GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その4

リポート11 臨海学校・序 その4

 

~美神視点~

 

ついに来た六道の臨海学校への出発の日――だが点呼の段階でもうお腹が痛くなってきた。

 

「横島ー!あたいが来たぞーッ!!!」

 

「チルノちゃんは何時も元気だなあー」

 

青いワンピースに青い帽子、そして氷の結晶を翼のようにしている幼女が勢い良く横島君に飛びつき、それを受け止めた横島君はそのままの勢いでくるくると回転しているが、その動きでとんでもない冷気を撒き散らしているのはどういうことなのか知りたい。

 

「……横島、凄く寒いんだけど……そのチルノちゃんのせいなの?」

 

「へっくちッ!!」

 

蛍ちゃんが寒いと口にし、蛍ちゃんに連れてきても良いわよと言っていたあげはちゃんがくしゃみをし、周りからもくしゃみの音が響く、夏で陽射しがきついのにここだけ冬のように冷え込んでいる。

 

「サイキョーの妖精なんだぞ!」

 

「チルノちゃんは最強なんだけど冷気をコントロール出来ないんだ」

 

……おかしいわね、私の知ってる妖精はもっと弱い筈なんだけど……夏の暑さを消し飛ばすほどの冷気を持つ妖精なんて初めて見る。

 

「お兄ちゃーんッ!!」

 

「っとと、アリスちゃんも元気そうだね」

 

「うん!私は元気だよ!!」

 

横島君に駆け寄ってにぱっと笑ったアリスちゃんだけど、横島君が抱っこしてるチルノちゃんを見て頬を膨らませた。

 

「チルノ!荷物を持って行かないで走って行ったら駄目でしょー!!」

 

「いひゃいひゃいッ!!!」

 

アリスちゃんに頬を引っ張られて痛いと呻いているチルノちゃんだけど、アリスちゃんが2個鞄を持って来たことを考えれば怒るのは当然だ。

 

「……この段階で凄い個性的なことになりましたね」

 

「言葉を濁さなくて良いわ。大惨事一歩手前よ」

 

最強の妖精のチルノちゃんにネクロマンサーのアリスちゃんだけでも手を持て余す案件だが……これだけで終わりではないのだ。

 

「フッカー!」

 

「ヨーギ!!」

 

てちてちと奇妙な足音を立てて魔界のマスコット軍団もやってきた。横島君にめちゃめちゃ懐いているのでひどく愛らしいが、これが別の人間が触ろうとすれば一気に攻撃性を見せるので対応は慎重になる必要がある。

 

「みむ!!」

 

「モノー!!」

 

【ノノーブ!】

 

【ノッブブー】

 

……ただ慎重になってもどうにもならない事は沢山あると思う。今横島君の回りを踊っているマスコット軍団なのだが、その中に1匹見覚えがあると言うか、人間界にいる普通の動物にしか見えない魔獣が居た。

 

「クア?」

 

と言うかどこからどう見てもペンギンだった。よちよちと歩いているがやはり見た目通りかなり遅い動きだ。

 

「ぺ、ペンギンさんでちゅ……」

 

「くあー?」

 

「か、可愛いでちゅ」

 

あげはちゃんが酷くペンギンを気に入ったのかぎゅっと抱き締め、危ないと一瞬思ったのだがペンギンは大人しくあげはちゃんに抱かれていた。

 

「魔界にもペンギンがいるのね」

 

「あ、違うんですよ、あのペンギン。リヴァイヤサンだそうです」

 

「「はい?」」

 

リヴァイヤサンと言えば水龍だが、どうしてそれとペンギンが繋がるのかと思わず首を傾げる。

 

「なんか水を操って龍に擬態するらしくて、海だから連れてきましたけど大丈夫ですよね?」

 

それは私の方が聞きたいんだけど……これ本当に大丈夫かなと不安を抱き、ふと後を振り返る。

 

「あらあらあら~ふふ、琉璃ちゃんは大変ね~」

 

「……ソウデスネ」

 

琉璃に丸投げをすることを決めた冥華おば様の言葉に死んだ目をしている琉璃に申し訳ない気持ちになったのだが、それも殆ど一瞬の事だった。空から龍が引いている牛車と天狗が駕籠を担いで舞い降りてきた……さすがの六女の生徒もこれには困惑を隠しきれない表情を浮かべている。

