GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
その1
リポート2 竜の魔女リターンズ その1
~シロ視点~
せんせーの家で暮らすになってから拙者が思うのはせんせーの性格変わりすぎだなあと思うことだった。別にそれが嫌って訳ではない、遊んでくれるし、散歩も行ってくれる。それに修行にも熱心で前よりもずっとせんせーとして尊敬出来る。
「なんかせんせーが可愛いでござるな」
「……頭どこか打った?急に何言ってるのよ」
思わず零れた独り言にタマモがへんな物を見るような視線を向けてくる。だけど、今目の前の光景を見ると可愛いと言う感想しか出てこないと思う。
「ぷぎゅるー」
【のー……】
「すーすー」
「……ふご」
うりぼーに埋もれ、心眼をアイマスク代わりにして、茨木童子とチビノブに左右を挟まれ、そして頭の上にチビを乗せて昼寝をしているせんせーは無防備で、そして無邪気な感じがして可愛いと思う。タマモもじっと見つめ、少し考え込む素振りを見せる。
「なんで私達があーだこーだ考えている中で、こいつは昼寝なんか出来るのかしら?」
「いやいや、その感想はおかしいでござる。そもそも、せんせーに説明してなければそうでござろう?」
せんせーは知らないのだ。美神殿達がジャンヌダルク・オルタを警戒しているという事を、最悪の場合はそのまま除霊する事も考えていると言う事を知らない。だから悩むことも無く、こうしていつものように昼寝が出来ている。教えないと言うのは優しさと思えばいいのか、それとも除け者にしているのか……そこは拙者には判断が付かなかった。
「……横島は普通に旗を見に行くつもりなだけだからな」
【やっぱさぁ?説明した方がいいんじゃね?】
【でもそれだと、主殿の反感を買いますよ】
拙者はそのジャンヌ・オルタ殿の事は全然知らない。いや、きっとこの場にいる全員がジャンヌ・オルタ殿の事を詳しくなんて知らないのだ。1番知っているであろう心眼から告げられた情報も決して多くはない。
1つガープに召喚された反転英霊であるということ。
1つせんせー達と1度敵対した上にせんせーを拉致した。
1つせんせーに絆されたガープに反逆した。
そして最後に憎悪に飲まれかけたせんせーを元に戻し、それと引き換えに消滅した女性であると言うことだ。
「拙者は悪い人ではないと思うでござるよ」
【私もですね。主殿を助けてくれたのだから、信用は出来ると思います。信頼出来るかどうかは別ですが】
拙者と牛若丸殿の意見は1度せんせーと戦い、拉致したとしてもそれでもせんせーを助けてくれたのだから信用は出来るという物だ。
「私は違うけどね。反転英霊でしょ?元が聖女って言われるほどの存在なんだから反転したら悪党でしょうに」
「……英霊は完全に消滅すればその記憶を失う。縁で再召喚されても横島の知るオルタではないだろう」
タマモとシズク殿の意見は反転存在であるから危険という物と、消滅した英霊だからその記憶はないよって完全に別人だというもの。
「ノッブ殿の意見は?」
【ん?ワシ?興味ナイネッ!!】
興味が無いと言い切ったノッブ殿は煎餅の包みを開けて、それを齧りながら呆気からんに笑った。
【人狼、九尾の狐、邪龍、英霊、悪魔、神獣に鬼じゃろ?そんなのを集めて平然と笑って暮らしてる横島が一緒にいたいって言うならそうじゃろうし、敵だと言うなら敵じゃろうし、下手な考え休むに似たりって知ってる?】
……確かに拙者達が何をどう心配しても、せんせーがこれだ!って決めてしまったらそれは絶対に覆らない。1番せんせーの性格を理解しているのは実はノッブ殿だったかもしれない。
「とーう!お兄さん!遊びに来たよッ!!」
「ふぐっふうッ!?」
隙間から飛び出してきた紫のフライディングボデイアタックで起されたせんせーの呻き声がリビングに響き、拙者達の話し合いは強制的に終わりを迎えた。
「散歩!散歩行こう!!」
「んおお?なんじゃ、ふああ……もう散歩の時間か?」
「いちち、そうだなあ、散歩行くかあ」
「ぷぎゅうッ!!!」
せんせーの散歩に行くかの声に寝ていたうりぼーが身体を起こし、せんせー達がもみくちゃになる。だけどその顔は楽しそうで、何の不安も心配もしていないのが伝わってくる。
(ノッブ殿の言う通りかもしれないでござるなあ)
考えた所で物事の流れというのは変わらない、それならば自然体でその流れに沿うというのもまた1つの正解なのだと思う。
「シロとタマモは散歩行く?」
立ち上がって散歩の準備をてきぱきとしているせんせーに拙者はすぐに行くと返事を返し、チビ達の中に混ざっていく。頭を使った後は運動でござる、やっぱりごちゃごちゃと考えるのは拙者の性ではないと心から思うのだった……。
~雪之丞視点~
つい先日横島の家から白竜寺にやってきた英霊――「坂田金時」はさも当然のように白竜寺に馴染んでいた。
