GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
リポート7 初めの一歩 その8
~美神視点~
コンプレックスと頼光眼魂の事を冥華おば様に報告する為に中庭から校舎へと移動する。
「うりぼー、ゆっくりね」
【ゆっくりね、大丈夫だからね】
「ぷぎ!」
気絶している横島君はうりぼーに運んでもらい、私達は先ほどの現象について話をしていた。
「……横島は頼光眼魂を持っていなかった」
「ええ、それは私達も確認したわ」
ポケットの中や手の中を調べたが眼魂はなかった。しかし横島君は半透明の眼魂を持っていた……その理由は大体だが判っている。
「眼魂は霊的な存在ですから、位相がずれているのでしょう」
【ジークの言う通りだな。位相がずれているから私達には確認できない、だが確かに横島の近くに存在しているのは間違いない】
霊的位相が違う、一種の霊視と言っても良いだろう。頼光眼魂は今の状態では除霊・あるいは封印される可能性があるからずれた位相に身を潜めているのだろう。
「無理に呼び出すのも危険ですね」
「それは避けた方が良いわね、リスクがありすぎる」
仮に弱体化している今ならば除霊出来る可能性もあるが、横島君の身体を使われる可能性を考えるとそれは出来れば避けたほうがいい。
「茨木、頼光ってどんな感じ?」
「うん?吾を蟲と呼んですぐ殺しに来る。あいつは怪異を許さない、んで気に入った奴を自分の子供にして取り囲もうとする。詳しくは金時に
聞いたほうが良いと思うぞ」
少し聞いただけだけど、どう考えても犯罪者ね。監禁はやばいと思う……これが有名な武将の真実ってなると正直萎える物があるわね。
「どう思う?除霊した方が良いと思う?」
「絶対止めておきましょう」
琉璃も賛同してくれたので危険は承知だが、暫くは頼光眼魂には触れないほうがいいとい結論になる。
【私もその方が良いと思う。下手に刺激しないほうがいい、出来ればそうだな。小竜姫様から追加の竜気が欲しい所だ】
心眼は小竜姫様の竜気で出来ているから竜気が増えれば押さえ込める可能性もあるって事ね。
「……私と清姫は構わんぞ?」
【……破裂するだろ】
「心眼が?」
【いや、横島が】
「「駄目だよ!?」」
紫ちゃん達に言われなくても判っている。って言うか破裂するって何?いや、まぁ分からないでもないけど……。
「まぁ~竜気だから~人間じゃ無理よね~とにかく~横島君は霊的防御をもっと上げる必要があると思うわ~」
「わふ!」
「ショウトラちゃん達が~自分達の神気は~って」
「「「それも駄目だと思う」」」
12神将は高島の最高傑作だ。余りにも危険……って言うか、ちょっと待って……横島君の霊力を回復させれば何とかなるのならば、回復とまで行かなくても魂の護りを高めれば何とかなるのなら対処法はすぐ近くにあると思う。
「12神将眼魂を使えば何とかなる?」
「……あれ東京で使われたら大惨事なんですけど」
【周囲の神魔が出張ってくるかもしれないな】
「神魔混成軍からは絶対にだめですね」
12神将魂はアスモデウスでさえも退けた眼魂だ。平安時代ならまだしも現代で使えば反デタントの神魔や横島君を危険視している海外のGSとかが出張ってくるだろう。
「分かってるわよ、短時間なら何とかならないかなって思っただけよ、ごめん、冥子。危ないから止めとくわ」
「ううん~良いのよ~私も駄目かなあ~って思ってたし」
これだけ駄目って言われたら治療目的でもやるべきではない、とりあえず無理させず時間を掛けて様子を見る方が良いかもしれないわね。
「う、うん……こ、こは……」
「お兄ちゃん!」
「お兄さん、起きたんだね」
【良かったぁ……】
「何が……美神さん、琉璃さんも……何が、いやあのコンプレックスは!?」
気絶していた横島君は幸いにもすぐに目を覚ましてくれた。だが戦いが終わっているという事と自分が気絶していた事に気付くとその顔を悔しそうに歪めた。
