GS芦蛍!絶対幸福大作戦!!! FINAL   作:混沌の魔法使い

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その4

リポート15 不思議の国の横島君 その4

 

~横島視点~

 

紫ちゃん達の異界に閉じ込められて4日が過ぎた。最初は外に出れるのかと僅かに不安だったが、アリスちゃん達が魔界と行き来しているのでその内俺も行き来出来るようになるだろうと不安に思うのではなく、前向きに考えるようにした。

 

「フランちゃん、重いよ~」

 

人見知りがきついと言っていたフランちゃんも4日の間に俺に懐いてくれのか、良く背中におぶさってくるようになっていた。勿論紫ちゃん達とも仲良くなっていてレミリアちゃんが心配していた人見知りは完全に解消したと思う。

 

「むーフラン重くないもんッ!」

 

「ごめんごめん、散歩行くんだろ?ほら、1回降りて」

 

女の子に重いって言うのは悪かったなと自分の失言を謝り、降りるように促すと軽く羽ばたく音がして背中が軽くなる。宝石が付いている翼を羽ばたかせて俺の前に回ってくるフランちゃんは華が咲くような満面の笑みを浮かべていた。

 

「今日はどこまでお散歩に行くの?」

 

「んーどうしよっか?」

 

フランちゃんが降りてくれたのでリュックを背負い、ベッドの上で散歩を待っていたチビノブを抱っこする。

 

【ノブウ!】

 

「っとと」

 

だがチビノブは抱っこがあんまり好きではないのでよじよじと身を捩り、俺の身体をするすると移動して肩車のような態勢になり俺の頭の上に顎を乗せる。

 

【ノブウ~♪】

 

満足そうな鳴声を上げているチビノブにやれやれと肩を竦めながらログハウスを出る。

 

「みーむうー♪」

 

「ヨギ!ヨギー!!」

 

「ふっかー!」

 

「お兄ちゃん!早くお散歩行こうよ!」

 

「今日は氷河まで行くぞー!」

 

「たまぁ~!!」

 

きゃっきゃっと楽しそうに笑うアリスちゃん達とチビ達に笑みを浮かべながら散歩に行くぞーと声を掛けて日課である散歩を始める。

 

【お兄さん!私は氷河より原っぱが良いです!そりもありますし!】

 

「そりは良いな!あの原っぱを滑り降りるのは楽しいぞ!!」

 

「それでしたら私はブランコの方が良いですわ、お兄様はどうですか?」

 

「ブランコか、あたいもブランコは好きだぞ!!」

 

3人集まれば姦しいと言うが3人所ではないので物凄く賑やかだ。

 

「そうだなあ、じゃあ時間があるからブランコに行ってそこから原っぱに行こう。それなら良いだろ?どうかな」

 

どうせこの異界にいてやる事と言えば遊ぶ事や散歩に炊事洗濯に魚釣りやボール遊びくらいしかないのだ。お昼まで時間は沢山あるし、両方行こうと提案する。

 

「……それでしたら私、先に原っぱでそりの方が良いですわ」

 

「私はブランコの方が良いけどね」

 

「私も~レミと同じでブランコの方が良いわ~」

 

「えー、お姉様もパイモンもそりの方が楽しいよ、ね?ミィ」

 

「……ねー?」

 

「「「むーッ!!」」」

 

互いに行きたい所が違い揉めているアリスちゃん達を止める為に手をパンっと叩くとアリスちゃん達だけではなく、チビ達の視線も俺に集まる。

 

「喧嘩しないの、折角遊びに来たのに喧嘩したんじゃ意味が無いじゃないか、皆で仲良く遊んだ方がずっと楽しいと俺は思うよ」

 

ブランコもそりも、此処に来てから皆で作った遊び道具だ。勿論好みがあるのは分かっているが、それで喧嘩するアリスちゃん達を見るのは俺としてもとても辛い。

 

「ごめんなさい、お兄ちゃん」

 

【ごめんなさいです、お兄さん】

 

「怒ってる訳じゃないんだよ。でも皆で遊びに来てるんだ、楽しく喧嘩せずに遊ぼう。そうだな、ここからだとブランコが近いから先にそっちに行って、そこから原っぱに行こう」

 

