GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
リポート12 臨海学校・破 その2
~蛍視点~
毒々しいピンク色の門を潜って数秒、誰もが絶叫する事になった。自分の欲望や願望が形になる……しかもそれが最上級神魔が関わっているとなれば隠せない物と言うのは分かっていた……分かっていたけど……ッ!!手加減とかもう少し手心を加えてくれても良かったんじゃないかと思う。
「「「「なによ、これええええええッ!?!?」」」」
耳がきーんっとなるくらいの絶叫が通路に響き渡り、山彦のように帰ってくる。それが逆に腹ただしくなってくるほどの静寂だ。
「……チガウンデス、チガウンデスヨ、ベツニヤマシイキモチナンテナクテデスネ」
……サキュバスも真っ青な際どい水着姿で違うんですと片言でトマトみたいな顔をして言っていても全く説得力の小竜姫様に……。
「私は何も気にしませんわ、まさにこれこそ私の願望そのもの!」
白無垢姿の清姫はまぁあれだ、分からなくもない。常に横島への愛を叫んでいるので願望がお嫁さんになる事も納得だ、納得するけどそれとこれとは話が違うけど……。
「……まぁある意味これが私の本当の姿みたいな所はあるしな」
巫女装束とは少し違うけど、神聖さを感じさせる法衣姿の美しい女性の姿になっているシズク。その姿めちゃくちゃ久しぶりに見た……パイパーの時以来だと思う。
「「「嘘付け」」」
「……いや、本当だぞ?子供の姿の方が横島に取り入りやすいし、霊力とかの消費も楽だから子供の姿をしているだけだからな」
めっちゃ堂々と言い切ったわね……いやでもシズクならそれくらいは普通にするだろうけど……もしかしなくても横島に気をつけるように言っておいた方が良いかも知れないと思った。
「姉さん、ちょっと視界が低いや」
「そ、そうですか……ええ、テレサはそうですよね、ええ、分かりますとも」
テレサはロリフォーム、これは多分あれだ。情緒が育ってないのでアリスちゃん達が横島と遊んでいるのを見て羨ましいと思ったテレサの子供らしさの現われだと思うけど、マリアさんは……うん。
「……マリアさん」
「はい、なんでしょう?」
「……もしかしてルキフグスさん羨ましいと思ってました?」
「……ちょっとだけ……」
超がつくフリフリのミニスカートにガーターベルトに胸を強調するような少し小さな上着姿にカチューシャとどう見てもメイド服なのだが、丈の短さとかがどうしても如何わしい何かを連想させる。
「全く浅ましい事を考えているからそう言う事になるのです」
「自制心って大事よね、うんうん」
「そうだよね。まぁとにかく早く横島を探さないと」
「ブーメランって言葉知ってる?3人とも?」
くえすはテレサと同じでロリフォームだ。まぁこれは良いだろう、普段がもうかなり淫靡なので、これはまだ許される範囲だと思うけど……琉璃さんと柩は絶対駄目だと思う……。
「いやもうあれじゃない? 開き直ろうかと……」
「それで猫耳ビキニになるのはなんでなんですか!?」
白ビキニに猫耳装備なのは何故なのかと尋ねた私はきっと悪くない、琉璃さんは一応巫女である筈なのに……何故と思う。
「……いや、ほら私巫女だし?純潔守らないといけないじゃない?でも当主だから次代ってことも言われるのよね」
「つまり耳年増でムラムラしていたと」
「シャラップッ!!!と言うかなんでもかんでも私に押し付けてどれだけ私がストレスを溜めてるのか考えたことあるのかぁッ!!!」
……琉璃さんが壊れてる……思わず目を伏せてしまうほどに琉璃さんの姿は痛々しかった。
「欲求不満と……はっ」
「死ねくえすッ!!!」
「だれが死にますか!!」
