ。お前は自分の限界を、そして届かぬ場所を知っている。それでも前に進む意志がある、努力し続けることが出来る。不屈、諦めぬ心は何よりも武器になる」

 

目に見える成果などピエトロには無い。何時まで努力しても結果が出ないのに耐えれる物はそうはいない。それでもピエトロは歯を食いしばり、結果の見えぬ努力を続けて来た。その諦めない姿勢、くじけぬ心は賞賛に値する。

 

「努力し続けることも才能なんだ。天賦の才がなくても、努力し続ける事――それは何よりも得がたい才能なんだ」

 

「……努力し続ける事が才能」

 

「そうだ。これから我と唐巣はお前に徹底的に技術を詰め込む。苦しいだろうし、逃げたくもなるだろう。それでもお前はついて来れるか?」

 

我の問いかけに強い意思が込められた返事を返すピエトロを見て、大丈夫だと我は確信した。

 

(決して折れるなよ、ピエトロ)

 

気持ちで折れなければ、心が負けなければ吸血鬼は負けない。それは半分とは言え、ピエトロも同じだ。心が折れれば、気持ちが負けを認めれば吸血鬼の再生能力は著しく弱体化する。どれほど現実に打ちのめされても、届かない高みに挫けかけても歯を食いしばって歩き続ければ必ず結果は付いて来る。

 

「早速始めよう、私とブラドー伯爵と続けて組み手だ」

 

「だが、唐巣の時は光を、我の時は魔を使え。有効打にならない戦いの中で、戦い方を学べ、そして自分だけの技術を作り出せ」

 

「はいッ!!」

 

力強く返事を返すピエトロ、だが吸血鬼の身体能力を持ってしても疲弊を覚えるほどの長時間の鍛錬。負け続ける鍛錬、吐き戻すほどに叩きのめされても、ピエトロの目から決意の炎は消えず、燃え続けているのだった……。

 

吸血鬼の身体を生かしての地獄とも言える鍛錬をピートがしている頃――魔界の横島はと言うと魔界に来て1番の窮地に追い込まれていたりする。

 

「「何時婚姻しますか?」」

 

「はい?」

 

「ぴい」

 

太陽神の化身の幼生を膝の上に乗せて毛並みを整えていた横島の前にふらりと現れるなり、婚姻はいつか?と尋ねてくる双子巫女に横島は怪訝そうに首を傾げ、膝の上の幼生も横島を真似て首を傾げていた。

 

「えっとどういうことですかね?」

 

詳しい説明を求めると双子巫女は無表情のまま口を開いた、その表情があまりに無機質なので横島は内心脅えていたりする。

 

「「化身様の使いは私達の種族の長になるという決まりですが、貴方は人間なので長にはなれません」」

 

「うんうん」

 

「「長老やおばば様が集まって連日話し合いました」」

 

「うんうん」

 

「「それで横島に入り婿してもらおうかと」」

 

「どういうことですかね?」

 

話し合って何故その結論が出たのかと横島は心底困惑した。そもそもそれほど双子巫女と仲が良いわけではないし、そもそも名前を知らないのに婿入りと言われても困惑するしかないだろうが、双子巫女は別の方向で困惑していた。

 

「「私達結構顔は良いと思うんですけど」」

 

「そういうことじゃないんですけど」

 

「「???」」

 

「なんでそこで不思議そうな顔をするかなあ……とりあえず結婚はしないのでお帰りください」

 

「「料理も裁縫も得意ですよ?」」

 

「そういうことじゃないですからね、とりあえずその長老さん達に断られたとでも言っておいて下さい」

 

まだ諦めていない双子巫女を追い出した横島はふーっと額の汗を拭う素振りをした。

 

「魔界の人の考えはわからねえな」

 

【人間とは価値観が違うからな、仕方あるまい。人間界に帰ればあきらめるだろう】

 

横島に会えなくなれば双子巫女も諦めるだろうという心眼の言葉を聞き入れた横島だったが、横島に遊んで欲しくて応接間の近くで待っていたアリス達は横島達の話を聞いていた。

 

「婚姻ってなんだろう?」

 

「わかんないですわね……」

 

【判らないなら聞いてみれば良いんじゃないですか?】

 

婚姻が分からないから他の人に聞いてみようと言う事になり、行動に出たアリス達だがその行動が後に大騒動を起こすことになる。

 

 

~横島視点~

 

魔界で保父さんのアルバイトをし、アリスちゃんと同じ学校に通ってる吸血鬼の幼女とか、パイモンちゃんとかと仲良くなってきて保父さんのアルバイトも楽しいなあと思っている頃に突然フラッとルイさんが尋ねてきて、俺は黒助さん達と一緒に応接間にいた。

 

「ふ、ふかあ……」

 

「よ、ヨギィ……」

 

「も……ものお……」

 