保父さんに向いているって言われてるけど、こういう場合の仲裁とかの対応はまだまだだなと自分で思う。

 

(今度タタリモッケさんにきいとこ)

 

この異界にはこれからも度々来る事になるだろうし、タタリモッケさん達に保父さんとしての心得を教わろうと思っていると額をぺちぺちと叩かれた。

 

【ノブウ】

 

「ははは、ごめんごめん、チビノブもブランコ好きだよな。行こうか」

 

【ノッブウ♪】

 

ブランコが好きなチビノブが俺の頭の上で歌う声を聞きながらブランコのある巨木の下へ走っていくアリスちゃん達の後を追って歩き出すのだった……。

 

 

 

~アリス視点~

 

大きな木が沢山並んでいる広場には皆で作ったブランコがぶら下がっている。その内の1つに腰掛けて足をパタパタとさせながらまだかなまだかなとそわそわしながら待つ。

 

「よいしょー」

 

【ノーブウ♪】

 

「よいしょーッ!」

 

【ノッブウ♪】

 

お兄ちゃんがブランコの後を押してくれるのが楽しみで楽しみでしょうがない。ワクワクして待っているとお兄ちゃんにグッとブランコを押されたチビノブがタイミングよくブランコの上から飛び出した。

 

【ノーブッ!!】

 

「「「おおーッ!!」」」

 

空中でくるくると回転しVサインをしながら着地をするチビノブの姿に皆の楽しそうな声が響いた。

 

「お兄ちゃんあれ!アリスもあれやりたい!!」

 

「えー危ないよ?」

 

「大丈夫だよ!アリスもやるッ!!」

 

お兄ちゃんは危ないからと言うがどうてもチビノブと同じ事がやりたくて駄々を捏ねる。

 

「軽くだよ?」

 

「分かってる!!」

 

優しく押してもらっていても何回かそれを繰り返せば十分なスピードが出てくる。そしてブランコが1番高くなったタイミングでブランコから飛んで両手でスカートを押さえる。

 

「とっと、ぶいッ!」

 

着地の瞬間に少しバランスを崩したけど、スキップの要領で態勢を立て直してくるりと回転してお兄ちゃんに向かってVサインをする。

 

【お兄さんお兄さん!私も私もやります!】

 

「私も面白そうなのでやってみたいです!」

 

アリスが飛んだことでリリィ達も私も私もと言い出して、ブランコジャンプの飛距離を競う遊びが始まった。

 

 

「むふうー♪アリスが1番!」

 

皆も飛んだけど1番遠くに飛んだのはアリスだったのでお兄ちゃんと手を繋ぎながらそりの場所へ向かう。

 

「楽しかったみたいだけど危ないから俺かタタリモッケさんがいるときじゃないと駄目だからね?」

 

「「「「分かってるー♪」」」」

 

ブランコジャンプは危ないから俺がいるときじゃないと駄目だと繰り返し言うお兄ちゃんに分かってると皆で返事を返し、今度は原っぱでそり遊びをすることになったんだけど……。

 

「わっととと」

 

「きゃーッ♪」

 

皆1人で滑っているのにお兄ちゃんの膝の上に座って楽しそうな声を上げている紫を見て、そりが止まった所で皆が一斉に動き出した。

 

「私も、私も!!」

 

【ノーブウー】

 

「アリスもお兄ちゃんとそり乗る!!」

 

「あたいもーッ!!」

 

お兄ちゃんと一緒だともっとスピードが出るみたいだし、お兄ちゃんに抱っこして貰ってるみたいなのも良いなと思い、お兄ちゃんに皆で強請る。

 

「はいはい、順番な~あと喧嘩しないこと」

 

「「「「はーい!」」」」

 

1人ずつお兄ちゃんに抱っこされながらソリで原っぱを滑り降りる。1人で滑るよりもずっと早くて、お兄ちゃんに抱っこされているのも凄く良かった。

 

「もっかいもっかい!!」

 

「次アリスー」

 

「アリスはさっきやったでしょ、次は私よ。横島」

 

「私はまだ1回です、横島。私です!」

 

「ま、待って、ちょっと、ちょっと休ませて……」

 

「「「「やだやだやだやだッ!!!」」」

 

