19人の妹達   作:ジャーマンポテトin納豆

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7話

 

 

春を迎えた。

スキーでの遭難事件以降、1週間ぐらいはかなり取材の申し込みやらがあって一々断るのが面倒だった。

態々家に押し掛けてくる奴までいる始末で、家の敷地から出られなかった。

しかも母さんが芸能事務所を、しかも超有名なところのトップとあって余計に火を付けたらしい。

 

とは言え今では収まって、人々の記憶には殆ど残っていないだろう。

 

家族に変わった事と言えば、全員が学年を一つ無事に上がったことだ。

霙は大学生に、蛍は高校生に、小雨は中学生に、真璃は小学生に、虹子は幼稚園に進んで新しい生活が始まっている。

 

俺自身に特に関係がある事といえば、麗の態度が随分と軟化した事か。

遭難以降、態度が軟化して最初の頃が嘘のようである。

しかし、妹に好かれて嫌な訳がないので俺自身は内心嬉しい限りだ。

 

他に何か変わった事と言えば、俺が警備会社を設立した事だろう。

警備会社と言っても実際の中身は民間軍事企業、所謂PMSCである。

雇われれば非合法なこと以外はやるので、まぁあながち間違いでは無い。

しかも日本はモントルー文書に加盟していないから、手続きなどはアメリカなどに比べて楽だ。

 

今のところの契約先は、母さんが経営する芸能事務所だけだ。

警備の穴を見つけたり、雇われている警備員の訓練が主であり、忙しいかと聞かれると全くである。

運営など自体も社員が俺一人だから、大してやる事もない。

 

芸能事務所が警備部門として、専属の警備員を二十人ほど雇っておりその訓練が主だから暇な日は暇だ。

週に3日、彼らに訓練を施したり仕事を全て終えてしまえばそれ以外にやる事は無く、今まで通りだ。

 

とは言え訓練は大変だ。

なんせ軍隊経験が無い、まるで初心者の人間に専門的な警備を教えなきゃならない。

しかも変に下地がある分、厄介だ。

若くて体力があるならばまだ良いが、殆どが三十代以上の、しかも余り運動をせずに、者によってはブクブクと太った奴だ。

ただ、全員が素直に従ってだらける時はあるが、なんだかんだとやる気はあることが唯一の救いだろうか。

 

これで警備をすると言うのだから正直、頭を抱えるレベルだったが、仕事だから何とかやらねばならない。

 

 

 

 

 

会社には、入社したいと言う奴が現れるがはっきり言って採用基準に全く届いていない。

なんせ学力だけじゃない、運動経験が無いだとか、取り敢えず就職したいだとか言うのばかりで教育から始めなきゃならない。

警備を任せられるのだから、半端なことは出来ないから教育や訓練は厳しくなる。

それを伝えると、面倒臭そうな顔をしながらそそくさと帰って行ったりするもんだからどうしたものかと。

 

社員は社長の俺一人、入社希望は事実を伝えると逃げる、契約先の警備員は警備が出来ない。

悩みの種は尽きないが、それでも何もしないよりは良い。

警備員全員には、まず運動をする習慣と、体力を付けさせるために奔走中である。

体力は年齢関係無く付けることが出来る。

 

何故なら知っているからだ。

年々歳を重ねている筈なのに、何故か去年より筋肉がデカくなり体力が付いていく、俺の居た部隊の指揮官を。

 

確かに昔からやっていた、と言うのもあるかもしれないが、そんなものはあくまで加点に過ぎない。

やるかやらないかの問題なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

今日も一日、訓練を施して家に帰ってくる。

皆新学年が始まったばかりで疲れているのか、何時もの騒がしさはここ何日か鳴りを潜めている。

年長組は体力があるからいつも通りだが、ちびっ子達がなんせもうぐっすり夢の中だから静かだ。

 

立夏達騒がしい組も、起こしたら大変だからと静かだから家全体が普段を知っている分、有り得ないぐらい静かに感じる。

やらねばならないことは既にすべて終わらせているので仕方なくのんびりすることにした。

 

訓練を行いながら自分のトレーニングも済ませてしまったから今日は本当にやることがない。

部屋に戻って、ゲームでもやろうか、それとも本を読もうか。

はたまた、友人に強く勧められて買ったは良いものの、その気が無くて手を付けなかったプラモデルを組み立てようか。

 

割と部隊には凝り性気質、日本でいうところのオタクっぽい連中が多かった。

アニメや漫画が好きなヤツが広めたおかげで一時本棚には日本の漫画しか無かったりとか、暇を持て余したやつが本国から弾けたらかっこいいだろ、と幾つかの楽器を持ってきたり、プラモデルを持ってきたり。

しかも意外と馬鹿に出来ないことが書かれていたり、経験出来たりする。

 

まぁ、アニメや漫画の間違った知識で日本はこうなんじゃないかとか言い始めたときは流石にどうかと思ったが、プラモデルは手先を鍛えられる。

銃器を弄ったり、IEDを作ったりだとか、場合によっては精密機器を自分で修理したり組み立てたりしないとならない俺達は、その辺は結構手先の器用さが求められることが多い。

