GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その5

リポート6 亡者の嘆き その5

 

~蛍視点~

 

レギオンの攻略は思ったよりも難航していたのでおキヌさんの名前を出したが、正直に言えばおキヌさんの状態を知らずに彼女の名前を出したのは余りにも卑怯だと思った。

 

(あー凄い後悔してる)

 

数少なくなっって来ている未来を知ると言うアドバンテージを切ったのは良いが、正直罪悪感とか後悔が凄い事になっている。

 

「蛍ちゃん、どうかした?」

 

「あ、美神さん。いや、自分で提案しておいてなんなんですけど、おキヌさんの名前を出したのは卑怯だったなと……」

 

「入院患者だしね……でも対策が無いのも事実なのよね」

 

精神感応に特化し、倒されれば召喚陣を起動させるレギオンの対策はないと言ってもいい、これが霊脈を目指してなければ結界と精霊石を応用して足止めし、その間に聖句で内部の霊を少しずつ除霊するというてもあったが、霊脈を目指していると言う事は召喚陣を起動させ強力な何かを呼び出そうとしていると見て間違いない。悪魔とかならまだいい、だがこれが英霊となれば対策が本当になくなってしまう。

 

「ドクターカオスの発明は間に合いますかね?」

 

「ギリギリじゃないかしら。唐巣先生にマルタにエミとくえす……めぐみが未知数な所もあるしね」

 

ルシオラとしての記憶ではめぐみさんに目立った能力は無かった筈。でもくえすと実力を二分する魔法使いとなれば、それ相応の能力はあるのだろうか?そんなことを考えながら歩いていると目的地に到着してしまった。

 

「美神さん……」

 

「何?」

 

「折られないですかね?」

 

「……交渉次第だと思うわ」

 

病院の入り口が地獄に続く門に見えるわねと揃って呟き、ナイチンゲールさんにおキヌさんを連れて行くことを許してもらえないかと交渉に向かうのだった。

 

【条件付ならば許可します】

 

緊張していた私と美神さんに対し、ナイチンゲールさんの返事はかなりあっさりとした物だった。

 

【なんですか?その顔は】

 

「いや、入院患者だからふざけるなと怒られると思ってたのよね、説得しないとって思ってたからまさかこんなにあっさり許可がでるなんてって驚いたのよ」

 

美神さんの言葉にナイチンゲールさんはカルテを取り出して、私達に差し出してくる。それを受け取って軽く目を通す、おキヌさんの状態は軽い疲労と左足の捻挫、それと若干の霊力酔い状態とそこまで深刻な様子ではなかった。

 

【捻挫は酷いので移動は許可できません、それと霊力の過度の使用も極力控えて欲しいです。ミス・おキヌに何をさせるおつもりですか?】

 

詳しく聞かせてくれというのでおキヌさんにネクロマンサーの笛を吹いてもらおうと思っていると返事を返す。するとナイチンゲールさんは深い溜め息を吐いて受話器を手に取った。

 

【ミスター・言峰を呼んでください。リハビリ中だったはずです、はい。すぐに診察室へ、よろしくお願いします】

 

言峰を呼び寄せるナイチンゲールさんに私も美神さんも揃って首を傾げた。実力がある事は間違いないが、何度も逃亡しナイチンゲールさんに叩きのめされている姿を見るとどうしても信用出来ない部分がある。

 

【レギオンの除霊ならば聖句に長けた人間が必要でしょう。彼は確かに聖職者とは思えないほどに体を鍛えていますが、勤勉な聖職者でもあります。そろそろ退院の頃合ですし連れて行くと良いでしょう。それとおキヌさんの退院も認めますが、ミスター・横島は入院を続けてもらいます。それで良ければどうぞ】

 

ナイチンゲールさんが言峰を呼んだのは横島の変わりという事だった様だが……その深刻そうな表情を見て、私も美神さんもいやな予感が脳裏を過ぎった。

 

「狂神石の影響が?」

 

【……判りません。なんせ未知の症例ですから、とりあえず様子見をしたいと言うのが大きいです。ほんにんはかなり健康そうですが、霊体と肉体の繋がりが不備があるように思えます。凶暴性なども出ていないので、大丈夫だとは思うのですが……念の為という事です】

