GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その6

 

リポート11 臨海学校・序 その6

 

 

~横島視点~

 

海と言う事で水着という事は分かっていた。だけど俺は多分分かっていたつもりになってただけだった……。

 

(あかんあかん)

 

水着は下着とそう面積が変わらないのもあって肌色の面積が多すぎる。白い肌とか、胸の谷間とかがしっかりと見えてしまってどうしても居た堪れない気持ちになる。助兵衛なことを考えてはいけないと思っていてもどうしてもそっちに思考が寄りがちになってしまう。

 

「し、沈む……横島、沈む!!!」

 

「だ、大丈夫、大丈夫だからテレサ」

 

今手を繋いで泳ぎの練習をしているテレサもそうだが……海に来て俺はあることを知ったのだ。

 

(浮いてる……)

 

体は沈んでいるのに胸が少し浮いている……そう、胸は水に浮くのだと……救いな部分はテレサがビキニとかじゃなくて競泳水着みたいな物を着ている所だけど……それでもやはり刺激が俺には強すぎた。

 

 

「う、浮いた……お、おおお……泳げるッ!!わわッ!?」

 

「だ、駄目だって力を入れると沈むって!!」

 

浮いた瞬間に力を入れてしまい身体が沈んでパニックになるテレサをなんとか引き上げたが、意図してなくても胸が腕とかに当ってしまい、助ける・おっぱい・助ける・おっぱい・おっぱいと頭の中がめちゃくちゃになってしまい、俺もパニック状態一歩手前に陥ってしまい、1度泳ぎの練習は終わりッ!と叫んで水泳練習を強制中断するのだった……。

 

「……」

 

「……」

 

ジト目で見つめてくる蛍から目を逸らす、だけど背中に蛍の刺すような視線が向けられていてとても居心地が悪い。

 

「……横島、どうですの」

 

ミィちゃんがワンピースタイプの水着のスカートを捲りあげ、お尻を突き出すような格好をしながらどうですの?と声を掛けてくる。

 

「止めなさい、そういうの良くないから」

 

なんかどきどきしていたのが急に冷めるのを感じる。いや、別にミィちゃんが可愛くないわけではないのだが……理性のSTOPッ!!!って言う叫び声が脳裏に響いた感じだ。

 

「むきゅ……ッ!」

 

ミィちゃんは幼い容姿だが、人を誘惑や魅力する術に長けている……気がする。サキュバスの力の一部があると聞いているが、女の子がそんなことをしてはいけませんと頭を抑えると口を×の字にして不満そうな顔をする。

 

「止めなさい」

 

「……分かりましたの」

 

珍しく物分りが良いと思ったのも束の間、ミィちゃんはにこりと笑った。

 

「……横島は尻ではなく胸派と分かりましたので」

 

「何が!?」

 

突然明後日の方向に全力投球してくるミィちゃんに思わず叫ぶが、ミィちゃんは意に介した素振りも見せず紫ちゃん達の輪の中に加わって遊び始めてしまう……ノッブちゃん以上の自由人だがその言動が余りにもアウトを攻めすぎている。

 

「……でも横島って琉璃さんとくえすの胸を見てたわよね」

 

蛍の言葉が否定できぬ……そりゃまあほら、俺もその男だし……琉璃さんもくえすも胸を強調する際どいデザインのビキニだし……肌白いし……。

 

「……すみません」

 

「横島の助平」

 

俺は海に来て何度謝れば良いのだろうか……?でもやっぱり見せつけるようなポーズを取ってくるくえすとか琉璃さんにはどうしても目を魅かれるわけで……。

 

「もう、蛍ちゃん。そんなことばっかり言ってると遊びに来た意味がないですよ」

 

【むしろ横島にも男としての視点があって良かったと喜ぶべきじゃろ】

 

助け舟を出してくれたおキヌちゃんは凄くありがたいけど、ノッブちゃんのフォローはやっぱり明後日の方向だった。

 

「む……まあ確かに……」

 

【くだらない嫉妬をしている暇があったら少しは自分から歩むよるべきでしょう!ささ!主殿も遊びましょう、ビーチボールとやらをしましょう!!!】

 

