機動戦艦ナデシコ 平凡男の改変日記   作:ハインツ

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試作型エクスバリス

 

 

 

 

 

「・・・終わったようです」

 

現在、カエデの適性検査中。

今回も同じようにセレス嬢にお手伝いしてもらっています。

そして、終了。

 

「お疲れさん」

「ええ。それで、どうだった?」

 

カエデの適正は・・・。

 

「からっきし」

「えぇ!?」

「一番はリアル型かな。まぁ、これは万能型の機体だから何とも言えんけど」

 

この機体は誰がやっても高い適正を誇る。

見るのはあくまで適正であり、パイロットの能力ではないからだ。

特徴がないパイロットは基本的にこの機体になるだろうな。

残念ながら、カエデはこれといった特徴がある訳でもないしさ。

・・・俺も他人事とは言えないけどさ、グスン。

 

「ほ、他は?」

「とりあえず、近接格闘能力は低かったな」

「しょ、しょうがないじゃない! 格闘技なんて知らないもの!」

「そ、そう怒鳴るな。まぁ、射撃の腕に関しては中々のもんだ」

「も、もちろんよ!」

 

こいつに前線に行かせるのは不安過ぎる。

後ろから援護する方向性でいくべきだよな。

 

「となると後方支援型辺りがベストかもしれないな。火星出身って事もあって、IFSの扱いはかなり良いし。コックだからか、同時に何かをこなす能力も持っている」

 

状況判断とかはまだまだだけど、これは経験とセンス。

センス的には悪くはなさそうだから、経験を積ませれば解決するだろう。

戦場に不慣れなのは仕方のない事だし。

視野は意外と広い。移動しながらの射撃も割りと簡単にこなしている。

これって結構イメージするのが大変で、最初は出来ないもんなんだ。

やっぱり日常的にIFSを使っていたのが大きいんだろうな。

原作のアキトさんと同じだ。

 

「コックって関係あるの?」

「忙しいだろ? コックって」

「ええ。まぁ」

「同時に三つの作業とかこなさなくちゃいけない時とかが普通にある。確かに操縦とはちょっと違うかもしれないけど、同時に何かをこなす力は培われている」

「へぇ。何が幸いするのか分からないものね」

「ま、それにしたってどうしてもナデシコパイロットに比べたら見劣りしちまうけど」

「グッ。し、仕方ないじゃない。まだ始めたばかりなんだから」

「ふむ。お前って日頃何をしているんだ?」

「教官業はまだ出来ないって自覚しているから、自主練と食堂の御手伝い」

 

そういえば、ホウメイさんが加わって食堂の評判があがったらしい。

流石だな。ホウメイさん。ついでにカエデ待ちのお客さんもいるとか。

 

「食堂の手伝いは賛成。美味い飯は何があっても食いたい」

「ふふっ。分かっているじゃない」

 

お前の料理人としての腕は認めているさ。

 

「でも、自主練は反対。あんまり意味がない」

「意味ないなんて失礼ね」

 

プクッと頬を膨らませるカエデ。

お前はガキかっての。

 

「お前が既に教官が出来るぐらいのレベルならいいさ。でも、お前はまだ素人に等しい。どれだけ腕が良くてもな」

「・・・まぁね」

「だから、今のお前に必要なのは技能技術の向上じゃない。必要なのは状況判断やらを学び、戦場の空気を感じる事だ」

「戦場の空気・・・ねぇ。私、実戦経験したけど?」

「バ~カ。あんなの経験に入んないっての」

「馬鹿ですって!?」

「最初は暴走。次はケイゴさんだから助かった。まだ明確に命を狙われた事はないだろう。お前さん」

「そ、それは・・・」

「怖かったぞ。俺だって」

「何がよ?」

「初めて戦場に立った時だよ。震えが止まらなかった」

「情けないわね~」

「お前もすぐに分かるよ。戦争はお前が考えている程に甘くない」

 

最初は暴走だったから、死を感じる事はなかった。

二つ目はケイゴさんを止めるという明確な目的。

しかも、周りからフォローされていたから、第三者からの攻撃の恐怖なかった。

・・・でも、本当の戦場はそんなんじゃない。

目的も全滅させるなんていうどれだけ時間が掛かるか分からないあいまいなもの。

向かい合っている敵以外から攻撃されるのも日常茶飯事。

確かに一対一ではそれなりに戦える腕があるかもしれない。

でも、包囲された状況を経験してないのはいざという時に困る。

折角のシミュレーションだ。

自身が絶体絶命な状態を何度も経験しておくべき。

それに関しては教官のように経験が豊富な人間の下で経験を積んだ方が良い。

 

