――イージーゴアは、アメリカ競馬にとっては史上最悪の
ケンタッキーダービーを日本調教馬として初めて制した際に、誰ともわからぬアメリカの競馬評論家が発した言葉である。
BCクラシックの前日。オーナーは新聞に書かれたイージーゴアに関する記事を読みながら、ハハハと苦笑する。
「随分と悪役ですな、イージーゴアは」
「あんな競馬を、それも本場のダートで見せられては堪ったものではないでしょう。彼らなりのイージーゴアへの称賛です」
意にも介さないように、深川が言う。
だが、そんな深川にも懸念があった。
「……オーナー、ここだけの話ですが、少しよろしいですか?」
「……どうされました、先生」
鞍上の柴義富を乗せてダートを単走するイージーゴアを尻目に、深川は口を開く。
「BCクラシックは勝てます。イージーゴアなら確実に」
「……はい」
「ですが問題はそのあとです」
「はい……?」
「これを勝てば、間違いなくイージーゴアは有馬記念のファン投票で一位になれると思うのです。しかし問題は相手です」
「まさか……」
「はい、そのまさかです。ダートなら確実に勝てますが、芝となると厳しい戦いになるでしょう。なにせ相手は芦毛の怪物オグリキャップですし」
オグリキャップ、その名をオーナーは小声で呟く。
「真っ黒い話になりますが、日本競馬はイージーゴアを嫌でも有馬記念に引っ張り出してくるでしょう。その場合、オグリキャップやその他の有力馬も出走し、イージーゴアを叩き潰さんと全力で向かってきます」
「…………」
「はっきり言って、イージーゴアにはオグリキャップほどの芝適性がありません。有馬記念では、能力をごっそり持っていかれます。ですが勝たせます、必ず」
オーナーには、深川の目に紅蓮の炎が宿って見えた。
だからこそ――競馬はやめられない。
手を額に当て、オーナーは大きく笑った。
逆境を越えれる馬こそ、真の名馬だ。
イージーゴアは、まさにそうだ。
「やりましょう! 先生! そのためにはまず、BCクラシックを勝つ! 日本に最高の栄誉をもたらす! そしてオグリキャップにも勝つ!」
強敵など、なにするものぞ。イージーゴアはそれすら喰らう怪物だ。
芦毛の怪物といえど、イージーゴアであれば勝てる。
各々、思いを馳せる。もちろん、イージーゴアこそが最強だと信じて。
――このオレが、オレこそが最強だ。相手がどうあろうと知らん。ただ勝つ。それだけだ。
「イージーゴア? 急に立ち止まってどうした?」
急に立ち止まり、オーナーと深川のほうを向くイージーゴアを不思議に思い、義富は声をかける。
ぶるる、とイージーゴアは喉を鳴らす。
「――ああ。必ず勝とうぜ。どんな強敵だろうと、どんな不利を受けようと!」
イージーゴアは、大きく嘶いた。
――データがアンロックされました。
――イージーゴアの能力値が解放されました。以下、表示します。
馬名:イージーゴア 牡馬 子出し能力:8
スピード:82 距離適性:1300~2500 瞬発力:S+ 勝負根性:A+ 健康:S 賢さ:S+ パワー:測定不能
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