「とっと!!」

 

俺が海から出てくるのを待っていたように牛若丸に手を引かれ、俺は蛍とおキヌちゃんから引き離されボールを持っている紫ちゃん達の所に連れて行かれ、その道中でホテルから出て来た金時達を見つけてビーチバレーに誘うのだった……。

 

「何やってるんですか……」

 

「いや、そのですね……」

 

【馬鹿なんじゃないですか……?あ、馬鹿なんですね】

 

「ぐう……」

 

胸のコンプレックスが凄すぎて横島を威圧しすぎていた事をおキヌと普段馬鹿してる沖田に説教された蛍は呻く事しか出来ない。

 

「そんなことしてたら嫌われて終わりじゃないですか」

 

「むきゅ……ッ」

 

【別に横島君は胸だけを見ているタイプじゃないと思うんですけどね~というか褒められてるだけで良いじゃないですか、沖田さんなんて何も言われてないんですよ】

 

「……馬鹿の一例だな」

 

「無様ですわね、横島様に気を許されているからと横暴が許されるわけではないのですよ」

 

「……はい……ごめんなさい」

 

胸囲の格差を見せ付けられつつの説教、その上に完全に正論を言われているので蛍のメンタルはみるみる削られる。だが稚拙な独占力を見せた蛍が完全に悪く、その稚拙さは付け込む隙をくえす達に与えていた。

 

「ゲームをしませんか?どうせ食事の時に横島はちびっ子達の面倒を見ますが、そこに割り込めないわけではないでしょう。面倒を見ると言う名目で手伝う事も出来ますし、その内ちびっ子達も休む筈……その時に邪魔をしないと言う事で……バレーボールの勝敗で決めませんか?勝利者の邪魔を一切しないと言うルールで横島を短時間だけでも独占出来るかもしれない権利と、一緒に食事の権利を得ると言うのはどうでしょうか?」

 

そしてくえすの一言でバレーボールがデスゲームと化すのだが、それに待ったを掛ける者は不幸な事に誰1人として存在しないのだった……。

 

 

 

 

~柩視点~

 

サマーベッドにボクは寝転がりバレーボールという名のデスゲームを見つめていた。

 

「くひひ……良くやるねぇ……」

 

独占欲は分からないわけでは無いが、ボクには縁の無い物と言っても良い。一番ではなく、横島にそれなりに愛されれば満足なのだ。多少酷い扱いをされればなお満足と我ながら歪み切っているが、これがボク。夜光院柩という人間のあり方なのだからどうしようもない訳だ。

 

(むしろボクは横島に人並みの性欲があった事に少し驚いているよ)

 

昔の横島は助平小僧だったらしいが、アリスやチビ達といる間に子煩悩にシフトして行ったそうだが……やはり元の助兵衛根性は中々抜けないようだ。だがそれで良いじゃないかとボクは思う、男は助平でなんぼだろうと死んだ母も言っていたし、父も母の他に何人も妻が居て子供がいたし……まぁそれは夜光院の人間が極めて短命で子供を残す事が一族で強要されていたのが原因だけど、それを知っているからボクもまともな恋愛感は持ち合わせていない。

 

「はっ!!!」

 

「くっ、このおッ!!!」

 

魔力と霊力で身体能力を強化してのバレーボール。轟音が響き、直撃を受けた者が面白いように吹っ飛ぶと言う異常事態。

 

「こ、これって止めた方が良いのかな」

 

【止めておいた方が良いわね、女の子には色々あるのよ】

 

「かんらからから、止めに入ったらお前も死ぬぞ、横島。それより子供達が呼んでるぞ、早くそっちに行ってやれ」

 

余りの有様に横島がおろおろしているが、その目はジャンプの度に揺れる胸を無意識に追っているので、ボクとしては良いぞ、もっとやれと言う所である。むしろこう、横島の獣欲とか性欲をもう少し刺激してくれた方が関係が進展するのではないかと思ってる。むしろ……あれだ、所構わず手を出すくらいの性欲を見せた方が良いんじゃない?とまで思っている。

 

「やぁ、会長殿。休憩かい?」

 