 

「嘘じゃないですよね?」

 

【嘘はつきませんよ、ミス・蛍。私は医療に携わる人間として嘘はつきません、様子見という事でミスター・横島には今の段階で特に不穏な要素はありません】

 

ですから大丈夫ですと繰り返し言われ、おキヌさんが横島の入院している部屋にいると言われ私と美神さんはナイチンゲールさんの部屋を追い出されてしまった。

 

「どう思います?」

 

「嘘は言ってないと思うけど……安心は出来ないわね。とりあえすシズクと牛若丸、それとノッブはここに配置で決定ね」

 

横島を戦わせない為にこちら側の戦力としての最大戦力を全て病院に配置する。これは多少無理でも琉璃さん達にも認めて貰うしかないだろう。

 

「そう心配する事はない。レギオン相手では英霊は相性は決して良くない、それが判らぬ神代琉璃ではなかろう」

 

「言峰神父……」

 

「そう警戒するな。私はこれでも聖職者なのだからね」

 

その死んだ目で聖職者っていわれるから不安になるのよねと思いながらも、唐巣神父と同等の実力者である事も確かで協力してくれるのならば頼もしい助っ人だろう。

 

「横島君、入るわよ?」

 

「はーい、どうぞー」

 

横島の病室に入るとベッドで上半身を起こした横島の膝の上に子犬、子狐フォームのシロとタマモが寝ていて、おキヌさんが林檎を剥き、部屋の隅では舞さんが茨木童子達の輪の中に入りトランプをしていた。

 

(……良い感じに力が抜けたわね)

 

余りにも普通な光景に肩に入っていた力が抜けたのを感じてリラックス出来た。

 

「美神さん、蛍ちゃん。お久しぶりです」

 

「元気そうで良かったわ、いきなりで悪いんだけど……お願いがあるんだけどいい?」

 

「私に出来る事なら協力します」

 

何をするとも聞かずに頷いてくれたおキヌさん、それは自分の能力――そして前の記憶を持っているからの即決だろう。

 

「大丈夫ですか?俺は」

 

「横島は大人しく入院してて、今回は戦いじゃなくて聖句による浄化なの、私達じゃ何も出来ないって言っても良いのよ」

 

事実その通りで、除霊と浄化は似ているようで全然違う。今回のレギオンに関しては無力と言っても良いので、横島にちゃんと入院しているようにと釘を刺す。

 

「じゃあおキヌちゃんは何をするんだ?」

 

「笛を吹いて貰うだけよ、横島君にも思い当たる節がある筈よ」

 

狂神石の力を押さえ込んだ笛の音色に用があると聞けば横島も納得した様子で頷いた。

 

「判ってくれたなら良いわ、とりあえず横島君は養生をしてて、牛若丸とノッブも寄越すから勝手に外を出歩いたりしないでね」

 

美神さんもしっかりと横島に釘を刺し、私と美神さんはおキヌさんを連れて病室を後にするのだった……。

 

その日の深夜。横島は眠れず、開かれたカーテンの先の月を見ていた。眠れという心眼に判ってると返事を返し畳んでその意識を眠らせてからずっと月を見ていた。

 

「……こんばんわ」

 

窓の外から響いた鈴のような声――霊感がずっと囁いていたのだ、眠ってはいけない。おきていなければならないと……そしてその霊感の囁き通りある人物が窓の外にいた。

 

「……夜はこう挨拶するのでは?それとも私は何かを間違えましたか?」

 

「そうだな、それで合ってるよ。こんばんわ……レイ」

 

黄金の髪を夜風に靡かせ、血のように紅い瞳で横島を見つめ柔和な笑みを浮かべる人外の美を持つと言ってもいいレイの姿がそこにはあった。

 

「俺を攫いに、それとも殺しにでも来たか?」

 

「……いえ、臥せていると聞いたので様子を見に来ただけですよ。何も命令されていない、私は蘆屋について来ただけ、戦うつもりも殺す

つもりも無いと言えば安心してくれますか?」

 