……もう駄目だ、おしまいだあ……まだスタートもしていないのに2人が脱落寸前になってる。
「会長殿もくえすも弾けてるねぇ」
「柩、貴女が1番はじけてると思うわよ?」
「くひひ、でもこれはボクの願望そのものだよ」
首輪、手錠……あと眼帯で片目だけ塞がれてて……拘束されてるようにしか見えず、幼い容姿も相まって犯罪臭が尋常じゃない。
「それが?」
「うん、あと服の下は荒縄で亀甲「それ以上は駄目よッ!?」……ちょっと気持ちよくて「駄目って言ってるわよね!?」……くひ♪」
笑い声が少し上って言うか嬌声が混じってる事にやばさしか感じない……と言うかドがつくMで対応に困る。これを友人と言ってるくえすと柩ちゃんと普通に呼んでいる横島が凄すぎる。
「理想とすればこんな感じなんだよね、拘束されて躾けられるの好きだよ、後は妊娠して捨てられても可。骨折までなら我慢するよ、横島相手ならね」
「業が深すぎる性癖を暴露するの止めてくれない?」
Mとかそういう次元じゃなくて只のやばいの奴だった。というか柩の中で横島はどんな感じになってるのかと少し問いただしたくなった……。
「どうせ後で暴露されるなら先に暴露しておいた方がいいじゃないか?」
「無敵か!?」
色んな意味で無敵すぎる柩……私の中で不気味って印象だったのに、この短い時間だけでやべーい奴になっている。
「でも蛍ちゃんも人の事言えないと思いますよ?」
「……いや、私控えめじゃない?」
割烹着姿のおキヌさんにそう言われるけど、ほかの色物よりずっとましだと思う。
「違和感しかないですわよ、偽乳」
「それやるならもうもっと吹っ切りなさいよ、欲望を解放しなさい。ムッツリ」
「良いじゃないですか!?ほんのちょっと胸が大きくなったらなあって思っただけですよ!?」
周りのアホみたいな胸囲とまでは言わないけど、2……いや、1カップでもいいから胸が大きくなって欲しいって思って何が悪いというのか……。
「私は悪くないと思うわよ」
「黙れ、諸悪の根源」
「淫魔は喋る権利はないわ」
「私の人権は!?」
ごめんフォローできないわよ。愛子さん……だって、だって……。
「愛子さんも小竜姫様と似たような服装してたら淫魔って言われるわよ?」
「私は淫魔じゃないんですけど!?」
小竜姫様が反論するが、その服装で淫魔じゃないは無理がある。防御力なんてどう見ても0だし、少し動けば胸が零れ出てしまいそうだし……アウトかセーフで言えば……。
「「「「1000%サキュバス」」」」」
「違います~!!!!」
赤面して叫ぶ小竜姫様だが、どう見てもサキュバスである。あと愛子さんは自分の格好を見て、胸を腕で押さえて蹲った。
「違う違う……いやいや……ええ……でも」
なんか自己弁護しようとして無理となったのか顔色を目まぐるしく変えてるけど、認めてしまえと正直思ってる。
「一応言いますけど、サキュバスは最高指導者の指示でそこまでアレな服装してないですよ」
「「「いや、嘘だろ」」」
もう殆ど服として機能していない格好のルキフグスさんに絶対嘘だろという突っ込みが重なるというか……。
「ルキフグス様は男性でしたよね?」
……ブリュンヒルデさん、その羽のついた際どいビキニはなんなんですかね?神魔って皆羞恥心皆無なんですか?と言いたくなるが、聞き捨てなら無いのはルキフグスが男だったという言葉だ。
「ルイ様のご気分で性別が変えられるので別に男とか女とかじゃないですよ?」
性別超越してた……と言うかこの人もルイさんに振り回される側の人だった……。
「じゃあ横島に興味はないと?」
「いえ、興味津々ですが?女の身体で得れる快楽も味わって見たいと思っています。それに……」
「「「それに?」」」