 

「今ここにガープが攻め込んで来たら全面戦争ですわね」

 

「やめて、お願いだから不吉なことを言うのをやめて……」

 

くえすが言うと冗談に聞こえないし、本当に起きてしまいそうなのでそういう不吉な事は言わないで欲しい。

 

「今日はご招待をしていただきありがとうございます」

 

「うきゅー」

 

「がうッ!!」

 

「……」

 

天竜姫とモグラちゃんとクマゴロー、そしてハイライトがOFFになった小竜姫様が牛車から出てきて、それに続くように駕籠が開いた。

 

「かんらからから!思いっきり楽しむとしようかの天魔」

 

「はい、そうしましょう」

 

やんごとなき雰囲気の幼女2人が合流し、ざわめきが少しずつ静まり返っていく……見た目は幼女だが纏う雰囲気が只者ではないのが分かるのだろう。そして鬼一法眼は言わずもがな只者ではないと一目で判る。

 

「てんりゅー、てんまー」

 

「わーい! あえて嬉しいでちゅー♪」

 

「紫ー! それにあげはも」

 

「来ました!」

 

イエーイとハイタッチするロリっ子チーム。見た目は微笑ましいが、1人だけでも六女の生徒を圧倒出来ると言う事を忘れてはいけない。

 

「アリスとチルノと後ミィだよ」

 

「アリスだよ!!」

 

「あたいはチルノー」

 

「……ミィですの」

 

天竜姫と天魔が初見のアリスちゃん達を紫ちゃんが紹介している後ろでは、籠に入っているガルーダの雛を横島君が鬼一法眼に渡していた。

 

「じゃあ、鬼一さん。よろしくお願いします」

 

「うむ、任された。これを幻魔の所へしっかりと連れて行けよ」

 

「「はっ!!!」」

 

2人の天狗が鬼一法眼に渡されたガルーダを丁寧に受け取り、籠の中に乗せてゆっくりと舞い上がっていく姿を心配そうに見送る横島君を見つめていると今にも死にそうな呼吸音が聞こえてきて振り返ったらジークが死にそうな顔をして大量の荷物を運んでいた。

 

「ネビロス様達からのお守りです。これを準備しておけばガープ達も追いそれと手を出せないと思います」

 

ブリュンヒルデの説明はとてもありがたいが、ジーク1人で運べる量じゃないって言うのはきっと触れてはいけない部分なのだと思う。

 

「ふふ、とても楽しみですわね」

 

「あれ!?清姫ちゃん」

 

「はい、貴方の清姫ですわ!天竜姫が心配なので着いてきたのです」

 

……あれ、なんで清姫まで……天竜姫が心配って言ってるけど、正直どの口が言ってる?って言うレベルだ……そんな事を考えながら目が死んでいる小竜姫様に視線を向けると小竜姫様は死んだ目のまま微笑んだ。

 

「……止めれると思います?」」

 

「「「無理」」」

 

「それが答えですよ……ふふ……」

 

胃が痛むのだろう腹に手を当てている小竜姫様は悲壮感しか感じなかった。

 

「美神さん。私海だから少しは横島と進展あるかなって思ってたりしたんですよ」

 

「私もそんなことを考えてましたわね……」

 

意中の相手と海となれば関係の進展を望むのはわかる。まぁ確かに臨海学校で、仕事も兼ねているから何をちゃらちゃらしてるって言わざるを得ないけど、気持ちは分かる。気持ちは分かるけど……。

 

「進展はあり得ないわね」

 

「ですよねー……」

 

「そうですわよね……」

 

口から魂が出そうな表情で深い溜め息を吐いている蛍ちゃんとくえすの視線の先には完全保父さんモードがONになっている横島君とその周りで踊っているチビ達の姿と、互いに自己紹介をしているロリっ子軍団の姿とどう考えても進展のなさそうな雰囲気になってしまっているのだった……。

 

 

 

 

~タマモ視点~

 

チルノという妖精は横島の話で聞いていたが、聞くのと見るのでは全然違っていた。掌に狐火を出して膝の上に乗せる、幻覚の炎だがしっかりと温かい。

 

「シロも欲しい?」

 

「ほ、欲しいでござるよお……」

 

「ん」

 