どこまでも透明感のある声で言うレイに謀をしているようには見えず、横島は疲れたように溜め息を吐いた。

 

「心眼どう思う?」

 

【……これはどういうことだ?】

 

「俺が知りたいくらいだよ」

 

突然現れたレイに横島も心眼も驚きを隠せず、そんな2人を不思議そうに見つめてくるレイを横島と心眼も不思議そうに見つめ返すのだった……。

 

 

 

~横島視点~

 

悩みはしたが俺はレイを病室に招き入れて、シズクが用意してくれていた粉末の緑茶を2人前用意し、1つをレイに差し出した。

 

「……これは?」

 

「お茶知らないのか?」

 

「……毒?」

 

「飲み物だよ、あちっ!」

 

先に飲んだら思ったより熱くて舌先を火傷してしまった。レイはそれを見ても普通に飲もうとするので冷ますように忠告すると、息を吹きかけてちびりと緑茶を口にした。

 

「……不思議な味」

 

「さいですか」

 

喜んでいるのかもよく判らない無表情に困惑しながらも俺も緑茶を啜る。

 

「……別に戦う気はないからそんなに警戒しなくても良いのに」

 

【それをはいそうですかと信じるほど馬鹿ではない】

 

【まぁそうじゃな、横島。ワシにも茶をくれ】

 

「ほいほい」

 

ノッブちゃんと牛若丸の分のお茶も用意して、2人に差出し目の前に座るレイに視線を向ける。

 

【それでお前は何をしに来たんだ?】

 

満を持して心眼がそう尋ねるとレイはこてんと首を傾げた。

 

「……蘆屋が横島が入院してるって言うから見に来ただけ」

 

「マジで本当にそれだけ?」

 

「……そうだけど?」

 

ええっという声が思わず出たけど、俺は絶対悪くないと思う。心眼達だって絶対そうだと思う、一応敵同士な筈だ。一応はいらないと思うけど、一応念のためにだ。狂神石の影響が抜け、子供になった姿を見ているから敵だとは言いにくいけど、それでも敵である事は間違いない。

 

「ガープに追い出されたりした?」

 

「……何も言われないだけ、言われてないからなにもしない」

 

これは下手に刺激しない方がいいかもしれない。またあの時みたいに暴走されても困るから、素直に様子を見に来てくれたと思うほうが良いのか……。

 

(いや、無いな)

 

(ああ、無いな)

 

何か目的があるような気がしてならない。だけど下手に口を開いて戦闘になるわけには行かず、レイと向かい合って無言でお茶を飲み進める事しか出来ない。

 

「……じゃあ、帰る」

 

「【【へ?】】」

 

俺達の間抜けな声が重なり、平然と帰ると告げたレイは立ち上がり窓に足をかける。

 

「いやいや、本当に何をしに来たんだ!?」

 

思わずそう叫ぶとレイは振り返り、再び俺に視線を向けた。

 

「……狂神石を入れられた、同じ。だけど……違った」

 

それだけ告げるとレイは窓の外に飛び降りその姿を消した。いないと判っていても、俺は窓へと駆け寄りその姿を探した。

 

「なぁ、皆。どう思う?」

 

さっきのあの顔……まるで迷子が家族を見つけたような、だけど違ったような……喜びと悲しみに満ちた顔をしていた。

 

【案外……仲間を求めているのかもしれませんね】

 

【そのあり方は認められんけどな】

 

狂神石を入れられた人間と人造人間――もしかしたら自分の同類になっているかもしれないと期待してレイは俺に会いに来たのかもしれない。

 

「なんだろうな、あいつも寂しいのかもしれないな……」

 

【だが同情は出来ない。この事は美神達にも伝えるぞ】

 

「うん、判ってる」

 

【ノッブ。美神達に伝えてくれ、横島は身体を休めろ】

 

【了解っと、ちょっと行ってくるぞ】

 

レイがいると言う事は敵として立ち塞がってくるという事だ。命令を受けていないからとは言っていたが、安心出来るわけが無くノッブちゃんが美神さん達にレイが現れた事を伝えに行き、俺は心眼に言われた通りベッドに再び横になったが……レイの寂しそうな顔は瞼の裏に焼きついていて、どうしても眠れる気がしないのだった……。

