The great Great GREAT Doctor is Me !   作:東京<アズマ キョウ>

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統合戦略、やっぱり面白いですね。(タノシイタノシイオシロメグリグルグル…)
前回のケオベダンジョンの時も(リセイモクスリモイシモイラナイ…)
時間を忘れてプレイしていました。(タノシイオシロデオドリマショウ…)
今回は職種がある程度(ユメハオワラナイ…)
絞られたパックがありますが、(オシロノユカハフワフワジュウタン…)
作者はランダムパックで(ソコデタオレタッテメザメナイ…)
試行錯誤するのが好きです。(イツデモイツマデモユメノナカ…)



SB-10.rendezvous

空を飛ぶことが出来ればという願望は

子供が抱くような淡い空想()のはずだった

今、空想は現実となり、空より現実離れした事実(出鱈目)が現れる

 

 


 

◆ウルサス学生自治団・キャンプベース◆

 

 Dr.エッグマンとの交渉を終えチェルノボーグの地理や設備などの大まかな情報提供を行ったナターリアは、先走って襲撃をかけたために捕虜となっていた貴族生徒を解放して貰うとアンナ達から分け与えられた食糧や医療品を持って貴族生徒の拠点である倉庫に戻っていった。

彼女自身の処遇と方針は先の遣り取りで定まったものの、他の貴族生徒達にもチェルノボーグの未来を説明し自身の身の振り方を選ばせないといけないからだ。

アンナが食糧などの物資を渡したのはナターリアが手ぶらで帰ってきたといえば逆上しかねない貴族生徒達への一種の鼻薬であり、彼らに物資の余裕を少しもたせることで多少なりとも冷静に判断させる役割を期待してのものだ。

そしてそれは同時に、ウルサス学生自治団ひいては平民生徒から貴族に対しての手切れ金という意味でもあった。

 

「くっ、ぅあー、すっかり肩が凝っちまった!ほんっと、めんどぅ、くさい話だった!」

 

 ソニアが清々したと言わんばかりに背伸びをし、強張った体の節々から音を出す。

ナターリアの亡命希望後は都市を巡る話し合いであったために仕方ないことではあるが、長らく蚊帳の外におかれることになったソニアにとって今までの時間は中々に負担のあるものであった。

 

「ナターリアさんもそうだけど、私達にももう直ぐ助けが来るんだよね?」

 

 左右にゆらゆらとうたた寝するラーダに自身のマフラーをかけながら、ヴィカはアンナにこれからのことについて話しかけた。

 

「その筈ですが……博士、状況は今どうなんですか?」

 

 アンナはDr.エッグマンに脱出準備の塩梅を尋ねると、Dr.エッグマンは大きく胸を張りながら答えた。

 

《安心するがいい。病院船一隻、駆逐艦二隻をそちらに向かわせている。予定時刻は深夜零時、脱出したい者共に屋上へ来るよう伝えよ。この船以降に便は出さん。アンナよ、そのデバイスを屋上の開けた所まで持ってくるんじゃ。それが船を高校上空まで誘導するからな》

「判りました。すぐに伝えます」

「ちょっと待って、どうして屋上なんです?集まるならグラウンドのほうが広いし安全じゃないんですか?」

 

 ヴィカはDr.エッグマンに屋上に集まる理由を尋ねる。

 

《船を降下させるにはグラウンドでは校舎が邪魔になる。船体が建物にぶつからんようにするなら障害物の少ない屋上のほうがやりやすい。それにグラウンドだと外で取り囲んでいる連中が船を察知して突入して来かねんから億劫じゃ。まぁ、事前に露払いはするつもりじゃがな》

 

 Dr.エッグマンは事も無げにペテルブルグ高校外のレユニオンを叩き潰してから救助すると言い放ったため、ヴィカは目を丸くして声を漏らした。

 

「ぐ、軍事警察を負かした暴徒を追い払っちゃえるなんて、ほんと、すごいですね……」

《何のことはない、ワシはDr.エッグマン様じゃぞ》

「あ、えっと、はい……」

 

 ヴィカはDr.エッグマンの理屈のよく判らない明言を聞いて戸惑うが、巨大ロボットという彼の実力の証がある以上その自信の根拠は何となく認めることができた。

 

 パン、パンとアンナが手を叩くとその音でラーダが首をがくっとさせて微睡みから覚める。

 

