The great Great GREAT Doctor is Me ! 作:東京<アズマ キョウ>
以下長文。【孤星】ネタバレの恐れありと書いときます。
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いいストーリーだった、本編じゃないのかってくらい重要な話だった。
2年前の投稿時に宇宙を出してなければもっと楽しめた。
……どうしよう。
博士めっちゃ宇宙と地上を行き来してるよ、何だったら宇宙の隕石壊して防衛したり宝石や貴金属取り出したりしてるよ。
テラの空どうなってるの?
もしかして博士がシャトル運行するたびにお空がぐわんぐわん揺れてるの?
星詠みの人とか観測所の人に過労死する人いたら博士のせいになるの?
……今裏でロドス編書いてるけど、いっそ便乗してクリステンのサイドストーリー書く?
というかサイレンスのサイドストーリーを1年前に7割位書いたんだけどその時に抱いてたライン生命の印象がごっそり更新されてしまった。
作者はもっとこうライン生命は生物研究ヒャッハーみたいな場所で『生命の尊厳?それは科学の発展によって昇華するのだ!』とか言って
サガフロの生命科学研究所みたいな狂った感じじゃなく、実際には幼心に抱いたものをずっと持ち続けた人がトップで幹部はそれに脳を焼かれた人達だったなんて、聞いてないですよ……。
Jおじがサリアから器を理由にお祈りメールならぬお祈りカルシウム神拳貰ってたけど、器ってガンギマリするのも採用ポイントだったりしたの?
あと翠玉の夢は当時時間的余裕がなくステージだけクリアで詳細を把握していないのですが、ドロシーの目的がmakeuswhole的なものだったらしいのでまだ生物的な範囲かと思ってました……少なくとも本イベで登場した人の殆どが自身の願いにド直球なのは予想外です。
ライン生命がクリーンな組織ではないのは承知の上ですが、漂う匂いが動物性タンパク質的な匂いがするかと思えば山登りの山頂で嗅ぐ空気の匂いだったのは全く予想できませんでした。
はい、
イベントストーリーはなるべく踏まえるよう頑張ります。
まぁとっくの昔にオリジナル展開オリジナル設定オリジナル改変かましてるので原作乖離に矛盾が噴出しているでしょうが、私はこの言葉を胸に生きていきたいと思います。
『エッグマンランド万歳!』
『あ、あれは【カオスエメラルド】?!』
貴族とか、平民とか、子供とか、大人とか
そんなものは関係なく
「オーホッホッホッホ!よし、いけ、そこじゃー!」
やっている事を言えば大移動都市を狙った空挺強襲軍事行動という常軌を逸した代物であるにも関わらず、アンナの前にいる老人はまるでレスリングの試合を観戦する平民のような気軽さでチェルノボーグ侵攻部隊のロボットが撮影する戦線の推移を眺めていた。
いっそ片手に酒瓶を持てば酒場の老人風味で雰囲気は完璧になるが、先程博士がロボットに持ってこさせたのはノンアルコールのコーラだったので何ともしまりがなかった。
「もっとこう、戦争というのは緊迫感のあるものだと思うのですが」
エッグマンランドに属するアンドロイド・ロボット図鑑……Dr.エッグマンが自信たっぷりに見せびらかしてきた本に目を通すアンナはそう呟くが、眼前に浮かぶ幾つもの戦況モニターを見る老人にはまるで聞こえていない。
これが超科学を恣にする極悪宇宙人の姿だろうかとも思うが、彼女が愛読する小説シリーズの悪役であるタマゴタケ星人も作中ではこんな感じだったなと思い出すと何だか妙に腑に落ちてしまった。
[Dr.エッグマンサマ、ヒミツキチのシュウイをカンリするスラムのカオヤクからメッセージがトドいております]
「あー、あやつか。何と言っておる」