ノースリーブのシャツに短パンのシロに狐火を渡すと、蛍も視線を向けてくるのでこうなったらと全員に狐火を渡しながら私はチルノを観察していた。

 

「むむむ、むううう、むきいいいいい――ッ!!!」

 

「……チルノの負けですの」

 

【チルノは顔に出ちゃいますからねー】

 

ババ抜きで敗北したのか怒っているチルノの姿は紫達同様10歳前後の幼女だが、そうしているだけでも途方もない冷気が漏れている。

 

(コントロールできてないって言うのは本当みたいね)

 

妖精と言うのはその多くが自然現象の具現化だが、チルノはどうも通常の妖精とは比べ物にならないほどに強力な個体のようだ。龍神に天狗に鬼に妖怪とゾンビと人間より遥かに冷気への耐性が強いから普通に遊んでいるが、人間だったらそれこそ触れられただけで致命傷になりかねないだろう。

 

「そこの所どうなの?」

 

「……私の加護が発動している限り横島が冷気でダメージを負う事はない」

 

ふんすっと自信満々のシズクだが、まぁこれは私も同じで炎なら横島にダメージを負わせないようにする自信があるが……流石に今の中途半端な加護では不安が少し残るか……。

 

「お兄様も良い加減に参加してくださいな」

 

「そうだよ、お兄ちゃんも混じってよー」

 

「んーもうちょっと待って……良し出来た、チルノちゃんおいでおいで」

 

「なんだー!」

 

横島がチルノを手招きして呼んで首からペンダントを掛ける。あれって確かあれよね、心眼の提案で常に無色のシルバーアクセサリーを準備しておいて状況に応じて精霊を憑依させて守りを固めるだっけ?と心眼との話を思い出している中横島はペンダントトップを握り、片手で剣指を作る。

 

「氷精招来、チルノちゃんが普通に遊べますように」

 

ペンダントの飾りであるジルコニアの色が青く染まるとバスの中の冷気が緩まってきた。

 

「何をしたんだ?」

 

「ちょっとだけ冷気を俺の方でコントールしてみた、どう?天竜ちゃん達も大分寒くないんじゃない?」

 

横島の言う通り大分寒くないと言うか暑くなって来たわね。狐火を消すと先ほど身震いしたチルノの冷気はもう殆ど感じない。

 

「寒くないですね」

 

「ちょっと暑いですね……」

 

「でも夏は暑いものなので平気ですわ」

 

「吾も平気だな」

 

「アリスは良くわかんないや」

 

【私もですね】

 

冷気が緩まったと分かりチルノの顔が目に見えて明るくなった。

 

「あげはもトランプするぞー!」

 

「まざるでちゅー!!」

 

寒いからと言って離れていたあげはも寒く無くなったと言う事で、横島達の輪の中に加わる。

 

「これはずっとなのか!」

 

「ん?心眼どうなの?」

 

【即席だから長くは持たん、そうだな。今度はちゃんとして準備すれば長く冷気を抑制するのも作れるぞ】

 

「じゃあ作って!作って!!」

 

「あ、ずるい!アリスも欲しいー!!」

 

「わ、私も欲しいです」

 

「欲しい!!」

 

欲しい欲しいという声に横島は苦笑しながらも楽しそうだ。楽しそうな横島は見ていて私も楽しいのだが……。

 

【こうやって横島君本人の恋愛が遠のくんですかね?】

 

【確かにそうですよね、主殿はどうも自分よりも他人を優先しますからね】

 

【子供にじゃれつかれてる間は絶対自分の事は考えんぞ、難儀な男じゃなのー】

 

英霊3人の言う通り横島の悪癖と言うか、前もそうだけど横島は自分をあんまり優先しない性質だからなぁ……。

 

(もう少し勝負は考えないと駄目ね)

 

勝負所を間違えれば妹扱いで終わる……それを避ける為にはアプローチを掛ける場面を間違える訳には行かないわねと苦笑し、鞄から飴の袋を取り出す。

 

「舐める?」

 

「……うっぷ貰うでござる」

 

寒さが緩まり若干車酔いしているシロに飴を渡し、私も飴の封を切って飴を口の中に入れる。そのほのかな甘みと酸味を楽しみながら、難しいと分かりながらも好機はある筈だと頭を回転させながら窓の外を見つめるのだった……。

