GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL 作:混沌の魔法使い
HEROINES HAZARD
「へっくしッ!う-さむ……うりぼーが俺から布団を……え?ここどこ?」
俺はくしゃみの音で目を覚ました。またうりぼーが俺の布団にもぐりこんで布団を剥ぎ取ったかなと呟きながら辺りを見回し、俺の部屋ではない事に気付き、一瞬で意識が覚醒した。
「ここは……GS協会の琉璃さんの部屋か?」
窓は黒塗りで外の光景が見れず、明かりもかなり弱いので自信は無いが、部屋に置いてある家具などを見る限り、俺は来客用のソファーの上で寝ていたようだ。
「正解だよ、うん。頭の回転は流石に早いね」
「ルイさん……?」
聞こえて来た声に振り返るとルイさんが琉璃さんの椅子に座って楽しそうに笑いながら俺を見ていた。
「えっと、またルイさん何か企んでます?」
「うん、企んでるよ?」
「……なんでそんな事をするんですか?」
「面白いから」
……ルイさんの言葉に思わず俺は天を仰いだ。ルイさんが桁違いに強力な神魔で、そして悪ふざけや遊びが好きなのは知っているが、面白いからという理由で振り回されるのは本当に勘弁して欲しい。
「まずはここは夢の中だ。現実じゃあない」
「え?夜のGS協会とかじゃなくて?」
「うん、ここは夢の中だよ。まぁ正確には愛子の机空間を利用した夢の世界だ。だからここで何が起きても現実では「何も」変わらない。後は起きたらこの事は忘れるよ」
現実じゃなくて夢と聞いてホッとして良い物なのか、悪いものなのかと悩むが、現実では何も変わらないなら良いかと思う事にした。
「横島君。君がやる事は簡単だ。追っ手から逃げて、愛子の机の元へ向かう。それだけでこの夢は終わる」
「追いかけっこって事ですか?」
追っ手から逃げると聞いて脳裏に浮かんだのは追いかけっこであり、追いかけっこなのかとルイさんに尋ねる。
「その通りだよ。ほかにも細かいルールはあるけど、まずはやってみたほうが早い。この部屋を出たらスタートだ、他に聞きたい事が無ければこの部屋を出てくれればいい、それでゲームスタートだ」
他に聞きたい事が無ければ……か、ニヤニヤと笑っているルイさんを見る限りほかにも何かあるのは間違いないな。
「逃げるのは俺だけですか?」
「そうだね、逃げるのは基本的に横島君だけだ。鬼の数は……ちょっと私でも分からないから、基本的に私と横島君以外は鬼だと思ってくれていい」
鬼の数が分からないのは怖いな……あと基本的にと言ってるから何かの条件で俺以外に逃げる事になる人が現れるかもしれないと思ったほうが良いかも知れないな。
「愛子の机はGS協会の中にありますか?」
「それも分からない、追いかけっこの会場はここだけではないから、ここにあるかもしれないし、ほかの会場にあるかもしれないね」
鬼の数も分からなくて、ゴールも分からない……余りにも俺に不利な条件だが、まぁ夢の中だし、こんなものだろうと思う。
「じゃあ、いってきます」
「ん、いってらっしゃい。ああ、そうそう青い扉は安全地帯だ。そこには鬼は入れないけど、ずっと部屋の中に隠れていると安全地帯ではなくなるからね、それだけは覚えておくといい」
最後に休憩場所を教えてくれたルイさんにありがとうございますとお礼を言って部屋をでたのだが、この時俺は気付くべきだったのだ、にやりと邪悪な笑みを浮かべるルイさんに、そしてそれに気付いて部屋から出る事が無ければきっとこんな悲劇は起きなかったのだと心底後悔する事になる事を今の俺は知る由もないのだった……。
「うわあ……おばけ屋敷みてえ」
見習いとは言えGSだが、お化け屋敷はどうも苦手なんだよなあと心の中で呟きながら、薄暗いGS協会の通路を歩き出す。
(えっと確かここが3階で、3階は応接間と事務室と資料室だったかな?)