「なんで違和感ねえんだよ」
「性格が似てるからだろ?考えるな、感じろ」
「陰念先輩は考えることを放棄したら駄目だと思うんですけど……」
大体横島のやつはどっか行くと変な物を拾ってくるのは正直止めた方が良いと思う。今回はなんだっけな……。
「横島が今回連れて来たのなんだった?」
「人造神魔、鬼」
「……あいつ本当に何考えているんだろうな?」
どっかの霊能の会社が作っていた人造神魔、それと鬼と英霊――それと普通に暮らしている横島の感性って絶対どこかおかしいと思う。
【おーう!雪之丞!陰念!修二!鍛錬しようぜ!】
扉を勢い良く開いた巨漢の男――金時の言葉に跳ね起きる。
「おう!!やろうぜ!今日は1本入れるからな!!」
【その意気だぜ!!】
英霊とかそういうの関係なしで金時は普通に良い奴だ。それに強いから、組み手の相手として申し分ない。
「俺としても金時みたいな強い相手と組み手を出来るのは嬉しいが、良いのか?横島の家に居なくて」
フィンガーグローブなどを用意しながら陰念が尋ねる。すると金時は明らかにその顔を歪めた。
【いやよ、確かに横島は良い奴だぜ?性格もさっぱりしてる。だけどよ……俺ッチにあの家は無理だ。女だらけで落ちつかねえ】
「「「あー……」」」
俺達の声が重なった。そっか、そうだよな。横島の家って何時行っても女だらけだよな……。
「つうか、あいつって何考えてるんだろうな?」
「何がですか?」
「いや、あんだけ好き好きって感じのを向けられてるのに、誰かと付き合ったとか聞かないだろ?鈍感ってしても酷いだろ?」
陰念が何でだ?と言うが、多分全員がそれを思っている。
「……怖いからじゃないですかね?」
「「「何が?」」」
「いや、神宮寺さんとかすっごい怖いと思うんですけど」
……確かに神宮寺は怖い。と言うか横島の周りにいる女はみんな怖いし、強い……そんな中で横島が誰かと彼氏彼女になったとすると……。
「横島さん……殺されるんじゃ?」
「心中もあるかもな……」
【横島なりの防衛術なのか?】
血の雨が降るかもしれないから、あえて曖昧な態度を取っているのだろうか?とか色々と話をしているとママお師匠様が姿を見せた。
【ああ、金時も一緒に居たわよ。メドーサ】
メドーサ?なんでママお師匠様とメドーサが一緒なんだ?と首を傾げる。
「天界と魔界から仕事の依頼だよ。お前らこれ知ってるか?」
メドーサが俺達の前に出したのは最近商店街でも張られているチラシだった。
「あーなんかマリア7世が凄い物を持って来日するって言う」
「そうでしたよね、確か新しい博物館に展示するとか……それがどうかしたんですか?」
なんか凄い嫌な予感がした。絶対面倒事になる予感しかしなかった。
【なんかね、この旗聖遺物らしくて】
「横島と縁のある英霊の出現率が高いんだが……それがガープに手を加えられた英霊の可能性が高くてね。それを警戒しての博物館の回りの警護の依頼だ。なんもなくても依頼料が出る――まあほぼ100%とやばい英霊が出て来るんだけど、引き受けたから準備しときな」
……また横島かよッ!!って言葉はこの時は何とか飲み込んだ。だが陰念の質問に答えたメドーサの言葉には流石に耐え切れなかった。
「ちなみにその英霊って言うのは?」
「ジャンヌダルク・オルタ。竜の魔女って言われてるな、性格は神宮寺と良く似ているって聞いてる」
「「「また女かッ!!!」」」
今度は駄目だった、しかもあの神宮寺と性格がそっくりって地雷以外の何者でもない。なんで横島の周りには危険もしくは、1人で東京を壊滅させる事が出来る女ばかりが集まるのかと俺達は思わず叫び声を上げるのだった……。
~マリア7世視点~
プライベートジェットで私の護衛を勤めてくれている魔鈴めぐみさんと共に私はやっと日本にやってきた。
「大分時間が掛かってしまいましたね。ご迷惑を掛けてしまいすいません」
「いえいえ、大丈夫ですよ。めぐみさん」
本当ならもっと早く日本に辿り着ける予定だったが、国際GS協会とオカルトGメンのやっかみで随分と時間をロスしてしまった。その理由にされためぐみさんは悪くないですよと笑いかける。
「まさか出国の段階で絡んでくるなんて」
向こう側の言い分としては魔女であるめぐみさんの身辺が怪しい。こちらが派遣した護衛を使えと言う物だった。半日を越える時間を押し問答を行う事になったが、めぐみさんが矢面に立たされる事になっただけで、国際GS協会とオカルトGメンが出てきた本当の理由は竜の魔女の旗にあった。私がこれを日本に住む正当な持ち主に渡す……それが不服でしょうがなかったのだろう。
「大丈夫ですか?これから」
「ええ、問題ありませんよ。そもそも私は国際GS協会もオカルトGメンも好きではないですから」