個人的な意見であるが、大雑把な性格の奴や趣味が少ない奴は特殊部隊というか、軍隊そのものに向いていないと思う。

 

というのも雑だと基本碌なことがない。

危険物を扱うことの多い軍隊や、特殊部隊は兎に角気を配らねばならない場面が多い。

そこで雑に仕事をしたら命に関わる。

 

そして趣味が少ない奴、というのは特殊部隊に求められることと合致しない、と言うか答えられない場合がある。

基本特殊部隊に求められるのは様々な状況下であらゆる任務を熟す、これに尽きる。

どれだけ過酷であろうと、任務の遂行は何よりも優先されるし、その次に大事なのは仲間の命だ。

となるとその困難な状況を打破するためにはより多くの選択肢を得るためにそれぞれがより多くの技能を習得していなければならない。

語学にしろ、技能にしろだ。

 

となると多趣味の奴の方が、趣味が無いとか少ないと言う奴よりも、色んな事を学んで習得するのに抵抗が少ない。

あとは心に余裕が出来ると言うのもあるな。

 

 

 

理想は多趣味であり細かくやるべきところと、大雑把にやるべきところを分けて考えられる奴だ。

戦術で例えるなら、ピンポイントの点を目標とした精密攻撃と、広い範囲を目標とした面制圧といったところか。

そこに選択肢を増やす、という意味での多趣味が加われば取れる戦術などは多くなる。

 

ただ、選択肢が多いというのは時として大きな間違いをする可能性もあるが、選択肢が多ければいらない選択肢を切り捨てていけるから、選ぶ道が少なくどう考えても不味い選択肢を選ばざるを得ない状況、なんてのは少なくなる。

 

しかも今の俺は、片目が見えない。

だから右目だけでも細かく精密な作業が出来るようにするには小さな部品が多く、しかも割と安価で手に入れられるプラモデルで鍛えるというのは安全性の面から考えてもかなり有効だと思う。

 

 

 

しかしプラモデル、一度も触れたことが無いから調べるところから始めないとならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

組み立てたり、塗装したりするために色々と検索を掛けて調べているが、はっきり言ってキリがない。

凡その組み立てや塗装などの手順は把握したから、あとは後々にやるしかない。

 

そう考えて必要なものをリストアップしていると、ドアを叩く音が聞こえる。

 

「入っても良いですか?」

 

「あぁ」

 

「失礼します、王子様」

 

訪ねて来たのは春風だった。

いつも通りの可愛らしいエプロンをしているから、時刻的にも晩飯が出来たとかそんな感じだろうか。

 

「晩御飯、出来たので来てください」

 

「ん、今行く」

 

やはり晩飯だ。

キリが良いからすぐに立ち上がって降りていこうとすると、裾を引っ張られる。

 

「どうした?」

 

「あの、明日、おっきなショッピングモールにお買い物に行こうと思っているんですけど、明日は皆用事があるらしくて、王子様に一緒に行ってほしいんですけど、良いですか?」

 

買い物か。

まぁ、別に明日は予定も何も無いから構わない。

なんなら今リストアップしたものを買えるかもしれない。

 

「明日なら特に予定も無いから良いぞ」

 

「本当ですか?ありがとうございます」

 

「ん、何時に出る?」

 

「んー、早めに出て早めに帰って来ようかなって。開店が十時だから、九時に出れば大丈夫」

 

「分かった」

 

二人で話しながら下に降り、そして皆揃っての晩飯である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、何時も通りのトレーニングを行ってから風呂と朝飯を済ませて支度を整え、いざ買い物に。

 

車を出して、二人で向かうは国内でもかなり大きなショッピングモールだ。

本屋など様々な専門店も軒を連ねていてどうやっても一日二日程度では全ての店を見て回るのは無理である。

人の数も多く、賑やかだとか騒がしいだとか言うレベルではない。

 

「凄い人だかりだな……」

 

「初めてですか?」

 

「いや、どうだろうな……。向こうに居た時もここまでの人が一か所に集まっているのを見たことがないかもな」

 

実際、ここまでの人混みは初めてかもしれない。

 

「ここに何を買いに来たんだ?」

 

「消耗品類です。それと、夏に備えて皆に新しいお洋服を作ろうって蛍ちゃんと話してて。その生地とかも買い揃えたいなぁ、って」

 

「なるほど、確かに冷蔵庫の中が寂しくなってきていたな」

 

「はい、だから今日は沢山買っていかないといけないんです」

 

「なに、そう言うことなら荷物持ちは任せろ」

 

まず最初に生地などを購入し、車へ運ぶ。

これが一人二人分なら大したことは無いが、十九人分ともなるととんでもない量だ。

軍の訓練を受ける前に、迷彩服などの衣類一式や装備類一式を渡されたときよりも遥かに多い。

 