「横島の物は凄いです、股間に顔を埋めたから知ってます」
なんで真顔でこんな事を言えるのかと呆れる以前に一週回って真顔になるし、突っ込みすら出てこないわ……。
【そんなに凄いですか?】
「凄いというか……あれは多分……串刺し、壊されるのも視野に入れるべきかと」
【マジかあ……まぁそれはそれでワシも興味あるな!沖田はどうじゃ、何か言いたい事は】
【擬似親子って最高だと思いません?】
……聞こえない聞こえない、生々しすぎる会話なんて聞こえないし、英霊としての牛若丸のアウト過ぎる服装で少し成長してる姿とか、どこのモデルですか?って言うノッブの姿も私には見えてないし、変態発言も聞こえない。
「……魔界で買った媚薬投与しても大丈夫ですかね」
「死ぬかもね、快楽で」
ちょっと待ってくえすと柩は何の話をしてるの?って思ったけど、問いただすのもあれなのでずっと気になっていたほうに視線を向ける。
「それでタマモは何、その格好……顔付きまで変わってない?」
「……多分あれね。九尾の狐の誰かが私に干渉してるわね……何、このピンク色の髪にスーツって……趣味悪ッ!」
趣味が悪いのは分かるけど、思いっきり胸を開けてるのは正直どうかと思うのよね私、髪とスーツに文句を言う前にボタンを締めた方が良いんじゃないかしら?
「なんか出来る秘書って感じでござるな!」
「そうねえ~今のタマモちゃんなら六女の事務職も出来るかも~」
……全く変化していないシロと冥子さんを見て突っ込みに回ってたけど、私ってもしかして十分に淫魔脳なのかと思い、がっくりとその場に崩れ落ちるのだった……。
~紫視点~
願いが叶うよ☆って書かれていた門を潜った後、視界がぐんっと伸びたのを感じた。それに手足も伸びて……。
「大人になりましたわ!」
「……幻術だけど案外凄い」
幻術だとしても大人になったのは素直に嬉しい、お兄様が可愛い可愛いと言ってくれるのは嬉しいけどそれとこれとはやっぱり話が別なのだ。
【私凄く大きくなりました!】
「「「……なんかずるい」」」
でもリリィが1番成長していた……どこかとは言わないけど……言わないけどッ!!物凄い敗北感がある。私と天竜姫と天魔のずるいという言葉が重なる。
「何が?」
あとアリスは持ってる側だ……なんかこうあれですわね……なんて言えば良いのでしょうか……。
「私は別にあんまり気にしてないですけど」
「……まぁこんな物かと……」
「ですわよね」
どこかとは言わないが、大きすぎず小さすぎないので丁度いいはずだと思う……。天竜姫と天魔も着ている民族衣装をそのまま大きくして、凛とした綺麗な雰囲気がある。大人になってもやっぱりそんなに変わらないのですねと思っていると別人みたいになっているアリスが爆弾を投下する。
「でも紫はやっぱり胡散臭くなったね」
「胡散臭くないですわよ!?……なんで目を逸らすんですの?」
「……いや……その」
「悪巧みしてそう」
「何でですか!?そんな事は考えてません!」
胡散臭いって言われるのは何故なのかと思わず声を上げる。私は決して胡散臭くない……筈だ。
(でもお兄様にも言われたら……)
お兄様にまで胡散臭いって言われたら私はもう立ち直れないかもしれない、思わずその場にへたり込んでしまう。
(それに平行世界の私って……)
胡散臭いの権化みたいだった平行世界の自分を思い出し余計にダメージを受けてしまう紫、胡散臭い悪巧みしてそうの言葉は会心の一撃となって紫の心を貫いていた。
「だ、大丈夫ですよ。横島は多分、胡散臭いって言わないと思います」
「大丈夫だと思う、多分……」
「めちゃくちゃ不安に思ってるじゃないですか!私のどこが胡散臭いと言うんですか……」
