艦娘と、深海棲艦と、護衛艦と   作:ソロモンのみなも

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第9話 能代

 

 

---こんごう艦内

田崎(その後、特に何事もなく"しらたか"は合流した。)

艦長「報告したまえ。」

副長「は!出発した後、佐世保湾に進入したところで戦艦"長門"が接触してきました。佐世保鎮守府提督が迎えるよう指示したようです。救助した人たちの証言道理、"長門"は目にハイライトがなく、必要最低限のことだけを機械のような感じでしゃべっていました。着岸後、私だけが"しらたか"を降りて対談を試みましたが...」

艦長「どうなったんだ」

副長「文書を渡そうとしたところ、いきなり佐世保鎮守府提督が隣にいた戦艦"大和"に攻撃命令を出し、"大和"が砲をこちらに向けたため全速で離脱してきました。途中、おそらくヘリが遭遇したゼロ戦を放ったのと同じ艦娘の艦載機に爆撃されたため、しらたかは76mm主砲で迎撃、目立った損傷もなく逃げ切れましたが、"しらたか"の主砲弾はもうほとんど残っていません。」

艦長「そうか、ご苦労だった。"おおたか"に主砲弾を一部"しらたか"に分けるよう指示してくれ。」

副長「了解」スタスタ

田崎「艦長」

艦長「一番近い補給ポイントを失ってしまったが...前後の状況的にも致し方ないか...。」

田崎「燃料、食料品等、127mm、76mm、20mmの砲弾がかなり減少しています。このまま対空戦闘が必要な状況になれば、迎撃しきれなくなってしまいます。」

艦長「決断を急がねばならんな。よし、医務室の艦娘たちにどうにかできる場所がないか聞いてみよう」

 

---こんごう医務室

艦長「少しいいでしょうか」

金剛「艦長、佐世保のはどうなりましタ?」

田崎「攻撃を受けてしまって全速離脱で退避してきました...」

夕張「ですよね。」

霧島「それで、何かお話があって来られたのですよね?」

艦長「はい、田崎砲雷長が言った通り対談は決裂してしまったので、航行に必要な燃料や生活用品が補給できないんです。もし補給できる場所を知っている方がいらっしゃいましたら、教えていただけないかと思いまして...」

明石「そうですね...」

艦娘たち「うーん...」

能代「あ、あの、私心当たりがあります!」

 

 

 

 

---1か月前

能代(私は1か月ほど前、呉鎮守府の建造ドックで建造された)

能代「阿賀野型軽巡二番艦、能代。着任しました。よろしくどうぞ!」

呉提督「やあ、初めまして。ここの提督だ、よろしく」

能代「よろしくお願いします!」

呉提督「わが呉鎮守府へようこそ...って言いたいんだけど、着任早々すまないが君には佐世保鎮守府へ行ってもらわなきゃならないんだ。」

能代「佐世保...ですか?」

呉提督「ああ。激戦で艦娘が足りないそうなんだ。だから艦娘の派遣要請の手紙が来た」

能代「そうなのですか...了解、能代にお任せを!」

呉提督「これからすぐに佐世保の方へ向かってもらうことになるんだが...その前に君に注意しておいてほしいことがある。」

能代「...?」

呉提督「...実はな、佐世保はブラック鎮守府なので有名なんだ。今回の要請だって、"激戦で艦娘が足りない"って書いてあったが、片っ端から艦娘が減っていくような激戦が起きているとはとても思えないんだ。本来ならそんなところへ艦娘たちを送りたくないんだが、大本営も証拠が集められずにいるせいで公式に追加派遣要請を拒否できない。だけど何かあったときのために僕...というか個々の鎮守府の連絡先を渡しておく。何かあったらすぐに電話してきていいからね。」

能代「わ、分かりました」

 

能代(その日の夜、佐世保から迎えのバスが来た。呉からは私一人だったけど、ここに来る前に別の海軍施設にもよっていたらしく、すでに駆逐艦や巡洋艦の人たちが8人ほどバスに乗っていた。)

能代(呉をバスが出たのは午後9時半ごろ、佐世保についたのは深夜3時半ごろ、みんな車内で寝てしまってて、職員の人に"着いたぞ!"って大声で起こされた)

能代(寝ぼけ眼をこすって職員の人についていくと、そのまま大きな宿舎に連れていかれた。)

職員「お前はここだ。」

能代(...とだけ言われ、2段ベットが2つある小さな部屋に入れられた。)

能代(2段ベットは2つあるけど、私以外にこの部屋を使っている艦娘はいないようだ。)

 

能代(朝になり身支度をして部屋を出ると、艦娘たちがずらずらと一方向へ歩いて行っていた。)

能代(列についていくと、食堂が見えてきた)

能代(列に並んでしばらくたつと、自分の番がやってきた。)

能代(そこで渡されたのは、カピカピに乾いて硬くなった食パン1枚と薄切りのソーセージ2枚)

能代(プレートを渡してきた方を見ると、エプロンを着た艦娘らしき人がものすごく申し訳なさそうな顔で「ごめんなさい...」と言った)

能代(呉で提督が注意してくれたことは、本当だったようだ。)

 

能代(着任後、佐世保の提督へのあいさつもなく、出撃はおろか演習や遠征もなく、)

能代(不安になった私は通りがかった職員の方に聞いてみた)

能代(しかしその人は顔をそらし、逃げるように立ち去ってしまった。)

能代(やはりここはブラック鎮守府で間違いないのだろう。)

能代(私はすぐに呉へ連絡を取ろうとした。)

能代(だけど現実はそう甘くなかった)

能代(公衆電話スペースに行ってみると、ケーブルが全て切断されていた。)

能代(宿舎から出ようとすると、入り口の職員に"外出禁止だ"と怒鳴られた。)

能代(助けを求める手段は、すべて断ち切られていた。)

能代「私、これからどうなるんだろう...」

 

能代(佐世保に来てから1か月ほどたったある日、いきなり部屋のドアが叩かれた。)

能代「は、はい!」

職員「出撃だ。」

能代(そう告げられ、私は人生最初の航海へと旅立った)

能代(旗艦は摩耶さんで、他は金剛さんと秋月さん、夕張さんと電さんだった。)

能代(練度もほぼない私は次々に被弾し大破、他の人たちもどんどん大破していった。)

能代(このまま進撃すればみんな沈んでしまう。)

能代(でも私たちに出された命令は"進撃"だった。)

能代(通信を聞いた時、ふと呉の提督の顔が浮かんだ。)

能代(わざわざ注意してくださったのに申し訳ありません...)

ズガ―――ン

敵機「!?」

能代「!?」

能代(あきらめかけていたその時、突如5隻の軍艦が現れ、私たちは救助された。)

能代(そして今)

こんごう艦長「もし補給できる場所を知っている方がいらっしゃいましたら、教えていただけないかと思いまして...」

能代「...」ガサゴソ

呉の連絡先を描いたメモ帳

能代(呉の提督なら、助けてくださるかもしれない)

能代「あ、あの、私心当たりがあります!」

 

---続く




読んでいただきありがとうございます!
ここまで能代には「新人」ということであまり会話に参加させないようにしてきましたが、今回からはいっぱいしゃべってもらいます。

そういえば少し前にもがみ型護衛艦(30FFM)の3番艦が「のしろ」と命名されましたね。
就役したらたくましく日本の海を守っていってほしいです!

もしよければ次話も読んでいただけると幸いです!
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