オペレーターSR02
施設内ではアーツユニットを強制ロックします。
ようこそ、アンジェリーナ』
ここは製薬会社ロドス・アイランド。
その最上階に位置する『ドクター』の執務室。
そこへ陽気な足取りで近づく影が1つ。
彼女は慣れた手つきでカードキーを刺し、ドアを開ける。
「
現れたのはアンジェリーナ。ロドスに所属するオペレーターの1人であり、
現在はロドスの専属トランスポーターとして各地を巡っている。
今日はドクター宛の荷物を届けに来たようだ。
「…ドクター?」
いつもはここで「やあ、アンジェリーナ。」なんて返事が聞こえてくるはずだが、今日の執務室はやけに静かだった。
不審に思った安心院は、ドクターのデスクへ駆け寄る。
ドクターは書類だらけの机に突っ伏して寝ていた。きっと仕事続きで疲れていたのだろう。
だが、今の安心院にとってそんな事は重要では無かった。
ドクターは仮面を外していたのだ。ドクターという人物はケルシーやアーミヤといった親しい人物を除き素顔を隠している。
ドクターの正体はよくオペレーターの話題になるが、結局の所、それは憶測の域を出ない。
安心院は恐る恐るその顔を覗き込む。
(これがドクターの顔…)
それは至って平凡な青年の顔だった。
他のどんなオペレーターも知らないドクターの素顔。それを自分だけが知っている。元々ドクターの事が気になっている事も相まってか、その事実が安心院を興奮させた。
そして、それは安心院を大胆な行動に走らせた。
(今なら…ドクターにちゅーしてみても、バレないよね?)
彼女はドクターの側へ駆け寄り、その頬に唇を合わせようとした時______
「うーん…」
ドクターが寝言を漏らした。安心院はドクターが起きたものと勘違いして、
「ひゃあっ!」
っと後ずさり、彼女はその拍子で側にあった本棚に衝突してしまった。
するとカチリ、という音と共に本棚の一部が動き、小さな隠し扉が現れた。
(この際だし、ちょっとぐらい覗いちゃっても…良いよね?)
恐る恐る扉を開けると、そこには大量の本が収められていた。
1つ奇妙な点があるとすれば、一冊一冊がとても
(うわぁ、本がいっぱい…何の本だろう…)
安心院はその中の一冊を手に取ってみた。
彼女の予想に反して、内容はあるトランスポーターの少女と青年の恋愛模様を描いた、所謂ラブコメというやつであった。
あれから暫く経った。ドクターは相変わらず眠っている。一方安心院はというと、すっかり物語の世界に夢中になっていた。
主人公の少女と自身を重ねていたのもあってか、読了するまではあっという間だった。
他の作品も読んでみたくなった彼女はすぐ隣にあった本へと手を伸ばした。
それが、悲劇の始まりだった。
まず安心院の目に入ったのは、さっきまで感情移入していた主人公の全裸体だった。よく見ると、本の隅には大きく「R18」と書かれている。
(これってもしかしなくても、エッチなやつ…だよね?)
(ど、ドクターってこんなの読むんだ…)
ページを捲る手は止まらなかった。どうやらこの本は先程の作品の二次創作のようで、
内容はキスやハグ止まりだった本家と違い、その先、つまり性行為の様子がありありと描かれていたのだ。
(あうぅ…///こんな事まで!?)
安心院は今にも顔から火が出そうだった。が、それでも読むのは止められない。そしてその都度、まぐわっている少女を自分と重ね、羞恥していまうという
そうこうしている内に_______
「うーん…」
ドクターが目覚めはじめた。
現実に引き戻された安心院は唖然とした。見渡すと、さっきまで読んでいた本が辺りに散乱していたのだ。
(ど、どうしよう…)
まずい、はやく戻さなければ。
だが時間は残酷だった。快眠だったらしいドクターはゆっくりと背伸びをすると近くにいる彼女に気づいた。
「やあ、アンジェリーナ。今日もお仕事お疲れ様。」
「ドクター…ご、ご…」
「ご?」
「ごめんなさいーーーっ!!!」
そう言い残し、安心院は慌てて執務室を後にした。誰かとぶつかりそうになったが、そんな事は気にしていられない。
「何が起きたんだ?」とドクターが思うのも、もっともだろう。
ウィーン
「こんにちは、ドクター。さっき、アンジェリーナさんが逃げるように執務室から出てきたんです…が…」
ドクターは急に話を止めたアーミヤを不思議に思った。
その視線の先には、辺り一面に散乱する肌色。
ドクターは死を覚悟した。
《PRTSよりドクターへ通達》
現在ロドス・アイランド最上階、
ドクターの執務室内に存在する全ての隠しスペースはケルシー医師のマスター権限によりロックされています。
《追伸》
今後ドクターのインターネットショップの注文履歴は全てケルシー医師、およびアーミヤCEOに通達されます。