吸血鬼の虎杖くんは笑う   作:かりん2022

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あく

「寒い……寒い……虎杖くん、じゅ、呪術師じゃ……」

「吸血鬼だってことは、内緒にしてくれよ? 終わったら、おふくろさんを二人で食べよう? きっと美味しい」

 

 言いながらも、首から流れる血を味わう。

 

 順平は、目を見開いた。

 

「そ、んな……! 嫌だ……!!」

「そんな気持ちもすぐなくなる」

 

 順平の血、美味しい。

 

「貴様は清々しい屑だな」

「煩いな、宿儺」

 

 牙を突き立てた時、血が全身から吹き出さなかった。やはり順平には素質があるのだ。

 

「な、良い事教えてやるよ。俺に噛まれたら、道は三つ。このまま死んで、ゾンビになるか。俺と同じになって人を喰うか。キャリアになって俺を殺すか。順平はどうする?」

 

 まあ、キャリアになっても俺を殺せなければ、おふくろさんの肉をお前に食わせるけどな。フェロモンを出して甘く囁やけば、きつくきつく服を握られる。

 

「僕は……!! 僕は!! お願いだ、母さんには手を出さないで」

「いいぜ?【順平が望む限り、俺はお前の母親を傷つけない】」

「へ?」

「【俺の事、誰にも内緒にしてくれるなら】な。あ、お前のお友達の呪詛師と呪霊にも内緒な」

「!!」

「わかってる。俺と話している間、呪詛師の匂いがしたからな。心配すんなよ、順平。俺、吸血鬼だからさ。正義の味方の呪術師とか、その、なんだ……わかるだろ?」

 

「で、『縛って』くれる?」

 

 

 

 

 

 

 

 順平が熱を出したとおふくろさんを誤魔化し、優しく看病し続けたら、キャリアになってしまった。ま、ぎりぎりイビル・ジーンに勝てた程度のキャリアなんて強くね―だろ。

 それに、俺のイビル・ジーンから進化したキャリア。それだけで愛しい。

 釘崎は所詮、別の系譜のイビル・ジーンだからな。

 

 伊地知さんに迎えに来てもらった時、順平は言った。

 

「僕、呪霊にお願いして呪力を操作できるようにしてもらってます。全部話します。だから母を保護してください」

「「は!?」」

 

 俺の目を見てはっきりきっぱり言った順平は、ちょっと格好良かった。

 

 

 

 

 

 

 

「『何を捨てても、何を利用しても、何と戦っても殺したい「悪」があります。その為に死んでも構いません』って順平が入学試験のときに言ってたけど、心当たりある?」

「さあ?」

「言われてるぞ、小僧」

「うるせ」

「悠仁が?」

「順平は俺の大事な友だちだよ」

 

 フェロモンたっぷりに笑顔を向ければ、ごまかされてくれる。

 その間に宿儺を引っ込める。この体を冒す病原菌全てが意思を持つからこそ出来ることだ。イビル・ジーン。吸血鬼のその真の姿は、病原菌である。

 呪力による攻撃には敏感だけど、フェロモンには無頓着みたいで助かる。今の所は。

 

 順平と二人きりになった時、順平は言った。

 

「僕は、戦うよ。虎杖くん。幸い、僕の体は『育ってる』からね。戦える」

「ああ、まあ、順平が俺に『正しい死』を与えてくれるなら、それはそれでいいよ」

 

 そして、交流会がスタートした。

 俺はその時、初めて二年生を紹介された。

 

 

 狗巻 棘。美味しそうだな。

 でも、やっぱり一番は。

 

「真希先輩! 俺、虎杖 悠仁。よろしくお願いシャース!」

「あ、ああ……。なんだよ、惚れたか?」

「ちょっと虎杖、あんた真希さんにてぇ出したらぶっ殺すからね!」

 

 なんか真希さん、単純にすげー美味しそうなんだよな。

 生命力に溢れてるっていうの? ヨダレ出そう。

 

「狗巻先輩もよろしくな」

「しゃけ」

「食べれないパンダ先輩はどうでもいいや」

「食べれないってなんだよ!?」

「おっと本音が。冗談だって。よろしくな♡」

「悠仁は血しか摂取できないからね」

 

 五条先生、余計なことを。

 

「はあ!? お前、本当に宿儺じゃないのか? 大丈夫なのか?」

「ダイジョーブだって♡」

 

 フェロモンを出して、のほほん空間を演出する。

 

「……本当に宿儺じゃないってしばって言えるか?」

 

 そっか。パンダ先輩にはフェロモンが通じないのか。

 気をつけないと駄目だな。

 

「……良いぜ。縛る。【俺は宿儺じゃない。本当だ。違ってたら死んだって良い】」

 

 それで、ようやくパンダ先輩は体から力を抜いた。

 

「悪かったな。でも心配させるなよ? 虎杖」

「ごめんって、パンダ先輩♡」

 

 そして、俺は五条先生の胸元に光る小瓶の気配に気づく。

 

「五条先生。それ、何?」

「あ、これ? 野薔薇がプレゼントしてくれたんだ。お守りだって」

「……ふーん」

 

 野薔薇と順平とパンダは要警戒対象、と。

 ちゃんと気をつけとかないとな。

 

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