The great Great GREAT Doctor is Me !   作:東京<アズマ キョウ>

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◆世紀の大科学者にして偉大なるお方にして全世界を支配する(予定の)帝国の主にして青いハリネズミにいつも野望を阻止されるヴィランにして唯一無二の存在は、いかにして【テラ】に至ったのか。
◆全てはここから始まった(歯車が狂った)


【The E-day Before day】
IR-01.世紀の大失敗


1096年09月03日。

 

◆惑星【テラ】 大気圏上空。スペースコロニー【アーク】内研究施設

 

 ワシはDr.エッグマン。現在未知の惑星にて現地の土壌や空気を採取し分析中である。

 

 全く、こんなことになるなど思ってもおらんかったわ。

ワシが未知の惑星の軌道上に居るのは偶発的な事故のせいじゃ。

 

◆◆◆

 

 事の発端は儂の世界征服の野望を悉く邪魔する忌まわしいハリネズミ、我が宿敵『ソニック=ザ=ヘッジホッグ』から【カオスエメラルド】を奪おうとしたことにある。

 

 我が野望達成プランの為には【不可能を可能にする】無限のパワーを持つ【カオスエメラルド】が必要なのじゃが、その内の一つを奴の仲間の子狐『テイルス』がラボに保管しておった。

故にワシは奴らから【カオスエメラルド】を分捕るための策を実行した。

 

 奴らはワシの策に気付いてはおるまい。

ソニックとテイルスを奴のラボから引き離すために南国のバカンスに招待してやったのだからな。

セントラルシティの市議会で奴らに『地域貢献への礼を考えている』という話があったので、あやつらを【カオスエメラルド】の側から引き離すべく南国への旅行券を進呈するように細工してやったのだ。

 加えて市長がソニック達に送った旅行券の案内メールをハッキングで改竄し、〈旅行の心得〉として

「宝石類・貴金属などの貴重品は自宅で保管しましょう」

と添え書きしておいた。

奴らは何の疑いもせずにまんまと貴重品を自宅に置いていきおったわ。

 

 だが小癪なことに、テイルスは【カオスエメラルド】だけは市長への返礼として一時的に貸し出ししておったのだ。

ワシが向かったテイルスのラボにあったのは奴が【アーク】騒動の頃に作った偽の【カオスエメラルド】の改良型であり、気づいた時には市長が【カオスエメラルド】の限定公開を近く行う旨をマスコミに報じた後じゃった。

ワシが使う予定の【カオスエメラルド】を市長に渡すとは小狡い知恵の回る子ギツネじゃわい。

 

 しかし、それはそれとしてテイルスの贋作は前回のものと比べればエネルギーこそオリジナルには劣るがパワーの波長やオリジナルの持つ特徴の1つ『空間に作用する力』はかなり(そこそこ)の再現度であったため、ワシは逆にテイルスの偽【カオスエメラルド】を利用することにした。

以降、この贋作はオリジナルと区別するため【Tエメラルド】と呼称する。

 

 さて、【カオスエメラルド】には未だ謎の所が多い。

判明している力には

・【カオスエメラルド】同士が引き合う

・空間に作用する

事が挙げられる。

 そこで天才たるワシはその力を利用し、『【カオスエメラルド】を【Tエメラルド】で空間転移させ位置を変更』できないかと考えた。

こうすればテイルスが市長に預けた【カオスエメラルド】を横取りするのも容易く、最終的には世界に散らばる【カオスエメラルド】を一気にワシのラボに転移させることが可能になるやもしれん。

さすれば、ワシは労せずして【カオスエメラルド】を我が手中に収めることができ、ソニックの打倒とワシの世界征服の野望は一気に実現することになるだろう。

 

 ワシは胸の高鳴りと共に湧き上がる笑いを抑えることができんかった。

 

 それが母星【モビウス】における4日前の出来事じゃ。

 

◆◆◆

 

1096年09月03日。

 

◆惑星【テラ】 大気圏上空。スペースコロニー【アーク】内研究施設

 

 【カオスエメラルド】と【Tエメラルド】という現物がある以上、ワシの考えるエメラルドを作成するのは難しくはなかった。業腹ではあるが【Tエメラルド】は品質が優れていた(まぁまぁ認めてやらんでもなかった)ためワシは【Tエメラルド】の欠点や劣化要素を改善するだけで事足りた。