3階の殆どの部屋が資料室だった筈……愛子の机はかなり大きいし、資料室にはないと思い応接間と事務室に向かって歩いていると声が聞こえて来た。
(ったく、横島はどこにいるのですか)
刺々しい中に優しさを感じさせるその声は間違いなくジャンヌさんの声だった。逃げるのは基本的に俺だけと聞いていたけど、基本的にって言ってたし、ジャンヌさんなら手助けしてくれるかもしれないと思い俺はその声の元へ向かって歩き出したのだが……。
【横島、こっち見なさいよ。なんで目を逸らしてるのよ】
「あ、いや、近い、近いです」
ジャンヌさんは確かにいた。だがそのジャンヌさんの格好が余りにも目に毒だった……脇と胸の横の方が丸見えで胸元が大きく開いた水着と下はガーターベルトにショートパンツと薄暗い照明と合わさってとても直視できるものではなかった。
【こっち見ろって言ってるのよッ】
ジャンヌさんが痺れを切らしたのか俺の肩を掴んで無理矢理俺に正面を向かせる。だけど余りにも肌色の面積が多くて気恥ずかしさが勝り、頬が赤くなるのを感じる。
【横島、どうしてあんたはそうなの】
「……えっと何がでしょうか?」
思わず敬語で返事を返してしまうほどにジャンヌさんの声は鋭く冷たかった。
【どうして手を出さないのよ】
「はい?」
【そりゃ私は英霊だから、その子供とかは望まれても無理よ?だけど手くらい出してくれても良いんじゃない?】
「……なんの事でしょう?」
【あ?】
何を言われているのか分からずそう尋ね返した瞬間、ドスの聞いた声と共に俺はGS協会の廊下に押し倒されていた。
【口で言って駄目ならあんたは「分からせない」と駄目よねぇ?】
この時初めて気付いたのだがジャンヌさんは頬を紅くさせ、呼吸も荒く酷く興奮しているように見えた。
(これやばい)
物凄い窮地に追い込まれている事に今初めて気付いた。前にシズクに襲われかけたときと同じか、それ以上の危険を俺は感じていた。目の前で揺れる胸とかよりも、食われるという恐怖にひえっとなっていた。
【これは夢だからナニをしても良いのよね♪】
何の発音が明らかにやばい、でも腹の上に座られているので普通の方法では逃げられない……俺は少しの躊躇いの後、水着のリボンに手を伸ばし、それを勢いよく解いた。
【きゃっ!?】
水着が解け、目の前で胸が激しく揺れる。水着が解けた事に気付いたジャンヌさんが両手で胸を隠した隙にブリッジの要領でジャンヌさんを跳ね上げると同時に立ち上がって全力で走り出した。
「うっ」
捕まったら駄目だと分かって逃げているが脳裏には激しく揺れるジャンヌさんの胸の残像が残っており、俺は鼻の奥にツンっとした物を感じ、咄嗟に鼻を摘まむと背後からジャンヌさんの声が響いて来る。
【水着を脱がしたって事は同意したって事でしょうが!逃げるなッ!!】
捕まったら終わる。夢だとしても色々と何かが終わってしまうと俺は焦りと共に走り速度を上げる。
「あらあら、横島様。そんなに必死な顔をしてどうしたのですか?」
「清姫……ブッ!?」
真横から聞こえてきた清姫ちゃんの声に思わず視線をそちらに向けて、噴出すと同時に鼻血も噴出した。
「はい、貴方のお嫁さんの清姫です♪」
「なんて格好してるの!?」
白いビキニの水着に花嫁のヴェールを被り、ガーターベルトをしている清姫ちゃんに思わずそう問いただす。
「それは勿論……初夜の為ですわ♪」
……やばいと思って加速するが、清姫ちゃんは胸を揺らしながらぴったりと並走していてどうしても振り切れなかった。
「もう、そんなに逃げなくてもいいじゃないですか♪初心な御方」
「ひいいッ!!」
耳元のささやき声に背中がゾクゾクする。清姫ちゃんはいつもやばいけど、今回の清姫ちゃんは更にやばすぎる。
「私も経験はありませんけれど……2人で気持ちよくなりましょう?」
捕まる!そう思った瞬間俺と清姫ちゃんの間に何かが突き刺さる音がした。
【頭逝かれてるんじゃないの?あんた】
「ふふふふ……その言葉そっくりそのままお返ししますわ」
ジャンヌさんと清姫ちゃんが遭遇したのか、凄まじい怒気が廊下に満ち足が震えるが、2人の注意が一瞬俺から逸れた瞬間に近くに見えた青い扉の中に転がり込んだ。
「おや、早かったね?」
「早かったねじゃないですよ!?ルイさん、何したんですか!?」
「そりゃあ、あれだよ。ナニしやすいようにね?」
物凄い美人が平然と行なう下ネタに勘弁してくれと思いながらソファーに腰掛ける。
「どういう事なんですか?」