「……まぁね……次、くえすだし……本気で潰しにくるわよ。くえすなら」

 

「そうだろうねえ、くえすと書いて独占欲と……っとと「何か言いましたか?」全然?別に?」

 

ボクが横になっているサマーベッドの隣にくえすのスパイクしたビーチボールが炸裂し、地雷が爆発したようになってるがボクは気にしない。

 

「警告1だね、後1回は挑発しても大丈夫」

 

「……命知らずね」

 

「くひひひ、どうせ死ぬ命だったからねぇ、だからまぁ1回でも横島に抱かれれば後は死んでも良いよ」

 

横島が交渉して手に入れたくれたチョーカーがなければ死んでいた命だ。だから死を恐れるって事はあんまりない、性交渉1回でも出来ればそれで死んでもまぁ満足だろう。

 

「……本当歪んでるわね」

 

「くひひひ、それでこそボクだよ」

 

歪んで歪んで、壊れて捻じ曲がって普通の視点などないがボクだ。だからそれでいい、それでこそボクだと思ってる。

 

「よーいーしょ」

 

「来た来た、ほいッ!」

 

「てやーッ!!」

 

ロリっ子組みは楽しそうにバレーボールをしてるねぇ、まぁあれが本当の楽しみ方なんだろうけど……。

 

「くたばれッ!!!」

 

【金時ガードッ!!】

 

【えっ!?ぐぶおおおおおッ!!!】

 

【金時が死んだ!この人でなしッ!!!】

 

沖田が躊躇う事無く、既に敗退し審判になっていた金時を盾にし、くえすのスパイクを防いだ。悲鳴を上げて吹っ飛んで海に飛び込む金時とそれを見て笑いながらくえすを責める信長……。

 

「うーん、良い感じにカオスしてる」

 

「カオスしすぎて六女生徒ドン引きしてるわよ」

 

魔界の魔獣に、横島を取り合うある意味醜い女の争いと、ドン引く要素しかないけどボクは面白くて笑っていた。

 

「くひひ!半端な覚悟で横島の側に近寄る物じゃないんだよ」

 

横島は神魔も関わっての奪い合いだ、蹴落とし、足を引っ張り、それこそ押し倒し無理に既成事実を作るくらいの覚悟でなければならないのだ。

 

「まぁそういう意味では会長殿は不利だよね、巫女は純潔じゃないと駄目だからねえ」

 

「……そういう事いう?」

 

「くひひ、言うよぉ?」

 

ある意味女も性欲の権化だし?むしろ男より助兵衛なんじゃないと笑う。会長殿がドン引きしてるけど、全然ボクは気にしない。むしろ名家の当主で巫女で女の切り札を使えない会長殿が最終的に出遅れそうで、それが面白いとさえ思っている。

 

「ふーかー!」

 

「キバー!!」

 

鮫っぽいのと口の横に牙があるドラゴンがジャンプし、その間から犬っぽいのがジャンプしてボールを中に入れようとするが……。

 

「うーきゅ!」

 

「みむ!」

 

「こ、ココオオッ!!!」

 

モグラにディフェンスされ、チビにスパイク返しされ魔界のマスコット勢が敗れた。

 

「下克上失敗だね」

 

「……って言うかなんでチビが勝てるのかしらね」

 

「さぁ?」

 

種族的にはチビは最弱な筈なんだけどねぇ……と思っていると横島のぶばっと言う噴出す音が聞こえて振り返る。

 

「私の勝ちですわ」

 

【そ、そんなのありですか!?あああああーーーッ!!】

 

くえすのスパイクで水着の上を吹っ飛ばされ、赤面し、胸を隠して蹲る沖田とそんな沖田を見下し、勝ち誇っているくえす……そして横島と目が合い絶叫しながら吹っ飛ばされた水着を回収に走る沖田。

 

「なるほど、手段を選ばなくなってるね。まぁ目潰ししてるだけ温情はあるかな」

 

雪之丞達に目潰しをしているが、横島は直視してしまい蹲って紫達にどうしたの?って心配されてるし、地獄絵図ここに極まれるだね。

 

「そっちがその気ならこっちもそれ相応の事をするだけよ」

 

「横島に見られるよ?」

 