「まぁ博士がそう言うのなら従います。ヴィカ、すみませんが男子生徒に怪我人を屋上に連れて行くよう指示をお願いします」

「そうね、こうなったら急がなきゃ。校舎の人達に声をかけてくるわ」

「ソニアはグラウンドの物資の一部を運搬するよう作業を任せてもいいですか?」

「全部じゃないのか?」

「量と時間的に無理です。持って上がった分は屋上に集まった時に怪我人や飢えた人がいた時用に使います。……それに、グラウンドにある程度残しておけばもしかしたら暴徒じゃない誰かが校舎に逃げ込んで来た時に何かの助けになるかもしれませんし」

「……あいよ。力だけが取り柄のバカ共をこき使ってやるよ」

「ラーダ、起きて下さい。すみませんが今からお友達と一緒にペンキで屋上までの道に向かう矢印を描いて貰えますか?」

「んんむにゅ?うん、判った、任せて」

「じゃあ、()きましょうか」

 

 アンナがソニア達のほうを見て、彼女達は頷く。

 

 この地獄の釜から抜け出す最後のチャンスを得るために。

 

◆ペテルヘイム高校・屋上◆

 

1096年12月22日、夜。

 

『校舎からの救助のために屋上にいる必要がある』

 

 アンナやソニア達からそう聞かされたウルサス学生自治団や、豊富な物資を持つ自治団を頼りに合流してきた他の平民生徒グループは一斉に動き始めた。

 

 ラーダは収容されていた同学年の生徒と共に屋上へのルートが判るように……たまに花や鳥の落書きをしながら矢印を描いていく。

『広い廊下にペンキで絵を描く』のはラーダ達低学年生にとっては刺激的な作業だったようだ。

ラーダ達は笑いながら滅多に出来ないペンキ塗りを楽しんだ。

 

 ヴィカは主に医療班のまとめ役として傷ついた生徒を手助けし、場合によっては自身も足を怪我した生徒に肩を貸しながら屋上へ案内する。

開いた窓から入り込んだ雪を踏んだ勢いであわや校舎の外へ転げ落ちそうになったことがあったが、医療班一同が慌てて救助したことで事なきを得た。

 

 ソニアは物資を狙って襲撃してきたグループの捕虜に睨みを利かせてグラウンドの物資を医療品を最優先に運ばせる。

かなりの重労働に捕虜から不満の声があがるものの、救助までに食糧も運び出せれば対価として多めに食糧を渡す取り決めがなされたことと、何よりあの『冬将軍』と謎の電撃を放つ小ロボットが自分達を監視していると判ったことで静かになった。

 

 アンナは他に校舎で孤立している生徒がいないかを確認することになり、教室を出来る限り見回っていく。

途中で衰弱して動けなくなっていた生徒や貴族グループの方針に反発して追放された貴族生徒等を発見し、持参したエネルギーバーを渡すと共にこれまでの出来事をかいつまんで説明する。

いずれも当初のソニアの時のような(「蜂蜜酒でも飲んだか?」と)反応を示されるが、見たことがないパッケージの食糧や校舎の窓から見える巨大ロボットを見て事態を把握するとアンナに同行することを了承した。

 

 こうして慌ただしく時間が経過し、間もなく約束の深夜零時に差し掛かる頃にはナターリア他貴族生徒グループを除いて生徒達は全員屋上とその階下の教室に集まっていた。

屋上の寒風を耐える為に生徒達が身を寄り添わせる中、アンナは教室から取り外した時計を睨んでその時を待っていた。

 

「なんか、今日は夕方からずっとドタバタしてたよな」

 

 アンナの後ろからソニアが近づいてきた。

 

「そうですね……助かったらどこでも良いので兎に角寝たいです」

「言えてる。アタシもずっと走りっぱなしで流石に足が重いぜ。しかも最初はいきなり雪掻きだからほんとしんどくてかなわねぇ」

「いやぁ、ソニアには本当に助かりましたよ。あの時ソニアがいなければどうなっていたことか」

「ああ……マジでな」

 

 アンナの呟きを聞いて、ソニアは最後の最後で自分達の命運が変わったかのように思った。

 

「(あの時アンナがいなかったら……いや、そんなことはもうどうでもいい)」

 

 ソニアはそのIF(本来の末路)を脳内に反駁してたが、それはもう有り得ないこととして頭の片隅に追いやった。

 

「さて、もうすぐ時間ですが……まだ……いや、待ち人が来てくれたみたいです」

 