十九人分の服の生地だからそこそこの重量になる。

春風一人じゃ持ち運ぶのは無理だったろう。

 

「今までは分担で持ち運んで車まで何度も往復していたんです。だけど今日は王子様がいるお陰で一回で済みました」

 

嬉しそうに言う春風と一緒に車に載せる。

二人しかいないから、D席とP席さえ空いていればいい。

 

あとの2ndシートと3rdシートはシートを全部折り畳んで上げて、スペースを確保すれば今日買い込むであろう量の荷物を十分に積み込むことが出来る。

四輪駆動車で、しかも座席が3列もある内の荷台と2ndシートと3rdシートを折り畳まないと乗らないほどの荷物量なんて一般家庭ではまず有り得ない。

いや、我が家は断じて一般家庭ではないと思うが。

 

 

十九人分の生地を載せたなら、次は常温でも問題無い食料品を買い込む。

所謂缶詰や瓶詰などだ。

 

我が家は、パンなども買ってくることは少ない。

パンを食べるなら自分達で焼くのだ。

方針として小さい子たちもいるから出来る限り口に入れるものは愛情たっぷり手作りが決まり、と春風と蛍に教えられている。

 

麺類もパン類も菓子類もなにもかも、基本的に自分達で作ることの出来るものは自分達で作ってしまう。

流石に小麦や米、肉などを育てるところからは無理だが、それでも凄いことに変わりはない。

 

小麦粉や米、野菜、肉、魚は地元の八百屋、農家などから直接購入しているらしく、そっちの方が安心出来るし、美味しい、それに安上がりで手っ取り早いのは確かだが、なんだか本当に普通の家族が暮らしている家なのか、聞いたら疑ってしまうレベルだ。

どう考えてもレストランとかの話だろう、これは。

 

 

 

 

缶詰や瓶詰、歯ブラシに歯磨き粉などと言った生活していて必要な消耗品を大量に買い込む。

これがまた多いのなんの。

 

大きなカートが丸々2台だ、それをエコバッグに詰め込んで車に載せたら次は飲料水だ。

水だけに留まらず、ジュースや料理酒なども大量に買い込む。

 

それと母さんが家で飲む、滋養強壮用の酒とかも幾つか。

他には化粧品類や生理用品、ティッシュ、トイレットペーパーなどなど兎に角多い。

 

しかも金額がとんでもないことになっていて、思わず二度見して何かの間違いなんじゃないかと思ってしまった。

 

何度かに分けて買い、そして積み込むを繰り返す。

すると、あっという間に車は満杯になってしまい、どうやったって入りきらないレベルだが、俺の軍時代の収納術と春風の普段の知恵をフル活用して収めた。

 

それを終えたら、少しの休憩とそれぞれ欲しいものを買うために巡る。

 

ここは何でも揃っているらしく、俺の探していたプラモデルを作るのに必要なものも一式全て揃った。

それを車に積みに行ったら、次は春風の番だ。

 

買うことは出来ないが、服を見たりしてはしゃいでいる。

今は下着のサイズが合わないから見たいと言って、女性用下着を売る店に入っていった。

流石に俺は入れない。

 

なので店のすぐ近くにある椅子に座って待つことにした。

先ほど本屋で買った本を取り出して読む。

 

小説四冊の他に、プラモデルに関する雑誌を二冊購入した。

春風も料理本を三冊ほど買っているから、これからの料理のレパートリーがさらに多くなることだろう。

 

 

 

 

ぺら、ぺら、とページを捲りながら読み進めるが……。

 

しかし、周りからの視線が気になる。

 

眼帯とサングラス、それに髭を生やしているからか、物珍しさに好奇の視線を向けてくる奴が多い。

変な視線は無いから大丈夫だとは思うが、なんとも居心地が悪い。

 

それに春風を連れていると言うのもあるかもしれない。

春風に限らず、妹達は皆美人ばかりで同性でも振り向いてしまう魅力がある。

 

そんな春風と二人で並んで歩いているのが、髭面の厳つい顔した眼帯サングラス男となったらそりゃぁ、気になるだろう。

今は春風がいないからマシだが、春風と並んで歩いている時は今よりも見られていたと思う。

 

髭は、顔の輪郭などを隠す為に生やしている。

顔をそのまま晒すよりかは、身バレをするリスクは低い。

他にも戦地じゃハイテク機器で顔認証なんて自軍でしかやらないし、しかも向こうの宗教や文化的に髭を生やすことが多い。

だから溶け込むために髭を生やしていた。

 

だから今更剃れと言われても中々難しい。

自分の本当の顔が周りに知られてしまうことのリスクと言うのは、皆が思っているほど高い。

正体を知られるというのは、作戦以前に何よりも気を付けなければならない事柄だ。

 

 

 

周囲に気を配りつつ、本を読み進める。

どうしても唯一気が抜ける家以外の場所、こう言う人混みの中や、野外になると周りを警戒したり怪しそうな人物を見つけてしまうとマークしてしまう。

長年の癖と言うのは、中々抜けないものだ。

これに関しては抜けなくても良いと思うが、皆からすると少しおかしいな、と思われているらしく以前言われてなるほどそうだったのか、と気が付いた。

 

