GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
リポート11 臨海学校・序 その2
~琉璃視点~
机を挟んで反対側に座っている美神さんと蛍ちゃんの2人に向かって私は深い深い溜め息を吐いた。ある程度なら私の裁量でなんとでもなるが私の裁量を超えてくるのは本当に止めて欲しい……。
「何をどうしたら……アリスちゃん達まで来るんですか?」
「「……ごめん」」
「ごめんじゃないんですよ、ごめんじゃあ……それになんで鬼一法眼がガルーダの雛を受け取る事になっているんですか?」
「「成り行き……?」」
「どんな成り行きですか……そもそもなんで鬼一法眼なんてビッグネームが出てくるんですか……」
最悪、本当に最悪アリスちゃんだけなら何とかなると思う、だけどそこに何故天竜姫様と次期天狗の長の天魔ちゃんまでエントリーしているのかを説明して欲しい。
「なんか紫ちゃんって勝手に魔界と天界に行ってるらしいのよね」
「……どういうことですか?」
紫ちゃんの転移能力は知ってたけど、え、魔界と天界まで自由に移動出来ると言われてちょっと脳が理解を拒否していた。
「臨海学校についてくるって聞いて黙ってられると思えないんですよね」
「確かに」
絶対に言う、子供の口の軽さは凄いし、友達なら絶対に言いたくなるだろう。
「それでこっそり着いて来られるくらいなら最初からって思わない?」
「思いますけど、思いますけどッ!!それとこれとは話が違いません?」
六道の臨海学校に横島君を招待する段階でもかなり苦労しているのに+αが凄まじすぎる。って言うかちょっと待って……。
「アリスちゃんが来るって事は魔界の獣もセットですよね?」
「「……」」
「目を逸らすな」
すすすっと目を逸らす2人に思わず目を逸らすなと言った私は絶対に悪くない筈だ。
「私に問題を押し付けて楽しいですか?」
「悪いとは思ってるわよ、でもさ……もしアリスちゃんとかを後で紫ちゃんが連れてきて、怪我でもしたら……」
美神さんに言われた光景を想像し、最終的に脳裏に浮かんだのは……ゾンビだらけの日本である。
「なんで臨海学校だけでそんな地獄絵図になるんですか?」
「……横島のせいですかねぇ……」
分かってはいる。横島君が悪いわけではないのだ、ただ彼が少しばかり人外と幼女に好かれやすい性質って事で……。
「ベリアル様とネビロス様がアリスちゃんを旅行に連れて行ってくれるということで感謝と言って宝石を送りつけてきたんですけど何をしたんですか!?」
「なんか天狗の長と竜神王様から娘をよろしく頼むって連絡来てるんですけど何をしたんですか!?」
ブリュンヒルデさんと小竜姫様の悲鳴にも似た叫びに私は机に向かって思わず頭突きをした。
「なんで……なんでこんなに仕事が早いんですかあ……」
絶対これはあれだ、横島君の家にいる魔界の宰相のルキフグスさんの仕業だ……なんで、なんでこんな事に……と私は頭を抱えて思わず呻いてしまうのだった……
一方その頃横島家はと言うと……。
「浮き輪、浮き輪も買ったほうが良いかしら?」
「んー浮き輪だと落ちると危ないけど紫ちゃん達が欲しいなら良いよ?」
横島の言葉にるんるん気分で浮き輪を探し始める紫達の後姿を見ている横島にタマモとシロが近づいた。
「せんせー、大丈夫でござるか?」
「あの子達泳げるの?」
泳げるかどうか分からないと心配しているタマモとシロに横島は大丈夫と言って笑った。
「子供用のライフジャケットを買おうと思う。浮き輪で駄目そうならライフジャケットを着てもらえば良いと思う」
【なるほど、沈まないように服で対処するわけか】
【では色とかも選んだ方が良いですね】
ライフジャケットを念の為に買っておこうと話をする横島達の足元にずざああっと音を立てて何かが滑り込んでくる。
「【【うおッ!?】】」
その突然の事に横島達達は驚きの声を上げ、足元を見つめる。ピンク色の着物姿でぴくぴくと痙攣しているのは紛れも無く
「沖田ちゃん!?大丈夫!?」
【げふう……不覚、横島君の姿を見て全力疾走をしたらコフってしまいまして……げふ】
「だ、大丈夫か!?」
【本当このポンコツ駄目すぎるじゃろ】
血を吐いている沖田を抱き起こしおろおろしている横島に対して、常にこふっているか変態発言をしている沖田に対するノッブ達の視線は冷ややかなものであったりする。