置いてあった鏡を見ても別におかしな所はないと思うのですが……なんで感想が胡散臭いなんですか……。平行世界の私を見てあんな風にならないように努力して、お兄様に可愛いと言って貰える様に色々頑張ったのに……成長したら何で私は胡散臭くなってしまうのだろうか……。
一方、その頃平行世界のマヨイガではこんなやり取りが行なわれていたりする。
「へっくし」
「どうしたんです紫様?いきなりくしゃみして?」
「いえ、誰かに悪口言われた気がして」
「それは仕方ないと思いますよ」
「酷くない?」
その人物がくしゃみをしていたのは些細な事であったりする。
「……それはきっと雰囲気ですの」
「「「うわあ……」」」
ミィの言葉に振り返り、私と天竜姫と天魔は思わずドン引きした。お兄様が何時もちゃんとした服を着てと言ってるけど、その言葉の意味を理解してしまったかもしれない……なんと言うか……凄くえっちだった。
「……うわぁとは何ですの、うわぁとは……」
アリスとリリィ以上に大きくて、殆ど裸同然なのは絶対に良くないと思う。
「その格好でお兄様の所に言ったら怒られると思いますわよ」
「……良くない、凄く良くないと思う」
「駄目すぎます。もう駄目です、駄目駄目です」
【……私もそれは良くないと思います】
「アリス。良くわかんないけど、良くないと思う」
絶対良くない、もう駄目だと思う。本当にお兄様が本気で怒ると思う……だけどミィはふんすっと強気な態度を崩さない。
「……これで結婚の条件を満たせるので問題ないですの」
「結婚?なんですのそれ」
「なんかね、好きな人とずっと一緒にいれるんだって」
知らない言葉に首を傾げているとアリスがそう教えてくれた、好きな人……お兄様とずっと一緒……。
「いいですわね、それ!」
「うん、良いよね!」
大好きなお兄様とずっと一緒なのは凄く嬉しい事だし良い事だ。
【でも今もお兄さんとずっと一緒ですけど、何か違うんですか?】
「「うーん確かに?」」
お兄様は何時も優しいし、ずっと側にいてくれているけど……それと結婚は何か違うのだろうかと首を傾げる。
「……大丈夫ですのよ、「今」の私達なら横島がきっと優しく教えてくれますのよ?」
「「【??】」」
私と天魔とアリスはミィの言葉に首を傾げたが、天竜姫だけはスカートを握り、頬を赤くした。もしかして天竜姫は結婚に必要な物を、もしくは結婚する為に私達が覚えなくてはいけない事を知ってるのかもしれない。だけどそれを尋ねる事は少し難しそうだった……。
「……天竜姫は知ってるんですの」
「いや、あの、ちがくて」
「……大丈夫ですの、ね?んふふふ……ほらほら、何を考えたのか教えて欲しいですの」
「いやだからッ!!!」
「……大丈夫ですのよ、大きくなれば皆分かることですの、ちょっと天竜姫が早く知ってるだけで」
「う、うううう……ッ」
これは天竜姫がミィに苛められているだろうか助けるべきなのだろうか……ミィがにやにやしていて、天竜姫がうろたえていて……どうしようかと悩んでいると強烈な打撃音がした。
「……ちょっと待っててくれますか?すぐに戻りますから、ミィと大事な話があるので」
「……助けてくださいですの!ちょっと調子に乗っただけですの!!!ふぎいッ!?」
助けを求めるミィの頭に拳骨を振り落として黙りなさいと無表情で言う天竜姫が物凄く怖かったので、私達はミィを助ける事を秒で断念した。
「「【あ、はい】」」
目の据わった天竜姫が涙目で頭を抑えて口を×にしているミィを引き摺って通路の先に消える。連続で響いて来る打撃音とミィの許しをこう叫び声を聞いて、私達は思わず耳をふさいでその場に蹲った。
「お待たせしました、さぁ行きましょう。あ、後、結婚の事は横島には聞いては駄目ですよ?まだ私達には早いですから」