氷柱は、

 

「アンタが居たとこと違ってここは、少なくとも昼間に限っては安全よ。そんな警戒する必要無いじゃない。なのになんでそんな怯えた子犬みたいになってんのよ」

 

なんて言われたが、こればっかりは許してほしい。

もしかしたら、があるかもしれないのが人生なんだからな。

 

 

 

 

 

 

二十分も待っていると、春風が戻ってきた。

 

「お待たせしました」

 

「いや、いい」

 

「それじゃぁ、お昼ご飯食べてから帰りましょうか。多分、今頃お家では蛍ちゃんが作って食べてる頃だと思いますし」

 

「そうするか。それなら今日は俺の奢りだ、好きなものを食べると良い」

 

「いいんですか?

 

「勿論。何が食べたい?」

 

「それなら、普段食べられないものとか食べたいですね。ん~、何にしようかな」

 

悩む春風と一緒に歩き、選んだのは寿司である。

確かに我が家で寿司が出ることは無いと断言出来る。

 

なんせ小さい子が多いから生魚が宜しくない事もあるわけで、そうなると大体焼き魚とかになってしまう。

俺も日本に来てから寿司なんてヒカルのマラソン大会のご褒美で一緒に行った、あの一度だけだ。

ラーメンも同じで一度だけだ。

 

寿司自体は結構好きだが、行く機会が無い。

 

「ん~!美味しい!」

 

「そりゃ良かった」

 

ショッピングモールの中に入っている寿司屋だが、一皿三百円とかする。

逆にこれで不味かったらおかしいだろう。

 

回転寿司は宣伝で見る限り大体一皿百円ぐらいが普通らしいから、ここはその三倍の値段で出している。

それでも客入りはかなりのもので、途切れることは無く俺達も二十分ほど待って入った。

 

美味しそうに頬張る春風を見ながら、自分も頼んでいく。

マグロに始まり、青魚や変わり種など。

 

ハンバーグが乗っていたのを見たときはかなり驚いた。

俺の中での寿司のイメージが完全にひっくり返った瞬間だな、あれは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼食も終わり、春風と少し歩いていると、何処となく違和感を感じる人物何人かと擦れ違う。

何故か右側の腰の位置をしきりに弄り、何かを確認したり直すような仕草、身体の重心が少しズレている。

パッと見た感じだが、腰の辺りが膨らんで少し下がっているように見える。

 

座っているのと違って立って歩いている訳だから、そんなことには普通ならない訳だ。

 

それに、他の奴はさっきはショッピングモールに来るには些か大き過ぎる荷物と、気温が二十度を超えている今日にしては季節外れの厚着、汗を大量に掻いている。

顔色も悪く、一心不乱に歩いている。

 

怪しい、と言うか完全に黒だ。

ああいう行動をする奴は大抵の場合、前者であれば銃を隠し持っている場合が多い。

銃を持つということに慣れていなかったりすると、大体そういう仕草をする。

 

これはアメリカの軍、特に特殊部隊、そして治安維持に直接関わる警察では下から上まで教えられることだ。

なんせアメリカは日本と違って銃社会だ。

そこらの誰かが銃を持っていても何らおかしくはない。

それどころかそれを使って悪さを働く奴なんて幾らでもいる。

俺だって日本に来る前までは向こうにある家に銃があった。

手入れが出来ないから売ったのだが。

 

だが大体戦場以外で銃を持っていたり、何かやましいことを考えていたりする奴の特徴として、日常を送る街中では大体二つに分けられる。

一つが警察や軍人みたいに銃の扱いや所持に慣れていて職務上携えている場合。

これは余程の事でない場合は心配しなくていい。

まぁ、そいつが警察官を装っている奴でいきなり銃を向けてくるなんてことも無くはないから、最低限の警戒はする必要はあるだろうがそれ相手にヤマアラシ宜しく全力で警戒する必要はないだろう。

 

二つ目が、全くのずぶの素人が銃を携えていること。

これは普通じゃない。

何かしらのタイミングでボロを出す。

さっき俺が思ったように、身体の体重や軸がブレていたり、やたらと銃を触ったり直したりと言った、兎に角銃を気にする素振りをする。

 

専門職の人間は見ただけで一発で分かる。

俺だけじゃない、警察官も軍人も、職務上で銃を日常的に扱っている者はボンクラでもない限りは分かる。

 

 

 

 

そして後者で該当するのは、殆どの確率でテロ行為に及ぼうとしている奴だろう。

戦地でも、女子供がそういう状況だと同じような感じだったのを覚えている。

最悪な思い出だが、爆弾を抱えて突っ込んできた母親を狙撃で殺したことがある。

しかも抱えていたのは爆弾だけじゃなく、赤ん坊まで抱えていた。

運良く爆弾は爆発しなかったから赤ん坊は助かったが、爆発していたら諸共吹き飛んで辺りに肉片と血を撒き散らしていただろう。

 

