トゥインクル・シリーズを勝ち抜いたルドルフとそのトレーナー。
その後数々のレースを勝ち抜いていった二人、その威光は世界に轟いていた。しかし、それと同時にある問題が発生していた______
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テイオートレーナー(以降テイオーT)「ご無沙汰してます、ルドルフトレーナーさん。」
ルドルフトレーナー(以降ルドルフT)「...そんなかしこまる奴だったか?お前は」
テイオーT「...いや勘弁してくださいよ、今貴方は世界に名を轟かせるシンボリルドルフさんのトレーナーじゃないですか」
ルドルフT「いやぁ、それこそ過大評価だろう。私とルドルフはお互いにできることを精一杯やってきただけだ。それは彼女と最初に会った時と変わらん」
テイオーT「...(いやァ...一生敵わんなこの人には...)」
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居酒屋にて。
ルドルフT「ひっさびさに来たけどなんも変わってないなぁ...」
テイオーT「...ここに来るまでの間、ずっと聞きたかったことがあるんですが...」
ルドルフT「...なんでルドルフを連れて帰ってこなかった、てことか?」
テイオーT「ええまぁ...もしかして.................何か怪我をされたとか...?」
ルドルフT「ふっ...大丈夫だ。怪我も病気も彼女はしていないよ。外国に行く際はちゃんとそこらへんは気にしてたからな。まぁ...問題があるのは確かなんだけどね...」
テイオーT「はぁ...問題ですか。ちなみにどんな?」
ルドルフT「...その前に聞きたいんだが...お前、テイオーと結婚したらしいな?」
テイオーT「...それ誰から聞きました?式上げてないんでガチで限られた人間にしか言ってませんが」
ルドルフT「グラスTだよ。電話で聞いた。水臭いな?それぐらい教えてくれてもいいだろうに」
テイオーT「....すみません、言うとしても外国でのレースがひと段落してからの方がいいと思いまして(グラスTには言ってないんだけどどゆことよ...)」
テイオーT「...でそれがルドルフさんになんの関係があるんです?」
ルドルフT「...まぁ聞いてくれ」
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「トレーナー君。少しレースのことで相談がしたいんだが、あとで私室に来てくれないか?」
「ん?あぁ分かった、あとで向かうよ」
「ルドルフ、入ってもいいかな?」
「あぁトレーナー君か。入って構わないよ」
「失礼する。....それで、次のレースの話だったか?」
「いや、すまない。さっきのレースの話は嘘なんだ。君と話したいことがあってね」
「...?なんだ話って」
「...トレーナー君、確か私たちはこの国の空港に来た際、案内役として女性が来てくださったね?」
「!?.....あ、あぁ。それがどうかしたのか?」
「そして君は彼女からラブレターをもらっただろう。確か、『日本にいた時から応援してました、あなたのことを尊敬しています、どうかボーイフレンドになってくれませんか?』...たしかこのような感じだったかな?」
「.......なんでそれを...確かに彼女は私にそのような旨の手紙を送ってくれたが...その時私と彼女の二人きりだったはずだ。なんでルドルフが知っt」
「ルナだ」
「...は?」
「これから君には私のことをルナと呼んでもらう」
「え?いやなんで」
「だって許せないだろう?確か例の女は君にFirst Nameで呼んでくださいと言ったそうじゃないか。君はラブレターの告白も、その申し出も断ったようだが....まったく、愚かな女だよ彼女は。私のトレーナー君なのだから、私しか愛称を言わないに決まっているじゃないか」ハイライトオフ
「ル..ルドルフ?何か様子がおかしいぞ...?」
「ルナだ」
「あっはい」
「だがトレーナー君も愚かだな?まさか私以外の女と二人きりになるなんて。これはお仕置きが必要かな?」ハイライトオフ
「えっいやあの」
「......冗談だ。まさかトレーナー君に危害を加えるわけないだろう?今のことは忘れてくれたまえ。さて、やはりレースの話し合いはしようか。万全を期するのはやはり大事だからな」
「...あ、あぁ...」
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テイオーT「..........」(開いた口が塞がらない)
ルドルフT「....さすがに悪寒がしたな。何が恐ろしいかといえば、彼女が言っていることが全て冗談に聞こえないことがだ」
テイオーT「(テイオーがあんな感じだったのはもしかしてルドルフさんのせいじゃねえだろうな...?)」
ルドルフT「そしてお前に会ったのは他でもない、担当ウマ娘と結婚した者としての意見が聞きたいんだ」
