GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
リポート12 臨海学校・破 その3
~天魔視点~
愛子という机の妖怪に飲み込まれた私達は幻術か何かで大人の姿になり、横島を探して迷路をうろうろしていた。この空間は通路・広間・階段という構成で広間にはアトラクションのような物があり、遊びながら進めるので中々に面白いと思ったんですけど……。
「てーやッ!!」
そして今私達がいるのは双六エリア、紫が気合と共にサイコロを頭上に掲げて投げ、それがドンッ!と音を立てて落ちてコロコロと音を立てて転がり出た目は……2。
「……」
ぷるぷると震えてるけど、多分泣いてないと思う。泣きそうにはなってると思うけど……。
「紫、サイコロ弱いね」
「……紫だけ殆どスタート位置だよ?」
【紫は運が悪いです】
「う、うるさいですわ!わ、私は私なりに頑張ってますわよ!?」
ほかの皆が6か5と大きな目でぐんぐん進んでいるが紫は殆どスタート位置のままで声を荒げながら2マス進んで……。
【時間内に4個ボールをゴールに入れてね♪時間をオーバーしたら振出にもどるだよ!】
「あ、あああああ……」
ぐるぐると回ってるゴールにボールを投げ入れろと言われ紫は絶望めいた呻き声を上げ、数分後……。
【振出にもどるだよ!!】
「あ、あんまりですわ~ッ!!!」
神通力か何かで振り出しへと引き戻されていく姿を私達はなんとも言えない表情で見送る事しか出来なかった。
「……よいしょ、あ、3ですの。んふふふ♪」
鼻歌混じりでミィがスキップでマスを進んで行き、止まったマス目においてあった箱を開ける。
「……遊園地のチケットですの!魔界と天界って書いてありますのよ!」
「ミィ~それって皆でいける奴?」
「……人数制限は書いてませんの!」
【やりました!これでまたお兄さんと遊びに行けますね!】
「うん!良し、今度は私!とやっ!!」
マスに置いてある箱にはぬいぐるみや遊園地のチケットとかが入っていて、罰ゲームか宝箱で皆わいわいと楽しくサイコロを投げている。
「宝箱!宝箱を開けましたわー!!」
スタート地点付近から紫の声が聞こえてくるが、流石の私も紫が掲げているのが小さすぎて見えない。
「何を当てたのー?」
「ふれあい動物園のチケットですわー!!!」
ふれあい動物園――横島がいれば動物が沢山集まってくるのできっと楽しいだろう。
「やったねー、紫。早くこっちに合流してー!!」
「……マス目が1か2しか出ないので無理ですわー!!!」
……まだ低い数字しか出てないのかと天竜姫と顔を見合わせる。
「どうします?」
「待っててあげようよ、可哀想だし」
【そうですね、さっきから振り出しに戻ってばっかりですしね】
まだまだゴールは先のようですし、それに机の中は時間が流れないという話も聞いているので紫と合流してそこから先に進もうと思い、宝箱を開けて入っていた本を取り出して紫が私達の所に戻って来るのをのんびりと待つ事にする。
「結構面白いですね」
「うん!面白い!」
【色々ありますし、遊園地みたいで面白いですよね】
「……分かりますの」
今は双六だが、その前には滑り台や輪投げもあって本当におもしろい場所だ。机妖怪と聞いていたけど、こんなに面白い妖怪もいるんだなと思いながらここにチルノとあげは、それに横島とクマゴローに茨木がもっと面白いのにと思わずにはいられなかった。
「わきゃあ~♪」
「お、おおおおーッ!?」
「す、凄い。おああああ!?」
「どぉん♪」
愛子の中に入らなかったチルノ、茨木、あげはの3人巨大ボールの中に入り、昨晩進化した怪獣の念力によって波を起してもらい、ボールの中で子犬のように転がりながら波乗りを楽しみ楽しそうな歓声を上げていた。
「……横島に懐いている子供って肝が据わってるな」
「並の事じゃ動揺しそうにないですね」
「……俺は普通に酔いそうだ。なんであんなに楽しそうなんだ?」
ボールが飛び、空中で回転し、逆さまで落下する。念力で操られてジェットコースターなんて目ではない大暴れをしているボールの中から響いて来る楽しそうな声に陰念達は引き攣った顔で子供って半端ないなと呟いていたりする……。
~琉璃視点~
