弊ウイポ世界の競馬掲示板の妄想   作:佐月檀

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三代目ビッグレッド編 幕間その四 最強王者

 ――イージーゴアは、アメリカ競馬にとっては史上最悪の悪魔(ヒール)だ。

 ケンタッキーダービーを日本調教馬として初めて制した際に、誰ともわからぬアメリカの競馬評論家が発した言葉である。

 BCクラシックの前日。オーナーは新聞に書かれたイージーゴアに関する記事を読みながら、ハハハと苦笑する。

 

 

「随分と悪役ですな、イージーゴアは」

「あんな競馬を、それも本場のダートで見せられては堪ったものではないでしょう。彼らなりのイージーゴアへの称賛です」

 

 

 意にも介さないように、深川が言う。

 だが、そんな深川にも懸念があった。

 

 

「……オーナー、ここだけの話ですが、少しよろしいですか?」

「……どうされました、先生」

 

 

 鞍上の柴義富を乗せてダートを単走するイージーゴアを尻目に、深川は口を開く。

 

 

「BCクラシックは勝てます。イージーゴアなら確実に」

「……はい」

「ですが問題はそのあとです」

「はい……?」

「これを勝てば、間違いなくイージーゴアは有馬記念のファン投票で一位になれると思うのです。しかし問題は相手です」

「まさか……」

「はい、そのまさかです。ダートなら確実に勝てますが、芝となると厳しい戦いになるでしょう。なにせ相手は芦毛の怪物オグリキャップですし」

 

 

 オグリキャップ、その名をオーナーは小声で呟く。

 

 

「真っ黒い話になりますが、日本競馬はイージーゴアを嫌でも有馬記念に引っ張り出してくるでしょう。その場合、オグリキャップやその他の有力馬も出走し、イージーゴアを叩き潰さんと全力で向かってきます」

「…………」

「はっきり言って、イージーゴアにはオグリキャップほどの芝適性がありません。有馬記念では、能力をごっそり持っていかれます。ですが勝たせます、必ず」

 

 

 オーナーには、深川の目に紅蓮の炎が宿って見えた。

 だからこそ――競馬はやめられない。

 手を額に当て、オーナーは大きく笑った。

 

 逆境を越えれる馬こそ、真の名馬だ。

 イージーゴアは、まさにそうだ。

 

 

「やりましょう! 先生! そのためにはまず、BCクラシックを勝つ! 日本に最高の栄誉をもたらす! そしてオグリキャップにも勝つ!」

 

 

 強敵など、なにするものぞ。イージーゴアはそれすら喰らう怪物だ。

 芦毛の怪物といえど、イージーゴアであれば勝てる。

 

 各々、思いを馳せる。もちろん、イージーゴアこそが最強だと信じて。

 

 

 

 

 ――このオレが、オレこそが最強だ。相手がどうあろうと知らん。ただ勝つ。それだけだ。

 

 

「イージーゴア? 急に立ち止まってどうした?」

 

 

 急に立ち止まり、オーナーと深川のほうを向くイージーゴアを不思議に思い、義富は声をかける。

 ぶるる、とイージーゴアは喉を鳴らす。

 

 

「――ああ。必ず勝とうぜ。どんな強敵だろうと、どんな不利を受けようと!」

 

 

 イージーゴアは、大きく嘶いた。




 ――データがアンロックされました。




 ――イージーゴアの能力値が解放されました。以下、表示します。



 馬名:イージーゴア 牡馬 子出し能力:8

 スピード:82 距離適性:1300~2500 瞬発力:S+ 勝負根性:A+ 健康:S 賢さ:S+ パワー:測定不能

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