ドクターカオスがマリア様のために用意した鉱山やゴーレム、そして貴重な除霊具の作成のマニュアル等の引き渡し要求をしてくる国際GS協会もオカルトGメンも私は好きではない。特にオカルトGメンのイクサという男は物腰こそ丁寧だが、その下に隠されている獣性が見えるようで嫌悪さえ抱いている。
「いい気味だったと思いませんか?」
「それはその……まぁ少しは……」
竜の魔女の旗が偽物とすり変えられているかもしれないから検分させて欲しいと言って、竜の魔女の旗に近づいた瞬間黒炎に飲まれた国際GS協会とオカルトGメンの職員の事を思い出すと、今でも笑いが込み上げてくる。私達が何も言わなくても、旗自身が本物であると証明したのだ。そしてそれと同時にお前達には触れる事を許さないと言わんばかりの炎とそれに飲まれ、完全にパニックになっていた職員達は日本で言う自業自得という奴だと思う。
「マリア様。飛行場の安全が確保されました、こちらへ」
「ええ、ありがとう」
日本の職員ではなく、国から来た護衛の皆様が安全を確認したと言ってくれたのならば安全であると証明されたと等しい。めぐみさんと共にタラップを降りて入国手続きを済ませる。
「マリア姫様。ご機嫌麗しゅう」
「ドクターカオス。お久しぶりです、お元気そうで何よりです」
私を出迎えてくれたのはドクターカオス。そしてその後ろに控えたマリア様と同じ姿をしたアンドロイドマリアと……もう1人?
「マリア様。お久しぶりです、お元気そうで私も嬉しいです。この子は私の妹のテレサになります」
「て、テレサです。よ、よろしくお願いします」
日本に行く前にはもっと片言な喋り方だったマリアが滑らかに喋った事にも驚いたが、妹も出来たと言う事に更に驚いた。
「テレサさんですね。よろしくお願いします」
おっかなびっくりという感じで差し出されたテレサさんの手を握り返す。するとテレサさんは柔らかく微笑んで、その笑顔につられて私も笑みを浮かべた。
「マリア7世。この度は来日お疲れ様です。GS協会会長神代琉璃と申します、今回の来日大変喜ばしく思っております」
「オカルトGメンの西条輝彦です。長旅、お疲れ様でした」
国際GS協会とオカルトGメンの人間という事で少し警戒したが、ドクターカオスが同席を許しているという事で人格的には問題ないという事だと判った。
「今回はよろしくお願いします。それと……美神さんですね?漸くお会い出来ましたね」
「私の事知ってるの?」
正式な場なのでスーツ姿でも、その容姿は代々伝わっているマリア様の手記に記されている物と同じだったのですぐに判った。
「はい、手記に記されておりましたから、お弟子さんはいらっしゃらないのですか?」
確か芦蛍という黒髪の少女と竜の魔女の旗が会いたがっているバンダナの青年――横島忠夫が無い事を尋ねる。
「流石に正式な場所だから来てないわ。博物館で会えると思うわよ」
「そうですか……それは少し残念ですね」
あれだけ竜の魔女が会いたがる人物と言う事で興味があったんですが……この場では会えないと言う事が残念……。
「うわああああッ!?」
「ぎゃああああッ!?」
その時響いた男の悲鳴に私は小さく溜め息を吐いた。こうして話している間に盗人のように近づくからああいう目に合うのです。
「勝手に近づかないようにと言った筈ですよ。やれやれ、程度が知れますね」
国際GS協会でもオカルトGメンの腕章も付けていないところを見ると、日本政府の一部の役人の独断という事は判りますが、やはり面白い物ではありませんわね。
「今の炎は」
「竜の魔女の炎です。邪な想いや浅ましい願いを持つ者が近づくとあのように炎で威嚇するのですよ。しかし、ああなると暫くは近づけませんし……まだまだ空港にいることになりそうですね」
1時間は炎の壁は消えない。あれは物を燃やすことはないですが、それでも燃えている旗を連れて空港を出るわけにも行かない。もう1度飛行機に戻らないといけないと判り溜め息を吐いた。
「すいません、マリア姫様」
「いえいえ、貴方方が悪い訳ではありません。この事はちゃんと日本の首相にしっかりと賠償して貰うので大丈夫ですよ」
歴史的価値があるのは判りますが、それでも盗人というのは許されない。燃やされている竜の魔女の旗のレプリカを見て心からそう思う。
「ドクターカオス。それに美神さん、後神代さんと西条さんもついでにご招待します。私のプライベートジェットで話をしましょうか?」
こうして近づけば燃えると言う事が判ったので、近づく者はいないだろう。1時間もあれば炎は消えるので、その間は話をしましょうと笑いかけ、私はめぐみさんと共にプライベートジェットに足を向けるのだった……。
リポート2 竜の魔女リターンズ その2へ続く
切りの良い所なので、今回はここまでとしたいと思います。次回はジェット内での美神達との話を書いて、最後のほうで博物館に向う横島達と言う所で終わりにしたいと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。