赤ん坊はそのあと、どこかの人道団体だかなんだかに預けられたと聞いている。

 

 

アレが本当にそうなのかは分からないが、多分俺の予想は間違っていない筈。

つい二週間ほど前、とある国のとある大都市で大規模なテロがあったとニュースでやっていた。

それに触発された奴か、それともテロ組織が二回目を狙っているのかもしれない。

 

後者の可能性は低いだろう。

俺の予想だと前者だ、と思っている。

と言うのも、基本的にそういった組織が根城にしている国などから出発している人間は国籍に関わらず調査対象になることが多い。

特に日本はその辺のことが厳しいと聞く。

俺の件でそれは既に実証済みだ、間違いない。

 

ならば、国外からテロリストが侵入するのはまず無理だろう。

阻止されているが表沙汰になっていないか、それとも標的にされていないだけで日本ではここ数十年そう言った事例は起きていない。

 

となると前者と考えた方が妥当だ。

大規模なテロが起きるとそれを真似て模倣テロや模倣事件を起こそうとする輩が一定数いるのは昔から変わらない。

アメリカでも模倣事件なんてのはある話だ。

特に現代だとスマートフォンやインターネットの普及によって情報が拡散する速度が昔に比べて比較にならないほど速く、そしてあらゆる人間、一般人などに限らずこういうことをやろうとする、警察などもマークしきれていない不特定多数の過激派なども情報を得られやすい。

 

警察だって無能じゃない、過激思想を持つような組織や個人をマークして監視しているだろう。

だが、それが全くマークをしていない奴らだったとしたら意味が無くなる。

何処にだって穴や抜け落ちる場所はある。

全てを完璧にするのは無理だと言っていい。

完璧に近い状態にすることは可能だが、完璧にするのは無理だと言っていい。

99.9%は可能だとしても、残りの0.1%と言う可能性がある。

 

 

 

 

俺の予想が外れていたらそれでいいが、当たっていたら最悪も良いところだ。

いつどこでやるのかは分からないが、ここにいるのは不味い。

別に俺だけなら素手でも銃を持っている奴の制圧ぐらい出来るが、春風が一緒にいるのが問題だ。

今の俺は、春風を伴っている限り満足に戦える状況にない。

 

春風と言う絶対的な弱みがあるからだ。

何かを守りながら戦うというのはかなり難しい。

護衛対象を守りつつ、脱出と言うのは普通は数名のsquad(分隊)で行うのが普通だ。

しかし一人で、と言うのはかなり難しい。

 

正直、状況などにもよるだろうが最も難しい状況で単独で護衛対象を伴いつつの脱出と言うのは殆どの場合において遂行出来ないだろう。

となると、最も優先すべきは春風をこの場所、正確にはこのショッピングモールから遠ざけることだ。

こんな場所で友軍を期待するだけ無駄だし、以前書類を提出する際に警察署でひと悶着あった時に貰った刑事やらに電話して応援を要請しても、最も近場の警察署までは五十km、緊急通行を行ったとしても道路の状況次第じゃ十分は余裕で掛かる。

そんな時間があったら、とっくに事は起きている。

 

春風を退避させるとしても、少なくとも店内は、危険だと思わないとならない。

車まで逃げて、万が一に備えて荷物の中に隠れさせて漸く少しは安全、と言ったところだろうか。

そう思うと春風はスキーの時と言い、今回と言い何かと巻き込まれたりして可哀そうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「春風、車に戻るぞ」

 

「え?急にどうしたんですか?」

 

「いいから来い。絶対に手を離すな」

 

「は、はい」

 

俺の顔を見て何かあったのだ、と察した春風は大人しく付いてくる。

逸れないようしっかりと春風の手を握り車まで最短で走る。

 

車に到着したら、手短に春風に説明する。

 

「いいか、春風。俺の予想や勘が間違っていなければ、銃と爆弾を持っている奴らがあのショッピングモールの中に客に紛れて忍び込んでいる」

 

「えっ!?」

 

「だから、それを確認するために俺は今から戻るが、危ないから春風はここに居てくれ。いいな?」

 

「でも……」

 

「大丈夫だ、俺を誰だと思っている?だから安心してくれ。何、ちゃんと帰ってくるさ」

 

出来る限り優しく笑って、少し強めに春風を抱き締め、荷物の中に隠れさせる。

外側に硬い物を置き、内側に柔らかい物を置く。

ちゃんと空気が入るように上面に穴を開けて、飲料水と携帯電話を持たせておく。

 

「じゃぁ春風、何があってもここから動くんじゃないぞ。いいな」

 

「はい……」

 

そう、最後に言い聞かせて車のドアと鍵を閉める。

熱くならないようにエンジンを付けてエアコンも付けておいたから大丈夫だろう。

公安と名乗っていた男から貰っていた名刺を取り出し、電話を架ける。

 

