GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

91 / 157
その2

リポート14 鬼神降臨 その2

 

~琉璃視点~

 

常人ならば触れただけで発狂しかねない怨みが込められた斬撃と漆黒の雷を纏った斬撃が幾重も放たれる――それに加え炎や水の刃が海辺を破壊する。

 

【あははははははッ!!!ああ、良い気持ち……我が子の為に戦う事の何て心地よい事でしょうッ!!】

 

シェイドから発せられる声は横島君の物ではなく、いうなれば情念に狂った女の一方的な愛の叫びだ。

 

【取り憑いて殺すつもりか、見苦しいな】

 

【私が死んでいるのですから我が子も死んでないと駄目でしょう?じゃないと触れあえないですもの】

 

頼光の言葉に目の前が赤くなり、咄嗟に飛び出しかけるがそれをグッと堪えて頭を必死に回転させる。

 

(考えろ、考えるの、冷静になりなさい。神代琉璃ッ)

 

このまま怒りに任せて突っ込んだ所で無駄死するだけだ。小竜姫様達がシェイドの分身を食い止めてくれている間に打開策を見出さなければならない。

 

「なんとかして眼魂を取り出すのが一番確実なんだけど……」

 

完全に横島君に憑依しているわけではないので眼魂をゴーストドライバーから取り外す事が出来れば一番確実なんだけど……

 

「あの霊力の障壁が厄介ですわね……ぶち破るのは不可能ではないですが……」

 

「火力がありすぎると横島まで危険だわ」

 

景清の攻撃を殆ど無効化しているあの障壁が厄介だ。しかもそれが無意識に垂れ流されている霊力って言うだから性質が悪い。

 

「無理やり眼魂を引き抜いたことってありました?」

 

「ないわ、大ダメージで横島君を気絶させてばっかりね」

 

苦虫を噛み潰したような表情の美神さんの気持ちも分かる――確かに気絶させるのも確実な方法の1つではあるが今回はその手段は使えない。

 

【横島のやつ、こっちに来た段階で気絶してやがったぞッ!】

 

【誰かが変身させて連れて来たと思いますよッ!】

 

金時と牛若丸が攻撃の余波を弾きながら私達に向かって叫んだ。元から気絶している相手を更に気絶させる事なんて出来ないからノックアウトして変身を解除させるという手段が出来ないのだ。

 

「金時!なんとか正気に戻せない!?」

 

【やるだけやってみるが多分駄目だッ!ありゃ大将は大将でも牛頭天王も混じってるッ!】

 

牛頭天王の名前にこの場にいる全員が顔を歪めた。牛頭天王はスサノオと同一視されたり、セイオウボまで関わってくる――日本の道教によって様々な側面を持った鬼であり、神であり、雷神なのだ。

 

「あの桁違いの神通力はそれですかッ!」

 

「不味いわねぇ……突破口が見えないわよ」

 

眼魂を取り出せれば横島君を正気に戻せるが、近づく事も出来ないのでは眼魂を取り出すところの話ではない。

 

【がぁッ!?】

 

【はっはぁッ!!!】

 

景清が苦悶の声と共に吹っ飛び、狂気に満ちた笑い声を上げて頼光が追撃を加える。確かに景清も非常に強力な英霊だが、牛頭天王の力と頼光の両方の力を使えるシェイドを相手にするのは明らかに分が悪い。

 

「……霊力をギリギリまで使わせるか?」

 

「ソーマは持って来てますが……横島様が今それに耐えれるでしょうか?」

 

眼魂を取り出すために霊力を消費させるのは確かにシズクと清姫の言う通り一番確実な方法だが……。

 

「駄目だわ。それは本当に最終手段よ」

 

霊力枯渇程では無いが横島君はかなりの霊力を消費している。その状況で霊力を消費させるのは横島君の命に関わる……確実ではあるが、それで横島君が死んでしまえば何の意味もない――安全に無力化するなら三蔵法師様やマルタさんの結界に閉じ込めて霊力切れを待つのが一番確実だがそれに踏み切る勇気は私達に無かった。

 

【最悪命を拾えるだけも良いと思うべきだとワシは思うぞ、死ねばそこまでよ。生きていれば何とでもなる】

 

ノッブの言葉に誰もが言葉を失う……生きていれば、口で言うのは簡単だが四肢の欠損や、目を失っても生きていると言えば生きている。

それを良しと言えるはずが無い……。

 