(危ない傾向だわ)
横島君には穏やかに過ごして貰わなければならない。特に狂神石に汚染されていた眼魂の影響を受けていたのならば、普段よりも更に気を使わなければならない。
「横島君。気にしなくて良いわよ、これは本当に相性の問題よ」
「琉璃さん……でも俺はなんも出来なくて……」
「悔しいのは分かるわ、でもGSって言うのは適材適所なのよ。横島君にはああいう精神タイプの悪霊とは相性が悪い。それが分かっただけで十分よ、普通は死んでる。生きて自分の弱点の傾向が分かっただけで儲け物よ。良く頑張ったわ」
除霊で自分の弱点、あるいは相性の悪い妖怪とぶつかり死亡する事例と言うのはかなりある。狂神石の影響で意識を失ったのではなく、コンプレックスの影響で気絶したと思って貰った方が良い。
(自分で呼び込んでしまう可能性があるしね)
霊能者が口にするとその結果を呼び寄せてしまう事がある。言霊というが、強い霊能力者はその傾向がある。霊力などをコントロールすればそれを避けることも出来るが、今の横島君にそれを望むのは酷なので意識させないようにする必要がある。これからの事を考えていると携帯の着信音が鳴り、琉璃に目配せしてから通話に出る。
『もしもし美神さんですか?教授と西条さんと協力して主犯を捕まえました。出来るだけ早く理事長室に来て下さい。結構不味そうです」
「蛍ちゃんがこの事件の主犯格を捕まえたみたいだから冥華おば様の所に行くわよ。今回の事の反省はその後」
焦っているのか用件だけ伝えて電話を切った蛍ちゃん。これは相当不味い事になっていると判り、横島君達に急ぐわよと声を掛けて六女の廊下を走り出すのだった……。
~琉璃視点~
理事長室には数人の男が縛られて転がっていたのだが、その顔に見覚えがあり思わずめまいを感じた。
「めまいを覚えるのは当然だね。僕もそう思うよ」
西条さんも額に手を当てている。それもその筈、六道の除霊のアドバイザーや、講師と言った生徒と最も触れる時間の長い教師が今回の事件に協力していたようだった。
「陰陽寮が実質潰れたからねぇ~自棄になってって所ねぇ~」
縛られ口を塞がれている連中からは憎悪と殺意が込められた視線が向けられてくる。口を塞いでいるのは聞くに堪えない暴言を吐いているからと言う所だろう。
「蛍は大丈夫だったのか?」
「うん、教授と西条さんが殆どやってくれたからね。私は呪縛ロープで縛ったりしてただけよ」
蛍ちゃんが怪我をしてないと聞き、横島君が目に見えて安堵した表情を浮かべる。だけどその気持ちも分かる、だって六道の教師はGSランクで言えば最低でもAランクから、かなりの上位のGSが10人規模で反逆をしていたとか悪夢が過ぎる。
「それで~御影の分家の貴方はなんでこんな事をしたのかしら~」
1人だけ拘束されていない作業着姿の男を見て、私は眉を顰めた。御影家、人を操る事に秀でた催眠術や洗脳に特化した一族だ。それ故に
日陰者だが、今の当主は洗脳術などに適性が無く、前向きで明るい青年だった。御影家の霊能は変わる時が来たと明るい未来を夢見ていたあの人と瓜二つの顔……双子だったのね。
「なんで?簡単じゃないか、GS協会もオカルトGメンも必要ない、陰陽寮があれば日本は安全なのに、それを排除したお前達に制裁を加えようとしたのさ」
「陰陽寮は不正と犯罪の巣窟になっていたわ。そんな組織は必要ないわよ」
「犯罪?不正?ははははははははッ!!!選ばれた者は何をしても良いんだよ。女を犯そうが、物を盗もうが全て許される!それが護国の守り人である陰陽寮に与えられた特権だッ!!!」
聞くに堪えないってこの事を言うのね。私だけではなく美神さん達も眉を顰めている、これが躑躅院が陰陽寮を潰そうとした理由。もう陰陽寮に価値は無く、犯罪者の巣窟となっていたって事かも知れないわね。
「悔い改める気はないのね~」
冥華さんの最後通告に御影家の分家の当主は唾を吐きかけた。