アリス達の駄々にお兄ちゃんは分かった分かったからと返事を返して、そりを抱き抱えたところで振り返った。

 

「紫ちゃん。上まで運んでくれない?」

 

「いいですわよ、でも次は私ですわ。いいですわよね?」

 

上まで運んでくれる変わりに自分が先と言う紫に不満はあったけど、多分お兄ちゃんが登っていくともう無理と言うと思ったので嫌だと思いながらもアリス達は良いよと言うしかなかった。

 

「きゃあああ――ッ♪」

 

でもその後に順番でお兄ちゃんに抱っこされたままソリ遊びが出来たので良いのかなと思う事にするのだった……。

 

 

 

~美神視点~

 

横島君が天竜姫達の作った異界から出れなくなって4日目……大分時間は掛かってしまったが私達の結論は決まった。

 

「異界は存続、観察した後に本当に安全だと分かれば異界と結界を強化して安全なシェルターにするで決まりでいいわよね?」

 

正直現状では天界も魔界も決して安全とは言えない状況だ。人間界だって決して安全とは言えず、どこに裏切り者がいるか分からない中で安全な拠点と言うのは喉から手が出る程欲しい物だ。天竜姫、天魔、紫ちゃんの作った異界がどれ程のレベルかは判らないが、天界からも魔界からも干渉できないと言うのならば横島君の隠れ家としてこれ以上最適な場所はないと言うのが私と琉璃、そして西条さんと冥華おば様の出した結論だった。

 

「私は最初からそうするべきだと言ってますわよ?」

 

くえすだけが最初からそうするべきだと提案していたが、いざとなると決断を下すのはやはり難しいしデリケートな問題なのだ。

 

「どの程度の異界か分からなかったからよ。それに異界が横島君にどんな影響を与えるか分からないし」

 

「やっぱりもう少し考えたほうが」

 

横島君の影響ということ場に蛍ちゃんがもう少し考えたほうがいいのではという意見を出す。

 

「私もやっぱりちょっと心配です」

 

「私も~」

 

おキヌちゃんと冥子も心配だと口々に言い出すと琉璃が手をパンと叩いた。

 

「悪い影響とは限らないわ、狂神石の力を弱体化させる可能性も十分にあるの。不安要素は確かにあるけど足踏みしているだけじゃ何も変わらないわ」

 

不安が無いわけでは無いが、横島君が安全に過ごせる場所の可能性が高いのならば非常にありがたい話だ。

 

「同行してくれるのよね?鬼一法眼」

 

「かんらからから。勿論、天魔は僕の弟子の1人だからね、ちゃんと師匠として見に行くとも」

 

「私も勿論同行しますよ、予定が合えばヒャクメも連れて来たいと思いますし……状況によってはその……地龍一族も」

 

「「「それはちょっとどうかなって思う」」」

 

結界の使い手としては優れているかもしれないが、余りにも人格面が-に振り切りすぎている。

 

「でも実際地龍の結界って凄く優秀でしたよね」

 

「これで人格面も優れていたらと思わずにはいられないわね」

 

事実東京の悪霊の出現率は大きく低下していた。流石に景清襲撃時に大量に発生した悪霊やガーゴイルを止めるのは無理だったが……それでも優秀な術者と言うのは間違いないんだけど……。

 

「なんであんな変態になったの?」

 

「……なんでも昔まだモグラだった時に面倒を見てくれたのが子供だったらしくて、600年くらい前の話らしいんですけど……その人と横島さんが良く似ているとかなんとか」

 

……高島の後の横島君の転生した姿とか言い出しそうな気がする。

 

「と、とりあえず今回は保留で、小竜姫様とヒャクメさんと鬼一法眼さんに同行して貰うという事でいいですよね?」

 

琉璃が強引に話を締めに来たが、今回はそれでいいと思う。これで下手に話を長引かせて地龍一族もってなるよりかはずっと良い。

 

「もう異界は開けるの?」

 

「横島の気配は覚えていますからね、別にすぐに開けない事はないですが……まぁ当然ながら私だけでは力が足りないので、これから小竜

姫達に手伝って貰って準備するって形になりますかね」

 

「それじゃあそっちはくえすにお願いするわ。私達は私達でちょっと調べたい事もあるし……」

 