 

 

 

 

~おキヌ視点~

 

琉璃さん達が準備してくれた舞台に立ち、私はシズさんが作ってくれた笛ではなく、前の世界では自分の唯一の武器だったネクロマンサーの笛を手にしていた。

 

「おキヌちゃん、霊脈の流れに沿って東京中に音を響かせる事は出来るわ。だけど……」

 

「大丈夫です。心配ありませんよ」

 

心配そうに言う琉璃さんの言葉を遮って私は笑った。前の世界では私は盾であるネクロマンサーの笛しか持っていなかった、盾だけでは守る事は出来ても共に戦うことは出来ない。だから私の霊力を攻撃的な霊波に変換する事が出来る神木の笛を私は欲し、シズさんは迷惑を掛けたという事で私の望む通りの笛を作ってくれた。私のイメージによって霊波変換する事が出来る笛だ、だがそれに鎮魂の効果は無くネクロマンサー、神木の笛――その2つの笛がこれからの私の武器となる。それに今の私の霊力ならば何時間吹いたって枯渇する事はないし、氷室神社で目的を持ってトレーニングして来たので心肺能力だって相当上がっている筈だ。息切れして笛の音色を止めるなんて事は多分ないと思っている。

 

「大丈夫なのね?」

 

「はい、大丈夫です。これが私の戦いですから」

 

私は美神さんのように指揮を取る事は出来ないし、蛍ちゃんのように共に戦うことは出来ないだろうし、小竜姫様のように導く事だって出来ない。私に出来るのは何時だって応援する事だ、武器を手にしても私に出来る事はきっとそこまで多くはない。だから自分に出来る事は誰にも負けないくらい全力でやりたいのだ。

 

「案ずる事はない、神代琉璃。例え人造神魔が来たとしても私はあの少女を守り抜こう」

 

「おう、心配すんな。絶対に守りきってやるさ」

 

言峰神父と不動さんの2人が私と琉璃さんの守りだ。厳しい戦いである筈なのに力強く笑う2人によろしくお願いしますと頭を下げて笛を口元に当てる。琉璃さんに目配せし、琉璃さんが頷いたのを確認してから私は息をゆっくりと笛に吹き込んだ。

 

(適性はあっても私はきっと前みたいにネクロマンサーの笛をふけない)

 

あの時のお婆さんには会えず、西条さんから受け取ったネクロマンサーの笛。確かに霊に対する同情や悲しみの心はある。だけど……私を今動かしているのはやっとだと、やっと私はスタートラインに立てたのだという歓喜だった。生き返れると判っていても不安で、生き返った後もやっぱり不安で……それでも私はまたここに戻って来た。諦めたくない、本当に大好きなのだ。だから今度はその大好きな人の助けになりたいと私は心から願っている。だけどその思いは簡単に崩されてしまった……。

 

♪~♪~♪~

 

風ではない、霊脈に乗ってネクロマンサーの笛の音色が東京中に響き渡っていく。

 

(悲しいよね、苦しいよね、もう痛いのは嫌だよね)

 

ネクロマンサーの笛から伝わってくるのはレギオンに取り込まれている人達の苦しみだ。きっと何度も何度も実験されて改造されて、そして今の姿になったのだろう。その悲しみが伝わってくると同情心が再び込み上げてくる。そしてそれと同時に私の原点、私を好きだと言ってくれた横島さんは優しい私が好きだと言ってくれていた事を思い出した。

 

♪~♪~♪~♪

 

「凄い……これがおキヌちゃんの力……」

 

「これほどのネクロマンサーは世界を見てもそうはおるまい……まさか日本にこんな術者がいるとは……」

 

「そうかあ?俺に音楽は判らんぜ」

 

ネクロマンサーとして私は前の世界では世界最高峰と言われていたが、その壁を越えた気がする。心を込めて、もう苦しまなくて良い、だからほんの少しだけ痛いのを我慢して欲しいと祈りを込める。

 

♪~♪~

 