頬に紅い何かをつけて、ミィの頭を鷲づかみにして引き摺りながら横島に結婚の事を聞いてはいけないという天竜姫に私達は何度も何度も頷き、天竜姫に先導されながらお兄様を探す為に迷路のような通路を歩き出すのだった。勿論歩いている私達の胸の中にあったのは天竜姫を怒らせてはいけない、怒らせたら多分死ぬという確信めいた予感だったりする……。
~美神視点~
横島君達が愛子ちゃんの机の中で鍛錬を積んでいる間、私達は私達で金時が発見したという斬撃を放った存在の事を調べていた。
「今戻ったぞ、やっぱり頭数が多いと良いな。色々聞けたぞ」
陰念と雪之丞とクシナを連れて聞き込みに言っていたメドーサが帰ってくるなり、地図を広げていた私の前に座り込んだ。
「ここと、ここ、それとここの住人も殺されて首を持ってかれてる。性別は当然バラバラ、あと年齢もな」
このホテル周辺で霊能関連の事件と言う事で伏せられていたが、霊による無差別大量殺人が発生していたのだ。
「陰念達は何か聞けた?」
「ああ、どうもあれみたいだ、地元の名士の血縁関連とかではないのは確実だな。色々と調べてみたが遠くからこっちに移住してきてる連中が多い」
「一族ごと皆殺しみたいだったぜ、ただ妻だけが殺されていたり、妻以外が殺されていたりって全然統一性がねぇ。これ無差別殺人じゃないか?」
移住者が多いとなるとやっぱり地元の伝承の線は消えたか。それに皆殺しだったり、妻だけが生き残っていたり、妻も殺されていたりとこれまた繋がりがない……。
【今戻ったわよ、ちょっと興味深い話を聞けたわ】
【多分これ、手掛かりになると思うわよ】
マルタと三蔵、そしてピートの3人が帰ってきて、興味深い話が聞けたと聞いて思わずそっちに視線を向けた。
「本当?クシナ達が地元関連で調べてくれたけど進展無かったんだけど、マルタ達は何を調べてくれたの?」
私は生き残りのGSとかに話を聞いていたけど、黒い靄とか、全然要領を得なかったけど霊視がまともに出来ていないと言うのでやはり英霊や神霊、もしくは認識阻害に順ずる何かがあると言うことだけは分かった。
「僕達が調べたのは移住した人達が元々暮らしていた場所になります。そこに手掛かりを求めて、確かに手掛かりはありましたが……」
「んだよ、急に黙るなよ、出し惜しみせずに言えよ」
黙ったピートに雪之丞が強い口調で言えと言い、ピートがキッと雪之丞を睨みつける。
「あ?やんのか」
【止めなさい雪之丞、ピート君。雪之丞も悪気はないのよ、ちょっと口が悪いだけでね】
三蔵が仲裁に入ってくれたが、やっぱり雪之丞とピートの相性はかなり悪いみたいね。今後も調査の組み合わせは考えないといけないみたいだ。
【殺された人達とその人達が元々住んでいた土地で調べると……殺されたのは源氏由来の先祖を持つ者よ】
「ちょっと待っておかしくない?金時が言うには源氏の剣術なのよね?なんで源氏の子孫が殺されるのよ」
マルタの報告を聞くと源氏が源氏を殺していると言う事になる、これが平家なら分かる。だが何故源氏が殺されるのか?辻褄が合わないと私は思ったのが金時達は違っていた。どうも思い当たる節があるような表情を浮かべていたのだ。
【……擬似英霊っつうもんがある。これは英霊が完全に具現化できない際に親和性の高い現代の人間に憑依する形で現界するもんだ、ただ
基本的には生身の人間に英霊っつう組み合わせになるんだが……多分今回は英霊に英霊が重なってる】
英霊に英霊が憑依してると言われてもぜんぜん意味が判らない。
「つまりどういうこと?」
【簡単に言うとあたしの身体にマルタの精神が入ってるみたいな、2人が混ざってるみたいなそんな感じ】