 

 そうして試作改良型【Tエメラルド】1号が完成した。

何故か形状はラウンドカット構造ではなく卵を彷彿とさせるようなオーヴァルカットの多面体構造になってしまったが、【Tエメラルド】と比べ内包するエネルギーや【カオスエメラルド】の探知能力等の劇的な向上が達成されていた。

 流石は天才科学者たるワシの頭脳よ。

 

 とはいっても1号はいきなりワシの狙う【カオスエメラルド】と自作エメラルドの転移は上手くいかなかった。

原因は不明だが実験の際に1号はソニックやシャドウが用いる【カオスコントロール】に似た力場を発生させるや否や忽ちワシの許にワープしてきた。

 

 頭上に。

 

 エメラルドがパワーを発揮する時に放出する光をカットして観測するためのヘッドセットを被っていなければ瘤ができていた所だったわい。

代わりにヘッドセットがオシャカになってしまったが。

 

 このようなことが起きたのは恐らくは実験前に注入した1号へのエネルギー量が不十分だった故に、力場が不安定になり予定とは異なる場所に転移したのじゃろう。

今回用意したエネルギー源はワシが以前に【GUN】とやり合った時にいくらか失敬していた、奴らがガードロボット等のバッテリーとして多用している『カオスドライブユニット』だったが、今回の実験で各色1本ずつ使用してみたものの1号には不足だったようじゃ。

結果1号内部でエネルギーの不安定が起こり、おかしな場所への転移が起こったのだろう。

 

 次はワシがロボットに利用している小動物を核としたリアクターからエネルギーを注入してみたが、それも同様に足りなかった、小動物がへばって休憩が必要になるほどのエネルギー供給を以てしてもまだ1号には蓄積猶予があった。

 

 今度は思い切って【カオスエメラルド】からエネルギーを抽出してみた結果、思った通りに1号はエネルギーを吸収しきって安定化した。

エネルギーを供給した【カオスエメラルド】のほうに変化や異常はなく、やはり無限のパワーを持つ【カオスエメラルド】は伊達ではないと改めて認識されられたわい。

尤も、【カオスエメラルド】による注入は下手をすれば1号の許容量を軽く超える可能性があるのと【カオスエメラルド】が万が一消耗してしまう可能性があることを考慮すると多用はしたくないがな。

また、【Tエメラルド】の欠点には先の【アーク】騒動で『エクリプスキャノン』にダメージを与えたようにエネルギー過多による暴走爆発の懸念があったため、ワシの1号も同様の欠点を抱えているかもしれん。

まぁ、子ギツネのとは違いワシのエメラルドはより高性能ではあるがな。

その後数度の軽いエネルギー放出実験を経て、1号に転移機能が備わっていることを確信したワシはいよいよ本格的な転移に関する実験を開始することにした。

 

 これが3日前じゃ。

 

◆◆◆

 

1096年09月03日。

 

◆惑星【テラ】 大気圏上空。スペースコロニー【アーク】内研究施設

 

 転移機能に関するエネルギーの波長をある程度掴んだワシは、初期実験として1号エメラルド(【エッグマンエメラルド】1号改め【Ee】-1と呼称する)の最大転移質量を計測するのと並行して次の【Ee】を製造することにした。

改善点自体は既に洗い出し済のため、それらを調整した物を製造する。

最終的には7つ分の【Ee】を製造し、一気に【カオスエメラルド】の相転移を狙うつもりじゃ。

 

 実験のほうは大凡の性能が確認できた。

 

 シンプルではあるが、蓄積したエネルギー量に応じて転移できる物が変わり、且つ転移対象の質量等に影響を受けるというもの。

なるほど、であれば【カオスエメラルド】程のエネルギーがあればスペースコロニー【アーク】やかつて宇宙から飛来し世界を滅ぼさんとした『ブラックアームズ』の本拠地【ブラック彗星】を容易くワープさせることができるわけじゃ。