「……浮き輪は買ったぞ、次は水着……なんだ、沖田までいるじゃないか」
【水着。横島君、海に行くんですか?いいなーいいなー私も行きたいなー】
「え?じゃあ沖田ちゃんも来る?」
【良いんですか、やったーッ!沖田さんも行……げふう……】
「沖田ちゃーん!?」
シロ達が止める間もなく横島が来ると尋ね、沖田は迷う事無く行くと即答し琉璃達の知らない所で新しい参加者が1人加わっているのだった……。
~くえす視点~
六道の臨海学校のスペシャルアドバイザーとして同行すると言う事は霊能者としての仕事と同意儀ではあるが、正直に言えば六道の臨海学校の除霊実習で出現する妖怪の多くは船幽霊や源平合戦に関係した立地と言う事で武者の幽霊なども出没するが決して難易度の高い除霊ではない。仮に難易度が高く高レベルの悪霊が出現するような立地ならば六道と言えど除霊実習の場所に選ぶわけが無く、スペシャルアドバイザーと呼ばれてこそいるが、基本的には除霊の見本などをするのが仕事であり、その後は自由時間と言っても良い。
「くえす、それに柩も、もう少し仕事に真面目になりません?」
「失礼な、私はとても真面目ですわよ」
めぐみが真面目に問いいますが私と柩はこれ以上に無いほどに真面目だ。これ以上無いって程に真剣に水着のカタログを見ているだけだ。
「これなんかどうでしょうかね?」
私の好きな黒のビキニ、少々攻めすぎなデザインなようなきもしますが……見た目とデザイン的に1番心を魅かれたのはこれだ。
「くひ、どうだろうねえ、彼は初心だし……でもビキニ路線はありだと思うよね。でもこれだけだと僕は不味いと思うなあ」
「それはまた何故ですの?」
自分の容姿は十分に理解しているつもりだ。それを生かすのにビキニという路線は決して間違ってない筈だが……何故不味いというのか?と柩に尋ねる。
「ほら、ミィって言う人造神魔が横島の家にいるけど、ビキニに透明スカートみたいな感じで横島に女の子がそんな格好しちゃいけませんって良く叱られてるそうじゃないか」
屋敷で保護した人造神魔か……紫の妹に当るらしいがサキュバスが混じっているのでどうも言動が蠱惑的で、幼い容姿とのギャップでヒトを魅了するに長けているように私も感じていた。
「それから分かるように横島は基本的に初心で純情だから余り下品な物は良くないと思うから……くひ、これに合わせてパレオが良いと思うな」
「パレオ、なるほどそういうのもありですわね」
清楚さも加えることで横島を魅了する可能性を高めるというのは結構良い方向性だと思う。となると同じ黒系統か、反対色で白系統のパレオが良いかもしれない……横島は当然チビッ子軍団も連れてくるはずなので……それを考えるとと水着のカタログのページを捲り、似たようなデザインのビキニだが、少しばかり布の面積が増えている物の方が良いだろうかと頭を悩ませる。
「どこが真面目なんですか……」
めぐみが頭を抱えているが私は極めて真面目にどうやって横島を誘惑するかを考えているだけだ。海は開放的になるものだから、距離感をつめるのに最適な場所だ。除霊という仕事があったとしても、間違いなく距離をつめるのに最適な場所と言えるだろう。
「はぁー……頭の中までお花畑ですか?」
「別にそこまで難しい除霊ではないでしょう?あくまで六道の生徒の除霊の監修ですし」
私達が除霊してしまったら何の意味も無いので、六道持ちで旅行にいけると考えても良いはずだ。
「そうそう、そこまで……」
六道から回って来た旅の栞に目を通してた柩が急に動きを止めた。
「どうしましたの?」
「……悪魔がいる。僕はあの悪魔を許さない」
「どうしましたの?」
急に柩が真面目な顔になったので私も栞を確認すると机妖怪愛子の名前が書かれていた。
「愛子がどうしましたの?」
詳しくは知らないがアルテミスの巫女で机の九十九妖怪と聞いているが、対して強い妖怪ではない筈だ。
「あいつの机の中に飲み込まれるとね、洗脳されるんだよ……訳の分からない属性を付与されて大惨事になるのさ……横島をお兄ちゃんとか呼んで、甘えていた僕を思い出すと死にたくなるよ」
「「……ええ……」」
思わずめぐみと困惑した声を出してしまったが、常時キチガイの柩が横島をお兄ちゃんと呼んで甘えている……その光景を見るとドン引きしてしまう自分がいる。
「笑ってるけどなあ!お前達も飲み込まれたらなんか訳の分からない属性を付与されるからな!自分の性癖が表に出される地獄だぞ!」