[チイキにリュウニュウしたナンミンタチをスラムのシザイをモッてホゴしたと。ひいてはブッシオヨびシキンのツイカをキボウするとのことです。ショウヒしたブッシのメイサイもテンプされています]
「見せてみろ……あのタヌキ、己の懐に入れる分もしれっと混ぜおってからに。まぁよい、今は出し惜しみする時ではない。輸送船を一隻送れ。『差配は好きにしろ、だが無駄遣いするな』と伝えておけ」
[リョウカイしました]
通信が切れたのを見計らい、アンナは本を閉じ近くのコントロールパネルの上に置いてDr.エッグマンの許に近寄った。
「で、どこまでやるんです?」
アンナはモニター画面のチェルノボーグ地図を指差しながら尋ねるとDr.エッグマンは顎を擦りながら答える。
「無論完全制圧、と言いたい所じゃがワシの想定程は暴徒連中の捕縛が進んでおらん。空からの攻撃で混乱しておる今の内に幹部諸共まとめて一網打尽にするつもりだったが、どのロボット部隊からも未だにそのような報告は無い。さっきまでは孤立した連中の捕縛報告もあったが今でははぐれた構成員程度しか捕まらん。小癪だが戦線を建て直されたようじゃな」
「レユニオンはそんなに強いんですか……」
「思った以上にな。逃げ道もしっかりしておるし、恐らく奴らの中にチェルノボーグを知り尽くした者かウルサス出身の者でもおったのじゃろう。下手すると軍事警察共よりも詳しいやもしれん」
「それだけレユニオンが準備していたと」
「或いは十分な作戦を練られるだけの
「(だから、こうなったのかな……)」
アンナはチェルノボーグ地図から目を逸らして俯く。
今回の暴動が計画されていたことと計画を立てられるだけの人々……チェルノボーグに所縁のある人達がいるかもしれない事を彼女は想像もできなかった。
学生という身分故に自分にはどうしようもない、打つ手は最初からなかったとアンナが言おうと思えば言える。
だからと言って彼女の胸から沸き上がるやるせなさを無視する理由にもならない。
もし、もし、もし……自分が見てこなかったものの中に眼下の暴動の種があったのではないか、自分が目を逸らした人があの中にいるのではないか、自分が抱いた感染者への怖れで傷つけた人がいるのではないか、それらが頭の中に浮かび上がり、アンナの体を震え上がらせた。
「なーにを悩んでおるか、小娘め」
そんな頭の上から投げつけられた唐突な言葉にアンナは気落ちしてふさぐ顔をもたげると、そこには黒ガラスの眼鏡の奥にあるDr.エッグマンの面倒臭げな視線があった。
「どうせ自分のせいじゃないかと思ったのじゃろう?例えば、感染者に対しての『振る舞い』だの『見落とし』だの、か?」
心臓の跳ね上がりと共にアンナがびくりと震えると、Dr.エッグマンは呆れたように軽く鼻息を鳴らした。
「フン、まだ子供の癖に大それた考えじゃ。そもそもウルサスの教育要綱にも一度目を通したことはあるが、あんなものを子供の頃から教える教育者共の程度が知れるというもの。オヌシの所のお上共は全く非合理的な教育を以てオヌシらを都合のいいようにしたいようじゃな。【鉱石病】に向き合うコストをまるっと無視し全て切り捨てて解決とする辺り、いかにあ奴らが何も考えずに過ごしてきたことがよく判る」
「そう、なんですか?」
「当たり前じゃ。あれこれ考えるよりも全無視、全否定のほうが遥かに楽じゃからな。逆に聞くが【鉱石病】患者の言い分を全て聞かず、ただ都市から放り出すことに何の高等思考が要ると思う?オヌシは【鉱石病】患者を都市外に、いや家にあるゴミを玄関の外にただ放り出せばゴミ出しがまるっと片付いたと思うタイプか?」
「ご、ゴミって、その、感染者をそういう例えで言うのは……」
「そうやって考えさせることすらこれまでさせてこなかったのがウルサスとやらの教育よ。実際これまで罹患者の扱いは『仕方ない』とか『そういうものだ』とか思っていたのではないか?」
