GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その6

リポート13 臨海学校・急 その6

 

~ピート視点~

 

朝が訪れない異界では時計の秒針の動きだけが僕達の認識できる変化だった。

 

「ほいよ、ピート」

 

「っと、横島さん。ありがとうございます」

 

振り返り様に投げられたエナジーバーの包みを開け、それに齧り付いた。パサパサしていて、1口で口の中の水分が纏めて持って行かれる感覚がする。

 

「……水。ありますか?」

 

尋ねると同時に投げ渡された水のペットボトルの蓋を開けて、生温い水を飲んで一息ついた。ホテルの防衛が僕達の仕事だが、その難易度の高さに正直に言って海で悪霊と妖怪の群れと戦っている方がずっと楽だと思う。

 

「顔に出てんぞ、ピート」

 

横島さんに注意されて額に手を当てると眉が寄っている事に気付き深い溜め息を吐いた。

 

「すいません」

 

確かに六女の生徒の中で偏見や、言う事を聞かず勝手に暴走する生徒は決して多くない。だが極限状態の中ではその少数の印象ばかりが強くなって六女の生徒全体に対して僕は不信感を抱いてしまっていた。

 

「ま、気持ちは分かるけどな。顔に出さないほうがいいぞ、そりゃ嫌な奴だっているさ。でも全員が全員そうじゃないんだからよ」

 

僕以上に横島さんは嫌な思いをしているだろう。今は解散されているがエリート組と言われる名家や有名なGSの娘は横島さんの事を目の敵にしているし、それに冥華さん達が追放した反六道の教師をまだ慕っている生徒もいる。露骨に嫌そうな顔を向けられたり、舌打ちされている横島さんの方がずっと辛いだろう。

 

「横島、ピート。もう飯食ったか?」

 

「おう、今食ってる所だ」

 

「……エナジーバーじゃねえかよ。おら、林檎」

 

陰念さんが投げ渡してきた林檎を受け取り、服で拭いて横島さんと並んで齧る。少し酸っぱいが……エナジーバーなんかよりずっと美味しい。

 

「三蔵ちゃんは?」

 

「ママお師匠様はそろそろだと思うってよ」

 

三蔵法師様をちゃんづけで呼ぶ横島さんにママお師匠様と言う雪之丞さんに陰念さんと揃って溜め息を吐いた。英霊なのだからもっと敬うとか、尊敬するとかもっと別の反応がある筈だ。

 

(でもかえってこの方が良かったかもしれない)

 

良い具合の力が抜けた気がする。非日常の中の日常――それはどんな些細な事でも守るべき者を認識させてくれる。

 

「クシナさんはどうしたんですか?」

 

「お師匠様と綱手と一緒に来る。俺もそうだがクシナは霊力の循環が上手く行ってない、戦うにはそれ相応の準備がいるからな」

 

眼魂を使わないと霊力が使えない陰念さんは鋭い視線でアンちゃんが持ち込んだ霊波銃にカートリッジを装填している。

 

「横島は眼魂を使わないのか?」

 

「なくても俺は戦えるから大丈夫だ。栄光の手に勝利すべき拳、陰陽術に霊波銃もある。やり方は幾らでもあるって」

 

横島さんの魂に狂神石が混ざっているというのは僕達も聞いている。戦いの中でガープの横槍が無いとも言い切れないので横島さんは最悪を想定しなければならない――狂神石の活性化によるシェイド化はなんとしても避けなければならない自体だ。どこに目があるのかが分からない、シェイドを見られたら横島さん自身が逮捕、酷ければ抹殺対象になりかねない。いや下手をすれば何かの実験台にされる可能性もあると唐巣先生に言われてゾッとしたのは記憶に新しい。そしてもっと頑張らなければと奮起する事に繋がった。

 

(そうならないためにも僕達はやれる事を全力でするんだ)

 

鮫の様な悪魔が急降下し、消滅すると同時に地響きを立てて着地する幽霊武者が刀を抜き放つよりも先に地面を蹴って幽霊武者の間合いに飛び込んだ。

 

「はッ!!」

 