性癖が暴露される地獄と聞いて水着のカタログを見ていた手がぴたりと止まった。
「……」
「くえす、くえす?なんで止まっているんですか?」
性癖が暴露される……私の性癖、私の性癖って……なんですの?そもそも横島に出会うまで考えたことも無かったわけで……全然思い当たる節がないが、柩の脅えようを見ていると自分の知らない何かが表に引きずり出されるかもしれないと思うとかなり怖かった。
「今の内に処理できないですかね」
「……アルテミスの巫女になってるから無理だよ……」
「何で除霊する方向になってるんです!?」
めぐみが叫び声を上げるがもしも、もしもだ。横島にドン引きされるような何かが出てしまうと恐ろしくなってくる。だけど良く考えると横島の同級生であるという事を考えると私達の仕業とバレるとそっちでも詰んでしまう。
「……記憶を消す薬を作りません?」
「お金は僕が出しても良いよ」
「なんで今度は記憶を消す方向になってるんです!?と言うか何を作るつもりなんですか!?」
自分達の黒歴史を作る存在を消せないのならば、出来てしまった黒歴史を消し去るのが1番の正解だという結論を出した私と柩に悲鳴を上げるめぐみに私と柩の視線が向けられる。
「意中の相手に猫耳とか付けさせられてにゃんにゃん言って甘えてる自分を見られたらどう思いますの」
「……普段表情死んでるのにお兄ちゃんお兄ちゃんって言って甘えてる自分を見られたたどうするんだい?」
動物なら横島が可愛がってくれるのでは?と考えた事があるので恐らく私が愛子に暴かれる性癖はそっちだと思う、と言うかそれであって欲しいと願っているとも言えるんですが……私と柩にそう問いかけられためぐみは無言で立ち上がり、机の上に鍋をおいた。
「何をしてるんです!早く薬の準備をしましょう!」
やっぱり自分も性癖を暴露される危険性に気付いて焦ってるじゃないかと思いながら、私達は最悪の状況に備えて記憶を消す薬の準備を始めるのだった……。
「水鉄砲……んー」
「みむう♪」
「チビはボールが良いか、じゃあボールを買うか」
「みみー♪」
【ノーブー】
「チビノブは……何それ?」
【ノブ?】
「あ、自分も分からないから面白そうって所か、じゃあそれも買ってみるか」
くえす達が自分達の黒歴史を消し去る薬を練成している間、横島は紫達が遊ぶようにスコップや水鉄砲を選んでいるが、その場所に紫達がいないのは勿論言うまでも無く……。
「……私はこれにしますの」
「……止めろマセガキ」
「……貴方も似たような物だと思いますの」
「あ、これ可愛いなあ」
【私もそう思います】
きゃっきゃわいわいと水着を選んでいる紫達の輪の中に入るのは流石のマナー違反だろうと言う事で、遊び道具を選びに横島は逃げていた。
【沖田さんはこれが良いですね】
【白とか無いじゃろ】
【白は透けますからね、ただの助兵衛ですね】
【ち、違いますからね!?沖田さんはそんなことを考えて選んでませんからねぇ!】
【【ええ~ほんとでござるかあ?】】
白ビキニを選び助兵衛とノッブと牛若丸に弄られている沖田と非常に姦しい中、タマモはパーカーやサングラス、麦藁帽子などを選んでいた。
「タマモは水着を選ばないでござるか?」
「尻尾がごわごわするから嫌なのよ。あと私はあんまり泳ぐの好きじゃないし」
「ふーん、そうでござるか」
タマモの返事に納得していない様子だったが、シロは深く追求せず自分の水着選びに戻り、タマモはそっと自分の胸に手を当てて、後2年かなあと自分の霊力の戻り具合と神通力の戻り具合を確認し、傾国乙女と言われた自分に戻るまでに勝負がつきませんようにと小さな声で呟いているのだった……。
~雪之丞視点~
ママお師匠様に六道から入った依頼――臨海学校への付き添いと言うのは正直乗り気しない物だった。
「なークシナ、本当に行かなきゃ駄目か?」
「駄目よ、報酬も先払いで入って、それで支払いを済ませているんだから、それより早く陰念と雪之丞も支度を済ませなさい」
荷造りしているクシナに駄目元で聞いてみたがやっぱり駄目か……。
「金を先に振り込んで逃げ道を断ってるんだ、諦めるんだな。俺はもうとっくに諦めてる」
「先輩、そんなに嫌がることはないんじゃないですか?ただ旅行出来るようなものじゃないですか」
