The great Great GREAT Doctor is Me !   作:東京<アズマ キョウ>

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◆とりあえずロドスinエッグマンランドの話はあと2~3話ほど大まかに出来上がってはいるけれど、肝心のドクターとDr.エッグマンの話が骨子だけしかできていない……!
場合によっては時期が違う話を先に投稿する可能性があることを先にお詫び申し上げておきます。

◆新しい危機契約イベが現在進行中ですが、それよりも作者としてはサーミローグが楽しくて困る。
多面調査で源石錐が爆上がりしたり希望に満ち溢れたりするのがなんかもう素敵。
ただし盗塁王と黒目玉、てめーらはぜってーゆるさねぇ。


RI-06.喫食:方舟は選り取り食べる

人というのは善なるものを尊ぶ

しかしここには(では)仏桑花(ハイビスカス)』は咲いて(見て)いない

人は誰でも悪なるもの(ジャンクフード)()溺れ(貪り)たい時がある

 


 

1097年2月。

 

◆エッグマンボーグ・ホテル【New-Our-Jean】◆

 

「ホテルの施設にすら源石除染設備があるなんて……」

 

 パールホワイトの光が照らす小奇麗で簡素な部屋の中、どこかぼんやりとした頭を揺らしながらアーミヤは初めて受けたDr.エッグマンの技術の洗礼を思い返した。

 

 事前に現地入りしてしたロドス所属トランスポーターの手引で指定されたホテルは価格面から見てもハイグレードという訳ではない。

しかしホテルの受付にチェックインで向かうとまだ学生程の歳に見えるホテルマンから、

 

「ようこそいらっしゃいました。予約と照合しますのであちらの部屋でしばらくお待ち下さい。源石由来の道具やアーツユニットは故障の恐れがありますので隣のクリーンボックスにお預け頂きますようお願い致します」

 

と、ロドスのエッグマンボーグ来訪目的の一つでもある源石除染技術が用いられたクリーンルームに案内されたのだ。

部屋の内装はホテルならどこにでもありそうな待合室風で、部屋の四隅に空気清浄機のような装置と天井及び床に通風孔がある以外は特に変わったものはなく、後は悪くない程度のテーブルとソファが置かれ、採れたての花とDr.エッグマンの自己主張が強い自画像画が飾られている位だ。

またその部屋に入るにしても特別な手続は必要無く、事前の警告の後に強烈なエアーブローを浴びた後は何事もなく手続きが終わるまで部屋で待っていればよかった。

 

 しかし効果はあった。

 

 アーミヤやガヴィル、フロストリーフはエアーブローを浴びてからというもの軽い浮揚感と体の軽さを覚えていた。

万が一体調悪化があっては問題だと、予約した部屋に入室してすぐアーミヤ達は簡易【鉱石病】メディカルチェックを施してみれば、各々の血液中源石密度がロドス出発前と比べて僅かに減少している事を知って絶句した。

最新の源石除去には高度な技術が使われているだろうことから重要施設か大型設備にあると予想していたそれが、さしたる資金もない旅行者でも泊まれるような建物に常設されていることに全員衝撃を受けたのだった。

 

 この世界に産まれ落ちた生命にとって、血液中の源石成分は決して無くせぬものである。

たとえ一生を源石と無縁でいられたとしても、源石は生まれた時から人生の傍に寄り添っている。

病的なまでの血液クレンジングを施してたとしても、ろ過して入れ替えた血液にも必ず源石が含まれている。

血が通っていないと罵られるような人物でも、源石は公平に平等に無慈悲に無条件に彼とともにある。

例外として一部のオペレーターが血中成分ゼロを叩き出してはいるがその原理や技法は解明されておらず、しばしば一部の医療オペレーターが採血と究明に躍起になって暴走する程だ。

血液中源石は生物において切っても切れぬ宿命(存在)であり、減りも消えもせず、源石に触れれば一気に増加し血の外へ源石を溢れださせる【鉱石病】を発症させる。

鼓動を打つもの達に出来ることはなるべく源石密度がそれ以上増えないように抵抗することだけだ。

 

にも拘わらず、たった少しの時間で、専用の部屋に入って待っていただけで、アーミヤ達三人の血液中源石密度が僅かなりとも減少したのだ。

仮にクリーンルームに入るほんの少し前の自分達にこの結果を伝えたとしても絶対に信じはしないだろう。

それほどまでにアーミヤ達の受けた衝撃は凄まじかった。

 

「三度目の正直、でもやっぱり結果は変わんないわ。アーミヤ、これは流石にやべーんじゃねぇの?」

「ロドスに帰ったら一度精密検査を受けたいですね……」

 

 念には念を入れて試みたメディカルチェック用のキットをバッグに仕舞ったガヴィルは、ベッドに彼女の尻尾を投げ出して何度も何度も確認した検査結果に嘆息した。

 

「非接触で体内の源石成分に干渉できるとなれば、予めアーツユニットを部屋外に預けるのは納得だ。ユニット内の源石に直接干渉されて故障するのは十分にあり得る。先の保管箱も微弱ながら除染機能が備わっているらしい、アーツの利きが若干悪くなっているようだ」