聖句の力を込めた打撃が鎧武者の胴を捉え、その巨体を弾き飛ばす。視界の隅では僕と同じ様に先手必勝を狙った雪之丞が幽霊武者の刀を素手で叩き折り、回し蹴りを頭に叩き込んでいる姿が映る。

 

【ッ!!】

 

「甘いッ!!」

 

幽霊武者の踏み込みは早いが、父さんと唐巣先生と比べれば全然遅い、ヴァンパイヤミストで上を取りロザリオを構えて聖句を唱える。

 

「アーメンッ!!」

 

【!?】

 

胴が丸く切り取られ、手足の具足が落下し消滅する幽霊武者を見て一息つく間もなく、両手に纏った魔力で斜め上から振り下ろされた刀の切っ先を受け流す。

 

「そう簡単にやられはしませんよ」

 

並みのGSでは苦戦する相手だろうが、僕達が戦うべき相手はもっと先にいる。こんな所で立ち止まっている時間も躓いている時間もないのだ、今まで積み重ねた物を実戦で使うには良い相手だと笑い、その笑みを挑発と受け取ったのか怒りを露にする幽霊武者と対峙するのだった……。

 

 

 

 

~雪之丞視点~

 

目の前を白刃が通り、切られた前髪が宙を舞う。少し間違えば首が胴からおさらばしていたが、その緊張感が俺をより高揚させていた。

 

「はっはぁッ!!行くぜオラァッ!!」

 

魔装術ではない、拳に霊力を纏わせただけ、そして初歩の初歩の身体強化のみを使ってBランク相当の幽霊武者に勝てと言うのが今回の襲撃の中で達成するべき俺の修行内容だった。

 

「おっと……思ったより早いじゃねえか」

 

頬が切られて鈍い痛みと共に血が滴り落ちてくる。それを親指の先で拭い、小さく息を吐いた。

 

(もっとだ、もっと集中しろ)

 

高まってくる闘争心と違い、俺の頭は恐ろしいほどに冷ややかだった。心は熱く、頭は冷ややかに……戦いの基本だ。

 

「ふっ!!せいッ!!」

 

ぶちおった刀だが、既にそれは再生し異形の刀をなっている。間合いが自在に変り、刃がチェーンソーのように動いている。少しでもかすれば抉りきられると分かっているが、魔装術無しでは俺に出来るのは牽制程度の霊波砲だけ、勝つためには前に出るしかない。

 

「うおおおおッ!!!」

 

【!?】

 

チェーンソーのような刃を霊力で強化した両手で受け止める。俺の霊力と幽霊武者の霊力がぶつかり合い火花を散らした。

 

「ぬるいんだよッ!!!」

 

勝ったのは俺だった。チェーンソーの刃を力で止め、動揺している幽霊武者の頭に頭突きを叩き込んで後退させる。

 

「おーいてえ……ははッ!!!」

 

兜に頭突きをしたのだ痛むのは当然俺の方がダメージがでかい、だがその痛みが余計に俺を熱くさせていた。

 

「こんな程度で引き下がっていられねぇんだよッ!!」

 

俺は弱い、弱くて弱くて反吐が出る程だ。目指すべき場所は遠く、ママに誇れる男になると言う俺の目標にはまだ全然届いていない。

 

「いつまでも魔装術に頼りきりじゃねえんだよッ!!」

 

魔装術とバルバトスの力は俺にとっての切り札だ。だが切り札を常に切り続ける馬鹿がどこにいる?切り札って言うのは効果的な場面で切るからこそ意味がある物だと俺は思っている。見せれば見せるほどに研究され、弱点を見抜かれる。そうなれば切り札は切り札ではなくなり、ただの技となる。

 

「ふうううッ」

 

横島の真似と言われれば違うとは言えないし、魔装術モドキと言われればそれも違うとも言えない。だが俺は器用ではない、陰念のように少ない霊力を駆使して様々な攻撃手段を作り出す事も出来なければ、クシナのように霊具を使いこなすことも出来ない。俺に出来るのは、俺に許された霊能はどこまで行っても魔装術しかないのだ。右腕が青く透き通った霊力の篭手に包まれ、溢れ出た冷気が俺の身体を凍らせる――それでも吐いた息が白く染まるのを見ながら俺は力強く幽霊武者に向かって踏み込んだ。

