加持さんの相棒してたら綾波さんと親子になってたんだが?   作:小埜寺 結稀

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到着、第3新東京市

カタタタタ…カタタタタタ…カタタタン…カタカタタ…カタタ…

 

時刻は昼の14時27分。

常夏の眩しい日差しが地上を照らしている頃、

赤木リツコはPCのキーボードで聞き心地の良いリズムを

機材だらけの部屋で一人奏でていた

 

そろそろ10時間越えようとするこの最終調整作業も

やっと終わりが見えて来た

 

「……ふぅ」

 

軽く首を回しつつPCの脇に置かれたカフェラテの入った黒と白の2匹の猫が描かれた可愛らしい贈り物のマグカップを手に取り、私の髪色とおなじライトブラウンの暖かなコーヒーを飲んだ

 

機材状態を保つため気温が

かなり低く設定されたこの部屋で冷えた身体が芯から温まる

 

「もうひと踏ん張りね、さてと」

 

ここに入るときに一度だけ聞いた微かな蝶番の音が再度鳴った。

人が入ってきたのだろう、ただ組織という間柄「失礼しましす」だとか「お疲れさまです」だとか何かしらの声掛けはあるものだがそれが一向に来ない。

不審に思いつつもこの心地の良い音を奏でる作業を中断したくはなかった。

 

「…部屋に入るときは何かしら声掛けが必要だと思うのだけど?」

 

返事は無い、…気になる。

億劫だが音の主の正体が分からないままでは作業に支障が少なからず出てしまう。私は入口の方へ顔を向けた。

誰もいない、聞き間違いだったのだろうか?適度に休憩を挟んでいたとはいえ数時間にも及ぶデスクワークをしていたからだろう。

…作業はまだまだ終わりそうにもないが。

 

「…はぁ」

「ため息すると幸せが逃げてくぞ?」

「そんな簡単に逃さないわよ、あの人の大切な贈り物だもの…」

「確かに、あれ解決するの結構苦労したからなぁ」

「そう…ね………えっ」

「ん?どうしたリっちゃん?」

「なっなおちゃん!?い、いつから…!?」

「ついさっき来たばかりだよ、…そ、そんなに驚くか?」

「あ、当たり前じゃない……ふふっ」

「ふははっ…」

 

「「ハハハハハハハハ……!!!!」」

 

「ははは…久しぶりね、なおちゃん!」

「おう!久しぶり、リっちゃん!」

 

数年ぶりの「恋人《コイビト》」との再会だ

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

「相変わらず機械には弱いのね、なおちゃん?」

「いやぁまともな教育受けてないもんでね」

 

再会から約12時間後私達二人は帰路についていた。とは言ってもネルフ本部内の居住スペースに向けてだが。

 

「あなたドイツではどうしてたのよ…」

「そりゃあ天才と天才に助けてもらってたさ」

「一人はリョウちゃんとして、もう一人は中学生で大学卒業したっていう女の子…セカンドチルドレンのこと?」

「そうそう、約7年間…いやぁ感謝してもしきれないなあ…あの二人には」

「7年もいたんだから少しくらい覚えたら良かったのに」

「うーん…人生のほんの一瞬しか使わないであろうドイツ語を覚えるよりも、死ぬまでお世話になる肉体のトレーニングのほうに時間を割く方が良いかなと思ったので」

「ただ面倒くさかっただけでしょ?…それにしても最後見送ったときより一回りくらい大きくなったように感じるわ」

「おっホントか?いやぁ鍛えたかいがあったってもんだ」

「ふふっ、あっそろそろ着くわ、ソファーがあるのだけどそれでも…いや無理ねその身体じゃ」

「ぐっ…ちょっと傷つくな…」

「褒めてるのよ」

 

ピシュ

 

「おかえりなさい、お母さん」

「あら、ありがとレイ、ただいま」

「えっ…白瀬おじさん…!」

「おっ元気にしてたかレイ!」

「うん元気…!…白瀬おじさんの方は?」

「おう!見ての通り元気100%って感じだ!」

「そう…良かった…!今日は泊まっていくの?」

「うーんまあ二人がいいなら」

「私は止まってほしい…!話したいこといっぱいある…!」

「私も別に大丈夫よ、元々そのつもりで連れてきたんだしね。さ、二人とも積もる話もあるでしょうけど中で座ってコーヒーでも飲みながら…ね?」

「それもそうだな、じゃあお邪魔するよ」

「うん、ゆっくりしていって」

 

そうこの二人、赤木リツコと綾波レイは一緒の家で共に過ごしている。こうなる経緯は後々語るとして傍から見れば完全に親子のそれだ。原作では想像もつかない良い光景だ。

 

「お母さん…はい」

「ありがと、レイ。コーヒー豆も取ってもらってもいいかしら」

「うん、取ってくる」

 

…転生してから29年、この様子を見れただけでも頑張りが報われるってもんだ。

俺こと白瀬ナオミツは転生者だ、なぜ前世で死んだのかは覚えていないがそれ以外の前世の記憶はある程度受け継がれている。

前世では男子高生の2年だった…様な気がする。学力はそこそこ…だった気がする。名前はサクモトヨウキ…的な感じだったような…といったふうにそこそこあやふやだ。

転生した年は2021年…?。スマコ(?)だとかセグウィン(?)だとかそんな感じの便利なモノに溢れかえっていた別世界の未来だ。

こっちの世界ではセカンドインパクトによる人口の減少、地殻変動、海面上昇、その後の紛争などなどそれらが影響してあまりそういうのが普及していない。

最近軍でスマートテレフォン…略してステレなるものが開発されたとかされてないとか…まあそんなことはどうでもいい。

不思議なことにこの世界は「新世紀エヴァンゲリオン」という前世の世界の人によって作られた作品の内容と酷似している。

さらにエヴァの知識はほぼ完璧に受け継がれている。彼女らのことも、加持のこともミっちゃんのこともこれから出会うであろう物語の主人公…碇シンジ君。

そして彼の登場によって動き始める終末の歯車。

その先に待ってる結末。

 