「ぴい?」

 

付いて来たチビ達はルイさんを見るなり頭を抱えて小さくなっている。自分よりも小さなチビの背中に隠れているのは正直無謀と言うか、無茶だと思う。

 

「また見たことない子が増えているね、使い魔にしたのかな?」

 

「あー言え、面倒を見切れないと思うのでどうしようかと……」

 

本音を言えば懐いてくれているから面倒を見てあげたいという気持ちはある、あるんだけど……

 

「魔界でも凶暴な魔獣の赤ちゃんって聞いてるから悩んでるのかな?」

 

「いや、面倒を見る場所がないなあと、むしろそっちの方が問題で……ドラゴンの卵とモグラちゃんって言うでっかいモグラがその内帰ってくるのと孵化すると思うので……」

 

正直今の段階でもかなり手狭なのに、これ以上はちょっと家で面倒を見るのが問題があると思う。面倒を見るのなら見るで伸び伸びと出来る環境を整える必要がある筈だ。

 

【琉璃達に申し訳無いしな】

 

「それは正直かなりある」

 

茨木ちゃんの事でかなり苦労をかけさせてしまったので、これ以上という気持ちもある。

 

「ふうん、なるほど。面倒を見る場所がないから駄目と……それなら私にいい考えがある」

 

「あの、すみません。話を聞いてましたか?色んな人に迷惑を掛けるって言うのもあるんですよ」

 

「子供は大人に迷惑を掛けるものだよ、横島君」

 

ドヤアってしてるルイさんの言葉には何とも言えない説得力があった。

 

「実はね、魔界でレースがあるんだ」

 

「おい、まさかこいつを参加させる気か?正気か?」

 

「勿論正気だとも、競馬は知ってるかな?」

 

「え、まぁ……」

 

競馬とか競艇とかは一応は知っていると返事を返すとルイさんは心底楽しそうに笑った。

 

「私も馬主の様な物をしているんだ」

 

「ルイさんってIT企業の社長じゃ無かったんですか?」

 

前はそんな事を言ってた気がする。あ、でも除霊関係の会社の社長とかでもあるって……あれ?

 

「ルイさんって何をしてる人なんですか?」

 

「私は自分の暇を潰す為に面白そうな物になんでも手を出してるからね、これって言われると困るな」

 

なんか想像以上にルイさんは凄い人?いや神魔?黒助さん達も敬語だし……ルイさんって本当に何者なんだろうか。

 

「まぁ私が何者かなんて大した問題じゃない、私と横島は友達。それで良いだろう?」

 

「そうっすね。それで良いかもしれないですね」

 

あーだこーだ考えるよりもそっちの方がよっぽどシンプルで良いと思う。

 

「それでだ。友達の横島君に頼みがある。私の馬がね、調子が悪いんだ。君が変わりに参加してくれまいか?」

 

「……おれ、馬なんて乗れないですよ?」

 

「大丈夫、うりぼーがいるじゃないか」

 

「ぷぎい?」

 

急に話を振られたうりぼーの鼻提灯が割れて、何?と寝ぼけ眼を俺に向ける。

 

「ルイさん、うりぼーは猪です」

 

「大丈夫。そのまま走ってる奴もいる、猪だとか馬だとか些細な問題さ。君が頷いてくれればそれでいいんだ」

 

「それで良いんですか?」

 

「私が良いと言ったら大概の事は良い、駄目と言えば駄目だけどね。私の言う事を聞いてくれるのならば、横島の悩みが解決するように私も協力しようじゃないか。どうだい?やってみてはくれないか?」

 

ここまで言われて断るのもあれなので、やりますと返事を返した翌日――。

 

「心眼」

 

【なんだ?】

 

「もしかして断るべきだった?」

 

【……判断に悩むな】

 

予想の数百倍は規模がでかいレース会場と盛り上がりを見て、場違い感が凄いと正直後悔した。

 

「お兄ちゃん、お菓子かって!」

 

「私はアイスが良いですわ」

 

【私もー!】

 

「かき氷がいい」

 

「あーうん、そうだね、買おうか」

 

アリスちゃん達の頼みを聞いて出店でアイスクリームやアイスを買い込んでいると……。

 

「ボクもアイスを買ってくれるかい?」

 

「了解了解、何味にする?柩ちゃん……ふぁッ!?」

 

アリスちゃん達の中にさも当然の様にいた柩ちゃんの存在に気付き変な声が出た。振り返ると俺の後にはフリフリのレース付きのドレスを着て、クヒヒっといつものように不気味に笑う柩ちゃんがやぁっと笑いながら手を上げていた、

 

「誰だ?知らない奴だ」

 

【お兄さんの知り合いかな?】

 

「……誰だっけ、見たことあるような……ないような……」

 

