少年院で特級が現れたという。
伏黒は緊張しているが、俺は緊張してない。俺が怖いのは、キャリアだけだ。
少年院に行き、肉塊を発見し、遺品を持っていこうという話になったあと。
特級が現れた。
「虎杖ぃ! 任せた!」
「任せられた!」
特級にあってすぐ、釘崎は伏黒を引っ張った。
「ちょっ 釘崎! 虎杖が!」
「心配すんな、奴なら絶対大丈夫だから!」
「そーそー。俺に任せろ!」
俺は笑う。
「色々実験したかったんだよな」
俺は匂い立つようなフェロモンを発した。
「さ、来いよ。味を見てやるよ」
ふらふらと寄ってくる呪霊のクビに牙を突き立てる。
「♡!!~~っ!!♡ ♡♡♡」
呪霊が腕を突き立てて来て、心臓を貫かれる。そんなもの、どうでもいい。
じゅるるるるるる!!
吸っていくと、最後に指が転がった。
それも食べる。念の為、牙を突き立ててたっぷりとイビル・ジーンを打ち込んで食べる。
取り込むと、宿儺が動揺した気配がした。イビル・ジーンを打ち込んだかいはあったようだ。
「ごちそーさま」
「化け物め……」
「なんとでも言えよ。さ、おやつ食べるか」
転がっていた肉塊を綺麗に食べ終わると、生得領域は閉じた。
食べている最中に、心臓の傷は消えていた。
「悪食め。せめて料理をせんか」
「俺だって最初のひとくち以外はまずいと思うけど。最後まで食べないと、ゾンビになるんだよ。それにここ、調理器具ないし」
「……悪食め」
建物から出ると、二人が駆け寄ってきた。
「宿儺が助けてくれて、助かった」
「ほら、平気だったじゃない! 言ったでしょ、大丈夫だって」
「だ……っ 特級だぞ!?」
「宿儺の指を取り返すために、宿儺が頑張ったみたい」
「だって……」
なおも言い募る伏黒に、笑みと声に気をつけて説得する。
「心配してくれてありがとな、伏黒」
それで伏黒は黙った。説得、成功。
その夜。
伏黒が、どうしても気になったらしく、俺の部屋を訪ねてきた。
俺はと言うと、訓練を兼ねて朗読会の真っ最中。釘崎を泣かせることに成功していた。
「人魚姫、なんて可愛そうなの……!」
「はぁ?」
「あ、伏黒!」
「あんたも虎杖の朗読会に参加する? 上手いわよ、虎杖」
「いや、いいよ」
「そう? じゃあ、虎杖。次はこれね」
「おう。どんどん来い」
「虎杖。その……昼の件だけど」
「うん?」
「何か、困ったり、やばかったりしたら言えよ」
「ありがとな、伏黒」
にかっと笑って、ぽんぽんとクッションを叩く。
伏黒はふらふらとそこに座り、やがて俺の語る感動物語に泣かされていた。
コンコンとノック。
お客人多いっすね。匂いでわかる。五条先生だ。
「虎杖。大丈夫だったかい? ……どういう状況?」
「俺の朗読会。先生も参加していく? 俺は人魚姫で泣かせられる男だぜ」
「恵を泣かせるなんて相当だね。まーそれは今度でいいよ。ちょっと真面目な話だから。昼の話を、細かく聞きたい」
「良いぜ」
全力で宿儺を抑えつつ、俺は嘘八百の報告をした。
「うーん。宿儺が思ったよりも協力的だね。特級も問題ないなら、ちょっと課外授業してみる?」
「おう! 俺、頑張っちゃうぜ!」
なにせ、お腹がいっぱいで機嫌がいいからな!