 

「でいやあああああッ!!!」

 

下から上に、アッパーの要領で拳を振り上げる。幽霊武者はそれを嘲笑うかのようにバックステップをし、その身体が左右にずれた。

 

【!?】

 

「うおおおおおッ!!」

 

着地と同時に身体を回転させ、遠心力を加えた肘打ちを放った。俺の肘は幽霊武者を捉える事は無かったが……幽霊武者の上半身と下半身がずれる。

 

「はっ、只の打撃じゃねえんだよ。馬鹿野郎」

 

肘から伸びた薄く鋭く伸びた冷気の刃――人間ならば一瞬で凍傷になるほどの温度のそれは霊体さえも切り裂ける刃だ。ただ生身で振るえば俺自身の腕が壊死する……それを防ぐ為の霊力の篭手だ。金時との戦いで霊力を一点に集中し、インパクトの瞬間に霊力を爆発させる術を学んだが、それでは魔装術と変わらない、バルバトスの霊力と組み合わせ作り出した魂さえも凍らせる絶対零度の霊波刃――これが俺の神魔、そして英霊と戦う為の術だった。

 

「とっととあの世に行け、いつまでも現世を彷徨ってるんじゃねぇ」

 

4分割に分割され消滅していく幽霊武者に背を向けて、霊波刃を解除しながら拳を振るう。その動きにそって氷の粒が散る中、俺の耳は小さな感謝の言葉を聞いていた。

 

「ああ。とっとのママの所に行ってやりな、この親不孝もん。いつまで待たせてんだ、馬鹿野郎」

 

これで母の所に逝けると嬉しそうに言う子供の声に背を向けながら俺は告げるのだった……。

 

 

 

~躑躅院視点~

 

ホテルの正面入り口に陣取って横島君達の戦いを見ていたが、私は少し評価を改めることになった。

 

(……悪くない、荒削りだが……伸ばせば伸びるな)

 

伊達雪之丞、ピエトロ・ド・ブラドー……どちらも去年のGS試験の参加者で、横島君と比べると劣るという評価だったが……なるほど恐ろしい伸び代だ。

 

(横島君がいい刺激になったという事かな)

 

とは言え横島君と比べれば相当劣る人材なのは変わらないが……。

 

「ん、なるほどこれか」

 

笛の音色が鳴り響き、周囲の重苦しさがふっと軽くなった。

 

(稀代のネクロマンサーと神楽の天才か……)

 

300年前に生贄にされた巫女と神代琉璃の実妹――反六道派が動いている時に六女に編入させるのを決めただけの逸材ではある。

 

「さてと……後はお任せしても?」

 

【ええ、構わないわ。しかしまだ隠れていたのね……】

 

信じられないと言う様子の三蔵法師の視線の先には私の式神で拘束されている何人かの女子生徒の姿があるが、白目を向いたその姿は悪霊憑きと言っても納得するだろう。

 

【己躑躅院ッ!この裏切り者がッ!!】

 

【裏切り者には、死の制裁をッ!!】

 

聞くに堪えない雑言だと鼻で笑った。裏切り者もなにも、最初から私は旧派閥には何の興味もないし、陰陽寮は私を縛る枷で邪魔以外の何者でも無かった。だが隠れ蓑がなければ私自身も危ない、時期を窺っていただけでそもそも私を飾り物の当主と言っている名家の連中にも陰陽寮にもうんざりしていたのだから裏切り者などと言われる筋合いはない。

 

「この者に取り憑きし悪霊よッ!去りたまえッ!!」

 

聖女マルタが六女の生徒に取り憑いていた悪霊――いや、生霊か。それを引っぺがしていく光景を見ていると三蔵法師が声を掛けてきた。

 

【どういうことなのかしら?】

 

「自分の魂の一部を切り離して憑依させる外道の術ですよ、名家とか言われてる連中は大体そういう禁術を取得してますからね」

 