「おし。カエデ」

「何よ?」

「恥を忍んで、お前もパイロット育成コースに参加してこい」

「それってナデシコのパイロットが教官している奴?」

「そうだ」

「・・・そこに行けば、私も誰かを護れるぐらい強くなるの?」

 

誰かじゃなくて、ケイゴさんだろ。

別に俺に隠した所で知っているんだから意味はないぞ。

ま、ここは言わぬが花か。

 

「もちろんだ」

 

ナデシコパイロットから少しでも学んで来い。

 

「仲間内から指導されるのは悔しいかもしれんが、一時の悔しさは呑み込め。それによってお前が成長すれば、ナデシコとしても助かるし、何より安心する」

「別に悔しくなんかないわよ」

 

といいつつ悔しそうな顔のカエデ。

 

「それより安心って? 誰が?」

「無論、ケイゴさんが」

「な、何でケイゴが出てくるのよ!?」

「お前が戦場に立って心配しない訳がないだろ?お前を生き残れるようにしなくちゃ申し訳が立たん」

「まだ私は安心して戦場に立たせる程の腕じゃないのね」

「ま、どれだけ腕があろうと心配は心配だけどな」

「それじゃあ元も子もないじゃない!」

「でも、ケイゴさんを手伝えるぞ。腕があればある程な」

「私がケイゴの役に立てる・・・」

 

自身の掌を見詰め、ギュッと握り込むカエデ。

こいつって結構一途だよな。

まぁ、修羅場るのはケイゴさんだし。

頑張れとしか。恋する女の子は強いですよ。ケイゴさん。

 

「俺から参謀に報告しておく」

「ありがとう。コウキ」

「だけど、油断するなよ。知り合いだからって手加減はしてくれないからな」

「分かっているわよ。しっかり学ばせてもらうわ」

「その意気だ。早く成長して俺を越えてみせろ」

「え? 貴方なんてもうとっくに越えているわよ」

「おいおい、それは聞き捨てならないな」

「私に掛かれば貴方なんて一瞬でしょうね」

「ちょ、お前、言わせておけばこ―――」

「それじゃあね。ありがと」

「お、おい! カエデ! ・・・あいつ」

 

・・・逃げられた。

逃げ足速いな。あいつ。

まぁ、別にいいけどさ。

 

「・・・コウキさん」

「ん? あぁ。今日はありがとね」

「・・・いえ。あの・・・」

「何だい?」

「・・・私もコウキさんを手伝う為にパイロットになるべきでしょうか?」

「・・・はい?」

「・・・えっと・・・」

 

あ、ああ、カエデとの会話ね。

い、いやいや。セレス嬢は今のままで結構ですとも。

 

「ううん。カエデにはカエデの手伝い方があるように、セレスちゃんにもセレスちゃんなりの手伝い方があるよ」

「・・・私はお役に立てていますか?」

「もちろん。今回もセレスちゃんのお陰でスムーズに進んだし」

「・・・そうですか。良かったです」

 

そんなに気を遣わなくても良いのに。

でも、そういう頑張り屋な所もセレスちゃんらしくて可愛らしい。

 

「ありがと」

「・・・いえ」

 

ナデナデっと。

 

 

 

 

 

「ちょいシミュレーションしてみてくれ」

 

午前の予定を終え、午後の予定へ。

午後はウリバタケさんとイネス女史の御手伝いだ。

エクスバリスの調整とかとか色々ある。

しっかし、暴発の危険性があるとか恐怖だな。

充分気を付けて、慎重にやらなければ。

 

「シミュレーション?」

「おう。大分形になってきたからな。本体は完成してないが、理論データは構築済みだ」

「という事はシミュレーション内なら体験できるんですか?」

「ま、論より証拠だ。ほい、これ」

 

データが入っているであろうディスクを渡される。

あれ? 調整じゃなかったですか?