「死んでしまえ裏切り者め!下等な家の分際で吾ら陰陽寮を裏切った事を悔いろ!!」
「そう、じゃあ……貴方達が死になさい」
静かな死刑宣告と共に冥華さんから放たれた指向性の霊力――でも霊波砲でも霊刃でもない、ただ押し潰すことに特化した霊力に押し潰され、御影達は泡を吹いてその場で倒れ込んだ。
「西条君、彼らを逮捕してくれるわよね」
「ええ、その為に僕は来ていますからね。令子ちゃん、神代会長。悪いけど、僕はこれで帰るよ。これから忙しくなると思うからね」
深刻な表情をした西条さんは携帯を取り出し、どこかに電話をすると御影だけを引き摺るようにして理事長室を後にした。
「……」
横島君が無言でどうしてという顔をしている。若い横島君には分からないかもしれないけど、霊能は昔は特別な物だった。それが今では一般人にも使える者が増えてきた。それに焦ったのが家柄だけで霊能を磨かなかった者達と、古い特権を忘れることが出来なかった過去の遺物。それらの妄執が今回の事件を呼んだと言っても良いかもしれない。
「これはねえ~名家って言われる霊能者の家では珍しくないのよ~横島君。昔は……10年、ううん、40年位前は~こんなのは日常茶飯事だったのよ~」
私は当事者じゃないから知らないけど……冥華さんが現役だった時、いやもっと言えばまだ六道家が京都にあった時代は霊能の暗黒時代と言われていたと言うことは知っている。当事者達が恥と言う事で詳しい資料は残されていないが、霊能者の犯罪が多発していたと言うことは知っている。
「大分潰したつもりだけど~まだね、残ってるのよ。横島君達はこういう風に驕ったら駄目よ~霊能は特別な力じゃないし~それが使える
横島君達も特別じゃないの~普通の事なのよ~さてと後処理があるから令子ちゃん達はもう帰ると良いわ~」
霊能は特別ではないのだと冥華さんは笑い、美神さんに横島君達を連れて帰るようにと促す。
「……はい、そうさせてもらいます」
「うん、お疲れ様~あ、冥子。令子ちゃん達に迷惑を掛けたから~ご飯でも奢って上げてね~」
「は~い。お母様~皆行きましょう~」
私だけを残して美神さん達を追い出した。本当なら私も付いていきたかったなと思いながら私は冥華さんに視線を向けて、気になっていた事を問いかけた。
「冥華さん。今回の事判ってましたよね?」
冥華さんにとって今回の事は全て計画通りに思えてならない。確かに作られたコンプレックスは想定外だったとしても、それ以外は冥華さんも把握していた可能性があると思う。
「さぁ~どうかしらね~でも~現実って見ないと駄目だと思わない~?」
にこにこと笑う冥華さん。人の良い顔の下で何を考えているのか本当に判らない。嘘をついているようにも見えるし、本当の事を言ってるようなきもする。
「何がしたいんですか?」
「そうねえ~何でもかんでも答えを欲しいって思うのは良くないな~って私は思うわよ~」
狸っと心の中で吐き捨てながらも私は冥華さんが何をしようとしていたのかは理解していた。
「冥華さんはやり過ぎてると思います」
「そう~?でも私はねぇ~人間の悪意ほど怖い物はないと思うわよ」
間延びした口調ではなく、はきはきとした口調の冥華さんに私は何も言えない。必要なことかもしれないしのは判る、だけど……冥華さんのやり方はどうしても私には賛同しかねる物だと改めて実感するのだった……。
「あ、そうそう~横島君達は合格だからねぇ~臨海学校よろしくって伝えておいて~今回の事は生徒も見ててくれたし~横島君を見る目も大分変わると思うわ~」
「……それも計算してましたよね?」
生徒が見やすい広場で横島君達は戦っていた。あんな所で派手にドンパチしていればどんな馬鹿だって見に来る。そう思えばあそこに中庭で遊ばせていたこと事体が冥華さん様の手の内だったとしか思えない。
「良いじゃないの~これで横島君の見る目が変われば~それで良いでしょ~私が何を考えてたとかってそんなに重要?」