 

 得物のポールアックスを分解して掃除を兼ねた点検をしながらフロストリーフが見解を述べる。

高々、ローからミドルクラス前後の宿泊施設でこのレベルだ。

これが重要施設や大病院規模になればどれほどの技術が注がれているのか三人には見当がつかなかった。

 

「これから面談を求める相手が、この技術の生みの親なんですね」

 

 アーミヤは出来立てのように汚れ一つない部屋の壁紙を見てそう呟いた。

 

こんこん。

 

「はい。あっ、『プロヴァンス』さん」

「やっほー、アーミヤ。ルームサービスだよー。あとドクターと一緒に来たよ」

 

 アーミヤがノックの音を聞いて覗き穴を見ると、扉の前にはカップドリンクを複数抱えたループス人天災トランスポーターのプロヴァンスと中身の詰まった紙袋を両手に提げるドクターの姿があった。

 

「打ち合わせとか情報共有するならこういうのあるといいでしょ?ガヴィルー、そっちのベッドを端に寄せて。フロストリーフは悪いけどテーブル空けてくれない?」

 

 アーミヤに鍵を開けてもらったプロヴァンスはテキパキと指示をしながら部屋に入ってくる。

 

「ドクター、その袋の中身は?」

「プロヴァンスがハマった『ご当地ハンバーガー』だそうだ。妙に種類が多いから、エッグマンランド以外の地域の代物もあるかもしれないな」

「……ジャンクフードは栄養バランス面では、あまりオススメしたくないのですけど」

「『ハイビスカス』みたいに堅いこと言わないでよ、アーミヤちゃん~。でもこれ買った店のバーガーが美味しいし面白いんだよ!パティに肉全くなし大豆100%ハンバーグとかでっかい野菜のスライス焼きのやつとか色々あって!あ、今回は買ってないけどフルーツを使ったケーキみたいなバーガーもあったんだよ、発想がクレイジーだよね」

「なぁ、もちろん肉のパティはあるよな?」

「当然!ガヴィルは肉肉しいのが好きそうだから色々買ったよ。定番のハンバーグにフライにステーキ、ベーコンにソーセージにスモーク、ローストもあるよ!」

「ナイス!ロドスの飯もいいけどたまにはこうJUNK!って感じの食い物は格別なんだよなぁ!」

「ドリンクはコーラ、紅茶、野菜スムージーにミネラルウォーター。サイドメニューは野菜スティックとフライドポテトね」

 

 フロストリーフの空けたテーブルのスペースにプロヴァンスはどんどん買ってきたファストフード品を載せていく。

広めの部屋に合わせたサイズのテーブルにはハンバーガー店の包装紙が所狭しと並ぶことになった。

部屋の中にハンバーガーの脂っぽい匂いが漂っている。

 

「匂いが部屋に染み付いたりしないでしょうか……」

「一応、エアークリーナーが部屋に備え付けてあるから動かしておこうか」

 

 フロストリーフが部屋の壁にあるパネルを操作して空気清浄機能を動かした。

どの部屋にもありそうなそれすらも、あの源石除去技術が使われているんじゃないかとアーミヤは一瞬考えてしまった。

 

◆◆◆

 

「あまり西と南にはいかないでね。暴動最後に発生した源石クラスターが南北に何kmも延びてるし、クラスターがない所だと西はレユニオン、南は旧チェルノボーグとの小競り合いが始まってる。南はまだ侵入したされた程度だけど、西だとアーツとボウの撃ち合いが始まってる。末端の嫌がらせ程度の規模で今の所死傷者は出てないけど、ドクター達が第一犠牲者になるのだけは勘弁してよね」

 

 チーズバーガーをもぐもぐと食べるプロヴァンスは調達してきたチェルノボーグ全域地図に書き込みをしながらドクター達に説明する。

 

「クラスターの切れている所は確認しておきたい。万が一ということもあるから情報は多いほうがいい。此処と此処はどう?」

 

 フィレオフィッシュバーガーを片手にフロストリーフは西と南のルートを確認する。

 

「西はかなり広範囲かな。地図で元々建物のあった所ならクラスターは切れてる。そういう場所はレユニオンが西に撤退する時に建物を発破してロボットの侵攻を食い止めたらしいんだけど、そういう場所はもう瓦礫が撤去されて今は石像が建ってる」

「……石像?」

 

 シュリンプフライに手を出そうとしたフロストリーフは思わずダブルエッグバーガーを包み紙から出すプロヴァンスに聞き返す。

 

「そう、石像。Dr.エッグマンの。こう『野望を抱け!』って感じの。支配エリアのあちこちに建ててるんだって。で、そんなの傍から見ればいい目印だから境界線でレユニオンの攻撃の的にされて壊されるんだけど、その都度新しいのを空から持って行くんだって注文受けてる石工店の親方が言ってた。今週で三体目だってさ」

「ぶ、ふ、わはははははははは!何だよそれ愉快過ぎんだろ!」

 