「横島君ならセーフ、というか前に殆ど半裸で抱きあってし私は気にしないわ」

 

その理論もどうかと思うけど、くえすが先に脱がしにかかり手段を選ばなくなった事でここから先は更にデスゲームになると分かり、ボクは笑みを浮かべながら参加しなくて良かったと思うのだった……。

 

 

 

 

~ゆみ視点~

 

おねー様達も参加しての臨海学校と除霊実習を心待ちにしていたのはきっと私だけではないと思うのですが、そこで待っていたのは想像を遥かに越える光景だった。

 

「……あたしはこんな地獄になると思ってなかった」

 

「奇遇ですわね、私もですわ。一文字さん」

 

もっとこう和気藹々とした楽しい催し物を私は想像していた。

 

「そーれ」

 

「むきゅッ!!」

 

「天魔!?くっ!!」

 

【むむ!流石天竜です!お兄さん!】

 

「OKッ!ほっと」

 

横島GS達とちびっ子……と言っても神魔と英霊ですがあっちは良い、とてもほのぼのしていて可愛らしい光景だが……。

 

「私は横島様と素敵な午後を過ごすのです!!!」

 

「……鬱陶しいストーカーめ」

 

龍神2人のバレーボールは危険すぎる……しかも横島GSの取り合い……。

 

「これさ、横島GSの取り合いなんだよね……」

 

「え、横島GSがやばいの?それとも横島GSがモテすぎてるの?」

 

横島GSがあっちこっちに手を出しているのか、それとも横島GSがモテているのか……。

 

「小鳩止めときなよ、死んじゃうよ!?それに下手すると脱がされちゃうよ!?」

 

「でも横島さんとワンチャンスあるなら私は行くわ、あと脱がされても横島さんが意識してくれるなら私は一向に構わない!!!」

 

 

「これ多分後者ですわよね?」

 

「うん、あたしもそう思う」

 

横島GSはナンパな性格には見えないと言うか……。

 

「あいたッ!!うー……」

 

「あーあ、大丈夫チルノちゃん。痛くない?」

 

「うー……ちょっと痛い」

 

「ちょっとはしゃぎすぎちゃったか」

 

こけた子供の手当をしている姿に疚しさや厭らしさはまるでなくて、本当に子煩悩なお父さんって感じですわよね。ロリコンとかの性犯罪者には見えなくて……本当に心優しい人って感じがする。

 

「ぶふうッ!?

 

「う、……うううううーーッ!!!」

 

小鳩さんが腕で胸を隠して走り去り、横島GSが鼻を押さえて蹲る。

 

「……私はどんな反応をするのが1番正しいのでしょうか……」

 

横島GSが助平というべきなのか、無謀にも神魔がいるバレーボールに参戦した小鳩さんが悪いのか……横島GSが喜んで見ているのならば嫌悪するが……。

 

「1回休憩しない?」

 

「やだーまだ遊ぶでちゅー!!!」

 

「フカーフカー!!!」

 

「ヨギィ!!」

 

「私もまだ遊びたいです」

 

「吾も!」

 

「……そっかー、じゃあもう少し遊ぼうか……」

 

気まずい顔をして帰ろうとしたのを見ると横島GSとしては、進んでみたいと思っているわけではないみたいですわね。

 

「あのさ、あたしの従兄弟で割りとナンパが好きな人居たんだけど、結婚したら凄い落ちついたんだ」

 

「急に何の話です?」

 

「いや、横島GSがあたしの従兄弟に似ててさ、もう落ち着き過ぎて恋愛に進まないんじゃない?」

 

なんでしょう……分かってはいけないのに分かってしまう自分が居て……同性でありながらこれくらい捨て身じゃないと恋愛に進まない状況になっておる芦GSを憐れに思うべきなのだろうか。

 

「ブリュンヒルデ、全く神魔のくせに人間にコナを掛けるとか恥を知りなさい」

 

「横島は私の英雄ですから……ふふ」

 

……今凄くひやっとした、もう命に関わるレベルの恐怖を感じた。

 

「おーい、弓さんと一文字さんもあそぼーよー」

 