その言葉を聞いて私は冥華さんに背を向けた。確かに味方にすれば頼もしい人ではあるがそのやり方は私が到底受け入れられるものでは無かったし、今回の事があってもなくても最初から横島君を理由をつけて連れて行くつもりだっただろうにと思いながらも、私は判りましたと返事を返す。
「おキヌちゃんと舞ちゃんも合格だからねぇ~冥子は多分このお店に行ってると思うから~3人も合流してあげてね~」
優しくて面倒見のいい冥華さんと冷酷で何かも利用する冥華さん。その2つの顔が目まぐるしく変わる、この奇妙な内面性は1体どんな経験をすれば生まれるのか、そして……。
(どっちが本当の冥華さんなんですか……なんて聞けないわよねぇ)
どちらが本当の冥華さんでどっちが仮面なのか、それとも本当はどちらも嘘なのか……私には冥華さんの仮面(ペルソナ)を見破る事は出来ないなと理事長室を出た所で呟き、待機室にいるであろう舞ちゃん達の下へと歩き出すのだった……。
~???視点~
「馬鹿な!輸送車が消えただと!?一体何が起きたんだ!」
『わ、分かりません!収容所に到着し扉を開けた時には中には誰もいなかったんです!』
「どうなっている!結界を張り霊能は使えない、どうやって脱走したと言うんだッ!」
六女に霊能テロを仕掛けた御影を含む13人の霊能者が全て念入りに霊能を封印され、そして輸送車自体も結界により完全に霊力を遮断していたのにオカルトGメンから、収容先までの1時間の間に御影達は忽然と消えていた。
「不振な事は無かったか?」
『い、いえ何もありませんでしたし、監視カメラで随時確認しておりました』
「……とにかく僕もそっちへ行く、周辺の捜索は霊具を装備して行え、洗脳されるなよ」
『『『りょ、了解!』』』
御影家の霊能である洗脳により脱走を手伝わされ、そしてその記憶を失ったと考え自身も捜索に向かった西条だが……既に御影達は東京に……いや、現世には存在していなかった。
「な、なんで殺す!僕達はお前の言う通りにしただろう!?」
12人の仲間がたった1人の男に追い回され嬲るように殺される。目の前でカートリッジを交換している男に何故自分を殺すのかと御影が叫ぶと、男はやれやれと言わんばかりに肩を竦めて首を左右に振る。
「失敗しただろう?使えない駒は処分する。単純な事だ、そんな事も分からないのか?」
「お、お前は正否は問わないって言ったじゃないか!なんでなんで……僕達を助けに来たんじゃないのか!?「とんだ甘えた坊やだな」……あ、ああ……」
御影の言葉を遮り銃声が響き、御影の額に風穴が開いた。
「成功すれば取り立ててやる。失敗すれば排除する、だから正否は問わないと言ったんだ。しかし所詮はスペア、この程度か」
既に絶命している御影や、12人を六女に反逆するように仕向けたのはこの男だった。自分の手を汚さず、そして六道にダメージを与える計画が頓挫した以上、証人を生かしておくつもりは無かった。
「ロード。お迎えに参りました、如何でしたか?」
「偶に人間狩りも悪くないな。だがやはり私は妖怪を狩る方が楽しい」
老執事に自身が手にしていた拳銃を投げ渡し、ロードと呼ばれた男は車に悠然と乗り込む。
「いかがいたしますか?食事にでも参りますか?」
人間を殺したばかりだというのに食事をするかと問いかける老執事にロードは楽しそうに笑う。
「それも悪くないな、馬鹿な女を引っ掛けるのも悪くない」
「では参りましょうか、我が君」
「ああ、そうしてくれ」
老執事の運転する車がゆっくりと走り出し、男は後部座席で死体の山に視線を向ける。
「最後の見世物くらいにはなるか」
銃弾によって作られた穴が広がり死体を飲み込んでいく姿を見て、歪んだ笑みを浮かべた男を乗せたまま車は進み、オカルトGメンの車とすれ違う。後部座席から西条を確認した男はつまらなそうに鼻を鳴らした、
「西条、お前は愚かだ。ノブレス・オブリージュ等必要ない、高貴な者は何をしても許される、愚民は高貴な者に従えば良いのだよ、お前なら私の右腕になれたのに全く愚かだよ」