今回呼ばれているのは俺と陰念とクシナの3人で、確かに向こう持ちで旅行に行けると前向きに受け取る事も出来る。
「確かにな普通なら俺だってそう考えるさ、だけどよ。六道って女子高だぜ?しかもあれだ。横島の事を好きな連中ばっかりの海だぞ?地獄以外の何物でもないぞ?」
俺の言葉に修二はアハハッと乾いた笑い声を上げるが、実際に海に行く俺達にとっては笑い話ではない。
「……しょうがねえよ、まぁあれだ、臨海学校で活躍すれば出会いの1つや2つあるだろ」
「俺はママに似ている女じゃないと嫌だ」
「そのマザコンいい加減にしとけ」
「そうねえ。それさえなければ雪之丞は割りとモテると思うんだけどねぇ」
呆れた様子の陰念と頬に手を当てて溜め息を吐いているクシナに余計なお世話だと吐き捨てる。
「おーう、準備は出来たか?」
メドーサが扉を開けてずかずかと入ってきて準備は終わったか?と尋ね、まだ荷造りしている俺達を見て深い溜め息を吐いた。
「乗り気じゃない仕事なのは分かるが白竜寺の為だ。ちゃんと仕事をして来な」
「分かってますよ。ただあれみたいで、ほら横島君と一緒だから」
「自分がモテないからって相手を僻んでるんじゃないよ、そんな暇があったら自分を磨きな」
本当にぐうの音もでねえよ……余りにもその通り過ぎるので反論も出来ずに荷物を多少乱雑だが詰め込んでいるとクシナとメドーサの会話が聞こえて来る。
「メドーサ様は来られないのですか?」
「一応は顔は出す予定だけど最初からは付き添えないね。ちょいと問題が増えちまって」
問題が増えたと聞いて強烈に嫌な予感がした。虫の知らせって奴かもしれない……聞きたくないと思いながらも聞かないといけない奴だ。
「何があったんだ?」
「天狗の長の娘と魔界の重鎮の娘、それと天狗の所から鬼一法眼が来る」
「「また横島かッ!!!」」
地獄のような追加メンバーと娘という言葉に俺と陰念は思わず声を揃えてまた横島かと叫んでしまうのだった……。
「……また横島さんですか」
「まぁ仕方あるまい、あの男は人外に愛される宿命があるような男だ」
「お父様、それは正直どうなんですか?」
一方ピート達もブラドー伯爵と唐巣神父に追加メンバーを聞いて遠い目をしてしまう。
「神魔が多く人間界にいたときはそういうことは良くあったんだよ、横島君はちょっと凄すぎるけど」
「ちょっとではないと思うんですが……?」
横島の人外の愛され具合はちょっとどころじゃないとピートが指摘すると唐巣も苦笑するあたり唐巣自身もそう思っているようだ。
「とりあえず大きな問題はないと思うから頑張って欲しい。臨海学校自身は特別に講師も来てくれるからピート君もシルフィー君もいい勉強になると思うよ」
「違う学問を学んできた者と共に学ぶのも良い勉強になる。励んで来るが良い」
いい勉強をしておいでと言うブラドーと唐巣にピートとシルフィーは明るい返事を返す。臨海学校はいままで学んできた物を試すのは勿論、除霊の中で更なる発展を望めると言う事で誰もが気合を入れて参加の準備を進めていた。
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「どうしますか?六道に今回の臨海学校は見送ってもらうように連絡しますか?」
「馬鹿を言え、馬鹿を、見送らせては六道からの謝礼金も貰えん、このまま続行だ」
「しかし……源氏の亡霊武者がこれほど出現するのはいまだかつて無いですよ?」
「数が多かろうと普段除霊されている者だ、心配することはない。良いか、余計な真似をするなよ」
六道と提携している現地の霊能者は止めるべきだと進言するが毎年六女が臨海学校と除霊実習をすることで莫大な富を得ている地元の地主は現地の霊能者に余計な事を言うなと釘を刺し会議室を出て行き、残された現地の霊能者は監視されているので電話などで連絡を取る事が出来ずどうしたものかと頭を抱えながら余計な事は言うなと言わんばかりに威圧を掛けてくる黒服に囲まれながらその場を後にするのだった……。
リポート11 臨海学校・序 その3へ続く
海という事できゃっきゃうふふと言うフラグも用意しておりますが、今回は長編リポートなのでシリアスも入ってくるので不穏なフラグもばっちり完備しております。次回はアリスちゃんや愛子、ドクターカオスの話を入れて海へ出発して行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。