重い音を立てて台車が進んできて、ゴミのように乗せていた人物を投げ捨てる。死んだ目で仰向けになっている人物を見て私達は言葉を失っていた。
「……なんか言いなさいよ」
「「「なんかすいません」」」
「謝るなぁッ!!」
凄くドスの効いた声でなんか言えというタマモに思わず謝ると謝るなと怒鳴りながらタマモが立ち上がる。門を潜る前はスーツ姿だったが、リタイアして帰ってきたタマモは……網タイツにレオタード、うさ耳バンド……ぶっちゃけるとバニースーツ姿だった。ちょっと幼さが残ってるだけに犯罪臭が半端ない気がする。
「中で何があったでござるか?」
「あーうん、服をさ2個選べってあってこっちを選んで、その後にゲームクリア出来なかったのよ」
はぁっと深い溜め息を吐くタマモだが、2個選べる中でバニースーツを選ぶのはどうだったのだろうかと思う。
「これか逆バニーだったわ。あれはない、ありえないわ」
「「「逆バニー?」」」
逆バニー?余りにも意味不明な言葉に思わず訪ね返すとタマモは深い、深い溜め息を吐いた。
「下着丸見えで申し訳無い程度に服の機能がある袖とズボンだけのバニースーツ」
「「「それは無い」」」
バニースーツでもあれだが、逆バニーは更に無い、そもそも下着丸見えで袖とズボン、しかも申し訳無い程度にが付くとスリットとか入っていて服の機能すら本当になさそうだ。
「ああ、ルイ様が悪乗りで作った奴ですね、呪いの装備で着ると脱げませんよ。あれ、しかも発情します」
物凄い真顔でその逆バニーの効果を説明するルキフグスさんだが、やばすぎる呪いの装備にも程があると思う。
「……これタマモがこっち選んだから、そのマス目に止まったら逆バニーしかないんじゃない?」
1人ずつしか進めない呪いの双六場。何らかのゲームか指令が用意されており、ゲームに失敗か、指令を満たせないと1回ミス、それが3回でゲームオーバーか、心拍数が上がりすぎてもゲームオーバーで、しかも指令もゲームも着替えとか、脱衣とか、明らかにエロ系の物が多く、拒否や失敗を繰り返し何回もゲームオーバーをし、ルートを把握して来ているがタマモの止まったマスは初のマスで内容は着替えだが着替えが2択で、その内の1つがここにあるって事は逆バニーしかないわけじゃない?と言うと蛍ちゃん達が顔色を変えた。
「……タマモ!ルート、ルート!どっちに進んだか教えて!?」
「嘘は駄目よ!?これは乙女としての死活問題よ!?」
「えっと、こっちかな……んで……4か5だったと思う」
手書きの地図に髑髏マークを書いて絶対にそっちに進んではいけないと念入りに記録している蛍ちゃん達を見ているとスンッとした顔のくえすが門から出てきた。
「どうしたの?」
「解釈が違いましたわ」
「何が?」
「デロデロに甘やかされるのはそう悪い感じでは無かったのですが……完全に妹か娘視点っていうので冷めました」
「何のマスに止まったのよ?」
今まで確認されていないマスだったと思うから何があったのかと尋ねるとくえすはうーんっと首を傾げながら。
「横島の分身ですかね……それがいるマスがあります、多分私達が横島に望んでいる事をしてくるマスって所ですかね?」
「「「マジで?」」」
それ普通にやばいマスだと思うんだけど……そんなデスゲーム的なマスもあるの?と戦慄していると柩が不気味に笑いながら立ち上がった。
「じゃあ今度はボクが行こうかな」
性癖もメンタルも無敵の柩なら進んだ事の無いマスまでいけるんじゃと期待したのだが、5分くらいで帰ってきた、
「ふぅーふぅー♪全然対したことないね」
荒い息と上気した頬と興奮を隠しきれない様子の柩が対したことないねと言うが、どう考えても大した事があったとしか思えない。
「やばい、ゾクゾクする……言い値で買えないかな……横島に罵倒されて叩かれたの……めちゃくちゃゾクゾクする♪暫くこれを思い出すだけで全部満足しそう」
自分の身体を抱き締めて小刻みに痙攣している柩は完全にアウトだ。思わず蛍ちゃん達と目を合わせてしまうほどに淫靡な顔をしていた。
「集合」
私の声掛けに柩を除いた全員が集まってくる。
(大丈夫?)
(限りなくアウト)
(というかあれじゃないですか?ルイ・サイファーは私達に横島を襲わせようとしているのでは?)
