The great Great GREAT Doctor is Me !   作:東京<アズマ キョウ>

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◆【ロドスから見るエッグマンランド・前編】
次回もエッグマンランドに関する話です。
……が、中々キャラクターが会話を始めてくれない(脳内で会話シミュが浮かばない)。
本話も描写不足があると思いますが何卒御容赦を。
ウタゲとキララが『キャオキッズ キューティコンテスト(Ⓒエッグアミューズメント)』というソシャゲをプラマニクスに薦める、みたいなネタは浮かぶんですけどね。


RI-03.現状把握:エッグマンランド

クロージャの前回までのケルシー分析まとめ!

『チェルノボーグやばい!』『レユニオンこわい!』

少しはまじめにやれないのか?

 

◆ロドス・ケルシー専用メディカルルーム◆

 

「まず【エッグマンランド】とは何だ?っていう話なんだけど、ドクター達は実際にチェルノボーグに居たんだもんねー。その時のことは覚えてるよね?」

 

 クロージャが()()()のことを尋ねる。

 

「ああ。逃走中に暴徒に襲われて怪我をしてしまったため、アーミヤの応急手当を受けた後に空が急にかげったかと思えば……空中に巨大な物が浮かんでいた。あれが移動都市だと知って驚いたよ」

「そうでしたね、ドクター。周りでも騒音が収まっていたので、きっとあの場にいた人達は皆空を見ていたんじゃないかと思います」

 

 最初の衝撃。

 

 ドクター達の目に映ったのは空を飛ぶ移動都市。

その予想だにしない光景を目にすれば誰であろうと立ち止まったことだろう。

それがたとえ殺し合う相手の前であろうと。

狂騒に支配された空気の只中で、都市が一時の静寂を取り戻す程に。

 

「そして名乗りをあげたのが『Dr.エッグマン』……老人のようだが、人種は何だろうか?」

「髭を見るとなんとなくモグラかネズミのようにも見えますよね」

「フフッ、そういえばそうだな。で、都市中にモニター付ドローンを飛ばし動画を放送……自らを【世界帝国】と称していた」

「余りにも大胆な発言でした。しかも混乱しているとはいえウルサス帝国のチェルノボーグに対して『従え』と言ったんですから」

 

 次なる衝撃。

 

 その老人は全く動じることなくウルサス帝国を敵に回し、同時にチェルノボーグを攻めるレユニオンムーブメントに対しても都市の横取りを宣言。

両者に対する完全な宣戦布告と言ってもよかった。

 

「そして彼は、事も無げに【鉱石病】の治療を申し出た」

「……証拠の動画も放送されましたね」

「あの様子からするとまだ不完全の技術みたいだが、あれがチェルノボーグの趨勢を決したと思う」

「暴徒やレユニオンに明らかな動揺が走っていました。逃走中に見かけましたが、動画の是非や投降先を巡っての口論や争いすらしている所もありました。あの動画は結果として私達の脱出の後押しになりましたので、助かった……と言っていいのでしょうか?」

 

 そして最大の衝撃。

 

 世界を蝕み、あらゆる生命を削り取り、今も絶え間なく人々の間に亀裂を走らせる【鉱石病】。

それを試験的にではあるが治療の目処があることを世に知らしめた。

 

「クロージャ、あの動画を君も見ただろう。『あれ』は技術的に可能なのだろうか?」

 

 ドクターは当時を一通り思い出してから、クロージャに動画の可否を尋ねた。

 

「それについては後で話すよ。まずはエッグマンランドの判ってる情報とかについて説明するね」

「判った」

「判りました。お願いします、クロージャさん」

 

 ドクターとアーミヤはひとまず結論をおいて頷いた。

 

「まずチェルノボーグ陥落から一週間経った現在、エッグマンランドに関して公の所ではそこまで情報は出てない感じね。大体のメディアが一週間前の時チェルノボーグにいた市民や付近にいたトランスポーターが撮影していた画像についての分析をする程度になってるかな」

 

 クロージャはケルシーのモニターに撮影された空中移動都市の写真を表示し、持参した資料から龍門発行の大衆紙を取り出した。

 

≫▶『★謎だらけの空中移動都市、ウルサス帝国に宣戦布告?!』

≫▶『★身元不明!誰なら移動都市を飛ばせるか?』

≫▶『エッグマンランドの関係者の方からの情報提供をお待ちしております』

 

 おおよその新聞がエッグマンランドについては触れるものの似たり寄ったりの内容だった。

 

「まぁ民間のマスコミも今のところはこの程度だね。ひょっとするとなにがしかのネタを掴んでるかもしれないけど、何の後ろ盾もないまま下手な記事を書いたらウルサスが黙ってないよ。ゴタゴタしてるとはいっても強国だしね。でも裏を返せば都政がバックについてマスコミにGOサインを出せば一気にニュースが流れるかも」

「つまり『他の移動都市は現在様子見をしており、エッグマンランドに敵対していない』『チェルノボーグの情報は統制していて、公開に都合の良い時期を見計らっている』ということかな?」

「うん、私もそう思う。で、次は各地の国防とかだけど……」

 