数コール後に、聞いたことのある声が出る。

 

『もしもし、どちら様でしょうか?』

 

「前に警察署で身元を明かせと言われた、と言えば分かるか?」

 

『あぁ、ロビンソンさんでしたか。どうかされましたか?』

 

「急ぎの要件だから手短に話す。今、○○と言うショッピングモールに居るんだが、どうも怪しい奴が7人いる」

 

『それなら所管の警察へ電話をされては?』

 

「そいつらが銃を所持していて、爆弾も持っていると言ってもか?」

 

『銃と爆弾、ですか!?間違いとかでは無く?』

 

「あぁ、俺の経験と勘が正しければ間違いない。だから大急ぎで応援を寄越して貰いたい」

 

『わ、分かりました。ですが私一人で決められることではないので、上司に話します』

 

「早くしろ、もし本当なら雰囲気からして時間は無いぞ」

 

『ロビンソンさんはどうなさるんですか?』

 

「こっちはこっちでどうにか出来ないか試す。早くしてくれ、俺一人じゃ限界がある。それと上司に言っておけ、事が起こった後に大量の死体と肉片を目の当たりにして責任を取るか、それとも今動いて褒められるか、どっちがいいか決めろってな」

 

『わ、分かりました』

 

「それじゃぁ切るぞ。何か分かったらまた連絡する』

 

そう言ってからすぐに電話を切り、すぐに連絡出来るよう今回に限り連絡先を登録しておく。

店内に走って戻り、インフォメーションセンターに向かって大急ぎで公安に電話し、事情を説明してもらったら警備員4名を借り受ける。

その三人を伴って記憶している7人の顔を思い出しながら探し走る。

 

 

 

 

銃火器を持っている相手に対して素手では勝てないと誤解している奴が多いが実はそんなことは無い。

訓練を積むか、それとも勝てる状況を作り出せばいい。

 

結局のところ、銃と言うのは一つの方向にしか一度に撃てないわけだ。

しかもそれが拳銃なら猶更だ。

 

ライフルの射撃よりも拳銃の射撃の方が簡単だと思っている者が多いだろうが、実はそんなことは無い。

なんなら自動小銃や狙撃銃よりも拳銃を撃つ方が断然難しい。

映画とかだと拳銃をバカスカ撃って当たりまくっている、なんて描写をよく見かけるがあれは中々有り得ない。

自動小銃は肩にストックを支え当てて反動を抑えたりコントロールすることが簡単だが、拳銃は腕どころか手と手首だけで支えて撃たねばならない。

 

慣れればどうってことは無いが、対して訓練していない人間が拳銃を扱うのは中々難しい。

素人に銃を持たせるなら自動小銃を持たせた方が良い。

 

連中は、携行場所や服の膨らみ方を見た限り拳銃である可能性が高い。

それなら制圧は容易だ。

最悪、一発目を撃たせたとしてもスライドカバーをがっちり握って排莢不良と次弾を装填出来なくさせてやればいい。

手袋をしていても手をやけどするかもしれないが、まぁそれぐらいなら所要範囲だ。

 

大仕事の前だからか挙動不審になっている、7人の内の一人を見つけ出し近付く。

っと、眼帯は外しておこう。

サングラスならまだしも、眼帯を付けていては流石に怪しまれる。

 

 

 

 

「よう、兄弟。さっきからどうした?」

 

「っ!?」

 

「なんだよ、そんなカリカリして。顔色悪いな、調子悪いのか?」

 

「い、いや……」

 

「まぁ、ここじゃ邪魔だから端に行こうぜ」

 

出来る限り普通に接する。

普通話し掛けたりしないが、コンタクトを取った感じどう考えてもド素人、しかもこんな緊張状態じゃぁ、まともな判断なんて下せやしない。

そこに付け込んで壁の方に誘導する。

 

「さてと。……で、お前、何者だ?」

 

「いや、俺は……」

 

「取り合えず、その懐に入れてる物騒な物を大人しく寄越せ。そうすれば殺しはしない」

 

身長は170cmと言ったところか、俺よりも15cm以上は小さい。

 

それを利用して、全身で圧を掛けつつ寄越すように言う。

 

「ッ!」

 

しかしどうやら聞き入れてくれないらしい、咄嗟に拳銃を抜こうとするが服の上からがっちりと拳銃であろう物がある場所を掴んでやる。

するとどうだ、やっぱり拳銃じゃないか。

 

形からして、恐らくはトカレフだろう。

こいつはコピー品が多いから、世界中で出回っている。

 

特に旧共産圏や紛争地帯、テロリスト、犯罪者がマカロフと共に多く使っている銃だ。

しかも日本だと密輸ルートがあるから他の銃に比べて手に入りやすい。

 

「大人しくしろ。いいな?それとも暴れてみるか?」

 

体格的にも余り鍛えている人間じゃないのは確かだし、掴んでみた感じ筋力は俺相手に抵抗出来るほど無いと断定していい。

近くで隠れていた警備員二人に引き渡し、残りの二人を連れて探す。

もう少しすれば応援の警備員が来るだろうから、捕まえたらすぐに引き渡して拘束しておけばいい。

 

