「絶対可笑しいだろう、あれは!」
メカ丸が激昂し、ゲラゲラと偽夏油は笑う。
「あっはっは! 可笑しいとも! なにか種があるのは間違いないね! いや、あの五条 悟が術中なのは驚いた! たしかにあれは宿儺じゃない! かと言って、虎杖本人にそんな力はなかったはずだ。呪具でもない。そこは六眼のお墨付きだ。興味が出てきたね!! それにしても虎杖 悠仁。あの子は呪術師でハーレムでも作る気なのかな? 失敬、もうハーレムは完成していたか! さて、どこまで拡大させるつもりかな!!」
「させてたまるか!!!」
「そこで、メカ丸。新たに取引をしよう。何せ、虎杖 悠仁の影響を受けずに接近できるのは君だけのようだからね! 虎杖の秘密がわかるまで、互いに協力しよう。情報は共有する。君の治療を伸ばす代わりに、治療後、私達は君を一度は逃してあげよう」
「いいの?」
真人が問う。
「いいよ。五条 悟を容易く絡め取るほどの秘密だ。どれだけコストを支払っても惜しくない。どこまで骨抜きにできるのかも興味あるね。というか、これ、虎杖 悠仁を取り込めた時点で勝ちじゃないかい?」
「そう上手くいくかな。触れられないのがきついね。理解する前に取り込まれそうだ」
「あっはっは! いいね、スリルがある。頼りにしているよ、メカ丸」
そして、新たに縛りは結ばれた。
「東京校に転向してきた加茂くん(3年生)とアルティメットメカ丸(2年生)くんです! 皆よろしく!」
「何故加茂先輩がココにイル!?」
「それは、その……なんでもない」
加茂がちらちらと虎杖を見て、目をそらす。虎杖はニコっと笑った。
「加茂先輩が来てくれてとても嬉しい! 一緒に訓練しような♡」
「これ、私の血、良かったら……」
「サンキュー! すげー嬉しい♡」
「うわああああああああああああああああアア!! 血を飲んでる! 飲んでる!!」
加茂先輩の血の入った輸血パックから、美味しそうに血を飲む虎杖が人間だって誰が言ったんだ!? どうどうと行われる蛮行を微笑ましく見守るのって、サバトなのか!?
「わかる、わかるぞメカ丸!! 虎杖はなんか可笑しいよな!? 俺だけじゃないよな、危機感感じてるの!! 男も女も関係なく侍らしてんだよこいつ! 禪院 直哉って奴なんていきなり切りかかって抱きついて即堕ち2コマだったぞ」
パンダが悲鳴を上げる。
「虎杖って凄いモテるよねー。まあ、術式疑っちゃうのも無理ないかな? でもないから。血を飲むのも宿儺の影響だし」
「そー。ぜーんぶ宿儺のせい」
「違っ……!」
頬に現れた否定する宿儺の口が、引きずり込まれるように消える。
虎杖はにぱっと笑った。
「そんな、心配すんなよ。メカ丸。俺は呪術師みーんなと仲良くしたいだけだから。もちろんお前ともな」
手を伸ばしてくるのを全力で叩き落とす。
「触るな!! いっそ、今、殺し……」
「それは無理かな―。それに、俺達、呪術師についてもう知っちゃったし。な?」
メカ丸に囁きかける、魅力的な甘い声。
単独犯説死亡のお知らせ。
のほほんとした太陽のような虎杖の笑顔を、どす黒く感じたメカ丸だった。
ふと、五条が声を上げる。
「それより、メカ丸。丁度いい。交流会で、内通者がいる事が明らかになってさ。どうしてもそれっぽいのが見当たらないんだけど、話を聞かせてもらっていいかな?」
「理不尽な物を感じるゾ!! もっと怪しいのが、そこにいるダロ!!」
「それは大変だな! しっかり疑いは晴らさないと! なあ先生、こういうのって本体調べないと意味ないだろ? 俺も立ち会わせて欲しい!」
「わかった……。取り調べはうケル。ただ、その前に虎杖と二人で話させて欲しイ」
「いいぜ、メカ丸。一緒に話そうぜ」
「大丈夫かい? 悠仁」
「心配すんなよ、先生。ちょっと話すだけだから」
二人きりになると、メカ丸は悠仁に掴みかかった。
「どういうつもりダ! 目的はナンダ!」
「そっちこそ、スパイなんだろ。どういう目的?」
メカ丸が睨むが、悠仁はニコニコと笑みを見せる。
「なあ、メカ丸。俺、何も知らね―からさ。言わねーとわからねーよ」
「こっちのセリフダ! お前は、何者ダ!!」
「俺? 俺は宿儺に乗っ取られた可愛そうな可哀想な受肉体だよ」
「どの口で言うのだ」
宿儺がため息をつく。
「こうしよう。質問にお互いに偽りなく答えていク」
「駆け引きはしない。必要ない。お前をくれよメカ丸。遅かれ早かれだろ?」
「っ!!」
虎杖はメカ丸の首筋をつつっと指でなぞって、軽く噛む真似をした。
官能的なその所作にぞぞぞぞぞ、と背筋に怖気が走る。
高校生には刺激が強いです。
「ま、三輪ちゃんだっけ? 差し出すのでもいいけど! あの子、すげーかわいいよな。俺、大好き。まあ、今の所真希さんの血が一番好きだけど」
「っ!!」
そこで、偽夏油の許可が出た。
「呪霊の目的は、人間の立場を奪うこと。呪霊の世界を作ることダ」
「……ふぅん。でも俺達はひっそり暮らしたいから、その案はボツだな」
「どこがひっそりナンダ!?」
「ひっそりだろ。俺達は表舞台は望んでない。交渉決裂。五条先生と迎えに行くから、待っててくれよ、メカ丸♡」
この日、三つ巴が決定した。