アンナはDr.エッグマンの乱暴な物言いに抗議するも、続いた指摘に閉口せざるを得なかった。
Dr.エッグマンはフンと鼻を鳴らす。
「そういう意味では貴族共の自己保身や怠惰、疑心暗鬼に無知からの恐怖のしわ寄せが教育に来たとも言える。大方『病気対策を謳っても成功しなければ・融和を謳って罹患者が自領に雪崩れ込んできたら・自分が【鉱石病】に罹ったら』とか。又は『【鉱石病】対策に金を掛けたら全く金を掛けない他のライバルにその分有利をとられるんじゃないか』とかそういうことを考えたのじゃろう。それで行き着いた先が『【鉱石病】の事は
Dr.エッグマンはやれやれと肩を竦め、手にしたコーラ瓶をぐいっと呷る。
「いかにして『病を治すのか』『病を防ぐのか』『病を抑えるのか』『病を無くすのか』『病を正しく知るのか』……それを賢く成せなければ、いやそれどころか『判りませんでした、後は知りません』等と抜かすようでは為政者や科学者として失格よ」
「……【鉱石病】相手にそう言い切れる人はこの星じゃ博士くらいですよ」
「何を言っておる。ワシは世紀の大科学者にしてエッグマンランドの主、Dr.エッグマン様じゃぞ」
Dr.エッグマンが胸を張って威張った直後、船の下から轟音が響き渡る。
Dr.エッグマンは椅子でバランスを崩しかけ、アンナは思わずその場にへたりこんでしまった。
Dr.エッグマンはマイクを掴んで管理システムに声をかける。
「何があった?!」
▶《コマンダーに報告。都市の表層広範囲、一部の下水道インフラにて大規模なエネルギー反応及び源石クラスター発生を確認。続けて都市内の大型建造物が複数倒壊しました。その後敵側の通信傍受によりこの現象が敵の妨害作戦であることが判っています
「此方の被害は?」
▶《一部戦線のロボット軍団が消失、及び源石エネルギー波の阻害によって周囲の通信が阻害されています。並びに巨大源石周辺にて艦船の稼働に障害が発生、また都市の広範囲において源石を用いた機械製品の動作停止や故障も確認されています》
「おのれ、上空の【天災】系エネルギーを防いだかと思えば地上でケチがつくとは!ええい、些か早いがやむを得ん。全艦隊及び軍団に命令、進攻作戦を完了する。次のステップである占領作戦に移行せよ」
▶《コピー、コマンダー》
「終わったんですか」
「一先ずはな」
アンナの問いに返すDr.エッグマンは館長席の肘当てに不機嫌に肘を立てる。
その顔は愛読書の小説シリーズで最後まで残しておいた好物を盗られたタマゴタケ星人が不貞腐れた時のように不満に満ちたものだった。
「だがレユニオンよ、覚えているがいい!ワシを止められる者などこの星にはおらんということをな!」
Dr.エッグマンは両腕を高く振り上げて気炎を上げた。
◆◆◆
◆エッグパイオニア・階下ブリッジ◆
▶《全戦闘員に告ぐ。現時点を以て前進作戦を終了し、占領作戦を実行せよ》
「何、考えてやがる」
眼下に広がる火災や破壊活動、突発的に発生した【天災】による源石塊隆起、そして発破による高層建築物の崩壊によって煙をあげるチェルノボーグを見つめるナターリアにソニアが声を掛ける。
ブリッジの手すりに体をもたれかけながら、ナターリアは倒壊した都市有数の高層ビルや監視塔を眺めて呟いた。
「私達ロストフ家とて、身の丈全てが清廉潔白だったとは申しませんわ」
「おう」
「家の隆盛も元は主家の落ち目を踏み台にしたものですし、父も祖父も多くの敵に狙われたりしたそうです」
「そうか」
「……同時にこれまで、我が家も感染者も追放や強制連行をしたり、家に仇なす者を排除したりしてきました」
「だろうな」
ナターリアは自身の、ロストフ家に関する語りをぼそぼそと流し、ソニアはただ相槌を打つ。
そのような時間が少し過ぎた時、ナターリアは手すりを握ったままずるずるとその場に崩れ落ち、目からただ溢れるかのように涙を流し始めた。
