凌辱ゲーっぽい世界にPW(黒メイン)ぶっこんだ   作:アーボーグ茶漬け

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第一話

 

警告する

 

この封印、何人たりとも解くことなかれ

 

この剣士、許されざる殺人鬼にして虐殺者也

 

この魔術師、深淵の漆黒より出し純粋なる邪悪也

 

この暗殺者、影の中に潜み、触れるもの殺す猛毒也

 

この死術師、死霊と屍弄ぶ生命の冒涜者也

 

この魔物、壊れること、弱ること知らぬ不死身也

 

この天魔、現世に還る時、天は落ち、地は爛れ、世界、闇に閉ざされる、漆黒の太陽也

 

この封印、何人たりとも解くことなかれ

 

この者、史上最悪の黒魔術師也

 

~ミィア国王城、最下層に安置された黒曜石の碑に刻まれた古代文字の警告文より

 

 

 豊穣と陽光の女神、その末裔とされる女王が代々治める王国『聖サラー王国』。この国を中心とした『聖セレーニア連合』は、長年に渡り『ゾヴァダスク同盟』と戦争状態にあった。

 

ゾヴァダスク同盟の盟主国『ディグトース帝国』の帝王『ザルバティック2世』の作り上げた帝国の国力は、同盟国を飲み込み、ゾヴァダスク同盟は実質ディグトース帝国の統治下にあった。

 

ランドニカ大陸の覇権を巡るこの戦争は、ザルバティック2世の暗殺により大きく変わることになる。

 

暗殺を行ったのは帝国が雇い入れた傭兵団『グルーディオ傭兵団』の団長『グルーディオ』。瞬く間にゾヴァダスク同盟の全てを握ったこの男は、大陸全土に征服を宣言。

 

同盟の中には連合へ寝返る国も存在したが、それらは瞬く間に殲滅、併合され、草の根一つ残さないほどに搾取され続けた。

 

 物語は連合の最前線国家『ミィア王国』に、グルーディオ傭兵団の兵が侵略を開始したところから始まる。

 

 

――ミィア国、王城地下

 

「国民の非難状況は?」

 

「侵攻の兆候があった3週間前から開始し、既にほぼ全員が退去済みです。隣国へ勧告も完了しています」

 

「残りは?」

 

「将軍の他、兵士と武官だけです」

 

「……そうか」

 

「陛下がご健在である限り、我が国は滅びません。そのために我々はこの城を墓標に選んだのです」

 

「……すまん」

 

 ミィア国に姫将軍あり。

 

そう謳われたミィア国の兵力の数倍を差し向けたグルーディオの軍団。結果は火を見るよりも明らかと判断した武官らのゴリ押しによって、国王を始めた王族と国民は亡命、領土に残るのは、姫将軍『イヴェット・グリセズ』以下、既に兵役を終えていたはずの老兵が1個大隊。

 

「ロベール閣下はご立派でございました」

 

「父上らの奮戦がなければ、ここまでの時間は稼げなかったな」

 

 イヴェットは首から下げたタリスマンを握った。王から最後に賜った【最後の手段】である。

 

「(陛下が残した最後の手段……一体、何を意味する?)」

 

 タリスマンの裏に刻まれた古代文字を読み解く知識を、イヴェットは持ち合わせていなかった。

 

「将軍、城郭に敵が取りついた模様!」

 

「私も打って出る! 最期まで足掻くぞ! 皆、また冥土で会おう!」

 

「応! ミィア王国万歳! 国王陛下万歳!」

 

 ――そして、イヴェットの出陣から4時間。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 イヴェット以外は全て戦死した。

 

老兵たちが己が身を盾に、前に出ようとするイヴェットを押し込んでまで逃がし続けた。目の前で壊されていくかつての王国を前に、背を向けて、国王に託された【最後の手段】を使うために。

 

『陛下に託された最後の手段は、間違いなく地下深くであります! 将軍! どうか、どうかこ奴ら畜生どもに地獄をみせてください!』

 

 最古参、御年86歳の老兵がタリスマンを見て残した最期の言葉を信じ、イヴェットは最後の陣としていた地下室よりもさらに深く、最下層、禁忌とされていた部屋へ辿り着いた。

 

「タリスマンが反応している……?」

 

 封印の間。

 

ここに何が封じられているかをイヴェットは知らない。しかし、タリスマンに共鳴するようにして鋼鉄の扉が開いていく。

 

「これは……石碑?」

 

 イヴェットの目の前には、岩肌がむき出しになった壁と、真ん中にぽつんと立つ石碑があった。石碑に刻まれている文字は古代文字で、イヴェットには読めない。

 