「ねえ。文珠で一時的に霊格を上げるのは出来る?」

 

文珠で言葉を直接届ける事も考えたが、気絶している横島君に恐らく言葉を飛ばしても意味が無い。景清を押さえ込んで、頼光を押しとめる――それには一時的でも良いノッブ達の全盛期の力が必要だと思ったのだ。

 

【長くは持たんぞ?多分ワシの霊格の差もある】

 

【すぐに駄目になるかも知れねえぞ?】

 

文珠は万能の霊具だが限界はある――景清と頼光を何とかするのは恐らく文珠では無理だ。だが英霊であるノッブ達を強化するのはどうだろうかと提案する……だがノッブ達が渋い顔をする。

 

「無理なの?」

 

【出来なくはないと思うんじゃが……下手をしたらワシら座に帰る事になるぞ?】

 

英霊の座に戻る事になると聞いて駄目かと目を伏せた時、この場にいなかったもう1人の声が私達の頭上から響いて来た。

 

「あい分かった、僕が何とかしよう。霊基を少し調整してやればなんとかなる」

 

冥子さん達と海辺の封印を復活させに行っていた鬼一法眼さんが僕に任せてくれと言わんばかりの力強い笑みを浮かべて私達とノッブの間に着地し、手を差し伸べてくる。

 

「お願いしますッ!」

 

最後の切り札たる文珠を鬼一法眼さんへと託したのだった……。

 

 

 

~小竜姫視点~

 

分身――分け身であっても源頼光の力を持つシェイドに私は完全に足止めされていた。

 

(時間がないと言うのにッ!)

 

渡辺綱の刀――鬼切安綱とガンガンブレードを手にした紅いパーカーを見につけたシェイド頼光魂の斬撃は神魔である私でも直撃してはならない一撃だと一目で分かった。

 

「くうッ!」

 

【!!】

 

2本目の神刀を抜いて鬼切安綱の突きを弾いて反転して砂浜を抉りながら着地する。

 

「はぁ……はぁ……流石平安時代最強の怪異殺しと言われただけはありますね」

 

怪異殺しが狂神石の力で歪められて神殺しにまで昇華されている。下手に斬られたら神格を失うだけではなく、狂神石に汚染されかねない。しかもその上渡辺の綱の技量と頼光の技能が上乗せされたシェイドの分身は余りにも強い。

 

「ちいっ!!鬱陶しいたらないねッ!」

 

メドーサが舌打ちし私と同じ様に後退するのを見て私は声を上げた。

 

「メドーサッ!」

 

「あん!?」

 

指で合図を出すと私の意図を汲んだメドーサはにやりと笑い、ビックパイパーを召喚する。

 

【!!】

 

長巻が鎌へと変化しビッグパイパーを切り裂き、その後にいたメドーサを狙った青いパーカーを着たシェイド頼光魂の刃を私は神刀で受け止めていた。

 

「こっちの方が私にはやりやすいですね!」

 

「あたしもだよッ!!」

 

長巻と鎌へ変化する氷結丸は間合いを取って詰め将棋のような戦いを好むメドーサとは相性が悪い。そして私のように至近距離で戦う相手と鬼切安綱は相性が悪い――ならば相性の良い武器同士で戦えば良いだけの話だ。

 

「はッ!!」

 

【!?】

 

鎌を長巻に変形させようとするがそうはさせまいと地面を蹴って間合いを詰める。振り回す武器である氷結丸は懐に潜り込まれた時の対処が遅れる。

 

(固い……でもッ!!)

 

叩き付けた神刀が軋む音がする。余りの固さにうんざりするが……切れない硬さではないと全力で振り切ると×の字に深い切り傷が刻み付けた分身が胸を押さえて後退する。

 

「にがしゃしないよッ!!」

 

【!?】

 

鬼切安綱の間合いの外から閃光のような槍捌きで攻め立てるメドーサに紅いシェイドの分身が少し後退した時――この場に似つかわしくない激しい音楽が鳴り響いた同時に紅く燃える骨の拳が氷結丸を手にしているシェイドの分身に突き刺さった。

 

「なっ!?」

 

【第六天魔王波旬~夏盛~(ノブナガ・THE・ロックンロール)ッ!!!】

 

耳鳴りのするような激しい音楽が私の後ろから鳴り響き、燃える骨の拳が何度も何度もシェイドの分身を殴りつける。

 