「なにが、
涙がガラス張りのブリッジにはたはたと零れる。
涙と共に貴族たれと保っていた理性が落ち、まだ大人に成りきれていない少女の顔が露になる。
「なぜ、チェルノボーグだったの」
「炎国でも、ボリバルでも、リターニアでも、ヴィクトリアでもなく、サルゴンでもなく、カジミエーシュでもなく、イェラグでもなく、ラテラーノでもなく、イベリアでもなく」
「ウルサスの他の都市ではなく、なぜ、チェルノボーグだったの」
「チェルノボーグは、他の場所よりもなにがあって、このようなことになったの」
「感染者?圧政?財産?資源?立地?どれか一つでもあったから?それとも全部?それとも全く何もないの?」
「なぜ、チェルノボーグは燃えたの」
「私には、判らないわ」
その問いは、為政者や支配者の発するものとしては不適合のものかもしれない。
だが、これは貴族や学生という立場を抜きにした、ナターリアという一少女が抱いた疑問だった。
彼女の父が、祖父が、先祖達が造り上げた都市が踏みにじられている。
今もなお感染者の暴徒に、そして此れからは同胞の筈のウルサス帝国にその土地を狙われている。
感染者を弾圧したことへの報いだった、と言えるのならナターリアは何も考えなくて済んだかもしれない。
事の責任を過去の所業に押し付け、今その代償を払ったとしてしまえば
しかし程度の差こそあれ、この地上の国々には感染者への理不尽も迫害も等しく満ち溢れている。
またウルサス帝国は特に感染者への差別が強いが、チェルノボーグが地上で随一という訳ではない。
苛烈さで言えば恐らく帝都や北限の開拓地、流刑地程ではないだろう。
しかし、現実としてチェルノボーグは怒り狂った暴徒の蜂起で戦火に曝され、都市を守る軍事警察はレユニオンに駆逐され、そして降り注ぐ鉄の足がレユニオンを蹂躙して今に至る。
Dr.エッグマンを招き入れたのはナターリアであるが、そうしなければ都市は半分どころか全て灰塵に帰していただろう。
どのみち、チェルノボーグは陥落するのだ。
彼女の『何故』、は尽きない。
彼女が他の人より遥かに恵まれた立場であり、そして次代のチェルノボーグを担うであろう程に優れた人物であっても、その答えを出すにはまだ年端のいかぬ少女であることに代わりはなかった。
ただし、ソニアは勿論その疑問に答えられる者は此処には誰もいなかった。
「……あたしだって知らねぇよ」
ソニアも手すりに腰を預け、腰ベルトに括りつけていた防火斧が手すりの軸に当たって音を立てる。
下方ではビルが膨大な砂埃を立てながらその姿を瓦礫に変えていくが、防音の利いたブリッジでは斧の金属質な音のほうが妙に響いた。
「少し前まで、あたしは家の薄い毛布を何枚も重ねて寒さを凌いでたし、いっつも同じ味のスープを飲んでた。絡んでくるうざってぇ奴らをノしたりもしてたし、他のダチが持ってるボロいラジオを聞きながらうだうだ駄弁ったりもしてた。それがいきなり感染者に襲われて、連れてかれて、無理矢理ペテルヘイムに押し込められたんだ。ロストフだの何だの関係なく
「……ええ、そう、ね」
「まぁ……そのあとはいきなり雪掻きすることになったと思えば空からでかい昆虫とメシは降ってくるわ、襲ってくるバカ野郎共を簀巻きにするのに追われるわ、大急ぎで校舎の屋上まで上がるわ、仕舞いには雲の所まで飛べる船で寝泊まりするわ……これで何故そうなったかって知ってるほうがおかしくねぇか?」
「いえ、その、そう言われても……」
不意に漏れだしたソニアの愚痴にナターリアはつい面食らって返答する。
「ともかく」
ソニアは咳払いをして上を見る。
黒くて無機質で汚れも埃もヒビも傷も錆も全くない艦の天井。
自宅、街路、バス、教室、体育館、倉庫、雑貨店、本屋、ソニアが見たことのあるそれらとは真逆のものしか見えない。