とは言え中途半端な習得で取り憑いた自分の魂の欠片を地力で回収出来ないのだから愚か以外の何者では無いがね。

 

「それよりもここは聖女マルタに任せることにしましょう」

 

【分かってる、嫌な雰囲気がびんびん伝わってくるわ】

 

ネクロマンサーの笛と神代家の神楽舞――それらの効力は本物だ。六女の生徒に取り憑いていたかつての栄光に縋る愚か者を次々を表に出している。だがこれは前座だ……本命はこれからだ。

 

「私の予想が外れていればいいんですがね」

 

【……そうね、私もそう思うわ】

 

沖合いの戦船に強襲を仕掛けている美神達だが送り込んだ戦力は個々の戦力にこそ秀でているが、最小戦力だ。

 

「貴方、やっぱり何か知ってたんじゃない?」

 

「まさか、ただ私は伝承から紐解いただけですよ、神代会長」

 

「……詰問している場合ではありませんわよ」

 

景清は倒しても死なない、殺しても現れると言う逸話を持つ英霊だ。その伝承から考えれば景清の不死性の秘密の一端に触れる事は出来る。

 

「個にして軍、厄介な悪霊……いえ。英霊ね」

 

景清自身がレギオンに属する複数の魂を内包した悪霊。そして源氏に恨みを持つ者に取り憑いて景清へ変える――当って欲しくないと思っていたのだがホテルの周辺に次々に出現する凄まじい霊力の数々に私は自分の予想が当ったと理解し、ホテルに残っていた神代会長や神宮寺くえすと共に横島君達の助っ人をする前にホテルを飛び出していくのだった……。

 

 

 

~横島視点~

 

閃光にしか見えない凄まじい斬撃を反射的に勝利すべき拳で受け止める。だが凄まじい衝撃と痛みに意識を飛ばしそうになるが歯を食いしばってそれに耐える。

 

「ピートッ!雪之丞ッ!頼むッ!!」

 

ピートと雪之丞の名を叫んで栄光の手を2人に向かって伸ばす。

 

「よっしゃッ!良いぞ横島ッ!!」

 

「しっかりと掴みましたよッ!!」

 

2人の返事を聞き栄光の手を縮める事で一気にホテルの前まで後退するが、当然俺1人で止めれる勢いではなく、雪之丞とピートにぶつかって3人で地面を転がってやっと勢いを殺す事が出来た。

 

「いちち……悪い2人とも」

 

「かまやしねえよ。と言うかお前が死んだりすると周りの奴が怖いしな」

 

「ぎりぎりで間に合って良かったです、腕大丈夫ですか?」

 

ピートに腕は大丈夫かと聞かれ、俺は右腕を左手で押さえた。勝利すべき拳でガードしてもなお青黒く腫れ、折れてるか、折れる一歩手前の重傷だろう。たった一撃……たった一撃でこれだけのダメージを受けた。そんなことが出来るのは1人しかいない……悠然と歩いてくる3人の「景清」は腰の鞘から2本目の刀を抜き放った。

 

【面妖な。軽業師でもそのような真似は出来んぞ】

 

【然り、面白い人間よな】

 

【だが……邪魔をすると言うのならば殺す】

 

幽霊武者が突然景清へと変身したとでも言うのか、本当に一瞬の事だった。心眼の警告がなければ俺は間違いなく両断されていたか、栄光の手で受け止めていたら右腕を失っていたと分かるだけに背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。

 

【黄金衝撃ッ!!!】

 

【御仏の力を見せてあげるわッ!!】

 

景清が再び突っ込んでくる前にホテルから飛び出してきた金時の黄金喰の一撃と三蔵ちゃんの拳の一撃が景清に向かって放たれる。

 

【気配は無かったが……】

 

【ふむ、本陣に斬りこんで来たのは考えがあっての事か】

 

命中するよりも早く後退され、2人の攻撃は当たらなかったがそれでも動きを止める事には成功していた。

 

「邪魔ですわッ!早くホテルに引っ込みなさいッ!」

 