「信長!?なんですかその格好はッ!?」

 

【別にどうでも良いじゃろ!それにイケてるしッ!!!】

 

水着姿の信長が異形の三味線を響かせるとその後ろのガシャドクロが激しく両腕を振るう――信長も間違いなく怪異殺しであり、神殺し、その格は決して頼光に劣るものではない。私とメドーサでは有効打を与えられなかったシェイドの分身にダメージを与えている姿に驚いていると更なる驚愕が私を襲った。

 

【必殺……ジェット三段突きぃッ!!!】

 

「は?」

 

メドーサの横を駆け抜けた沖田さんの突きが鬼切安綱を手にした分身を突き飛ばし、メドーサが信じられないと目を見開くが気持ちは私も同じだ。

 

【おっしゃあ、もういっぱーつ!!んで後は頼んだぞ!!ゴールデンッ!!!】

 

強烈なアッパーで氷結丸を手にした分身が宙へと飛ばされ、同じく突き飛ばされた鬼切安綱を手にした分身と縦に並んだ。

 

【おうさッ!!黄金……衝撃ッ!!!】

 

凄まじい咆哮と共に振るわれた黄金喰の雷を纏った一撃が纏めて分身体を両断し爆発させる。だが金時は砂浜に倒れこんだ。

 

【今ので俺はすっからかんだッ!!後は頼むぜッ!!】

 

「なにが……これはどういう作戦なんですか!?」

 

私とメドーサが足止めしている間に美神さん達が何か作戦を考えたのだと思い、どういう計画なのかと尋ねるが信長達の返答は作戦の説明ではなく焦りに満ちた叫びだった。

 

【説明してる暇はないッ!このまま一気に頼光まで肉薄するぞッ!】

 

【隙を見て眼魂を抜き取らないと本当に横島君が不味いですからねッ!】

 

聞きたい事はある、どういう計画でどう動けば良いのかそれを知りたいが、結局の所私達に求められるのは神魔の強靭な肉体と神通力と魔力だと当たりをつけ、鬼一法眼さん達と共に景清と頼光に駆けて行く美神さん達に続き走り出すのだった……。

 

【後お前ら盾じゃから】

 

「知ってましたよッ!!!」

 

「どうせそんな事だろうって思ってたよッ!!」

 

向かってる途中で信長に盾になれと言われて思わずメドーサと一緒に知ってたと叫んだのは正直あれでしたけどね……。

 

 

 

~美神視点~

 

鬼一法眼が文珠を加えて霊基を弄ったノッブ達はなぜか水着姿になってしまったが……霊力を格段に上昇させていた。金時は相性の問題で無理だというのでどうせ説得が無駄になるのならばと文珠で霊基が損傷しないギリギリの強化を施し1発に全てをつぎ込んだ一撃は鬼切安綱と氷結丸を手にしたシェイドの分身を作戦通りに撃破してくれた。

 

「景清が大分押されてますわよッ!」

 

くえすの言葉を聞いて顔を歪めながら全力で砂浜を駆け抜ける。大分距離を詰めたが、卜部と金時の宝具を装備したシェイドと頼光眼魂に攻撃されている景清の腕が吹き飛び霊力の放出が始まったのを見て作戦が総崩れするのを感じた。

 

「ブリュンヒルデッ!シズク、清姫もでかいのをお願いッ!!小竜姫様ッ!メドーサッ!頼光の足止めをッ!!」

 

景清を今倒される訳には行かない、頼光を倒すには景清の力が必要になる。源氏を倒す者と定義された景清の力が頼光を打倒……いやゴーストドライバーから頼光眼魂を取り出す唯一の方法だ。

 

【ワンワンワンッ!!!】

 

【シャアアアアアーッ!!】

 

「突っ込みますよッ!!」

 

「正気じゃないにも程があるよッ!!」

 

ショウトラ達と共に小竜姫様とメドーサが突撃する――ショウトラ達が奮起し卜部と金時の武器を持っている分身を一瞬食い止め、その間を小竜姫様とメドーサが突破し、景清にトドメを刺そうとしていた頼光に斬りかかる。

 

【あらあらあら、ふふ、可愛らしい児戯ですこと】

 