まぁ、俺としてはどちらでも構いませんが。

 

「これをシミュレーターにインストールしてくれ」

「何故に俺が来る前にインストールしなかったんですか?」

「馬鹿野郎」

「す、すいません」

「これは俺達の切り札だ。当然、極秘事項。たとえ連合軍と言えど、な」

「はぁ・・・」

 

施設を借りている時点で既にバレているかと。

 

「それでもだ」

 

まさかのウリバタケさんもエスパー?

マッドにエスバーは必要技能なのかッ!?

 

「シミュレーション終了後は必ずデータを削除する事」

「シミュレーターにデータを残さなければ良いんですね」

「おう。お前なら跡を残さず完璧に削除できるだろ?」

「まぁ、多分」

「多分じゃ困るんだが・・・」

 

要するに、シミュレーション結果、映像、評価データをディスクにコピー。

その後、シミュレーターからこれに関する全てのデータを削除して、

大元のデータバンクにもアクセスして、記録されたデータを完全に削除。

多分、シミュレーターション結果を自動記録する装置なんていうのも付いているだろうし。

その後、空白の時間を埋める為に偽造したデータを強制割り込み。

ここまでやれば、エクスバリスの情報が漏洩する事はないだろう。

まぁ、司令やら参謀ぐらいにはきちんと報告しておく必要はあるけど。

 

「ま、ちょっと楽しんできます」

「おう。楽しんで来い」

 

新型機に乗る時って結構ワクワクするのよね。

これまでちょくちょく調整を手伝っていた身としては尚更。

最近忙しくてご無沙汰だったから、どれだけ進歩したのか楽しみだ。

 

「お? コウキじゃねぇか。どうした?」

「あ。お疲れ様。ガイ」

 

現在、シミュレーション室はパイロット育成に使われている模様。

まぁ、用があるのは、その奥の実験用シミュレーターだから問題ないけどね。

お、早速カエデも混ざっているな。

頑張れと心の中でエール。

 

「どうした?」

「ちょっと、実験があってね。奥の奴、借りるよ」

「何だよ。折角この俺様が教官として指導してやろうかと」

「へいへい。格闘戦ばかり教えている奴に指導されてもなぁ」

「な、何故知っている?」

「なんとなく。勘」

「勘かよ!」

「分かり易いんだよ、ガイは」

 

固まったガイは放っておいて。

 

「お疲れ様です」

「ん? おぉ。お疲れ」

「どうです? 訓練生は?」

「まだまだだな。実戦をさせるにはまだ早い」

「手厳しいですね。リョーコさんは」

 

パッと見、それなりに見えるけど。

 

「結構楽しんでいるけどね」

「お、ヒカルか。お疲れさん」

「お疲れ様~」

 

ヒカルもいたんだ。

 

「今日はこの三人?」

「そうだよ~」

「といっても、午前午後で分けているんだけどな」

 

ま、その辺りは教官さん達にお任せします。

あ、そうそう、気になっていた事があって・・・。

 

「そういえば、どうやって指導しているんだ?」

「どうやってって?」

「だって、ナデシコパイロットはIFSじゃん」

「うん。そうだね」

「でも、ここの訓練生はCASだろ?」

「あぁ。そういう事か」

 

操作方法が違うのに指導とか出来るのかな?

 

「私達が教えているのは連携とか、どう行動するべきか、とかで」

「CASの技能レベル向上はイツキに任せているんだよ」

 

あ。そうなんだ。

確かにイツキさんはナデシコパイロット内でも唯一のCAS操作だもんな。

CASでIFSのナデシコパイロットに張り合えるだけあって、CASにおける技能レベルは相当なものがあると見ていいだろう。

まぁ、彼女の教官は俺だったから、一番彼女の腕を知っているんだけどね。

 

「イツキは器用だし、教え方も上手い」

「イツキちゃんが一番教官らしい事しているよね」

 

まぁ、なんとなく想像できます。

ナデシコパイロット一の常識人ですからね。イツキさん。

面倒見も良いでしょうし、教官にピッタリかも。

 

「ところで、どうしたの? こんな所まで来て」

「ちょっとした実験でね。奥のシミュレーターを借りようと思って」

「へぇ。楽しそうじゃねぇか。ヒカル。後は任せた」

「えぇ~? 私が行くから、リョーコこそこっちにいなよ」

「こっちの方が楽しそうじゃねぇか」

「だから、私が行くの」

 

楽しそうで仕事を決めないで下さい・・・。

 

「残念ながら、二人とも駄目」

「えぇ!? なんでだよ」

「ケチ」

 