 クロージャはチェルノボーグ周辺地図に近くを走る移動都市を書き込んだ。

 

「チェルノボーグ以外にも北方地域には幾つか移動都市があるんだけれども、現時点で新しく防衛体制を強化した所は特になし。あってもチェルノボーグの衛星町…移動都市程じゃない、重要機関のみを『移動化』して他は昔ながらの大型トレーラーやらキャンピングカーとかの寄り合い所帯で生活圏を作る【コンボイ街】が警戒態勢を取って武装強化をしてるね。勿論、他の移動都市が全くの無警戒というわけじゃないけど、治安維持、どっちかというなら暴徒対策。つまりレユニオンやそれに同調した組織のほうを警戒してるって感じかな」

 

 クロージャが地図上の移動都市に各政府が発表した治安維持政策の概要資料を貼り付ける。

龍門の近衛局による入国管理の厳格化を始めとして、各移動都市が都市間移動や防疫についての施策を打ち出していた。

それは感染者の流入と民間に扮したレユニオンの潜入を警戒したものであり、従来の暴動対策レベルを一段上げるほどにレユニオンを危険視していることの証左であった。

 一方クロージャの言うとおり、エッグマンランドに関する公式な発言については各政府共々発言を控えており、都市政府の開いた記者会見にて記者からの質疑応答では

『不確実な情報が多く、不必要かつ混乱を招くような軽はずみの回答はできない』

として積極的に触れないようにしていた。

 

「とは言ってもチェルノボーグ行きのトランスポーターミッションが高値で入札公開されているから各政府のやりたい事はバレバレよねぇ。果ては【危機契約】のほうにも依頼が結構流れ込んでるし」

 

 クロージャがPCで求人情報サイトや輸送任務用入札ウェブのウィンドウを開くと、一週間前からトランスポーターミッションの量が急増しているのがはっきりと判った。

いずれもチェルノボーグ行きの仕事であり、通常の依頼規約に加えて

『ミッション中の出来事は委細全て報告すること』

『期間内は業務進行状態を隈無くレポートに記し、業務完了時に案件担当者へ渡すこと』

『依頼中は貸与した撮影用カメラを必ず使用して進捗を記録し、提出すること』

といった情報に関する条件が多く付随していた。

依頼元については都市政府の名前こそ出ていないが、クロージャのつけた注釈には『都市の半公営企業』や『都市政府の有力者とコネのある企業』といった、裏に都市政府の関与の糸が見え隠れするところが大半を占めている。

彼らの拠点は商業や流通に力を持つ龍門を筆頭に様々な移動都市が名を連ねており、直近の入札ではチェルノボーグから特に離れている【極東】の移動都市からも依頼案件が出されていた。

 

「数多くの都市が動き始めているんですね……あれ?ウルサス帝国からもトランスポーターミッションが出されているんですか?」

 

 アーミヤはウルサス帝国の承認を得た紋章がある依頼書に気付いた。

しかしその報酬は通常の相場ならともかく現在の高騰するチェルノボーグ行きミッションの中では割安の設定で、最高値を出している炎国の龍門や極東諸国と比べるとその安さが悪目立ちしていた。

 

「帝国の公式見解では『チェルノボーグはウルサスの神聖不可侵な領土であり、法や決定はウルサスのそれに準じて然るべきである』ってことで通常の価格で問題ない、ってことらしいわよ。まぁ実際は一旦価格公開した後に余りにも他との価格差があったからすぐさま訂正が入って今の値段になったけど……何人の担当者のクビが飛んだかなぁ?

「「……」」

 

 ドクターとアーミヤはクロージャの物言いに渋い顔をしつつも『ウルサス帝国ならやりかねない』と納得していた。

 

「というわけでエッグマンランドの情報はトランスポーター経由が一番新鮮ってことになるわね」

 

 クロージャは次のウィンドウを開いた。

そこにはトランスポーター契約を結んでいる会員が利用する情報交換掲示板があり、今も野盗の発見箇所や野生生物の縄張り位置、【天災】傾向などの地域情報は元より各移動都市の需給面の噂や治安情報、果ては株価や抗争ネタなど多種多様な情報がリアルタイムで更新されていた。

その中でも活発に情報共有がなされているのが<チェルノボーグ>カテゴリーのスレッドだった。

 

「政府発表みたいなある程度の信憑性と向こうにとって都合のいい加工が入ってる情報と違ってこっちは正に玉石混交みたいなものだから、正確な情報がどれかっていう判断力がかなり求められるけどね。あたし的には是非とも実地調査に行きたい所なんだけど。ロボットとかロボットとかロボットとか

「出来る訳ないだろう。ましてや一ヶ月の有給など通ると思っているのか、クロージャ?お前はもっと自身の立場というものをよく考えて……」

「やだなぁ、ケルシー。ジョークよジョーク」

「わっ、すごいですよドクター!どんどん文章が追記されていきます!」

「これは……驚いたな。さっきの政府公開情報とはまた違う内容の話が飛び交っている」

 

 PC上で随時更新され、今もなお文章が増加するスレッドをドクターとアーミヤは興味深く閲覧した。

 