 時計から目を離して通信端末(ビーコン)に表示されるナビマップを伺っていたアンナは、その青光の中から何かを見つけたようだった。

 

「どこだ?」

「あっちです。校庭の一本杉の方角」

 

 アンナが指差す方向をソニアが目を凝らすと、時折校外の建物が燃え盛る炎の光にあてられて、何か四角い物体が三つ近づいて来るのが見えた。

 

「何だ、ありゃ……?箱?」

 

 近づいてくるソレにはいずれもクッキー箱にプリントされていたDr.エッグマンのシンボルマークが描かれており、Dr.エッグマンの差し金であるのははっきりと判った。

 

「うわぁ、マジか。あの巨大ロボット甲虫よりもデカいもんが空を飛ぶのかよ……」

 

 ソニアが唖然とその光景を見ていると、その四角い物体の上から何か青い金属質な光が地上に向かって一つ飛び降りていったことに気がついた。

 

「おい、なんか青いメタリックな感じのが今落ちていかなかったか?」

 

 ソニアがアンナに今見たものを尋ねると、アンナは気にする様子もなくさらりと答える。

 

「ソニアが見たのはきっと博士の仲間のロボットでしょう。暴徒を先んじて倒す、と言っていましたし問題ないと思います」

「いや、でも、あんな高い所から降りて……落ちて……まぁ、アーツを使って高い所から飛び降りても大丈夫な奴もいるしな、うん」

 

 ソニアは混乱しつつも『そういうもの』だと納得することにした。

ソニアが無理矢理飲み下している内に三隻の船が屋上の上空まで来て停止すると、中央の一際大きい一隻がゆっくりと何か板のようなものを下ろしてきた。

そこにはワークロボット二体が赤いランプをつけた黄色いヘルメットを被って乗っており、板が屋上の床まで降りてくるとランプを光らせて周囲を警戒し始める。

それに合わせてグラウンドにいた甲虫ロボットも校舎の屋上に飛来し、生徒達の足元を頭部に着いたライトで照らし始めた。

 

 屋上にいた生徒達は急に現れたそれらを見て大きく眼と口を開いて驚いた。

 

「まさか、あれは……船?!シチリアの水上軍やシエスタにも大型の船はあるがこんなに大きくなかったぞ!しかも、空を飛ぶだなんて……!」

 

 中でも以前に地上湖沿いの国に行ったことがあるのか、船をみたことがあるらしい平民生徒側の貴族生徒が顎が外れんばかりに驚き目を見開いていた。

 

[時間五分前じゃがとっとと始めるぞ、アンナ。作業時間は零時半までじゃ、かかれ]

 

 その船のスピーカーからDr.エッグマンの声が響く。

アンナはこれが救助用の乗り物だと確信し、生徒達に号令をかけた。

 

「さぁ皆さん、此処から一目散に逃げましょう。最初に怪我人を、次に低学年の生徒から順に、最後に物資の運搬担当者です。下の階の人にも連絡をお願いします」

 

 アンナの呼び掛けに学校に集った生徒達はたまらずにあらん限りの声を沸き上がらせる。

怨嗟と苦痛のそれではない、心からの歓声だった。

 

 生き残る最後のチャンスの糸が、正に自分達の目の前に降りてきたのだ。

 


 

 交通整理ロボットによる誘導を受けながら、生徒達は船のエレベーターに乗って次々と船内に入っていく。

今屋上に残るのは回収した物資の運搬をしている捕虜とアンナ、ソニア、ラーダ、ヴィカ達のみとなっていた。

 

「ナターリアのお姉ちゃん、まだ来ないね」

「そうね、ラーダちゃん」

「お貴族様は平民と同じ船になんて乗りたくない、ってことかよ」

「……」

 

 ラーダとヴィカが心配し、ソニアが皮肉を飛ばす中、アンナ達は別れたナターリアが合流するのを時間ギリギリまで待つことにしていた。

しかしラーダの言うとおり、ナターリア達はまだ姿を現していない。

 

 脱出期限は刻一刻と迫っていた。

 

「ソニアの姐さん!物資の積み上げ、全部終わりました!」

「おう、お疲れさん。ラーダ、すまねぇがアイツらに食いもん渡してやってくれ。ヴィカもラーダを手伝ってやってくれねぇか?」

「はーい、ソニアお姉ちゃん。高校生のお兄さん達、こっちにクッキーを取りに来てください!」

「作業中に怪我した人はいない?悪くなる前に手当てするから言ってね」

 