「だから追いかけっこだよ?君は君の事が好きな女性から逃げる、捕まったらナニされるだけ、でも大丈夫。夢だから妊娠するとかはない、肉欲に溺れても良いんだよ?起きたら忘れるしね?」
からからと笑うルイさんだが俺は乾いた声で笑うのがやっとだった。
「君が悪いというのもある。君がもう少し積極的ならこんな事をする必要は無かった、だけどこのままだとサキュバスの大量発生とかに繋がりかねないからね、情念っていうのは怖いんだよ」
情念が怖いっていうのは今正に体験したばかりだ。捕まったら食われるって言う恐怖をひしひしと感じた。
「この部屋の中には逃げ切るためのアイテムを用意しておいた。逃げ切るもよし、肉欲に溺れるもよし、受け入れるもよし、君の思うようにすれば良いよ」
言うだけ言って部屋の中から消えたルイさん、机の上には箱がおいてあって……これが逃げ切るアイテムなのかとはこの中身を見ると……。
「……馬鹿じゃないのかな、あの人」
箱の中に俺の写真が入っていた……これでどうやって逃げればいいんだよと嘆きながらも何かの役に立つかもしれないとそれを持って安全部屋を出て……。
「役に立つわけねえだろ!?馬鹿か俺はッ!!」
その写真を窓の外へ投げ捨てると俺の横を何かが通り抜け、窓を突き破って誰かが外へ飛び出していった……。
「今の小竜……いやいや、俺の気のせいだって、うん、絶対気のせい」
一瞬見えたオレンジの髪とか、割れた窓に引っかかってる見慣れた柄の着物とか絶対気のせいと自分に言い聞かせるように呟いた。
「あの格好良い小竜姫様が変態なわけない、気のせい気のせい、さてと愛子の机を……」
愛子の机を見つけて逃げれば良いと呟いて歩き出そうとし、俺はすぐに足を止めた。何時もの黒ドレス姿だが、尋常じゃ無く頬が赤い上に荒い獣のような呼吸をしているくえすと鉢合ったからだ。微笑みかけて来たので思わず俺も引き攣った顔で笑みを浮かべ、即座にしゃがみ込んだ。
「……ナゼニゲルンデスウ?」
完全に目が据わっているくえすの伸ばした手で千切れた髪が目の前を落ちて行くのを見て、俺はそのまま4つ這いで薄暗いGS協会の通路を走り……曲がり角で誰かにぶつかってしまった。
「横島君のエッチ、そんなにお姉さんの下着が見たかったの?しょうがないなあ♪」
くえす以上に頬が赤くなっていて捕食者の目をしている琉璃さんが見せ付けるようにスカートをたくし上げ、下着が見えかけた所で俺は正気に戻った。
「ごめんなさーいッ!!」
琉璃さんが嬉々とした表情でスカートをたくし上げるのと、背後から迫ってくる足音に謝罪の言葉と共に俺は立ち上がり、再び安全な青扉を目指して走り、2階へと続く階段の前にあった青扉の中に頭から飛び込んだ。
「ぜーはーぜーはー……やばいって」
俺も男だから女性には興味はあるけど、それとこれとは話が違う。夢だからナニ……じゃなくて、夢だから何をしてもいいとかはやっぱり間違ってると思うし、しちゃいけないことだと思う。
「なんとしても愛子の机を見つけないと」
多分だけど朝になったら起きてこの夢の事は忘れて、また眠ったら夢の続きって言うパターンだと思う。この悪夢を終わらせるためにはなんとしても愛子の机を見つけなければと気合を入れて立ち上がり窓の外を見て絶句した。
「あれ……俺の学校だな、それにあっちは……妙神山……はは、地獄かな?」
愛子の机を見つけなければならないのだが、GS協会だけではなく、俺の学校と妙神山もあるということに絶望しかけるが、頑張れば何とか逃げ切れるかもしれないと気を取り直し、部屋から出ようとして……気付いた。
(やばい、いる……ッ)
扉の外に人の気配が幾つもある……青い扉は安全と聞いていたけど、外に出る時までは安全とは言ってなかった。
「これ出た瞬間に襲われるよな……でも何時までも籠城は出来ないし……」
この部屋に入れる時間であろうタイマーは今も減り続けて、残り半分。これが無くなれば外から開けれるようになるらしいし……かと言って今出たら待ち伏せされているので完全にアウト……。
「どうすりゃ良いんだ……」
籠城も無理、外に出たら捕食確定……部屋の中に閉じ込められてしまった俺はどうすればいいのかと頭を悩ませるのだった……。
続……かないよッ!!
と言う訳でちょっと思いついた物を書いたものをお正月番外編として投稿して見ました。臨海学校の後寝た後ではこんな事が起きていたとかだったら面白いかなと思って考えて見ました。続きは考えてないですが、捕食する気満々のヒロインに追われてる横島の一種の自業自得みたいな感じでそれを見てルイ様が愉悦してると思ってくれれば幸いです。だれか続きを書いてくれるなら、書いても良いのよ?(チラッ)