どれだけ吹いていたのかは判らない、だが疲労感と息切れを感じ笛から口を離す。

 

「上手く行ったみたいですね」

 

「そうね、後は美神さん達の仕事よ」

 

あれだけ巨大だったレギオンの姿は既に無く、かなりの数が除霊され小さくなっただろう。後はきっと美神さん達が上手くやってくれると思う。天に昇っていく霊魂を見つめながら私はレギオンに囚われていた魂が成仏する事を祈るのだった……。

 

 

 

~レイ視点~

 

笛の音色が止まった事で私を襲っていた頭痛も止まったが、蘆屋は額から大粒の汗を流し倒れたままだった。

 

「馬鹿な馬鹿な馬鹿なッ!こんな能力を人間が持っているわけが無いッ!くそくそくそッ!!」

 

拳を地面に叩きつけ怒りを露にする蘆屋を私は冷めた目で見つめていた。相手の能力を計り間違えたのは事実だが……こればかりはどうしようもない事だと思う。

 

「レイ、今から戦う事は出来ますかね?」

 

「……無理」

 

私自身も相当霊力を消耗しているし、狂神石を無効化する相手がいるのならば今の手持ちの狂神石では不安要素の方が大きいと思うと言うと蘆屋は悔しそうに顔を歪め着物の汚れを払って立ち上がる。

 

「狂神石も絶対ではないと判っただけで収穫はあったとそう思うべきですかね。レイ、戻りましょう」

 

「……ん」

 

完全に狂神石の力を無効化された訳では無いが、それでも本来の力を大分抑制されている。私はどうでも良いが、狂神石に絶対の自信を持っていたガープ達の今後の方針転換も視野に入れなければならないだろう。

 

「嬉しそうですね、レイ。失敗したのが嬉しいのですか?もがッ!?」

 

白目と黒目を反転させ、怒りに満ちた表情で私を睨む蘆屋の口の中に買っておいた鯛焼きを突っ込む。

 

「敵が強ければガープ様は喜ぶ。それに横島の成長にも繋がる」

 

「……ごくん、まぁ確かにそれも一理ありますな。やれやれ、失敗しても良いといわれていたのに焦りすぎましたかね」

 

派手に立ち回り、自分達の目的が東京にあると思わせるのが今回の作戦であり、成功しても失敗しても大きな意味が無いのならばここで深追いする理由なんて無い。

 

「それにもう布石は打ちましたしね」

 

「……そう言う事」

 

今回のレギオンは東京が英霊が出現しやすい土地とする目的のための物で、倒されても、浄化されてもその霊力の残滓は東京の霊力を汚染することで今回の目的は成し遂げられている。

 

「……英霊なんてそんなに出現するの?」

 

「いえ、現れるのは影。本来の英霊とは比べ物にならないほどに劣悪な者ですが、それでいい」

 

「……何故?」

 

「くふふふふ、条件さえ満たせば真にいたる。精々気付かれないように影が立ち回り真に迫ってくれる事を祈るとしましょう」

 

そう笑う蘆屋と共に東京を後に魔界へと引き返す。

 

「どうしました?」

 

「……ん、なんでもない」

 

ほんの少しだけ私は足を止めた。その理由は私にも判らず蘆屋の開いた亜空間の中に足を踏み入れた。レイが足を止めたのは本人も気付いていなかったが未練、迷いと言った物だった。

 

(……違った)

 

横島が狂神石に呑み込まれたのならば、横島も自分の同類となり人間と一緒には居られない。そうなればもしかしたら自分と一緒に居てくれるのではないか?ガープの誘いに乗ってくれるのではないか?そんな子供染みた考えがあった。それはおキヌの笛の音色で狂神石によって齎される狂化がほんの少しだけ薄まりレイの自我が表に出た、いや自我が形成されようとしている証なのだった……。

 

 

リポート6 亡者の嘆き その6へ続く

 

 




今回は笛とレイのくだりで終わりましたが、次回は少し時間を戻しておキヌちゃんが笛を吹いている間の美神達を書いて行こうと思います。それでリポート6は終わりでリポート7の六女を含めたほのぼのとかギャグを書こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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