 労働を割り当てられた捕虜の生徒達がソニアに作業終了の報告をすると、ソニアは彼らに約束通り食糧の特別支給をラーダとヴィカに頼んだ。

二人は捕虜達の食糧と治療を準備するべくエレベーターに駆けていった。

 

「……来なかったら、どうする?」

 

 寒さに耐えながらも屋上出入り口を睨むアンナの隣に立ったソニアは、腕組みをして()()()()()()()()について彼女に尋ねる。

 

「……置いていきます。長居は禁物ですし、博士も無闇に時間を取ってくれないでしょう。それに屋上に来ない(救助を受け付けない)のなら、それがナターリアさん達が選んだ道です」

「……そうだな」

 

 アンナが口から漏らすように小さく答えると、ソニアは大きく溜め息をついて白い吐息を空気中に漂わせた。

 

 散々苛つかせてくれた貴族生徒に一発拳をくれてやりたいと思うソニアとて、あの会談を通じてナターリアが物資だけ奪って翻意するような人物だとは思ってはいない。

だが、ナターリア以外の貴族生徒については当然ながら全く信用しておらず、それどころか彼女の持ち帰った物資でいきり立ち、更に平民生徒から巻き上げるべしと騒ぐ奴が必ずいる筈だとソニアは考えていた。

 

 そして、これからチェルノボーグに訪れる未来をナターリアから聞いたとしても認められずに、倉庫でひたすら助けを待とうとする奴もいるだろう。

ナターリアが平民生徒と協同歩調を取ったことを貴族の恥と罵り反発する奴だっているに違いない。

 

 ナターリアの置かれている立場からすると、むしろ彼女は他の貴族生徒達を置き去りにして逃げ出したとしてもソニアですら責めることはできないと思っている。

 

 しかしナターリアはそうしなかった。

彼女の立場、貴族の誇り、ロストフ家の責務があったからだ。

また彼女はあの時貴族生徒達の代表も同然に交渉した。

故に彼女は他の貴族生徒を見捨てる訳には行かなかったのだ。

そんな彼女が仮にもこの屋上に姿を現さないとすれば、彼女はこの高校を墓標にして斃れるのを受け入れたということだ。

 

 時間は間もなく零時半を迎えようとしていた。

 

「……行くか、アンナ。ロボットもヴィカもラーダもバカ共も、もう船に上がっちまったぞ」

 

 ソニアは踵を返して船のエレベーターのほうを見る。

彼女がそれ以上先に歩き出さなかったのは、アンナの気持ちを重んじてのものだった。

 

 一拍、アンナは間を置くと屋上出入り口から目を逸らした。

 

「……行きましょうか」

 

 アンナとソニアは決断し、エレベーターに向かって歩き出そうとした。

その時、二人はグラウンドのほうでいくつか灯りが動いていることに気が付いた。

 

「何でしょうか?」

「おい、ありゃあ!」

 

 二人が屋上からグラウンドを覗き込むと、灯りを持った多数の人間が前方を走る十数人程の人間を追いかけているのが判った。

すわ外の暴徒かと思いきや、グラウンドにいるはどうやら貴族生徒達のようで、彼らは雪の中前を走る他の貴族生徒と平民生徒に向かって空瓶や石などを投げて追いかけていた。

逃げる生徒の先頭は様子からして貴族生徒に組み込まれていた平民生徒達で、灯りを持って雪のない道を探して走り、その後を小柄だったり包帯を巻いたりした生徒が続き、最後にその後ろの貴族生徒達は投げつけられた飛礫などを弾いて生徒集団を守っている。

 

 その後方グループにナターリアがいることに気が付いたアンナとソニアは事態を把握して叫んだ。

 

「ナターリアさん!」

「アイツ……しくじりやがったか!」

 

 アンナは驚きで口を手で覆い、ソニアは屋上の欄干を握り締めながら力任せに叩く。

 

 ナターリアの陥った危機的状況については、時間が少しだけ遡る。

 




◆感想や改善点などございましたら是非コメントお願いします。

◆因みに「rendezvous」は待ち合わせ、とかの意味がありますが、「z」はどこに行ったんだ?と思う単語でした。
07/23:ランダムPUで正式調査クリアしました、やったぜ。
今はサルカズ組で挑戦中です。
07/26:サルカズ組でクリアしました、やったぜ。
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