胸元に光るオカルトGメンのバッジを外した男がそう鼻を鳴らした瞬間だった。男の隣に浮き出るように1人の人物が現れた……黄金のように輝く金髪と男性にも女性にも見える中性的な美を持つその人物に気付いたロードと呼ばれた男は驚いた表情を浮かべた。
「神の炎が何をしに来た?」
「いえ、近くまで来たので我々のメシアは元気かと」
ニコニコと楽しそうに笑う神の炎にロード――イクサは深い溜め息を吐いた。
「まだその時ではない筈だ。それまで私は自由では無かったのか?」
「自由ですよ?ただミカエルもラファエルもガブリエルも少々放任が過ぎると私は思うのです。貴方はまだ子供、導いてあげなければならないでしょう?」
身を乗り出しイクサの肩に手を乗せようとしたウリエルの額に手を当ててイクサはそれを押しのける。
「子供ではない、私はお前達の元で十分に知恵も戦う術も身につけたはずだ」
「ええそうですね。でも貴方は少々自制心が弱いと思うんですよ、産めよ増やせよ血に満ちよですが……余りにも下等な女を使うのは如何な物かと」
「只の戯れだ。遊びくらい好きにさせてくれ」
「やれやれ、昔はもう少し可愛げがあったんですがねえ」
「与太話は良い、何をしに来た?」
「……蘆屋道貞がどうも貴方の回りを嗅ぎまわっている様で、少しの間護衛として派遣されたのですよ」
護衛として派遣されたというウリエルの言葉にうんざりとした表情を浮かべるイクサ、そしてそんなイクサを見て楽しそうに笑う大天使ウリエルを乗せ、車は市街地の中へと消えていくのだった……。
・
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「ふっかーふかふかー」
「モノーズー」
「ふわあ、こんなお店があるんだなあ」
「そうよお~使い魔を連れてるGSの御用達のお店なのよ~」
「みむう♪」
「ぷぎぃー♪」
「……うん、美味い。なんだ私達が食べても普通に美味いな」
「確かに、これは驚きだわ」
使い魔を連れているGS専門店、看板も出していない一見さんお断りのレストランで美神達は食事を楽しんでいた。
「あー」
「あーはいはい、はい、あーん」
「んんー♪」
「私も、私もあーんあーん!」
【あーん】
紫達が雛鳥のように口を空け、横島は苦笑しながら紫達の口に料理を運ぶ。
「ココー」
【ノーブ】
「やばいな、これめっちゃ忙しいわ」
そしたら次はチビノブ達も自分達に食べさせろと群がってくる。忙しいと言いつつも横島は楽しそうに笑っており、美神達も安どの表情を浮かべる。
「せーんせー来たでござるよー」
「ったく普通迎えに来るでしょうよ」
【おーい、横島ー、沖田が干乾びてから連れてきたぞー】
【ううう……すいません、ご迷惑を掛けます】
「ふう、随分と大所帯になっちゃったわね」
「でも大勢で食べたほうが楽しいと思うよ。お姉ちゃん」
「すいませーん。ちょっと遅れちゃってー」
ノッブに沖田、タマモにシロ、琉璃に舞にそしておキヌも加わり、転入合格祝いの食事を始める横島達は日本にイクサが既に来ている事を知る由もないのだった……。
六道の乗っ取り未遂を阻止し、おキヌと舞の転入祝いを終えた美神は事務所の金庫にしまっていたありとあらゆる方法で封印した小箱を取り出していた。
「今回も何も出来なかった。これじゃ修行の意味がないじゃない……」
努力はして来た、だがその成果は余りにも出ていない。いや……もっと言えば理解を超える現象が続きすぎているのだ。美神達の努力では埋める事が出来ない大きな壁……それに再び直面した美神は深いため息を吐いてから取り出した小箱の封を開ける。
「……これは何なのかしらね」