同じ要領で、警戒されないように近付いて残りの五人も捕まえていく。

さて、あとは恐らく爆弾を持っているか、それとも身に着けているかの奴一人だけである。

 

最も手っ取り早いのは、さっさと撃ち殺すことだ。

テロを狙う奴は口で何を言っても聞かない。

簡単に言えば説得をすることが出来ない。

そもそもそれが可能ならテロなんてやろう、なんて言う状態じゃないわけだからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はてさて、残りの一人をどうしたもんか。

一番手っ取り早いのは、起爆をされる前に撃ち殺してしまうことだ。

 

なんせ爆弾テロは銃の乱射と違って止める方法が今言ったように撃ち殺すか、それとも犯人相手に無駄な問答をして改心させるのを望むかのどちらかだ。

経験上、まず間違いなく投降には応じない。

 

となれば、一番早いのは狙撃で頭をぶち抜いてしまうことだ。

起爆さえされなければ解体なんて余程特殊な爆弾でもなければ容易だし、それ面倒ならどこか別の場所で爆破処分してもいい。

多分、液体爆薬とかの特殊な爆薬は使っていない筈だ。

 

自爆テロをするなら、目的地まで簡単に安全に運べて威力が十分であり、そして手に入れやすく安価である爆薬を使うことが何よりも重視される。

その点、液体爆薬などの特殊な爆薬は威力は絶大だが、なんせ扱い辛くそして高い。

 

よほど資金と知識が豊富でなければ用意は出来ない。

となると、大抵の自爆にしろなんにしろ爆弾を使ったテロで使われるプラスチック爆薬を用いている可能性が高いのは確かだ。

 

あれは他の爆薬に比べてなんせ使いやすい。

雷管を刺して起爆しなきゃ爆発しない。

燃やそうが何だろうが、電気さえ通さなきゃ爆発しないから絶縁仕様の袋に入れれば持ち運びも簡単。

 

実際俺も何度も使ったことがある。

ただ爆発させるだけなら、実は爆薬は大した殺傷能力は持っていない。

爆弾が爆弾たる理由の殺傷能力は、実は爆弾を包む弾殻や飛翔体が殆どだ。

 

爆薬は爆薬単体だけで爆発させても実は爆炎と爆風を発するだけで余程の至近距離に居なければ死ぬことは無い。

 

殺傷能力を持たせるには、言った通り金属で覆うか、それとも飛翔体を用意しないとならない。

一番有名な飛翔体を有する爆弾などは、クレイモアだろう。

こいつは中に鉄球が沢山仕込まれていてそれを爆薬で吹っ飛ばすことで絶大な殺傷能力を有するわけだ。

 

で、これを代用出来るのがその辺に落ちている石だとか、木片だとか、あとはホームセンターで数百円で売られている釘などだ。

正直材質は爆発に耐えられるものなら何でもいい。

 

この飛翔体を四方八方に飛ばすことで殺傷能力を確保しているわけだ。

手榴弾などにも弾殻の他に内部に鉄線なんかが仕込まれている物もある。

 

だから爆薬だけを用意しても実は大した被害は無い。

 

爆薬の量と飛翔体の量で加害範囲や有効範囲は大きく変わる。

もしあのリュックサック一杯に爆薬と飛翔体が詰め込まれているのなら、200mは加害範囲になる。

これだけの人間が集まっている場所で起爆なんてしようものなら、地獄絵図が広がることになる。

 

 

それと考えなければならないのがもう一つある。

それは起爆方式だ。

多分、一番簡単な起爆方式は自爆ならボタンを押して通電させるタイプ、そうでないなら時限式か遠隔操作だ。

今の時代、プリペイド携帯でもスマートフォンでもなんでも遠隔操作の起爆スイッチに改造出来るからな。

 

実際、戦地じゃ自爆に並んでテロリスト共がプリペイド携帯を使った遠隔操作式の爆弾が多い。

時限式なら十分か二十分もあれば十分な距離を取って逃げられるし、遠隔操作なら端末を破壊するか指紋などを残さないようにして廃棄すればいい。

 

自爆かそうでないかで変わるが、それは例の男を見つけて見極めるしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

少しして、件の男を見つける。

するとさっきまで背負っていた筈のでかいリュックサックを持っていない。

と言うことは、遠隔操作か時限式だろう。

 

「おい、あー、名前は?」

 

「山下です」

 

「山下、今すぐに館内放送を担当している場所に行って、避難指示と全ての電子機器の電源を落とす放送を流す用意をさせろ」

 

「え?」

 

「いいか、よく聞け。あいつが持っていた爆弾は多分、時限式か遠隔操作式だ。だとするとここからあいつは出ていく筈だ。それから少しして起爆するだろう。だが、遠隔操作で起爆するなら、携帯の電波で爆発させるだろうがそうなるとここにいる人間全員の持っている携帯が起爆装置に成り兼ねないんだ。だから電波を発する全ての者の電源を落とす必要がある。いいな?」

