「力以外の序列はつまらんな」
「おっと失礼」
俺は宿儺を引っ込めるが、また出てくる。
「悪い、先生たまに出てくるんだ」
「愉快な体になったねぇ」
「うん。後、俺、血以外食べれなくなったかも。食べなくても大丈夫だけど」
「……マジで?」
「マジで。だから、期限切れの輸血用の血液でいいから欲しいなって」
俺のせいにするなと出てこようとする宿儺を止める。
お願いだから黙っててくれ。俺の食生活が掛かってるんだ。
「うーん。わかった。なんとかするよ。人を襲いたくなるとかはない?」
「それは大丈夫」
良かった。これさえなんとかできれば、後は楽勝だ。
楽勝じゃなかった。
「この学校に来た理由を教えてもらおうか」
「んー。そうだなぁ……」
俺は悩む。
「俺に正しい死を与えてくれる人を探すため……?」
「正しい死?」
「そ、正しい死」
「それは悟ではないのか」
「予感がするんだ。俺を殺すのは、五条先生じゃないよ。もちろん、死にたくはね―よ? けど、死ぬ時の死に方は選びたい」
五条先生に勝つのは無理だろうけど、仮に牙を突き立てられたらノスフェラトゥになりそうな予感がするんだよな。すっげーつえーの。逆説的に、彼はキャリアにはならないと思う。やっぱり狙い目は高校生だよな。
「望んだ死を迎えられる呪術師などいない」
「でも、望んだ死を迎えられるよう頑張ることは出来るだろ」
半端な火葬されたゾンビ見たことあるけど、マジで勘弁して欲しい。
ここで、ノスフェラトゥの概念について話そう。
ノスフェラトゥは、体液によって感染する。唾液や血液などだ。
そして、全身から血を吹き出して死んだ後にゾンビとして復活するか、ノスフェラトゥになるか、免疫を得てキャリアになるかの3パターンある。
キャリアになれば、ノスフェラトゥを殺せる力を持つらしい。詳しくは知らない。
キャリアになりやすいのは、抵抗力のある高校生ぐらいの年齢の子達。
その中でも、しなやかな免疫力を持つ子が適応するらしい。
ノスフェラトゥは、基本劣化コピーで増えるので、末端になればなるほど、キャリアを生み出しやすい。
なんとか認められた俺は、寮に潜入することに成功したのだった。
釘崎を迎えに行くこととなった
「ちょっといいですか! お嬢さん、モデルの仕事興味ないですか?」
「ちょっとアンタ。私は?」
なんか揉めてる……。近づいていくと、揉めていた男は俺に目をやり、食いかかってきた。
「モデルをするつもりはありませんか!?」
「あー。俺そういうの興味ないんで」
「そこをなんとか!」
「ちょっと! 私が話し……ちょっと。なんでノスがこんな所にいるのよ」
「ノス?」
「何でもないわ」
それから自己紹介をして、チラチラ見られる。
明らかに知ってるな……。
なんとか二人きりになりたいと思っていたら、任務を二人で任された。
一緒にビルに入る。
日光が遮られると、俺はコウモリみたいな翼を出した。
「ここでやろうっての? バレるわよ」
「俺がノスフェラトゥって証明したかっただけ。釘崎は?」
「私はキャリアよ。そんな強くないけどね」
「そっか。俺のこと殺す?」
「強くないっつったでしょ。感染防ぐのがせいぜいよ」
言いつつも、呪いを倒して進む。
「よくわからん生き物がいたものだな。千年前は気づかなかった。それより、よくも濡れ衣を着せたな。人しか食えなくなって迷惑を被っているのは俺だと言うに」
宿儺がひょこっと顔を出して文句を言う。
「俺ら隠れて過ごしてるからな」
「ナニソレ」
「両面宿儺。食った指が呪い付きだった」
「拾い食いかよ。よっぽどお腹へってたの? 私のこと食べないでよ?」
「わかってるよ」
奥まで行くと、子供が人質に取られていた。
「見てろよ。ちょっと試したいことがあったんだよな」
俺はフェロモンをばらまく。
「そいつ、渡してくんね―かな」
呪霊にフェロモンが効くかどうか。試してみてそんはないよな。
呪霊は無事ぽーっとした顔で子供を渡してくれた。
釘崎が呪いを祓う。
「釘崎。取引しよう」
「何よ」
「俺の事、内緒にしておいて? その代わり、何でも一つ言う事聞いてやるよ」
「いいわ。私もノスフェラトゥの事は公にするつもりないし」
「……わっるい奴」
「煩いわね。私にだって守りたいノスがいるのよ」
そうして、俺と釘崎は契約を交わした。