「生身じゃないから出来る事ってことね、でも英霊同士だから完全に混ざり合って元に戻らないって所で主導権を持ってる方が多分平家由来の英霊で憑依されている英霊が源氏って所だと思うわ」
凄くごちゃごちゃして来た……英霊の事に対する理解が低いって言うのもあるけど、魂の混ざり合いなんて人間では触れない話題だ。
「そんなことってあるの?」
【普通はねぇ、だけど……見做し召喚されたのかもしれない】
「見做し?どういうこと?」
「英霊は基本的に抑止力として召喚されるわ。あたしと三蔵みたいに天界から派遣されてるのは自分の意志で来てるし、あたしは擬似肉体つきで生身に近いから完全に同じじゃないけど、基本的に英霊は自分の伝承の残る地以外に召喚されるのは難しいわ、だけど見做し召喚は違う。どこか似ている要素があれば、そこから強引に召喚出来る。多分だけど……海と源氏と平家の子孫が住む街ってことで……」
そこまで言われれば私でもマルタが何を言おうとしているのかが理解出来た。
「壇ノ浦の源平合戦を見做したって事?そんな馬鹿な」
壇ノ浦の源平合戦、海での大決戦を模したとしてもここにそんな伝承はない、無理矢理にも程がある。
【俺ッちもそう思うが、そのあり得ない馬鹿な事が起きていてもおかしくねぇんだよ。むしろ可能性はかなり高いと思うぜ】
源氏に滅亡させられた平家の怨霊が源氏の英霊を乗っ取って現界しているかもしれない……その最悪の可能性に私達は完全に言葉を失うのだった……。
一方部屋の外で惨劇が行なわれているなんて夢にも思っていない横島はと言うと……。
部屋の中にパチン、パチンと小気味いい爪きりの音が響く……そう、横島は時間があるうちにとチビ達の爪きりや毛並みを整えることに精を出していた。
「はい、次左」
「フカ!」
「良い子良い子」
鮫っぽい魔獣の左手をしっかりと持って爪きりで伸びている爪を丁寧に切る。それは勿論自分が怪我をしないためでもあるが、もっと大きな部分はアリス達の事を考えての事だった。
(アリスちゃん達だけじゃなくてあげはちゃんもいるし、ここはちゃんとしないとな)
その気になれば鉄板も切り裂ける爪だ、生身の人間はもちろん魔族や神族だって怪我をしかねない、保父さん根性が染み付いている横島はアリス達が怪我をしないようにと心配し、こうして爪きりを行なっていたのだ。
「ふひふひ」
「あれ?もしかして笑ってる」
「ふひっ♪」
【鑢の振動がくすぐったいんだろ、犬とかもそうらしいしな】
今もふひと笑ってるのを見た横島はやっぱりくすぐったいのかと思い、手早く爪を整える。
「はい、遊んできていいぞ」
「ふっか!」
前足を上げてボールの所に駆けて行く鮫っぽいのを見送り、爪きりを置いて今度はハサミを手に持った。
「チビ、おいでー」
「みーむうー」
ちょこんと膝の上に飛んで来たチビを寝転がらせて、櫛で毛並みを梳くとぴょこんと跳ねている部分があるのでそれをハサミで綺麗に切る。
「みむう」
「動いたら危ないからな、じっとしてるんだぞ?」
「みむ」
チョキン、チョキンとハサミの閉じる音と魔界のマスコット軍団の楽しそうな声を聞きながら普段中々出来ない爪や毛のケアを行なう。
「ぷぎゅ?」
「うきゅう!」
「チビの後な、順番順番」
鼻歌交じりの横島の声と楽しそうなチビ達の鳴声、部屋の外と中の温度差は凄まじい事になっていたりするのだった……。
リポート12 臨海学校・破 その3へ続く
今回は珍しくギリギリを攻めてみました。一部業が深すぎる人もいますがそれだけ想われてるってことですね、次回からはデスゲーム(性癖暴露系)の開始です。次も私としては珍しくギリギリを攻めてみようと思いますので次回の更新もどうかよろしくお願いします。
オベロンがチャ40連は星4鯖すらでない大爆死となりました
無念