「これはロドスと契約しているトランスポーターのアカウントを借りているんですか?」

「そうだよー。あっ、そういえばドクターはどんなトランスポーターがいるのかは把握してたっけ?」

「帰還後の面通しと検査中に名簿を読んで目を通してあるが詳細は……」

「じゃあ検査明け祝いに食事会とついでに自己紹介しよっか」

「……世話をかける」

「気にしないで下さい、ドクター。そうやって気を懸けてくれるだけでも嬉しいんですよ?ドクターならすぐに覚えてしまいますよ」

「そうそう、むしろ新しく覚える感じだから新鮮に感じたり、何だったら一気に『そうか……判ったぞ!』なんてなったりして」

「……ありがとう。アーミヤ、クロージャ」

 

 ドクターは少し嬉しそうに頭を下げた。

 

「はい!本当はこのスレッドを一通り見てから情報を取捨選択して分析するほうがいいんだけどそれじゃ宴会が開けなくなるので既に纏めた情報がこちらになります!」

 

 どことなく短時間で作れる料理の実演番組のような一句を述べたクロージャは、スレッドを整理して纏めた資料を手近にあったトレーの上に載せて恭しくドクターに渡す。

ドクターとアーミヤが中身に目を通すとこのような内容になっていた。

 

エッグマンランドじょうほうまとめ
人物エッグマンは基本的にドローンやモニターを経由して公共の場に登場する。人前に出る時も透明なフルフェイスのヘルメットを被った上で面談専用の応接室か浮遊する球形の乗り物に乗っており決して素肌が空気に触れないような習慣をつけている
建物旧チェルノボーグ時の建築物は廃却されることなく利用されている。倒壊した建物については新しく建築を進めている(※デザインは若干バカバカしい(ユニーク)
居城市内では貴族の別邸だった館を接収して市政府庁を開いている
政策発表時はほぼ全ての条文に『Dr.エッグマン/このワシが命じる!』と付けられており、政策に彼の意志が強く反映されている
住民エッグマンランドの先住民が見つからない。ほぼ元チェルノボーグ市民か他地域からの避難民
飛行船空には飛行船が滞空しており時折都市内を巡回している
ロボット膨大な量のロボットが市内におり、アーツ技術とは異なる光弾武器や実弾武器を装備している
市街地異常な速さで復旧している。建築資材の出所は不明。飛行船が運搬している
市民市民登録された者に統一された衣服が支給され、食糧と仮設住居も提供されている。利用については自由
身分制度チェルノボーグでの市民等級や感染者、非感染者に関わらず『Dr.エッグマン』を頂点として横並び。後はある程度自由
支持層衣食住の賄いと傷病者への手当ても相俟って感染者からの支持は高い
追放反抗的な元チェルノボーグ貴族はロボットに簀巻きにされて『国境』外に叩き出されたらしい
産業在来のチェルノボーグ産業に加えて農業や畜産などの一次産業関連に強制労働がある。配給以外の食料供給のためらしく、手に職を持たない者や都市に活かせる技能を持たない者が対象となるが、実質失職した難民や感染者の雇用の受け皿になっている
新説?『自分達が口にする食べ物を感染者に作らせるな』という主張がでたが、「『ヒト→野菜→ヒト』経由の感染例は他国のネットワークでも報告されていないため問題ない。除染処理も行うほか、生産した食料抜きでも生きていける程度の配給は暫く実施するから食べなければいい」と一蹴したらしい
検閲トランスポーターの入国は旧国境管理局の施設で顔写真の撮影と荷物の検査でベルトコンベアに載せて光を当てるだけだが危険物の発見率が高い(中身を透視できる?)
福祉市民は一定期間内に必ず指定された施設で入浴するように指示されており、感染者は加えて施設内のとある部屋で一定時間の待機を命じられている。感染者曰わく、「暫くいるとちょっとダルく感じるが部屋を出ると少し体が楽になる」らしい
治安特別法が敷かれロボットが警察機能を担っている。旧チェルノボーグの軍事警察や難民から人材を募っている最中らしい
他拠点他にも拠点があるらしい。場所は以前源石を採掘していたが【天災】で廃棄された町だとか

 

「昨日までのスレッドのまとめだとこんな感じかな。二人ともどう思った?」

「興味深い情報ばかりだ。あの空中移動都市やチェルノボーグ、いや、エッグマンボーグ以外にも拠点があるとすればエッグマンランドの勢力は相当のものになるだろう」

「そうですね、でも、なんというか……」

 

 クロージャのまとめた情報に目を通したドクターとアーミヤはは少し首を傾げて感想を述べ始めた。




◆感想や改善点などございましたら是非コメントお願いします。

◆本話中でクロージャがいろいろ語っていますが彼女は現地には行けていません(許可が下りませんでした)。
現時点でのエッグマンボーグに対する危険性をロドス内で審査中(+ドクターやアーミヤによる裁定が下っていない)であるのと、彼女の立場上エッグマンボーグに赴けばロドス内外に対して影響を与えかねないからです。
(なんとなく一ヶ月も有給が残っていなさそうだなと思わなくもないですが、逆に彼女のポジション上外出自体が難しいレベルで忙しいかもしれません)
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