テイオーT「成程、やっと納得しました。ですけど、参考になるかどうか...」
ルドルフT「最悪何も思い浮かばなくても構わんよ。既に秘策があるんだ」
テイオーT「秘策?一体どんな策なんです?」
ルドルフT「ダミーの指輪だよ。それを用いれば、ルドルフも仮に私に何かしらの感情を持っているとしても諦めてくれると思ってね」
テイオーT「.........それルドルフTさんの発案ですか?」
ルドルフT「いや、ネイチャTが教えてくれた」
テイオーT「(なんでよりにもよってそいつにィィィィ!!!!)」
テイオーT「......ルドルフT?悪いことは言わないのでその案は辞めといた方がいいと思いm」
(ジョウネツニナリヒビクタカナリトイウファンファーレ♪)
ルドルフT「あぁすまない、電話だ、少し席を外す」
テイオーT「あ...わかりました。」
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ルドルフT「テイオーT、早急にあちらに戻らなければいけなくなってしまった。慌ただしい再会となったあげく、すぐに場を離れてしまうことになってすまない」
テイオーT「あぁいえ...それは構わないのですが...その...」
ルドルフT「この作戦がうまくいったら連絡するよ。ではまたいつか会おう」
テイオーT「アッハイ....」
テイオーT「(嫌な予感しかしない.......お....俺は悪くねぇ!俺は悪くねぇ!)」
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行き先のホテルにて。
「ルドルフ?急に呼び出して一体どうしたんだ。日本へ少し所用ができたから行ってくると前に言っただろう?」
「ルナだ」
「あっはい」
「トレーナー君の顔がいち早く見たくてね。ふふっすまない、でも用事はもう済んだだろう?他のトレーナーと”相談”してくるという用事は」
「あ、あぁ...まぁ...な...(何故ルドルフが俺が別トレーナーに相談しに戻ったことを知っているんだ...?)」
「その相談というのは、その手につけている指輪のことに関係しているのかな?」
「(きた...!)あ、あぁ。そうなんだ、実は私は結婚していてね。その妻とどう過ごしていけばいいかなんて、まぁそのような感じで相談していたんだ」
「そうか」
「(納得してくれたようだな。ルドルフも少し甘えたかったのかもしれない、これからも彼女のことはちゃんと目にかけてあげよう)」
「................................
嘘をついたな?トレーナー君」ハイライトオフ
「...えっ?」
トレーナーは驚愕し、恐怖した。その今までみたことのないような闇のオーラをまとっているルドルフを、彼は知らなかったのだ。彼は萎縮し、その場に座り込んだ。
「トレーナー君、私は君のことについて”全て”をしっているつもりだ。君の部屋にはトレセン学園にいた時からずっと監視カメラ、盗聴器を仕掛けていたし、君が何かしらの者と会った時には、その者を徹底的に調べ上げ、トレーナー君に近づくようなら排除した。小学生からの友人、アルバイトをしていた際の同僚、大学生時に会った先生...全てね」ハイライトオフ
「......えっ」
「もちろん君自身のこともよく知っているとも。いつどこで、だれから生まれたのか。そこからどういう経緯でトレーナーにあこがれるようになったのか。君の人生全て。私は知っているんだ」ハイライトオフ
「トレーナー君。....改めて言おうか、嘘を、ついたな? この私に」ハイライトオフ
「る...ルドルフ...」
「ルナだと言っているだろうッッッ!!!!!!!!」
「は、はいィィィ!!!」
「馬鹿らしいことだ。この粗末な指輪程度で私を騙そうとしたのだからな」ハイライトオフ
ルドルフはトレーナーから指輪を外すと、いとも簡単に握りつぶした。
「さて....34時間22分14秒ご無沙汰だったのだ。お仕置きの覚悟ぐらいは...できているだろう?」
「....(ルナには....一生敵わんな....)」
ぐふっ
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ネイチャT「かの有名なルドルフTさんと連絡したんですが、やはり素晴らしいお方でした」
N.N「あ、やっぱり?そりゃあの会長さんのトレーナーだもん。すごい人に決まってるでしょ」
ネイチャT「ええ。お互いのことを完全にわかっているといった感じでした。これが絆と呼ぶのでしょうね」
N.N「うらやましいなぁ。うちの人もそれわかってくれればいいのにねぇ」チラッ
ネイチャT「さて、今日の新聞の記事は...」
N.N「...見てないし」
ネイチャT「......!?」
N.N「?どしたー?」
ネイチャT「....ルドルフTさんとルドルフさんがご結婚なされるそうです....」
おわり