4日時間が掛かったのは何も異界をどうするかとかだけの話ではない、今現在東京で起きている心霊事件の件があったからだ。

 

「西条さん。この連続辻斬り事件なにか分かりました?一応タマモに頼んでカマイタチを捕獲してますけど……」

 

ここ数日都内で頻発している辻斬り事件……最初は横島君の家に来ているカマイタチの仕業かと思いタマモとシロに監視をして貰っている。

 

「私絶対違うと思いますよ。あの子……結構ポンコツですし」

 

「蛍と同じですわね」

 

くえすが毒を吐き蛍ちゃんと口論を始める姿を見て額に手を当てて思わず溜め息を吐いてしまう。横島君がいないだけでこの相性の悪さである、元々決して相性が良いわけでは無いが横島君がいないとすぐに口論や喧嘩に発展してしまうのは仲が良いのか悪いのかと、それともそんな言葉で片付けられない何かがあるのか……仕事なら協力できるが、日常では本当にくえすと蛍ちゃんの相性は最悪だ。

 

「カマイタチに関しては解放してくれて良いよ。やっぱり彼女は白だった」

 

「ですか……おキヌちゃん、悪いけど横島君の家に電話して来てくれる?それとシズクに頼んで彼女が欲しいって言う物を買ってあげてって」

 

「分かりました。すぐに電話してきますね」

 

正直カマイタチはグレーだと思っていたが、こうして拘束して監視していたという記録があれば彼女の身の安全は保障されるような物だ。

本人も勝気ではあるが、素直な性分なので冤罪を押し付けられないように私も注意を払った形になる。

 

「恐らく幽霊だとは思うが、襲われているのは女性ばかり。後最近分かったが、襲われた女性は皆堕胎あるいは流産の経験がある」

 

堕胎もしくは流産だと聞いて思わず眉が動いた。

 

「もしかして水子関連?」

 

「だいそうじょうが目撃されていることを考えるとその可能性は極めて高いと思う」

 

水子関連の事件は出来れば私達は避けたい、というのも水子関連は女性GSにとっては致命的に相性が悪い。

 

「僕や唐巣神父、それに白竜寺の面子で対応してみるさ」

 

「ごめん、こればっかりは駄目だわ」

 

生まれる事を望んだ水子は宿る場所を望む、そういう面では女性GSは水子に目を付けられやすく倒す事も除霊も厳しいと天敵に等しい相手と言えるのでこれは西条さん達に頼むしかないか……。

 

「辻斬りで水子……ですか」

 

「何か思い当たる所でもあるのくえす?」

 

「いえ、ただ……なにか引っかかる事があるんですわ、霊感が囁くと言いますか……何か、上手く言えないんですが……妙な引っ掛かりがあるといいますか……暫くガープ達がまともに動いてないからか、嫌な予感があると言うところでしょうか?」

 

確かに全く動きを見せていないガープ達の事もあって過剰に考えすぎている気もしなくも無いが……。

 

(確かに少し気になるのよね)

 

水子が辻斬りしているとなれば既にその水子は悪霊になっていてもおかしくないのだが、殺された被害者はおらず傷も軽度と命の関わるレベルではないのも引っかかる。

 

(また何か見落としているのかしら……)

 

今は横島君を無事に異界から連れ戻す事、そして異界を安定した拠点としようとしているのは今後の事を考えての事だが……この先を考えての行動が何か致命的な間違いなのではないか?と言う云い様の無い焦りと不安を抱かせるが、これが今出来る中では最善のはずと胸の中の不安と言葉に出来ない焦燥感を飲み込もうとしたのだが、胸の中に燻る不安は時間が経つほどに強くなっていくのだった……。

 

 

 

リポート15 不思議の国の横島君 その5へ続く

 

 




次回で1度ほのぼのは終了で、お待たせしていたかもしれない「月編」にはいりたいと思います。これはかなりハードな感じになりますし、やっとレクス・ローも表舞台に上がって貰おうと思っておりますので館編と同じで長編となる予定です。原作のメドーサのイベントも少し変更してやる予定なのでどんな展開になるのか楽しみにしていてください。それでは次回の更新もどうかよろしくお願いします。


PS

ドラコーを無事にお迎えする事が出来ました
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