ケチって・・・おい。

 

「ま、後々の楽しみという事で」

「ちぇっ」

「我慢しますか」

 

悪いね。二人共。

 

「さてっと」

 

まずはデータをインストール。

これで試作型エクスバリスをシミュレーションできる。

 

「さて、早速火力を確かめさせてもらおうかな」

 

大容量のエネルギー貯蔵システム。

火力に優れるグラビティライフルが二丁。

接近戦用のディストーションブレード。

エネルギーが貯められるという事を除けば、非常にシンプルな機体と言える。

だが、シンプルだからといって甘く見てはいけない。

近・中・遠。どの距離においても隙のない高性能な万能機と言えるのだ。

それはグラビティライフルのバリエーションの豊富さが鍵を握っている。

近距離はディストーションブレードで対応。

中距離はグラビティライフルの二丁持ちで対応。

遠距離は二丁を組み合わせたツイングラビティライフルで対応。

以上のように、それぞれに適した攻撃方法があるのだ。

加えて、この機体はもう一つの秘密が隠されている。

それは、グラビティライフルと本体をドッキングさせる事によるエネルギーの上乗せだ。

通常時、貯蔵されたエネルギーは推進力を始めとして、様々な用途で用いられる。

そういう意味でも、大容量のエネルギー貯蔵は大きな意味を持つ事になるだろうな。

・・・爆発する可能性も高いけど・・・コホンッ。

そのエネルギー、しかも、最大限まで貯められたエネルギー全てをグラビティライフル本体に送り込む事で、威力を倍増させようというのが本兵器のコンセプトである。

その破壊力はナデシコ級の主砲にも決して劣らないだろう。

下手すると超えてしまう可能性すらある。

非常に強力な武器と言えよう。

・・・まだ仮想段階でしかないけど、それは言わないお約束だ。

この状態の事を・・・何だろう? 名称が思い付かない。

強いて言うなら、ツイングラビティライフルフルチャージ? フルチャージショット?

まぁ、きちんとしたのは後で決めればいいか。

とにもかくにも、グラビティライフルだけで、様々な距離に対応できるという訳だ。

武器の使い分けとかがあまり得意ではない俺からしてみれば好ましい機体だな。

 

「まずはグラビティライフル単体から」

 

グラビティライフルは放出するエネルギー量を任意で変更できる。

即ち、威力、射程、使用回数を操縦者が決められるのだ。

近距離・高威力を作り出す事もできれば、遠距離・中威力を作り出す事もまたできる。

 

「色々と調整して結果をまとめよう」

 

シミュレーターを弄り、適当な場所にバッタを出現させる。

よく狙って狙撃。再び出現。よく狙って狙撃。

 

「ホント、汎用性が高い武器だよ」

 

一撃の威力は凄まじく、一撃で木っ端微塵。

どれだけ距離が遠のこうと大して威力は下がらず、到達までの時間も短い。

途中で宇宙の塵に接触しても、大抵のものは貫いてしまう。

うん。凄まじいな、本当に。

俺はまだ狙いが甘くて外す事が多いけど、命中率が高いパイロットが持ったら鬼に金棒だ。

イズミさん辺りに持たせたら、鬼に金棒では済まなくなるな。

 

ゾクリッ。

 

い、いえ、決してイズミさんを鬼と言った訳ではないですから。

勘違いしないでください。

・・・コホンッ。

 

「つ、次にいこう!」

 

じ、時間はいくらあっても足りないからな。

 

「えっと、次はそれぞれ両手に持って」

 

二丁拳銃モード。

 

「次は組み合わせて」

 

ツイングラビティライフル。

 

「最後は・・・」

 

重力波アンテナによりジェネレーターへとエネルギーが装填されていく。

「エネルギー充填率100パーセント到達」

 

エクスバリスにのみ許された攻撃。

極限まで内蔵されたエネルギー全てをグラビティライフルに送り・・・。

さて、それじゃあ・・・。

 

「発射!」

 

漆黒の宇宙を彩る漆黒の圧縮光線。

映る筈のない同色の軌跡。

それなのに、まるで黒が黒を喰い尽くすかのように荒々しく・・・。

一筋の光が過ぎれば、今度は爆発音が響き、視界一面が一色に染まる。

全ての音、全ての色が収まった時、視界に映るのは何もない黒い空間。

一瞬にして、視界に映る光景が変わってしまった。

 

「ありえないだろ」

 

何これ?