超加速による突撃にも関わらず頼光は2人を簡単に弾き飛ばした。だが小竜姫様とメドーサには悪いが2人は捨て駒だ、景清から頼光を少しでも引き離す為だけの攻撃だった。

 

「死がふたりを分断つまで(ブリュンヒルデ・ロマンシア)ッ!!」

 

「行きますよ、全くどうしてこうなるんですかね」

 

「……それはこっちの台詞だッ」

 

【あら?】

 

仮面ライダーシェイド頼光魂に巨大化した槍と業火と水流が炸裂し、それによって発生した爆発に吹き飛ばされないように歯を食いしばって只管に前に出る。

 

「見えたッ!!でも消滅が始まってますよッ!美神さんッ!」

 

景清の消滅が始まっていると聞いて私はすぐ後の牛若丸に視線を向けた。

 

「本当に大丈夫?」

 

自分で考えておいてなんだが……これは下手をすれば全てが終わりに向かう博打に近い一手だ。全てを牛若丸に託すといえば聞こえは良いが……消滅寸前の景清を取り込んで義経になれと言うのは無謀の極みだと思うし、何よりも義経になったとしても景清の霊力で反転する可能性も捨て切れないのに私達は牛若丸に全てを託すしかなかったのだ。

 

【大丈夫ですとも、あれも問い詰めれば私なのですからッ!主は必ず助けますよ】

 

自信満々の様子の牛若丸の顔を見れば何も言えない、いや言ってはならない。それは牛若丸の決意も思いも全てを無碍にするからだ……。

 

「蛍ちゃん!くえすッ!作戦通り行くわよッ!!」

 

「はいッ!!」

 

「外したらぶち殺しますわよッ!!!」

 

くえすが展開した魔法陣の中心に立ち、アンちゃんが作ってきた霊波銃を構えると蛍ちゃんとくえすが私の肩に手を当てて霊力と魔力を放出する。

 

(ぐうう……ッ!!きっつうッ!?)

 

私の霊力と蛍ちゃんの霊力、そしてくえすの魔力が身体の中で渦巻いている。信じられない痛みに顔を歪めながら霊波銃に「増」の文字が刻まれた文珠を装填する。

 

「行くぞ、馬鹿弟子ッ!勝って来いッ」

 

【はいッ!!琉璃殿ッ!!】

 

「くううっ!こんなのこれで最初で最後にしてよッ!!本当にさあッ!!」

 

鬼一法眼の陰陽術と琉璃が神卸しで呼び出した義経の魂を牛若丸に叩きつけるように憑依させる――裏技も裏技だ。琉璃が出来る神卸しは神の力を一部借り受けるものであり、義経は神ではないので本来は不可能だが神社に祭られているのだから神と無理矢理認識する事でその力を借り受けれるのではないか?と提案したのだ。琉璃は無理だ、不可能だと叫んでいたが大事なのは出来ると思い込む事、そして自分なら出来るというある意味自己催眠だ。霊力は魂の力、イメージの力だ。義経の姿をしっかりと思い浮かべれば不可能ではない、そして私は2つ目の賭けに勝った。

 

「霊基を固定するッ!」

 

【長くは持ちませんッ!次をッ!!】

 

「いっけええッ!!!」

 

義経の霊基を鬼一法眼が固定し、牛若丸の意識が勝ってるのを確認し私は増の文珠を込めた霊波銃の引き金を牛若丸に向かって引いた。

 

【はあああああッ!!】

 

増幅の文珠によって高密度の霊気の塊となった牛若丸が景清へと体当たりし、2人の姿が閃光の中へ消える。

 

【主の身体は返してもらうッ!!】

 

【ふふふふ、あははははははははッ!!出来るものならやってみるが良いッ!!】

 

義経へと姿を変えた牛若丸が飛び出し頼光へと斬りかかる姿を見て、私は文珠と霊波銃に霊力を空っぽになるまで持って行かれた疲労でその場にへたり込んだ。

 

(お願い、牛若丸)

 

情けないことに私に出来る事はここまでだ、あとは牛若丸が横島君を取り返してくれることを祈るしかないと言う途方もない無力感に苛まれながら牛若丸の勝利を祈るのだった……。

 

 

 

リポート14 鬼神降臨 その3へ続く

 

 




牛若丸を義経に、そしてノッブ達を水着霊基に変えて突破しボス戦突入です。今回も美神達は出来る事が無いですが、まだ技術が完成していないという事でお許しください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。