タリスマンが心臓のように鼓動を始め、徐々に光を放ち始めた。

 

「なんだ!?」

 

 イヴェットの目を光が灼いた。

 

Dispel

 

 イヴェットの目が正常になった時、そこに石碑はなく、何者かが立っていた。

 

漆黒という言葉すら足りない程に黒いローブを身に纏い、目深にフードを被ったその人物は、ゆっくりとイヴェットに近づいてくる。

 

「(う……動けない!!)」

 

 金縛りにあったように動けないイヴェットの頭に、そいつは手をかざした。

 

I'll show you what's in your head

 

 やや低い男のような声で紡がれた古代言語。その言葉を最後に、イヴェットの意識は暗闇に落ちていった。しばらく、手をかざしていたそいつが、手をかざすのをやめると、イヴェットは膝から崩れ落ちた。

 

Hmmm,ahなるほど、この時代の発音は、こう、だな」

 

 そいつは流暢な現代ランドニカ共通語を話し始めた。

 

「どれ、寝起きの運動と洒落こむか」

 

 そいつはイヴェットを抱え上げると、地上に向けて歩を進めた。

 

 一方、城門を突破したグルーディオ軍の兵士たちは、あちこちで僅かな物資の略奪と破壊を行っていた。

 

兵士たちは鬱憤がたまっていた。住民らがいないせいで派手な略奪や虐殺、凌辱を行えないでいた。あの姫将軍がどこに隠れているかもわからず、人海戦術で探している。

 

あの姫将軍を凌辱すれば、さぞ心が晴れるだろう。鎧で覆っているとはいえ、あの美しい肢体の褥を貪る楽しみといったらない。

 

やがて、兵士たちは謁見の間に辿り着く。その質素ながら荘厳さを感じる部屋の奥、王のみが座することを許される玉座に、ローブを纏った人物がくつろいでいた。そしてその足元に、無造作に転がされた姫将軍の姿。

 

「何者だ!?」

 

 その声を皮切りに、一斉に兵士がなだれ込んでくる。

 

「雑兵だな。数頼みで練度もない。この女の方がまだ使える」

 

 ローブのそいつは、頬杖をつき、足を組んだままで兵士たちを流し見る。

 

「お前たちに使い道は無い」

 

「構わん! やれ!」

 

 一斉に兵たちが武器を振りかざし、ローブ姿のそいつに迫る。

 

Nausea

 

 そいつが古代語で何かを呟いた瞬間だった。兵士たちが一斉に吐き気に襲われ、その場で嘔吐をし始めた。抗えない吐き気は胃液を逆流させても止まらず、最後には血を吐きながらのたうち回り、絶命した。

 

「しかし、死体には使い道がある。そっちの方が頑丈だからな」

 

 そいつが手をかざした。

 

Endless Ranks of the Dead

 

 そいつの言葉と共に、死体がひとつ、起き上がった。その目には怪しげな紫の光が宿り、人間らしい言語を話さず、呻き声を上げながら外へ向かって歩き出した。それに続くように、もうふたつ、よっつと徐々に死体が起き上がり、外へ向かっていく。

 

「な、なんだお前ら!? うわっ!!」

 

「や、やめろ! はなせ!」

 

「うわああああ!! やめてくれええええ!! 食わないでくれえええ!!!」

 

 外に放たれた死体たちは、次々と兵士に襲い掛かり、その肉を貪り始める。死体の中にはイヴェットに最期まで付き従っていた老兵たちも紛れていた。隠れ潜んでやり過ごそうとした兵士は、突如襲い掛かる吐き気に襲われ、死体に見つかって貪られるか、血を吐くまで吐いて死体の仲間入りをするか、最悪の二択を強制されていた。

 

「フン」

 

 ローブのそいつがフードを外す。無造作に伸びた髪は闇の色、その瞳は怪しい紫、肌は蝋よりも白く、そして破滅的な美貌を持った男だった。

 

「さぁ、目覚めてさせられてしまったぞ。親友よ。こうなっては俺のやりたいことをさせてもらう」

 

 足元に転がしたイヴェットを眺めながら、男は遠くを見つめる。

 

「差し当たって、先ずはこの雑兵どもをよこしてきた輩の価値次第では」

 

 どこからか取り出した杯に、満たされた液体を呷った。液体の正体は古代の神酒である。常人が飲めば精神が蕩け、廃人になる。

 

「跪かせるか、捻り潰すか。ははっ、なんだ。今世にも玩具になりそうなものがあるじゃあないか」

 

 イヴェットが倒れてから目覚める間、おおよそ1時間に満たない間に、彼女の故郷ミィア王国は地獄、死者の国、あるいはその両方へ姿を変えた。

 

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