・・・相転移砲か?

破壊力あり過ぎだろ?

一回引き金を引くだけで、どれだけの人が・・・。

 

「やめやめ。そんな事を考えたら・・・」

 

戦えなくなる。

 

「・・・ふぅ・・・」

 

気を取り直して・・・。

 

「とりあえず、弱点は幾つか発見したな」

 

チャージに時間がかかる事。

発射後にエネルギーがない状態なので危険な事。

あまりの熱量なので、一回発射し終わったら銃身の冷却が必要になる事。

他にも幾つかあるが、致命的なのはこの三つかな。

 

「チャージに時間を掛かるのはどう対処すればいいかな?」

 

流石にすぐさま発射とはいかない。

チャージするにしても、貯蔵されているエネルギーがどれくらいかでチャージ完了までの時間も変わってくるだろうし。

少なくとも、戦場でそんな悠長にエネルギーチャージしている暇はない。

混戦なら尚更。

 

「とりあえず連携で時間を稼いでもらうのがいいか」

 

一人じゃ無理なら仲間に任せる。これ大事。

 

「あらかじめ貯めておけないのが欠点だな」

 

チャージ中に何かしらの損傷を受けたら暴発するかもしれない。

という事は、チャージ中には出来るだけ動かない方がいい訳だ。

まぁ、全部回避出来る自信があるなら別だけど。

 

「エネルギーがなくなる件は・・・やはり仲間に守ってもらうしかないな」

 

もしくは、全方位の敵を倒してしまうとか。

そうすれば、背後とか突然の強襲は防げる。

まぁ、これはあまり現実的ではないので、やはり仲間に守ってもらうしかないだろう。

 

「銃身があっちっちぃな件は・・・どうしようもないな」

 

グラビティライフル単体で使用していても、蓄積される熱の関係で使用回数に限度がある。

どれだけ優れた冷却機能を持たせても、それを超える熱量を扱う以上、こればかりは仕方がない事なのだと諦めるしかない。

後は使用方法を工夫するぐらいしかないだろうな。

例えば、一本ずつ使用する際には、交互に使うなど。

・・・まぁ、フルチャージでぶっぱなしたら、一発アウトなので工夫もクソもないのだが。

極端な話、グラビティライフルを数十本、数百本単位で持ち歩けばこの問題は解消される。

使い捨てにすれば、冷やす必要など全くないのだから、好きなだけぶっぱなせる。

・・・現実に目を背ければ、の話だけどね。

そんな無駄遣い&敵に武器データを献上しちまう馬鹿な事はできません。

現実的に考えて、やはり多くても3本の所有が妥当だろうな。

3本あれば、フルチャージショット後も対応できるし。

 

「とまぁ、色々と言ってきましたが・・・」

 

弱点はあった。

確かにあったけど・・・。

 

「評価結果。マッド組、恐るべし! 以上」

 

いや、実際、大きな意味で開発したと言えるのは武器一つとジェネレーターだけ。

でも、それだけで充分おつりが来るぐらいです、はい。

試作型エクスバリス及びグラビティライフル。

その存在は戦略級とまではいかなくても一機で戦況を変えられるぐらいはある。

まぁ、暴発のリスクを背負うから常に死と隣り合わせだけど。

いざとなったら逃げられる俺はまだしも他の連中には諸刃の剣だろ。

 

「その辺りの調整は俺の仕事か・・・。大変そうだ」

 

せめて多少の損傷じゃ暴発しないようにしないと戦闘には出せない。

まぁ、チャージしなければそこまで危険じゃないだろうけど・・・。

折角だから使いたいし。そもそも安全性を高めるという意味でもやるべきだ。

 

「おし。そんじゃ、終了。後は色々と削除するだけ」

 

それから隠蔽工作して、データをウリバタケさんに提出。

まだ俺が調整するには早いから、時期が来たらすぐに調整すると約束した。

誰も死なせたくないし、自身が乗るにしたってこのままじゃ不安だ。

・・・あれ? もしかして、俺に危機感を覚えさせるのが今回の狙い?

まぁ、それならそれでいいか。乗せられてやろう。

生存率をあげる事にも繋がるし、戦力が充実するのも間違いない。

・・・とてつもなく大変そうだけど・・・やるしかないだろう。

 

 

 

 

 


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