 

 

 

 

~横島視点~

 

美神さん達とは違う階層の部屋に荷物を置いて開いているカーテンから窓の外を見る。白い砂浜に綺麗な海と確かに高級ホテルというだけはあるなと実感する。

 

「場違い感半ぱねえな」

 

小波間海岸の高級ホテルにチェックインしたのだが、高級ホテルの名に相応しい装飾に家具の数々に俺みたいな一般市民には縁がないにも程があるなと苦笑する。

 

【横島、1つ言っておこう。お前のような一般人はいない】

 

心眼が呆れたように言われるが、俺は十分一般人に含まれると思うんだけどなあ……。

 

「美神さんとかくえすさんとか凄いお金持ちじゃん?俺金銭感覚的には十分一般人だと思うけどな」

 

【訂正しよう、金銭感覚だけは一般人だ】

 

だけを強調する心眼に苦笑しているとGパンの裾を引かれて視線を下に落とす。

 

「ふっか!」

 

「おーどうした?早く遊びに行きたいのか?ちょっと待ってくれな、今準備するから」

 

今日の夕方までと明日の午前中は自由時間なのですぐ海に出る準備をすると言うが、鮫っぽいのは俺の服の裾を引っ張るのをやめない。

 

「どうした?今日は随分と……「フッカ!!」……俺に?」

 

「フカア~♪」

 

アリスちゃんと来た時に小さな鞄を背負ってるなと思ってたけど、その鞄から出した青い宝石みたいのを差し出してくるのでそれを受け取るとにぱあっと満面の笑みを浮かべる。

 

「ヨーギー!」

 

「モノー」

 

「キーバッ!」

 

「なんだ、なんだ。俺にくれるってか」

 

果物や宝石、良く分からない金属片がどんどん俺の足元に並べられれば、言葉が分からなくてもプレゼントだと分かりありがとうなと声を掛けながら頭を撫でると嬉しそうに飛び跳ねるので見ていると俺も楽しくなってくる。

 

「よっし、じゃあ海行くかー」

 

用意していた鞄に水着とかを詰め込んでチビ達を引き連れて俺はホテルの所有しているビーチへと足を向けた。

 

「……ホテルは良かったけど、ビーチやばくないか?」

 

【確かに……】

 

なんで鳥居が……しかもそれだけではなくあちこちに霊力を秘めた石碑などが置かれていて……それだけ悪霊が多いという事なのだろうか……美神さんは旅行と思って大丈夫と言っていたけど、除霊が始まる時はしっかりを気合を入れる必要がありそうだ。

 

「じゃあ遊んでて良いけど、海の中には入らないように」

 

「みむ!!」

 

「フカ!!」

 

後でチビ達が水遊びを出来るようにプールを作る予定だが、ほかにやる事があるので砂浜で遊んでいるようにと声をかけるとチビ達は大興奮という様子で砂浜に突撃するが、リヴァイヤサンは俺を円らな瞳で見つめてくる。

 

「まぁリヴァイヤサンは良いか、でもあんまり遠くに行ったら駄目だぞ?」

 

「クア!」

 

俺の許可を得るなり弾丸のような勢いで海に飛び込むリヴァイヤサンと思い思いに砂遊びをしている声を聞きながらホテルのフロントで借りてきた荷物を広げ、ビーチの横に用意されている更衣室でちゃっちゃと着替える事にする。

 

「良し、やるか」

 

男の着替えなんて早い物でバミューダと上に羽織るパーカーで完了だ。だけど女の子はそうではないので来るまでの間にレジャーシートを広げて、ビーチパラソルを準備する。

 

「海だあああああ!!!」

 

「おい待て、馬鹿」

 

俺の横を駆け抜けて海に飛び込もうとする雪之丞の足を栄光の手を伸ばして捕まえる。

 

「へぶうっ!!!何しやがる横島!!!」

 

「お前こそ何やってるんだよ。これから三蔵さんとかクシナさんが来るんだろ。まずはレジャーシート、次にビーチパラソルを準備するのが男の仕事だろうが」

 

女の人に重労働をさせるのか?と言うと雪之丞はハッとした表情になった。

 

「久しぶりの海ではしゃぎすぎてたぜ……俺が悪かった」

 