困惑しているアリスちゃん達に柩ちゃんのことを軽く紹介しようとし……。

 

「相変わらず騒がしい事」

 

「神宮寺さんまでッ!?」

 

魔界にいるはずのない神宮寺さんの姿まである事に驚き、俺は思わず声を上げてしまった。周りの視線を集めた事に気付き、すみませんすみませんと謝りながら会計を済ませて出店の前を後にする。

 

「えっとなんで神宮寺さんと柩ちゃんが魔界に?」

 

「クヒヒ、ゴモリーが魔界でレースがあるから見に行こうって言うんでね。着いて来たのさ、くえすに会ったのはさっきだねえ」

 

「私もビュレト様に誘われ、横島の様子を見に来たのですが……また大変な事になってますわね」

 

ジト目で俺を見る神宮寺さん。何が言いたいかは明らかで、俺の足元でちょこちょこ動いているチビ達の事だ。

 

「まぁなんか色々とありまして」

 

「色々とありすぎでしょう?全く何をしているのやら……」

 

あきれた様子で魔界で懐いた魔獣――鮫っぽいのに手を伸ばした神宮寺さん。大人しくしているし、アリスちゃん達に噛み付いたりしないから大丈夫と思ってみていたのだが……。

 

「ガウッ!!」

 

「ッ!」

 

「ファアアアアアーーーッ!?」

 

神宮寺さんの手に噛み付いたのを見て俺は思わず絶叫を上げた。

 

「ば、馬鹿馬鹿!なにしてッ!「大丈夫ですわよ」え?」

 

神宮寺さんはゆっくりと内側から鮫の口を2本の指で開けてニッコリと微笑むとそのまま手刀を頭に振り下ろした。

 

「ギャンッ!?」

 

「全く私でなければ大変なことになってましたわよ?」

 

「すみませんすみませんすみません」

 

アリスちゃん達には大人しく頭を撫でられていたのに、何でと思いながら何度も謝罪の言葉を口にする。

 

「何ともありませんでしたが、それで終わりとは言えないですわね……さてどうしましょうか……」

 

「俺に出来る事なら何でもしますんで、本当すみません」

 

俺に出来る事なんて高が知れているけど、それでもそれで手打ちにしてくれと頭を下げて頼み込む。

 

「まぁ良いでしょう。私と横島の仲でですしね」

 

許してくれると聞いて俺は心底安堵したのだが、頭を下げている俺は気付かなかったが神宮寺さんは計画通りと言わんばかりの邪悪な笑みを浮かべていたらしい……。

 

 

 

 

~くえす視点~

 

ビュレト様とゴモリーの招待券で入った貴賓席で紅茶を口にしながら思わず緩む口元。それだけ自分が上機嫌だと判る、そんな私を見て柩がやれやれと言わんばかりに肩を竦めた。

 

「クヒヒ、本当に怖い女だねえ」

 

「貴女が予知したからその通りにしただけですわよ」

 

警戒して噛み付いてくると聞いたので、それを利用して横島から何でもすると言わせる状況を作り出しただけである。怖い女等と言われる謂れはない。

 

「私は別に悪くないと思うけどね、自分から雁字搦めにくるなら好都合だと思うけど?」

 

「貴女の保護者もそう言ってますわよ?あ、そうでしたわね。柩は縛るよりも縛られるほうが好きでしたか」

 

「……それはそれ、これはこれ」

 

私は縛り付ける自分の側にだけいないと納得しませんが、柩は自分が縛られていれば満足なので、そこは性癖の違いと言う事でしょう。

 

「所でゴモリー。あれはありなんですの?」

 

『さぁ4番人気韋駄天八兵衛、5番人気の九近衛。いつも通りの韋駄天ペアです』

 

これはレースであるはず、なんで走る韋駄天が出ているのだろうか?とゴモリーに尋ねる。

 

「早ければ良いのよ」

 

『さあ、それに続くは6番ヘルズエンジェル。魔人のスピード狂が参戦だッ!』

 

「参戦したら駄目でしょうッ!?」

 

何普通に魔人を参加させているのかと思わず声を上げた私は絶対悪くないと思う。

 

「まぁあいつは走ってれば満足だから大丈夫じゃない?」

 

『そして最終走者は一部の神魔に圧倒的な人気人間横島忠夫です。猪に乗り、頭の上にグレムリンを乗せての参戦です』

 

ブーブーというブーイングが上がり、思わず眉を細めたのだが、すぐにそれは緩むことになった。

 

『なおルイ様推薦の参加者です。ブーイングを上げておはよう明星を喰らいたくなければ拍手で迎えましょう』

 

解説の言葉でブーイングは一気に歓声と拍手に変わった。それだけルイ・サイファーを恐れているのかというのが良く分かるが解説の悪魔の言葉の意味が良く分からなかった。

 

「おはよう明星って何さ、ゴモリー」

 