ソニアが生きてきたこれまでの人生において一度も見たことのない、まず見られると予想のできない代物だった。
「今こうして生きていられてるんだ、だったらまだ何かやれることはある。お前はお貴族様なんだ、あたし達よりももっとメッチャ大変な仕事して貰わねぇと割にあわねぇよ」
ソニアの面倒事を押し付けるかのようなぶっきらぼうな言葉が、ナターリアの何か命のようなものに染み込むような感覚を彼女は得た。
「そう、ね。私には、きっとできることがあるわ」
「おう、やれやれ。あの爺さんのことだ、これからもぜってぇ滅茶苦茶なことやるし、仕事量もぜってぇハンパねぇよ。そんなのぜってぇあたしはお断りだからな」
「仕事といえば、そういえば貴女はこの前の仕事募集は何に立候補したのかしら?」
「あ?あぁー?あっ、うーん……」
ナターリアの問いに何故か突然口ごもるソニア。
その様子にナターリアは一瞬悪い予感がして思わず手で口を覆う。
「まさか、博士に何か
「おい、何いってやがる」
「じゃあ大丈夫なのね?」
ナターリアが胸を撫で下ろすのを見てソニアは苦い顔をして言った。
「何もねぇよ、何考えてやがる。平日は夕方に施設の清掃やるんだ。清掃ロボットの手の届かない所とかのな。昼間は勉強の時間になるからバイト不可だってよ……やりたくねぇ」
「勉学は当たり前よ、学生だもの。でもそれだけなら貴女は何故口ごもったの?」
「……あっちのな、ラーダのお願いで、月二回位でな、あいつと一緒にバイトすることになったんだよ」
「あら、あの子と。いいわね、お友達と共に働けるなんて私やったことがないから羨ましいわ」
「それだけならまだいいんだけどよ……」
「ソニアおねーちゃーん!」
「うっそだろおい」
先程とは打ってかわって艦の床を見詰めて見るからに項垂れるソニアの姿にナターリアは首を傾げる。
その時、ブリッジの扉が開き噂の人物であるラーダが何かの紙束を携えて中に入ってきた。
「あ、ナターリアお姉ちゃんもいたんだ」
「ごきげんよう、ラーダさん。その紙束はどうしたの?」
「これね!ラーダが行こうと思ってるお店のリストなの!」
「お勤め先の?」
「うん、これからレストランとかカフェダイナーとか建てるってお爺ちゃんが言ってた!だからどんなお店が良いか先に言えば建ててくれるんだって!」
「ジジィ、余計なことを……」
「今から建てるってそんなこと……できるのね、あの博士なら」
ラーダが楽しそうに飲食店のラインナップを見せてくるのとは対照的に、ソニアは頭を抱えて顔をしかめナターリアは顎に指を当てて苦笑する。
しかし何故それでソニアが悩んでいるのかナターリアには判らなかったが、ラーダの後ろから誰かが来たことでその理由を察した。
「見て見て!お爺ちゃんに頼んだらコスチュームのサンプル作ってもらえたの!CASEALさんに試着してもらったからきっとソニアお姉ちゃんもイメージしやすいと思うの!」
「だから、そういうのは、着ねぇって、言っただろ!!」
「えー、働くならちゃんと着替えないとだめだよー」
「だからスタッフはスタッフでも厨房なら要らねぇだろそんな服!!」
「キッチンだとこっちになるよ!」
「おい待て、なんでそっちもあるんだっていうかそっちもなんだそれは!」
「かわいいでしょ!キッチンの人だってかわいい服着たいもんね!」
「ちがう、そうじゃねぇ!!!」
ラーダの後からやってきたDr.エッグマンのロボット女性であるCASEALの五体はそれぞれ新品の衣装を着てソニアとナターリアの前に現れた。
ボディカラーが桃、赤、橙、黒、白と色違いの五体はそれぞれ。
・赤のブリム、胸が強調されたように見える白の丸襟シャツ、赤のスカート、白チューリップの刺繍が赤エプロンの端に縫い込まれた制服の桃*1。