 

「は、はい」

 

「今言ったことを全て正確に伝えてくれ。いいか、俺が連絡するまで絶対に放送するな。悟られたら終わりだぞ」

 

「わ、分かりました」

 

そう言って山下と名乗った警備員は放送室に走っていく。

上手いこと伝えてくれればいいが、どうなるか分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

尾行してみると、どうやらやはり時限式か遠隔操作式のようでショッピングモールから出ていく。

駐車場の結構遠いところにまで向かう。

 

すぐに山下に連絡を送り、放送を流すように言う。

 

そして例の男に近付いて、起爆されないように一気に制圧、取り押さえる。

手を抑え、腕と手首の接合部に指を思いっ切り突き刺しめり込ませる。

ここを押されると激痛が走る。

すると手を開いていたがるのだが、それを利用して手に持っているものを手放させることが出来る。

 

案の定、手に握られていたスマートフォンには起爆装置と思われる画面が表示されている。

 

「いででででででっ!!」

 

「大人しくしろっ」

 

暴れようとするのを抑え、両手両足を残る一人の警備員に手伝ってもらって拘束しておく。

 

「こいつを連れて行ってくれ。暴れるなら殴り倒しても構わん。どうせ改心させるのは無理だ」

 

「わ、分かりました」

 

他の連中と同じように連行していってもらい、俺は爆弾探しに向かう。

と言うか公安の連中はまだ来ないのか。

 

 

 

 

 

人の避難はまずまずらしい、随分と人数が少なくなってきている。

ただ、それでも人は残っておりスタッフ達が避難を誘導している。

 

その辺りの店で絶縁手袋を借りてきて手に嵌めておく。

場合によってはその場ですぐに解体しないとならないかもしれないからだ。

 

あの男が歩いたであろうルート上のあちこちを探し回り、漸く見つける。

リュクサックの中を確認すると案の定プラスチック爆弾である。

 

構造を見るに遠隔操作型と見て間違いないだろう。

周りには飛翔体の釘が大量に埋め込まれているから、下手に静電気でも流そうものならドカンと行くだろう。

しかも遠隔操作式の起爆だからいつどのタイミングで、どの電波で起爆するか分からないからさっさと解体してしまった方が良い。

 

ゴムマットを持ってきて床から伝えられる静電気などを遮断しておく。

 

起爆は遠隔操作だが、それ以外は至極単純なものでプラスチック爆弾に直接雷管が刺さっているタイプだ。

これなら刺さっている雷管を抜いてしまうだけで起爆の恐れはなくなる。

 

重量的には、ざっと20kgはあるだろうか。

かなりの量だし、もしあのまま人がいる中で起爆したならどれだけの被害が出たか分からない。

 

ただ、起爆装置以外の構造は至極単純でダミーなども無い。

専用の工具が無いからコードを切ったりなんてことは出来ないが、雷管さえ抜いてしまえば起爆はしない。

あとは燃やすなりすればいい。

 

解体自体は簡単だが、なんせ刺さっている雷管の数が多かったから時間が掛かった。

 

とは言え雷管は全て抜いたから、これで爆発する心配は無くなった。

 

 

 

 

 

それから少しして、爆弾処理班とかなりの数の警官達が押し寄せてくる。

全ての事項を伝えて事情聴取のためにまた警察署へ。

 

今回の事は、どうやら警察でも完全にノーマークの連中が計画、実行を企てたことらしい。

プラスチック爆弾や雷管などは全て自分達で作ったらしい。

どこから材料を手に入れたのか、と思ったがホームセンターやネット通販で大抵の物は揃えられてしまうからその辺は警察に任せるとしよう。

 

銃の取得ルートも調査中らしく、調べた感じではノリンコ製の横流し品らしい。

やはり中国製だったか、とは納得したものだ。

大抵この類の銃の製造元は、中露の横流しやソ連崩壊時に流出した物、それに加えて紛争地帯の密造銃であることが殆どだ。

寧ろ正規品のAK‐47やトカレフ、マカロフなんて一度か二度ぐらいしか見たことが無い。

 

捜査自体は順調に進んでいるらしい。

今の俺に出来ることなんて大したことは無いのであぁそうですか、と言うしかないのだが。

 

 

 

 

春風はどうやらなんともなかったようで、海晴に迎えに来て貰って先に家に帰らせた。

後のことは殆ど事後処理だけなので特筆するべきものは無いだろう。

 

マスコミからの取材申し込みが鬱陶しくて仕方が無かったぐらいだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間に及ぶ事情聴取を終えて家に帰る。

ニュースで大騒ぎしていた事件だったから、皆に物凄い心配をされて出迎えられる。

とは言え全くの無傷なわけで、俺としては心配のし過ぎだろう、とも思ったが戦地に行く家族としてはそんなもん関係無い訳だ。

 

大人しく受け入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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