「……その昔、ルイ様を時代遅れ、今の神魔には勝てないとか言っていた馬鹿がいたわ。その馬鹿が起きた瞬間、おはよう、そして死ねとルイ様が告げて、高密度の神通力と魔力で放つ大爆発、ある意味ルイ様の代名詞の明けの明星って言う必殺技が炸裂してね、魔界の地形を変えた上に神魔でも立ち入り出来ない地獄に変わったのよ。つまり死刑宣告ね、ただそれは良くないってことでルイ様本人がおはよう明星、おやすみ明星とか言い出したんだけど、魔界の神魔にとっての悪夢ね」

 

「それはまた……とんでもないですわね」

 

偶にフラフラとしている姿を見ることがありますが、やはり明けの明星と呼ばれるルイ・サイファー。その実力は段違いって事ですね……しかしおはようとお休み明星とはなんとも間の抜けるネーミングですが、その破壊力は段違いなのでしょうね。

 

「ところでくえすも何でチケットを買ってるんだい?」

 

「買うに決まってるでしょう?横島は勝ちますわよ」

 

横島の賭け券を机の上におく、倍率がとんでもなく高いこの馬券は確実に万馬券になる筈である。

 

『さぁ各者一斉にスタート。ロケットスタートを決めたのは横島とうりぼー、圧倒的な速度でぐんぐん前へと進んで行きます。その後は韋駄天が続き、ビュレト様、ヘルズエンジェルが後方から追い抜くタイミングを探っております』

駄天が続き、ビュレト様、ヘルズエンジェルが後方から追い抜くタイミングを探っております』

 

やはりうりぼーは直線が早いですわね。でもあのスピードで曲がれるんでしょうか?

 

「曲がれるかしら?」

 

「曲がれる?」

 

『さぁ第一コーナーにはいっ……「ぷぎいいいいい――ッ!」「あーッ!!」「みぎゃああああ――ッ!」曲がれずに横島とうりぼーコースアウトッ!柵を突き破り脱線だぁ。さぁトップは韋駄天八近衛、九近衛を先頭にビュレト様、ヘルズエンジェル、魔界正規軍の騎兵隊が続きます』

 

「普通にコースアウトしたね」

 

「うり坊ですからね……これってコースアウトどうなるんですか?」

 

「ゴールまでに復帰できれば大丈夫よ」

 

じゃあコースアウトでも大丈夫の可能性はありますわね。しかし競馬の何百倍のスケールのレース場と言うのは中々迫力がありますわね……。

 

『さぁ最終コーナーを曲がり、トップはビュレト様とヘルズエンジェルの一騎打ち。ビュレト様の愛馬のバイコーンとヘルズエンジェルのバイクが唸り声を上げます。早い早い早い!!これはコースレコードが……「ぷぎゅうううう――ッ!!!」おーっとここでコースアウトしていたうりぼーが復活だぁッ!!上にご主人である横島を乗せて、え、待ってあれ気絶してない?大丈夫?』

 

激走するうりぼーの上で横島が完全に脱力して、右へ左に揺れているのは心臓に悪い。

 

「大丈夫ですの?」

 

「くえす、手震えてるよ」

 

「うるさいですわよ!柩だって貧乏ゆすりしてますわよ」

 

これを見て手が震えないわけが無い、自分だってそうなのに他人を指摘するなと反論する。

 

『並んだ並んだ!ビュレト様、ヘルズエンジェル、うりぼーがなら……でかくなったぁ!!うりぼー巨大化してラストスパートッ!圧倒的歩幅でゴールへと突き進む。早い早い!どんどん差が開くッ!2……3……4!気が付けば6馬身差でゴール!二着はビュレト様、確定しました。1着横島&うりぼー、2着ビュレト様、3着ヘルズエンジェルとなります』

 

悲鳴と歓声が巻き上がるのを聞きながら手元の万馬券を見つめる。

 

「良い元手が出来ましたわね」

 

「だねえ~いやあ、嬉しい臨時収入だ」

 

久しぶりに横島に会えた上に普通の除霊では手に出来ないほどの圧倒的な賞金を手にし、私と柩は殆ど同時に席を立った。

 

「とりあえず横島を見に行きましょうか」

 

「確実に瀕死だろうしねぇ……」

 

気絶している間横島を背中に乗せて激走していたうりぼーの姿を見れば横島にとんでもない負担が掛かっているのは明らかであり、私と柩は早足で横島の元へ走るのだった……。

 

 

 

 

リポート5 鍛錬/その頃の横島君 その5へ続く

 

 




次回でリピート5は終了、リポート6――おキヌちゃんの合流のあたりに入って行こうと思います。そこからは原作のシナリオを勧めつつ、ガープとかに暗躍ヒャッハーして貰おうかなっていうプランですね。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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