…アレはアレでハッピーエンドではあるけど

個人的にあんな終わりだけはイヤだ

 

─生命の存在しない紅い海

     生命の存在しない白い大地─

 

─巨大なリリス《アヤナミ》の

         真っ二つに割れた頭─

 

─消えた仲間の亡霊─

 

─壊れた二人の男女─

 

─泣き崩れる男、拒絶する女─

 

あんな天国《地獄》はあっちゃいけない──

 

「……さ…!……さん!白瀬おじさん…!」

「あっ、レ、レイ…悪い…どうした?」

「…んーん…コーヒー冷めちゃうよ…?…あと…おじさん顔色悪い…平気…?」

「(………)…うん大丈夫だよ、レイ」

 

 

─ありがとう…元気でいてくれて─

 

 

…絶対ゼーレなんかの道具にさせてやるか

リツコも加持もミサトもシンジもアスカも

 

─レイも

 

絶対に守ってみせるんだ、この記憶とこの「力」で

 

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ドイツ支部・加持の部屋

 

「ねぇねぇ加持さん、もう白瀬日本についたかな?」

「あぁ、今頃リっちゃんの家に転がり込んでる頃だろ」

「…リっちゃんってあの赤木博士のこと?」

「そうだ、彼女のことはよく知ってるだろ?」

「勿論!簡単に言ったらエヴァのエキスパートみたいなものでしょ?」

「まっそうだな」

「…というか白瀬と赤木博士って付き合ってるの!?」

「あぁ、お似合いだろ?」

「それ加持さんが言うことじゃなくない…?まあ悪くはないと思うけど、

…(一人で紛争を収めたレジスタンスの元リーダー《白瀬ナオミツ》。『汎用人型決戦兵器EVANGELION』…通称EVA、それの開発責任者《赤木リツコ》)

凸凹そうで凄く相性のいいペアだと思うわ。そう考えるとこの二人に挟まれてるあのファーストチルドレンって…なんか凄いわね…」

「おっこっちだって負けてないぞ?頼りがいのあるナイスハンサム加持リョウジと、美人酒豪葛城ミサトそれに挟まれる、天才美少女パイロット惣流・アスカ・ランg「なんかイヤ、それ、とてつもなくダサい。というか加持さんの子供にされてて不満なんですけど。まだ私加持さんのこと諦めてないんだから。ミサトとはライバルなんだから」

「ハハハッ…そうむくれるなよ…そうだな考えておくよ」

「むーー………絶対考えといてくれてないじゃんソレ…」

「まあアスカには同年代でもっといい男がいるさ」

「私はガキンチョなんかに興味はないわ、加持さんみたいな大人な男性がいいの!」

「アスカ、大人っていうのは社会で汚れに汚れてからなるもんだ、綺麗な大人っていうのはまだまだ甘ちゃんの子供なんだよ…まあ要するに何が言いたいかっていうと、どんな子供も汚れを知って…そして受け入れて大人になる。使徒が現れればお前の周りの男はアスカを守るためにどんどん大人になっていくさ」

「なんか言いくるめられた気がする…でもいま近くにいる大人な男性は加持さんしかいないもん!」

「俺はまだまだ子供さ、大人になれたヤツなんてそうそういない。…フッ」

「えっなに今の凄い大人っぽくてカッコよかったんだけど!」

「あぁ…wいやそう考えると汚れを知ってて尚あえて受け入れない白瀬は生粋の甘ちゃんな子供だなと思ってな…ふははっ…w」

「もう…加持さんったら………白瀬とはしばらくの間会えないのよね…少し寂しくなる…─なんてことないんだからっ!」

「急に大声出してどうしたんだアスカ?」

 

 

「ぶえっくしぇえい!!!!」

「キャッ…!ちょっとなおちゃん!」

「ごっごめん!た、タオル取ってくr「はい、おじさん」

「!…あ、ありがとうレイ…早いね、ホント…」

 

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「彼が来たようだな」

「ああ…死海文書に記されていない完全なイレギュラーのバグのような存在」

「そんな言い方をするな碇、彼には感謝しなければならないのだから」

「…フッ…そうだな」

 

ゼーレのアホ面が目に浮かぶ。

もう動かせる駒など存在しないに等しいことを奴らは知らないのだろう

白瀬ナオミツ…君の物語《シナリオ》

…楽しませてもらおう

 

ガチャッ

 

「父さーん今日夜ご飯何にする〜?」

「…カレーは作れそうか…?」

「あーうん材料確かあったはずだから作れるよ」

「そうか、なら頼む」

「分かったー、副司令も一緒に食べませんか?」

「うーむ、そうだな今回もご一緒させてもらおう」

「よし!今日も腕によりをかけるぞー」

「…何だか孫が出来た気分だ」

「私もシンジの手料理を食べて生活することになるとは思ってもみなかったです」

「…これも彼のお陰か…」

「ああ…だが本番はここからだ、使徒を倒さなければ未来は無い」

「…彼の作ったこの平和を守らなければな」

「ああ…」

 

ユイだってこの平和を望んでいるはずだ

だから見守っていてくれ、ユイ。

 

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