それこそソニックやシャドウ程度であればワープも高速移動もわけはないな。

 此処での問題は、【Ee】が【カオスエメラルド】を転移させる最低限のエネルギーがどれだけなのかという点になる。

【カオスエメラルド】を移動させるのに【カオスエメラルド】と同量のエネルギーが必要であれば、とっとと【カオスエメラルド】を取りに行ったほうが早い。

しかし、ワシの【Ee】の優れた点は【カオスエメラルド】同士が引き合う性質を極めて正確に再現していることであり、結果、距離や障害物等の不確定要素を除けばある程度の現実的なエネルギーで転移が可能だということが判った。

やはりワシの頭脳には我ながら惚れ惚れするわい。

 

 そうとなれば後は簡単じゃ。距離や障害物を超越するのに必要なエネルギー式さえ判ればそれらを計算して出た必要分を【Ee】-1から【Ee】-7に準備してやればよい。

ワシの計画がいよいよ実現してくるとなればいくら冷静沈着なワシと言えども年甲斐もなく滾る思いがあった。

 

 これが2日前。

 

◆◆◆

 

1096年09月03日。

 

◆惑星【テラ】 大気圏上空。スペースコロニー【アーク】内研究施設

 

 【カオスエメラルド】転移の基本必要エネルギー及び超越に要するエネルギーの計算が完了したワシは【カオスエメラルド】を用いて【Ee】シリーズにエネルギーを注入した。

流石に世界に散らばる残り6つの【カオスエメラルド】全てを一度に転移させるだけのエネルギーを完全に注ぐことは時間がかかりすぎる。

なので、栄えある最初の実験としてテイルスがセントラルシティの市長に貸した【カオスエメラルド】を転移の対象にする。

今日がちょうど市長が市民に【カオスエメラルド】を公開する日であるため、正にうってつけの機会と言えるわけじゃ。

 

 衆目に披露しようとする瞬間に眼前から【カオスエメラルド】が消えうせる……まさに世紀の大科学者たるワシにしか成せぬ業よ!

 

◆◆◆

 

 【アーク】の研究施設に持ち込まれたテレビでは、セントラルシティの市長が報道陣を前に【カオスエメラルド】の披露会を始めようとしていた。

 

 Dr.エッグマンはその放送を見ながら、彼のロボット達に【カオスエメラルド】転移のための装置を準備させた。

セントラルシティ市長が演説台でスピーチをする傍らで機器類の動作点検が手早く完了し、最後に彼がパワーセル部分に【Ee】を自ら接続させると装置は異常なく稼働、起動レバーを引くまでの待機状態に移行した。

 

「フッフッフッフッフ、デキた出来たできたわい!ワシの新たな野望を成し遂げる世紀の発明品が!」

 

たった今完成した彼の発明品『エッグマンスナッチャー』(【カオスエメラルド】収集装置)の様子を満足げに眺めると、Dr.エッグマンはセントラルシティ市長が【カオスエメラルド】の入った陳列ケースのカバーを外そうとするタイミングに合わせて起動レバーを意気揚々と引いた。

 

 彼の脳裏に浮かぶのは装置からあふれ出す光の中から【カオスエメラルド】が装置の格納容器に転移され、テレビの向こうの報道陣の前には空になったケースだけが鎮座するという光景だった。

それこそ、Dr.エッグマンによる新たな世界征服計画の第一歩となるからだ。

 

「ヌワーハッハッハッハ!ヌワーハッハッハッハ!!」

 

機械に囲まれた部屋の中に野心家の高笑いが響き渡った。

 

 

 

 

Beep! Beep! Beep! Beep! Beep! Beep! Beep! Beep! Beep!

 

「ん?何じゃ、急にモニターの数値が上昇?!これは【カオス=コントロール】の現象、いや、規模が桁違いじゃ!まさか、他の【Ee】が共振して力が増幅しておるのか?!いかん、【カオスエメラルド】が共鳴してエネルギーを発し始めおった!?レバーを、ぬっ、がっ、動かぬ?!エネルギー過多で焼き付きおったな!?そ、装置が止まらぬ!」

 

「ぬ、ぬ、ぬおーーーーーーっ!!」

 

 その日、惑星【モビウス】の青空が一瞬強い緑光に覆われ、何事もなく元の青空に戻った。

 

【GUN】が【アーク】の消失を観測する、5分前の出来事であった。

 




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