念入りに封印された小箱の中身は以外にも1枚の紙切れだった――だがそれ自体が膨大な神通力と魔力を秘めた霊具でもあった……それは別の世界の横島がこの世界に現れた時に再び現れたタケル達【※GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! 仮面ライダーメモリークロスヒーローズ】参照……平行世界の横島が変身するディケイドのオリジナルである門矢士から渡されたウィスプが描かれたライダーカードであった……それを手に持って弄りながら美神は渡された時のを思い返す。
「美神令子、こいつをお前に渡しておく」
大事が終わり、異世界のメンバーが各々に元の世界に戻ったり、次の世界に行く中で士に呼ばれた美神はウィスプのライダーカードを渡された。
「これはウィスプのライダーカード?どうしてこんな物が……」
「それを絶対に手放さず、誰にも盗られない様に持って置け、芦蛍にも氷室キヌや神宮寺くえす、そして六道冥華にも、そのカードの事は教えるな」
告げられた事に美神は驚いた、何故誰にも話してはいけないのか、そして何故士がウィスプを知っているのか、そしてその力を何故受け継いでいるのか……余りにも謎が多すぎた。
「ちょ、なんで私に!?それなら蛍ちゃんが良いんじゃ!?」
「いや、お前自身じゃないとダメだ。今もなお、
出てきた言葉に美神は茫然とする……何を言われたのか理解出来ず困惑する美神に背を向けて歩き出す士に我に返って慌てて叫ぶ。
「ちょ、いったいどういう意味よ!?」
「それは自分自身が見つけないと意味がない。これだけは言って置く。横島とお前達の繋がりが断たれた時、もしかするとそれがお前達を再び繋ぐ鍵の1つになるだろう」
手をヒラヒラさせて答える気はないと言う士を美神は見送るしかなかった。
「ホント、どういう意味なのよ。私自身の無意識の罪とか、横島君との繋がりが断たれるとか……」
・
・
・
とある時空の狭間、そこで士は1人立っていた。夏海達と移動した筈なのにこんな場所にいるかを察してため息を吐いて振り返る。
「またお前か」
「どうも世界の破壊者、余計な事をされては困りますね」
士と向かい合うローブの男――レクス・ローの声は穏やかだが、その声には強い怒りの色が滲んでいた。
「お前も世界を破壊し続けてきたはずだ、何故俺の邪魔をする」
「簡単な話ですよ……俺の作る物語の邪魔をするな、イレギュラー。お前はこの世界には何の繋がりも縁もない、面白半分で引っ掻き回されては困るんだよ」
肩を竦めて言い返す士にレクス・ローは滲ませていた怒りを噴き出して士に叩きつける。その凄まじい怒気と殺意を叩きつけられている士は動じず涼し気に笑みを浮かばせる。
「やっと本性を見せたか、ならばどうする?」
「簡単だ、お前を潰す」
ベルトを取り出すレクス・ローに士もまたディケイドライバーを取り出して装着する。
「やってみろ、簒奪者」
「吼えたな、世界に己の居場所を持たぬ半端者風情が」
「悪いな、本来の歴史と言われてる並行世界の俺と違って俺は俺の世界は見つけてるが、五代の様にいろんな世界を旅するのが好きになったのと頼まれたから色んな所を歩んでいるんだ。自分で世界を捨てて放浪しているお前にそんなことを言われる筋合いはないな。変身!!」
「いい加減に邪魔されるのも飽き飽きだ、ここで貴様を潰すッ!変身ッ!!
その言葉と士の変身の言葉を合図に同時に変身してぶつかり合う……時空の狭間で歴史の簒奪者、そして世界の破壊者がぶつかり合った……勝者なき戦いは再びこの世界に大きな波紋を落すのだった……。
リポート8 穏やかな日々/暗雲へ続く
と言う訳でセカンドで少し触れていた妖怪狩りのオカルトGメン、イクサを今回はしっかりと登場させて見ました。サイコパス系で、頭と顔が良く、表と裏の顔を使い分ける男となり、GSでは登場していない4大天使も出してみました。次回はほのぼのとシリアスを組み合わせた話で進めて行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
クリームヒルト狙いで10連したら
イバラギン
べォのアニキ
シャルルでした
シャルルをお迎えできましたがクリームヒルト欲しかったですね。