吸血鬼の虎杖くんは笑う   作:かりん2022

3 / 16
ぬれぎぬ

 

 少年院で特級が現れたという。

 伏黒は緊張しているが、俺は緊張してない。俺が怖いのは、キャリアだけだ。

 少年院に行き、肉塊を発見し、遺品を持っていこうという話になったあと。

 特級が現れた。

 

「虎杖ぃ! 任せた!」

「任せられた!」

 

 特級にあってすぐ、釘崎は伏黒を引っ張った。

 

「ちょっ 釘崎! 虎杖が!」

「心配すんな、奴なら絶対大丈夫だから!」

「そーそー。俺に任せろ!」

 

 俺は笑う。

 

「色々実験したかったんだよな」

 

 俺は匂い立つようなフェロモンを発した。

 

「さ、来いよ。味を見てやるよ」

 

 ふらふらと寄ってくる呪霊のクビに牙を突き立てる。

 

「♡!!~~っ!!♡ ♡♡♡」

 

 呪霊が腕を突き立てて来て、心臓を貫かれる。そんなもの、どうでもいい。

 じゅるるるるるる!!

 吸っていくと、最後に指が転がった。

 それも食べる。念の為、牙を突き立ててたっぷりとイビル・ジーンを打ち込んで食べる。

 取り込むと、宿儺が動揺した気配がした。イビル・ジーンを打ち込んだかいはあったようだ。

 

「ごちそーさま」

「化け物め……」

「なんとでも言えよ。さ、おやつ食べるか」

 

 転がっていた肉塊を綺麗に食べ終わると、生得領域は閉じた。

 食べている最中に、心臓の傷は消えていた。

 

「悪食め。せめて料理をせんか」

「俺だって最初のひとくち以外はまずいと思うけど。最後まで食べないと、ゾンビになるんだよ。それにここ、調理器具ないし」

「……悪食め」

 

 建物から出ると、二人が駆け寄ってきた。

 

「宿儺が助けてくれて、助かった」

「ほら、平気だったじゃない! 言ったでしょ、大丈夫だって」

「だ……っ 特級だぞ!?」

「宿儺の指を取り返すために、宿儺が頑張ったみたい」

「だって……」

 

 なおも言い募る伏黒に、笑みと声に気をつけて説得する。

 

「心配してくれてありがとな、伏黒」

 

 それで伏黒は黙った。説得、成功。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その夜。

 伏黒が、どうしても気になったらしく、俺の部屋を訪ねてきた。

 俺はと言うと、訓練を兼ねて朗読会の真っ最中。釘崎を泣かせることに成功していた。

 

「人魚姫、なんて可愛そうなの……!」

「はぁ?」

「あ、伏黒!」

「あんたも虎杖の朗読会に参加する? 上手いわよ、虎杖」

「いや、いいよ」

「そう? じゃあ、虎杖。次はこれね」

「おう。どんどん来い」

「虎杖。その……昼の件だけど」

「うん?」

「何か、困ったり、やばかったりしたら言えよ」

「ありがとな、伏黒」

 

 にかっと笑って、ぽんぽんとクッションを叩く。

 伏黒はふらふらとそこに座り、やがて俺の語る感動物語に泣かされていた。

 

 コンコンとノック。

 

 お客人多いっすね。匂いでわかる。五条先生だ。

 

「虎杖。大丈夫だったかい? ……どういう状況?」

「俺の朗読会。先生も参加していく? 俺は人魚姫で泣かせられる男だぜ」

「恵を泣かせるなんて相当だね。まーそれは今度でいいよ。ちょっと真面目な話だから。昼の話を、細かく聞きたい」

「良いぜ」

 

 全力で宿儺を抑えつつ、俺は嘘八百の報告をした。

 

「うーん。宿儺が思ったよりも協力的だね。特級も問題ないなら、ちょっと課外授業してみる?」

「おう! 俺、頑張っちゃうぜ!」

 

 なにせ、お腹がいっぱいで機嫌がいいからな!

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。