無いとは言い切れない……そもそも神魔の倫理観は人間とは大分違うわけで……。
「じゃあ淫魔……んん、小竜姫様とブリュンヒルデさんに見てもらいましょう」
「今淫魔って言いましたよね!?」
布面積限りなくゼロの服装をしていて淫魔じゃないとか冗談にも程がある。だけどその言葉はグッと飲み込んだ。
「小竜姫様ならいけると思うんですよ、お願いします」
「竜族の幸運値ならワンチャンあると思うんです」
龍神族の幸運値ならチャンスはあるのは間違いない、淫魔と呼ばれて納得していなさそうだが……判りましたと頷いてくれた。
「淫魔って言わないでくださいよ、とりあえず別の服あると良いなあ」
ぶつぶつ文句を言いながら双六場に足を踏み入れた小竜姫様を見送る。
「行けると思う?シズク」
「……100%無理」
「小竜姫はあの年齢の竜族のなかで行き遅れてる方だから大分焦ってますしね」
……大丈夫かなあと不安に思いながらも、武神で龍神の小竜姫様なら鉄の自制心でなんとかなるのでは?と思っている矢先に台車が凄い勢いで飛びだしてきて、ブレーキと共に放り出された小竜姫がズザザァっと音を立てて私達の目の前を滑っていく……。
「「「……」」」
真っ赤になっているお尻を突き出した姿勢でピクリとも動かないその姿は笑うとか笑わない以前に憐れさを誘う。
「……新しい扉が開きそうです、横島さんに叩かれた所が妙に熱いんです、しかもなんか凄くゾクゾクするんですよ」
「それ以上はいけないッ!!」
何か新しい、決して開いてはいけない扉を開きそうになっている小竜姫様に思わず駄目だと叫んで、駆け寄ろうとするが肩をくえすに掴まれた。
「ブリュンヒルデの予定でしたが、ルーンで治療して貰う必要があるので次は琉璃ですわ」
「えっ!?待って心の準備出来てない!?」
くえすだけなら抵抗できたが蛍ちゃん達も逝って来てくださいと明らかにニュアンスが違う言葉で私を門の中へと押し込んだ。
「……はぁ、でもまぁ、双六だし……運が悪くなければ大丈夫でしょ」
私は自分で言うのもなんだけど、運は良いほうだし……着替えでも猫耳白ビキニは最底辺の筈だから、着替えも平気だと思いサイコロを振る。
「よっし、流石私」
最大の6。スタートから6マスはまだ開けられて無いマスだし、スタート地点だからそう酷いものはないだろうと思い鼻歌交じりで6マス進んだ所で私は石化したように足を止めた。着替えだったが、その選択肢が余りにもひどかった。
【好きなほうに着替えてね♪ もしくはリタイアで罰ゲームで新しい性癖を開いてね☆ ※あと開きすぎるとリタイアだよ☆】
「やかましいわッ!」
態々フルボイスでテンション高めの解説に落ちていたサイコロを拾い上げて投げ付けたのは許されると思う。
「……はぁはぁ……ちょっと、いや大分無いわ」
改めて着替えとして用意されている二択に視線を向ける。レース付きのフリフリのエプロンのみと、透けているドレスの2種……普通ならエプロンを選ぶのだが、下着以外全部脱げという条件が付与されている。
「……下着無いんですけど、水着って下着判定入るのかしら?」
【入りません】
「リアルタイムで見てるなッ!?」
独り言だったのだが即座に返事があり、これをリアルタイムで見られていると判り思わず声を上げると押し殺した笑い声が聞こえてきて凄くイラっとした。だが怒りよりも今の私には羞恥心の問題の方が大きい……今の私は猫耳に白ビキニ、それで水着に下着判定無いのなら全裸で透けているドレスを着るか、裸エプロンかしかない。
(無い無い、絶対無い)
まだ羞恥心は捨て切れてないし、そこまで捨てるつもりも無いし、幾ら同性しかいないとは言えどこかで紫ちゃん達に遭遇するかもしれないし、他に着替えマスに止まれなくてそのまま横島君の所に行く事になったら完全に恥女判定である……って待って。
(あれ。もしかして私って着替えマスって……)
下着のみは許される、んで私は水着で水着は脱がないといけない……そしてルイさん達は明らかにエロチックな服しか用意していないわけで……。
「やばいやばい……ッ!!」
この双六エリアか、別のどこかで着替え……それも下着を見つけないと恥女確定である。まさかとんでもない所で落とし穴が待ち構えていた。小竜姫様や愛子さんも面積は極めて極小だがそれでも下着ではなく服認定でその下に下着があるそうなのでまだセーフだが、私は水着で脱げば裸なので着替えマスがデスエンカである。