遊ぼうと言いながら必死の顔をしている同級生を見ると巻き込まれるから逃げろ!と言っているのは明らかで、私と一文字さんは背後の轟音に恐怖しながら頭を抑えてその場から逃げ出しながら隣を走ってる一文字さんに声を掛ける。

 

「これ臨海学校の間ずっとこの感じですか?」

 

「……横島GS。少しで良いから自分から動いてくれないかな。これ絶対横島GSがなんもしないから悪いと思うんだけど」

 

「そうかもしれないですわね……」

 

とにかくこの悲劇の7割は横島GSが悪いと結論付けた私達は、この臨海学校の間横島GSには余り近づかないようにしようと心に誓うのだった……。

 

 

 

~美神視点~

 

あいつやりやがった……ッ!事故って顔をしてるけど確実に故意だ……確かに偽物の英霊もどきの映霊の沖田はもどきと言えど半分は英霊の要素を得ているのでかなり強力な霊だ。それを正面から倒すのは不可能として水着をピンポイントで、しかも破かず、本人に怪我もさせず弾き飛ばすスパイクとか一体どれだけの高等技術を使っているのかと言いたくなる。

 

「くえすも良い感じに壊れてるわね」

 

「何を言ってるの、元々くえすは壊れてるわ。恋は盲目って言うけど、基本暴走してるわよ」

 

初恋に暴走気味だが、押し倒しに行かないだけまだ良心的と思っていたが、水着を狙うのは正直どうかと思う。

 

「ふえーん……令子ちゃん、負けちゃったぁ~」

 

「……よく挑戦しようと思ったわね……冥子」

 

くえすが水着ブレイクをする前に敗退した冥子が半泣きでやってくるが、正直あの運動神経でビーチバレーと言う名のタイマンに参加しようと思ったと思う。

 

「だってえ~横島君、紫ちゃん達ばっかり見て構ってくれないのよ~これじゃあ折角遊びに来たのにつまらないわ~」

 

……これで私よりも年上って言うから困るのよね……エミもどうする?って顔をしてるけど、それを知りたいのは私の方だ。

 

「あい! して! まーすッ!!!!」

 

「~~~~ッ!!!!」

 

「ね、姉さんッ!ぱ、パーカー、パーカーッ!!」

 

清姫のスパイクでマリアの水着の上が吹っ飛んだわね、テレサがあわあわしてるけど位置的に真正面だった横島君と見られたことを認識したマリアのダメージが致命傷に見える。

 

「横島どうした?熱いのか?氷いるか?」

 

「チルノ、お兄様に氷をあげて欲しいわ」

 

「だ、大丈夫……」

 

半裸を見て赤くなって、チルノちゃん達に心配されて青くなる……血圧が凄い勢いで上下してるけど大丈夫かしら……?

 

「私いま少しだけ襦袢でよかったと思ってます」

 

「そうね、英断だと思うわ」

 

水着を買いに行っていれば間違いなく小竜姫様は突撃していただろうし、同じ目にあっていただろう……。

 

「誰か1人がやれば躊躇いがなくなるのは分かるけど、酷いワケ……」

 

パーカーを着たマリアが耳まで真っ赤にしてホテルに激走していく、その後をテレサが水着を持って追いかけてるけど振り回すのは正直どうかと思う。

 

「でも冥子、下手すると胸を横島君に見られちゃうわよ?焦らなくても後で遊べるんじゃない?」

 

「……横島君なら私別に良いのよ~?」

 

……またエミと顔を見合わせる、これはやばい。完全に本気である……冥子にタイムと言ってエミと額をあわせる。

 

(どうしてこんなになるまでほっておいたわけ?)

 

(わ、私のせいじゃないわよ!?)

 

そもそも冥子はぼんやりしているがガードはかなり固い、そんな冥子を本気にさせる段階で横島君がやばすぎるのである。

 

「冥華おば様に相談した?」

 

「頑張りなさいって~」

 

(どうするのよ、あの人動いたら終わるワケ)

 

(分かってる、分かってるけど!!)