 ステーキバーガーとアボカドベーコンバーガーを両手に持つガヴィルはそのトンチキなやり取りに思わず笑い出す。

 

「戦闘状態があるようだが、テロや市街戦はこれまでに起こっているか?」

 

 フライドポテトを摘むドクターは市内の安全について言及する。

 

「うーん、そういうのはまだないかな。西も南もそこまで本格的には動いてないっぽい。多分体力的に余裕がないんじゃないかな。西がこの前の一件で構成員かなり捕まって取り込まれたらしいし、南はそもそも皮一枚で繋がった結果出来たようなものだし」

「取り込まれた、か。となればこの街にはかなりの感染者が居ることになる……元チェルノボーグ市民や移住者との衝突が起こらないといいのだが」

「実際小さいぶつかりは何度か起こってるね、先住意識とか文化摩擦とかそういう理由で。そんな時の治安維持は人型ロボットをメインにして降伏した軍事警察官から抽出した人員と市民から召集した自警団で賄ってる。給金と現物支援があるから応募はそこそこあるみたい。あと少し前からいろんな所の傭兵団がエッグマンボーグに来てるね。多分ロボットの補助戦力として掻き集めてるんじゃないかな」

「軍事力の一部を外部に委託、ということか。わざわざ傭兵を雇用するということは、戦力がロボット以外に存在しない可能性も否定できないな」

 

ドクターは傭兵の存在からDr.エッグマンの手駒について考察する。

 

「都市が半分以下になった所に移民や傭兵団など多くの人々が入り込んだ状態ですから、先住者・移民摩擦のようなトラブルはかなり深刻なのかもしれません。市民の暴発も視野に入れて、元チェルノボーグ関係者以外の人員が欲しいのかも。また減った土地にこれまでの市民の数より倍の人口を住まわせる訳ですから住む場所の問題もあります。都市外縁部に飛行船を係留して仮設住宅代わりにしているようですが、それにも限度はあると思います」

 

 ベジタブルバーガーと野菜スムージーを交互に口にするアーミヤが現地の軋轢について懸念を漏らす。

彼女が思い返すのは先の入国審査のその後だ。

 

 次にアーミヤ達の番が来るまでの間に、あの一件で担当者の一人がサルカズであると判ってから審査の列に並ぶ人達に傾向が生まれていた。

彼女の受付には他のサルカズが並び始め、それ以外は一目見てサルカズでないと判る担当者とロボットの受付に並ぼうとしたのだ。

入国希望者に対するサルカズの割合が今日は少なかった為に彼女の列はスムーズに進んだのに対し、他の受付は後から列を変更した人々の移動と増加によって混雑が発生した。

アーミヤ達にこだわりはなかったため、結果的に空いてしまった彼女の列にそのまま並んでさっさと入国審査を済ませてしまったが、入管施設を抜けるアーミヤ達の背後では列で揉める入国希望者の一部が喧嘩を始めた声が聞こえてきたのを覚えている。

その結末は、アーミヤ達の横を通り過ぎた武装ロボット兵と刺股・虫取り網・投げ縄のようなものを掲げたワークロボット達が喧嘩両成敗とばかりの鎮圧だった。

暴れた人々は網や縄に捕まり、ベタつく薬液に絡め取られ空色に発光する薬液に痺れたまま別室の方に輸送されていったのだった。

 

「『誰でも受け入れてくれる場所』であったとしても、『そこに住む人が誰でも受け入れてくれる』とは限りません。今はまだ許容範囲に収まっているのかもしれませんが、今日の入国希望者数や噂の広まり具合を考えるとそう遠くない未来に限界が来ることも視野に入れておく必要があります」

 

スムージーカップを握りながらアーミヤは言う。

その心中にあの時のサルカズ達が再び居場所を失うのではないかという考えがよぎると、彼女の頭の芯に何か焦げ付くような感覚が沸き上がった。

 

「住宅問題かぁ……まー……それは確かにそうだけど、近い内にだいぶ解消されそうだよ?」

 

 しかし、アーミヤの懸念を耳にしたプロヴァンスが新たなマリネフライバーガーを手にしつつ若干遠い目をする。

 

「……プロヴァンスさん?大丈夫ですか?市民に何か問題が?」

「あ、大丈夫だよ?市民や移民を迫害とかそういうのじゃない」

 

 アーミヤの警戒を含んだ問いに対しプロヴァンスは手を振って否定して咳ばらいをする。

 

「えっとね、落ち着いて聞いてね皆……エッグマンボーグに都市ブロックがさ、新しく増えたんだよ、つい先日」

「……?それは、他の勢力からブロックを奪取したということですか?」

「違う違う、文字通り。増えたの、チェルノボーグにはなかった都市ブロックが」

「「「……なんだって?」」」

 

 ドクター、アーミヤ、ガヴィル、フロストリーフはバーガーを食べるのを止めて一斉にプロヴァンスに聞き返した。

 

 ぶーんというクリーナーの動く音が部屋を占める一番大きな音になった。




◆感想や改善点などございましたら是非コメントお願いします。
次回は突然沸いた都市ブロックの話になります。
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