「……着替えマスで下着を見つけないと私は死ぬ」
脱衣もあるとか最初の説明であったのでなにかのエリアで脱衣に止まった段階で私は死ぬ。例え勝負下着系の物であったとしても私は下着を入手する必要が出てきた。
「とりあえず、今回は罰ゲームマスでこのエリアを抜けましょう」
罰ゲームを甘んじて受けて、次のマスを目指そうと思うが……性癖を開いての言葉が怖すぎるわねと思いながら罰ゲームエリアに足を入れる。
【琉璃さんのエッチ、そんな格好して誘ってるんですか?】
「よこッいったあっ!?」
耳元で横島君の声が聞こえ、一気に羞恥心が込み上げると同時にお尻を何かに思いっきり叩かれた感触がして思わず悲鳴を上げる。痛い、痛いのに一瞬横島君の声がしたからなんかなんとも言えない感情が込み上げて困るんだけど……私どっちかと言うとSなのにMに目覚めてしまいそうな気がして怖い……。
「いたい……これめちゃくちゃ痛い……なにこれ……えっと『年下の少年に苛められてMに目覚めよう』死ねぇッ!!!」
悪辣、しかも魔法か何かで横島君の声を完全再現してるし、しかも手のサイズも横島君の物に合わせてるとか悪意しか感じない……。
「……さっきの小竜姫様の言葉の意味が判ったわ」
多分小竜姫様は罰ゲームマスに進みすぎて新しい扉を開きかけたのだ、そして私も二の舞になるかもしれないと思い身震いしながら先に進む為にサイコロを拾い上げたのだった……。
~カーマ視点~
腹を押さえて転げまわっているルイ・サイファーとネロを見ながら私は魔人姫の配下が用意したサンドイッチを頬張る。
(案外美味しいですね)
魔人が作った料理なんか大丈夫かと思ったが、案外普通で安心している。
『媚薬を飲むか、横島の好きな所を10個叫ぶ(録音するよ)……媚薬なんて飲めないわよ!?』
罰ゲームマスに進みすぎて頬が赤く上気している人間が絶叫しているが、叫べば弱みを握られるわけで……罰ゲームマスにすすむしかないと地獄のエンカウントだ。
「あーッ!面白いね、でもカーマ。ちょっと罰が偏ってないか?」
「そうだな、痛みを与えるような物が多すぎるんじゃないか?」
『ひぎぃッ!痛い、痛いッ!!』
【凝ってますねー、マッサージしてあげますからねー】
『無理無理無理無理ぃッ!!!ひゃんッ!!?』
魔法で横島を再現してますけど、意中の相手の幻に触れているってのはどうしても興奮を隠し切れない物だ。水着の尻を触られて嬌声を上げた人間が落とし穴に落下するのを見てルイ達がまた爆笑しているのを見ながらジュースを口にする。
「これ私からのあの人間達への優しさですよ」
曲がりなりにも愛の神ですし、夜の生活とか?そういうのも知ってますし?それを前提にしてこのゲームは作られている訳だ。
「優しさならもっとこう……なぁ?ナニがあるんじゃないか?」
「そうそうこう震える奴とか、触手とかな」
「……もう少し包み隠すつもり無いんですか?」
別に出来ない事は無いが……それだとやりすぎるかもしれないし?流石に処女の乙女しかないのに、そういうのをぶっこむ冷酷さは私にはない。
「横島を受け入れる準備みたいな物ですよ、痛みを伴った快楽は」
ちょっと痛みが混じっているのは横島を受け入れる為の下準備だというとルイ達は不思議そうに首を傾げた。
「横島は自分から行くタイプじゃないだろ?」
「むしろ受身がちではないか?」
「全然分かってないですね、横島の独占欲と束縛欲は凄いですよ」
今は大丈夫だが、もしもこの迷宮に入っている人間が自分以外の男に惹かれたり、自分の側を離れるとなれば間違いなく横島のスイッチが入ってしまうと私は考えている。
「それっぽい予兆はないと思うんだけど、カーマが言うなら間違いないだろうね」
「愛の神だしな、んで、もし横島の独占欲が爆発したらどうなるんだ?」
「まぁ……あれじゃないですかね?孕ませて自分から離れられないようにするくらいはすると思いますよ。しかも横島はかなり溜め込んでますし、それで済めばいいって所ですね」
人当たりは良いがあれは内面に溜め込むタイプだ。爆発したら凄い事になるだろうし、獣のように襲ってくるであろう横島を受け入れる下地は必要だ。つまり何が言いたいかというと……。