・幾重に縫われ折り畳まれて花弁のようになったホワイトブリム、黒薔薇のような誂えのリボンタイ、襟や
・ラベンダーの刺繍がアクセントになっている空色のリボンカチューシャ、肩が綿の花みたく膨らみ白コルセットでウエストを強調した空色のワンピース、波のようにふんわりと折り曲げられた白エプロンに白と黒のストライプ生地のロングソックスを履いた橙*3。
・桜の花が三つ刺繍されたホワイトブリム、黒染めで波紋の縫い付けの中に白の蓮が浮かぶように誂えた極東風のワンピース、コルセット代わりで暗緑色の帯、フリル付き白エプロンの白*4。
・唯一頭飾りがスカーフ、胸元の大きく開いた白メインのブラウス、ブラウス胸部中央には花結びの紐、革地と見間違える程に落ち着いた色合いのコルセット、赤と黒のチェックがシンプルながらも十分なお洒落を主張しているスカート、他とは違い向日葵のようなイエロー一色なったエプロンの黒*5。
暖色系CASEAL三体がホールスタッフ衣装を、モノトーン系CASEAL二体がキッチンスタッフ衣装を着て宛らファッションショーのように歩いてはターンをしたり服の端を摘まんで礼を示したりと各々の衣装をアピールしている。
ナターリアにとっては良い衣装に思うが、方向性はフォーマルよりもカジュアル、更に言えばキュート寄りのコスチュームなのでつまりはそういうことなのだと理解する。
自身がその衣装達を着ていることを想像したのか、羞恥と困惑に顔色を紅くしたソニアが外面も取り繕わずに年下のラーダに叫んだ。
「大体なんであのジジィそんな服幾つも持ってんだよ?!」
「え?違うよ?ラーダがお爺ちゃんにお店のコスチュームの事で聞いてみたら『これでも見ておれ』って衣装ラインナップの入ったデータを見せてくれたの。その中でいいな!って思った服をお爺ちゃんのCASEALさんに伝えて作ってもらったんだよ」
「一日中ずっとタブレット見てると思ったらそれかよ!?いいじゃねぇか別に、あたしはツナギとか業務用エプロンとかそういうので十分なんだよ!せめて男物!それと桃のヤツはアンナにでも着せればいいだろ、名前的な意味で!」
「だめだよー!ソニアお姉ちゃんもラーダとオソロいのカワイイの着ようよ!」
「だぁー!近寄んな!お前らもその格好で迫るんじゃねぇ!!」
ソニアが他にもあるらしい候補のコスチューム束を見せようと突き付けるラーダから逃げようとブリッジ走り、その後をラーダと彼女のマネキン役を任されたCASEAL達が追い掛ける。
あの冬将軍の彼女が、あの高校で貴族の干渉をはね除けた彼女が、あの言葉をくれた彼女が、こんなにも慌てて年下のラーダから逃げ回っている様子は妙に面白い光景で。
それと同時にもしもソニアがあのような衣装を着るならどれが似合うだろうかと、ナターリアは彼女達の鬼ごっこを邪魔しないようブリッジの壁にもたれてから考えてみる。
心が少し軽くなった気がした。
◆感想や改善点などございましたら是非お願いします。
◆この話で一番苦労したのは如何に文中で固有名詞を出さずにコスチュームの説明をすることでした(5敗)。
でもさ、確かに写っていたんだ。
ソニアがRedrop先生絵で恥ずかしがって服の裾を抑えてて。
まるで天使みたいに(疑似体験並感)
因みに書いてる上の話書いてる時はコス説明で悩んでたんです。
今は?イベストーリーの内容で頭がいっぱいです。
【方舟】
あれ、お空の遥か彼方にそんなのがありますねぇ!
なんであるんですかねぇ?!
誰だよあんなの持ち込んだの!?
ちょっと前まで「わーいブリキさん、ファントムダンジョンではお世話になりましたねぇ!てっきり鉄仮面かと思ってたらそういうことだったんですか!ダンジョンで捕虜プレイしてるサルカズちゃんはお知り合いですか?」って言ってたのにぃ!?
はい。
◆次回、ほんの少し時間が巻き戻る。