「動ける人は怪我をしてる人を後退させてッ!それと精霊石も出し惜しみなしで使っていいわッ!」

 

くえすと琉璃さんの指示が飛び、ホテルから何人かの六女の生徒が姿を見せる。

 

「わぁ~大変だぁ~もけちゃん。お願い~」

 

「もけ~」

 

「ショウトラちゃん達もお願い~」

 

近衛ちゃんと冥子ちゃんの声がしたと思った瞬間。俺はショウトラの背中に乗せられ、ホテルの中まで後退させられていた。

 

「酷い怪我~今治すわ~ショウトラちゃんお願い~」

 

「わふうッ!!」

 

ショウトラのヒーリングを受けて腕の痛みが僅かに軽くなるが、腕が熱を帯びている感じがする。

 

「冥子ちゃん、腕折れてる?」

 

「う、ううん~でも折れてはないけど、結構重傷だと思うわ~」

 

右手の握力が完全に無くなっていたので折れてる事を覚悟したが、折れていないと言う言葉に安堵した。

 

【無理に動かすなよ、折れていないが……景清の呪いが付与されているかも知れん、魂を蝕んでくるかも知れんぞ】

 

心眼の言葉に同意するように小さく鳴くショウトラにゾッとし、握りこみかけた右拳をゆっくりと開いた。ただでさえ呪われているのに、それを上乗せするなんて冗談ではないと冷や汗を流しているとホテルのロビーが光り輝き、美神さん達が団子状態で落ちてきた。

 

「なにあの化物ッ!増えるとか大概にしなさいよッ!!」

 

「あいたたた……無事に戻って……よ、横島!?どうしたのその腕ッ!?」

 

美神さん達の方も沖の本陣に切り込んだ所で景清に囲まれたのだろう。全員ボロボロで帰ってきて、青く腫れている俺の腕を見て蛍が悲鳴を上げて這いながら近づいてくる。

 

「こっちも景清に囲まれてたんだ……いま三蔵ちゃんとか、くえすとかが応戦してくれてるけど……かなり不味いと思う」

 

ロビーに避難してくる生徒達を見て美神さん達もその顔を歪める。

 

【私はまだ余力があるので応援に行きますッ!】

 

【ワシも行くぞッ!!】

 

「ああ、くそッ!厄介な事しやがってッ!海に行ってる連中を戻せッ!押し切られるぞッ!!」

 

「すぐ連絡を入れますッ!!」

 

本陣に切り込んでいた牛若丸達も外の戦闘音に気付いて加勢に向かう。本来ならばこれなら安心と思える戦力なのだが……。

 

(これ、本当に勝てるのか?)

 

景清は幽霊武者を元に分身する能力を持っている。戦力が落ちれば良いのだが、分身をしていてもその戦闘力は尋常じゃ無く高い……牛若丸に小竜姫様達がいてもそれを上回る数に分身されれば数の暴力に負ける――小竜姫様達が負けるなんて思いたく無いが、俺にはどう考えても景清に勝てるとは思えない。

 

「大丈夫よ、横島。今回の事でまた分かった事はあるわ、だから大丈夫……横島、横島どうしたのッ!?」

 

大丈夫と励ましてくれる蛍の言葉は優しかったが、景清に斬り付けられた右腕が痛みを熱を発し始めている俺はその言葉に返事を返す事が出来ず、遠くなる意識の中蛍の悲鳴と……。

 

【大丈夫ですよ、母が守ってあげますからね】

 

狂気に満ちた女の声と手の中に現れていた硬質な感触を感じながら俺の意識は闇の中へと沈んでいくのだった……。

 

 

リポート13 臨海学校・急 その7へ続く

 

 




増える景清と呪いの攻撃で横島はメンタルに大ダメージを受けて今回のダウンに繋がりました。後は意識を失った理由とすればライトニングママ眼魂が完全になるために横島の霊力を吸収した所にあります。かなり厳しい展開になって来ましたが、ちゃんと勝つ流れに行こうと思いますますのでどんな展開が待っているのか楽しみにしていてください。
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