「横島の性欲が爆発したら神魔もドン引くドSになります」
許しも聞き入れないだろうし、自分が満足するまでは決して手を止めないだろう。これだけの性欲を持ってる人間がいるとか正直信じられない面がある。
「そこまでか……へー、そうかあ」
「楽しめそうだなぁ」
(しーらないっと)
触れてはいけない者達が更に横島への興味を深めたけど、私には何の関係も無い。まぁシヴァを追い出してくれたのは感謝してるし……、トリシューラを物干し竿にしているのも見て笑わせてもらった。だからこれは一種の恩返しと言ってもいい、まぁ少々悪趣味だけど……。
(楔は多い方がいいですしね)
横島を繋ぎ止める物は多くなくてはいけない、それが分かっていても横島の行動に任せているルイとネロは正直恐ろしいと思う、人類悪の適正を持ち合わせている私だから分かるのだ、横島もまた人類悪であり、もしも目覚めてしまえばこの世界は滅ぶ。それを知ってもなお警告する事無く、横島を見て遊んでいるのだ、神魔の中でも超越者であるルイにまともな感性はないだろうが……それにしたって酷いと思う。
(少しは動け、へたれども)
緩い楔など何の意味もない、しっかりと強固な楔を打ち込め――でなければ……。
「貴女達は一生後悔する」
何をしても繋ぎ止めなくてはならない存在だ。人類悪になろうがならまいが……今のままではそう遠くない内に横島はいなくなると言う事を自覚するべきだ。だが私にはそれを伝える権利が無い、ルイとネロに見つめられ私は両手を上げて万歳した。
「言いませんよ、余計な事はね」
「それで良いよ、横島は面白いからね、余計な事をして欲しくないんだ」
「うむ、それでいいぞ。余計な事をすれば……殺すからな?」
シヴァとは別に魂さえも壊せる相手に監視されているんですから私に出来る事は殆ど無いんですよね……。
紫達は心から遊び、蛍達はメンタルブレイク、そしてカーマが脅されている頃、横島はと言うと……。
「ぴい?」
葉っぱを咥えて自分の安心できる場所に移動しようとする太陽神の化身の幼生は自分の足で葉っぱを踏んでしまい、何度もそれを落として不思議そうに首を傾げており、横島はそれを見て葉っぱを手に取る。
「ぴい!ぴいぴい!!」
「大丈夫取らないよ、ほらおいで」
太陽神の化身の幼生が1番安心出来る場所――寝床である籠の中に入れて自分のとなりに置く横島、すると太陽神の化身はすぐに籠の中には入り、尻尾を横島の脇に押し付けてながら葉っぱをむしゃむしゃと食べ始める。そんな幼生の頭を撫でながら横島は部屋の中を見回す。
「外には出れないけど、皆楽しそうだなあ」
ボール遊びをしていたり、滑り台で遊んで居たりとチビ達も思い思いに遊んでいる姿を見て横島は良かった良かったと笑う。その顔に邪気や不穏な気配は無く、子供その物とも言える純粋な笑みだ。
「キバ」
「ん、どしたーだっこして欲しいのかー?」
まだ赤ちゃんであり、上手く歩けない斧龍の幼生がはいはいで近寄って来たのを見て、横島が抱き上げると斧龍の幼生は嬉しそうに尻尾をぶんぶんと振り始める。
「キバ♪」
「良し良し、いい子いい子」
基本的に横島は叱ることをしない、甘やかして、褒める。叱る事はあっても何故怒られているのか、それをしっかりと理解させて叱るという方針を採っており、そして抱っこを求められたら拒否しない。抱っこする事で体温が伝わり安心感を子供は得ることが出来るからだ。
「フカー、フカ」
「ヨギぃー?」
「ぷぎゅー!」
【ノーッブ!】
「はいはい、順番順番。おいで」
斧龍の幼生が抱っこされているのを見て、自分も自分もとよって来るチビ達を抱っこしている横島を見て、心眼は横島の魂を見て安堵する。
(やっと安定してきたか、何者かは知らんが感謝しよう)
横島の荒れていた魂が丸く、本来の形に戻り始めているのを確認し心眼は横島の魂の中で安堵の溜め息を吐いているのだった……。
リポート12 臨海学校・破 その4へ続く
温度差は凄まじいまま進行中です。ヒロインズが新しい扉を開くかは今後次第ですね、そしてアニマルセラピーで横島の正気度はニュートラルに戻りましたので狂神石の影響ダウンです。とりあえず私にしては攻めている話はまだまだ続きますので次回の更新もどうか宜しくお願いします。