呪術界で裁判が行われた。匿名で虎杖は人間ではないというタレコミがあったのである。
「悠仁ー。宿儺に乗っ取られる前から人間じゃないってマジ?」
「えっ 今更?」
五条が聞くと、虎杖はちょっとびっくりした。何せ、タレコミがあったのは一週間前である。その情報は虎杖にすら行っているほどだ。というか、夕食時に聞いてくるとはどういう事だ。もう外は薄暗いし、なんならこれからハイパー虎杖タイムである。(ノスフェラトゥは夜もしくは暗い所で力を発揮する)
「えっ 本当に?」
「人間じゃないってどういう事だ」
「吸血鬼。呪霊じゃないから、呪術規定には引っかからねーよ。調べた」
「は? いやいやいやいや。引っかかる引っかからないの問題じゃないよね?」
「なんだそれ、ふざけてんのか?」
「ホントだって、ほら」
虎杖はばさり、とコウモリの羽と牙を見せる。
「人食い?」
「というより血啜りかな」
ガタガタガタっと生徒達が立ち上がる。
「スパイかな?」
「最初は仕方なくだけど、今は正式に命令もらってるかな」
「誰から?」
「始祖様。そういうことで、せーんせ? 俺と良いことしよっか♡」
釘崎は一歩前に出る。
「虎杖っ 五条先生を噛むつもり? ゾンビになっちゃうわよ」
「そうするって言ってんだけど。じゃあ、止めてみるか、釘崎?」
「その前に、僕を噛めるつもりかな?」
「それはほら、色香で引っ掛けるから強さなんてかんけーね―し」
虎杖はフェロモンをぶわりと出した。
「さ、せんせ。無下限とこうか。すげーいい気持ちにしてやるよ」
「!??」
「せーんせ。無下限、解いて?」
そうして、虎杖はべろりと五条の首筋を舐めた。そう、フェロモンで無理やり無下限を解かせたのだ。五条はとろんとした瞳をしてしまっている。
羂索は爆笑しつつメカ丸のカメラアイ越しに激写しまくったがそれは余談である。
「うわあああああああああああ!! マジか! マジか悟!!」
そこで、釘先の釘が飛んだ。釘はお守りの小瓶をパリンと割って、五条の胸に刺さり、痛みを与える。
「げえええええええええええええええええっ!!!」
「おええええええええええええええええええええええっ!!」
「おかか! おかか! おかか!!」
「な、何だ何だ!?」
「虎杖を攻撃は出来なくても、五条先生を攻撃なら出来るわよ。で、起きた? 先生」
「いっつ……!! っていうかクッサ!! 野薔薇、助かったけど何この匂い!?」
「ノスフェラトゥの匂いを嫌な匂いに変える小瓶よ。千年の夢も覚めるでしょ?」
その言葉に、虎杖は舌打ちをする。
事実、甘い夢を魅せられていた呪術師一同は、その腐臭(呪術師達の思う嫌な匂いは仕事上腐臭で一致していた)は、呪術師達に大きな衝撃と恐怖を与える。
虎杖は化け物だという実感を何よりも強く与えてくれた。
「お前、もしかして高城 九郎の系譜の眷属か」
「そういう事。輸血パックを飲んでるだけなら良かった。でも、人を食らうなら順平が相手になるわ」
「ぼ、僕!?」
「頑張りなさい、順平! 私の力は強くないのよ」
「ぼ、僕だってマッチの火が出せるぐらいだよ!?」
「じゅーぶんよ。存分に燃やしなさい」
話す間にも、五条は無下限を使い、虎杖から距離を取る。
「はあ。僕としたことが、すっかりしてやられたよね。話してもらうよ、悠仁!!」
虎杖の足を呪力でねじろうとすると、足から霧となって消えていく。
「!??」
「せんせー、ひっでーの。手加減してよ」
そうして、虎杖は完全に霧となる。
「存分に手加減してるけどね? なるほど、霧になるか。ニンニク持ってきたら嫌がってくれる?」
【そんな伝承信じてんのか? せんせー。かーわいー♡】
「霧になったわね。バカなやつ。やれ、順平!!」
「わ、わああああああああああああああ!!」
順平は手に火の玉を浮かばせて、めちゃくちゃに振り回す。
【いっでええええええええええええええええええええええ!!】
「ふふん! 霧化は内蔵をばらまくようなもの。攻撃方法さえあれば、こっちのものよ!!」
そう言いつつも、トンカチをぶんぶこ振るう。
【それ! キャリアの炎で鍛えたトンカチかよ!!】
「釘もよ―」
【せんせー、俺、同級生が虐めるんで家出します】
そうして、窓から霧が流れていく。
「あっ 待て!!」
釘崎と順平は追いかけるが、霧は風に乗せられ遠くまで行ってしまった。
「……ああっ もう!! 中途半端に逃がすのが一番まずいのよっ」
「のーばーら♡ どういう事か教えてほしいな♡」
五条は微笑んで強く野薔薇の肩を掴む。
だが、全ては既に遅かったのだ。
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