「分かったら良い。手伝ってくれよ、ほい、ペグ」

 

「おう」

 

ペグを渡してレジャーシートを広げて隅をペグで固定し、大型のビーチパラソルを広げる。

 

「ターフのほうが良くないか?」

 

「あー確かにその通りだな。ターフってあったっけ?」

 

合流して来た陰念も俺と同じ考えだったようでレジャーシートを持っているが、その上に陰念はターフのセットも持って来ていた。

 

「借りてきてる。横島、雪之丞も手伝え」

 

男は日焼けを気にしないがやっぱり美神さん達だと気にするかもしれないという事でターフを3人で協力して広げていると背後からピートの声がした。

 

「ターフですか?僕も手伝います」

 

「おお、悪い……お前馬鹿か」

 

「変態がいるぞ。変態が」

 

「マザコンに変態って言われたら終わりだぞ、だがお前は変態だ」

 

「酷いですね!!?」

 

ピートが酷いと言うが俺達3人がバミューダなのにブーメランはない、何を考えてブーメランを選択しやがった。あのVラインは変態でなければ着る事すら躊躇うのに、なんでこいつは堂々としているのかと言いたくなった。

 

「お前な、六女だぞ、女の人ばっかりなのにその水着はない」

 

「変態だな、軽蔑するぜ」

 

「購買にバミューダが売ってたからそれを買って着替えて来い、変態」

 

「……ハイ……ワカリマシタ……ゴメンナサイ……」

 

俺達3人に変態を連呼され引き返していくピート。つうか何を考えて本当にブーメランを採用したのか問い詰めたくなるな……まぁ時間の無駄なのでそんな事はしないが……やっぱりあいつナルシストの気があるんだなと思った。

 

「タイガーはどうした、あいつこそ力仕事に必要だろ?」

 

「あーあいつ女性に対する免疫0で、暴走するとセクハラしまくるからホテルから出して貰えないんじゃないか?」

 

「……なんでそんな奴を連れてきた?」

 

「さぁ?」

 

性犯罪者予備軍になりかねないタイガーは可哀想だが、ホテルで時間を潰して貰うしかないだろう。もしくは時間をずらしてとかかなと話をしながらある程度の休憩所を作った所で伸びをしながら立ち上がる。

 

「横島、お前は泳がないのか?」

 

「いや、先にチビ達が水遊びするプールとか作るし、俺はそこからだな」

 

砂浜を満喫しているチビ達だが、泳ぐのも好きなのでちょっと穴を掘ってプール見たいのを作ってそこで水遊びをさせようと思っている

と言うと雪之丞は呆れたように笑い、俺の肩を叩いた。

 

「お前本当に保父が天職じゃねえのか?」

 

「どうだろうなー、まぁ俺の事は気にしないで良いぜ。あ、でも海に入る前にストレッチだけはしろよ」

 

陰念と雪之丞にストレッチだけしてから海に入れよと声を掛け、チビ達が水遊びをする為の穴を掘ろうとスコップを手にする。

 

「横島。随分早かったのね」

 

蛍の声が聞こえて振り返り、俺は言葉を失ってしまった……。

 

「変……かな?」

 

胸元にフリル、腰元にリボンがついた青いビキニ姿で頬を赤らめている蛍が水着の感想を聞いてるから返事を返さないといけないと分かっているのに、完全に見惚れてしまった俺は一言も言葉を発することが出来ず。それでも何とか返事を返さないといけないと思い、搾り出すように良く似合っていると口にするのがやっとだった。

 

「本当、いや私もちょっと不安だったから似合ってるって言ってもらえると嬉しいわね」

 

はにかむように笑う蛍に俺も笑ったのだが、ふと俺は気付いてしまった。

 

(あれ、もしかしてこれ全員に聞かれる?)

 

そんなことはないとは言えないわけで……俺に人を褒めるボキャブラリーなんて殆どなくて感想を求められたら言える事なんて殆どない訳で……どうしようかと頭を悩ませている間に俺は再び背後から声を掛けられてしまうのだった……。

 

 

リポート11 臨海学校・序 その5へ続く

 

 




海で水着の感想を求められる横島君は次回から修羅ばります。特にくえすがぐいぐい来る感じですね、水着の感想の後はほのぼので海を満喫して行こうと思います。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
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