 

冥華おば様なら六道に横島君の血が入るならOKって考えで正妻でも妾でもOKって考えだからゴリ押しして……。

 

「きゃあっ!!うう……」

 

「ぶうっ!?」

 

ブリュンヒルデの悲鳴と横島君の噴出す音に振り返るとくえすがまた水着を弾き飛ばし勝利し、ブリュンヒルデが胸を腕で隠し、赤面し蹲る姿を直視した横島君がKO寸前のボクサーみたいになってる。

 

【お兄さん、少し休憩しますか?】

 

「あげはも少し疲れたでちゅー」

「ずっと遊びっぱなしですしね」

 

「果実水を飲みましょうか」

 

「吾はかき氷が良い!」

 

「良し行こう、そうしよう!!」

 

ロリっ子達が休憩と言い出したのをこれ幸いと横島君がチビ達を連れて逃げていく、耳まで真っ赤でかなりダメージを受けているのが分かる。

 

「まぁあれはおいておいて良いわ」

 

「大丈夫なワケ?」

 

「横島君は最近なんか枯れてるから、少しは刺激を与えた方が良いわ」

 

保父さんとブリーダーで子煩悩が強くなりすぎているので、少しは刺激を与えた方が良いと思う。

 

「さて、横島がいないと言うことは手加減はいりませんわね、砂浜に頭から突き刺さる覚悟は出来てますか?」

 

「うふふふ、私はそんな事はしませんわよ、あられもない姿になる覚悟はおありでして?」

 

「横島がいないから私も手加減しないから」

 

「やっぱりね、お姉さんは距離を詰めれる機会って逃がすつもり無いのよねぇ」

 

バレーボールすら捨ててガチバトルする気満々の蛍ちゃん達を見て、私は深い溜め息を吐いてサマーベッドから立ち上がった。

 

「マルター、三蔵ちょっと手伝って」

 

【OK-!】

 

【あたしも良いわよー】

 

年齢的に色恋に暴走するのは分かる、分かるけど……今この状況で下手に魔力や神通力、勿論霊力も使えばそれこそこの周辺の結界を跡形も消し飛ばしかねないわけで……これでは何をしに来たのか分からないので止めに入る事にする

 

【【「良い加減にしなさいッ!!!」】】

 

私達の怒声にびくんっと肩を竦める蛍ちゃん達に説教をする為に私達は砂浜へと降りていくのだった……。

 

「別に喧嘩するなとは言わないけどね!もっと穏便にしなさい穏便に!!」

 

【不順異性交遊は駄目だからね!もっと健全な恋愛をしない、健全な恋愛を!!!】

 

【……あたし言う事ないんだけど……?えっと、あ、そうだ。くじ引きとかで順番にしたらどう?】

 

三蔵の妥協案が出され、何時の間にか始まった脱衣バレーボールは終了を迎えた。だが海について1時間も経たずにこの騒動――臨海学校の間にどれだけの問題が起きるかと思うと頭が痛くなってしまうのだった……。

 

「おーい!もうすぐお昼できるってー!!蛍達も早く来いよー!!」

 

横島君の呼ぶ声に弾かれたように動き出す蛍ちゃん達を見て、私は本当に反省してるの!と怒声を上げたが、案の定蛍ちゃん達が反応する事は無く、小竜姫様の姿もあって……。

 

「頭が痛い……」

 

【確かに、これは頭も痛くなるわよね……】

 

【ぎゃてえ……横島君が早く誰か1人に決めてくれたら良いのに……】

 

それも確かに1つの解決策だと思うけど、それはそれで修羅場になりそうで……、

 

「エミ……1番確実に丸く収まるのって何だと思う?」

 

「横島が全員娶る」

 

一瞬それしかない?と思った自分がいて、でも倫理的にそれはアウトなわけで……でも霊能者的にはあながち間違いではなくて……。

 

「とりあえず私達もお昼にしましょう」

 

横島君も呼んでるし、あんまり気を揉むのもあれだし、まずは食事という問題の先送りを私は選ぶのだった……。

 

 

 

リポート11 臨海学校・序 その7へ続く

 

 




突然始まってしまった脱衣バレーボール。これで横島の煩悩が少しONになりました。破では、ここで少しONになった煩悩を更にONにしたいと思いますね、それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。

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