The great Great GREAT Doctor is Me ! 作:東京<アズマ キョウ>
「おいGUNそんな化け物トラックどうやって作った?」
「シャドゲのほうに新マップが追加されてる!」
でも私がここ最近で一番驚いた情報はDr.エッグマンの年齢が50台であるという話でした
―追記―
ロザリン!作中でナターリアのこと『お姫さん』って呼ばせたけどお前も名家のお姫さん属性やないかい!
きっとお前の親父が娘の安否めっちゃ気にしてるぞオラァん!
彼らを捨てたモノが都市ならば
彼らを拾うものも都市かもしれない
1097年2月。
◆エッグマンボーグ上空◆
〜♪♫♬♫♪〜
風が外壁を撫でるやや甲高い音とUFOキャッチャーで流れていそうな目覚し音楽を聞いて目を覚ます。
「んんーもう朝かー」
「おーい、トキさん!もうすぐ飯の時間だぞ。食事が済むころには上陸できるはずだ」
「
「おうよ!」
バスの待合室程度の部屋の中で目を覚ました金髪セミロングのウルサス人女性はモゾモゾと毛布の中から這い出すと右腕を大きく延ばして欠伸をする。
彼女がこの仕事に就いてから二週間が経っているが今の所職場環境に不満はない。
狭い部屋に風呂水場共有とはいえベッドと机椅子のある個室と三食付の寮もとい飛行船が労働者グループに手配されており、現場へは飛行船が勝手に向かってくれたり頼めば宅配便や手紙の配達もドローンで請け負ってくれたりと過去に働いた数々の職場とは待遇面で比べようがなかった。
食事のレパートリーが大体パンとスープ、野菜料理にスリミ・魚料理でがっつり肉的なものが出てこないのと酒類の提供がないことが残念ではあるが、パンとスープのお代わりは大盛り三回まで無料でパンとスープの具にベーコン等が混ざっていることがあるし、酒類も宅配で頼もうと思えば取り寄せ可能なので食事についてはこれ以上言うことはない。
オマケにこの職場は各種道具類も無償貸与してくれるので、彼女のような手持ちのない労働者であっても仕事に支障をきたさず直ぐに働いて金を稼ぐことができた。
あの暴動の最中、幸運なことに家族全員無事ではあったが家や仕事は全て無くなってしまったことで彼女も父母と同じく仕事を得て働く必要があった。
トキことトキオタンゴ=ゲットランドは彼女の名が印字された作業員証を首に提げ、壁掛けにぶら下げた作業着を着るべくベッド下に置いていたプラスチックとゴムの肌を持つ義手と義足に手を伸ばした。
「いやーこの仕事取れて本当によかった。今まで家じゃ何にも出来なかったしな」
まだ操作の慣れない左腕の義手で纏めた不揃いの三つ編みを揺らしながらトキオタンゴは一本の足と一本の義足で船内にある食堂へ向かう。
まだ幻肢痛の残る二肢ではあるが、少し前まで高校に通う妹に車椅子を押して貰わなければ移動できなかった事を思えば義肢が貸与品だとしても嬉しい限りだった。
◆◆◆
トキオタンゴは元々建築師及び家具鑑定師で生計を立てていた。
審美眼と地頭の良さで順調に仕事を熟していたものの、ある貴族の諍いに彼女は巻き込まれてしまった。
というのも、彼女はある匿名の依頼元から家具の鑑定を個別に請け負って評価したのだが、その家具の出所が仲の険悪な貴族の二家であったのだ。
家具の価値の軽重を二家が争ったのが発端なのだが、相手の家と比べて低い価値をつけられた方の貴族が激怒しトキオタンゴの事務所を無礼討ちと称して襲撃したのだ。
事務所に当時いたトキオタンゴは貴族の私兵に攻撃され、その後は高い価値を得た方の貴族が相手の貴族に一騎討ちを持ちかけたことで襲撃は『貴族の争いの延長』として処理されるが、トキオタンゴはその際に事務所とそれぞれの手足を喪った。
悲運は続く。
事務所と手足を失くし、更に貴族の怒りをかったことで『貴族に恨まれている』と風評被害が生まれてしまったのだ。
それらが重なり、ある者は彼女の先に未来はないと見切り、ある者は貴族の勘気のとばっちりを被るのを恐れて仕事を頼もうとしなくなった。
こうしてトキオタンゴは培った才を活かすことができなくなり、実家の工務店に僅かに残った荷物を携えて出戻ることになってしまった。
あの時の喪失感は今もなおトキオタンゴの心に深く刻まれており、実家に戻った彼女を変わらず家族として扱ってくれた父母と妹が居なければ、トキオタンゴは今日の朝を迎えることなく命を絶っていたかもしれなかった。
チェルノボーグで暴動が始まった日、そして『あの日』の彼女は切断した二肢の具合を診てもらうために都市東にある診療所に入院していたため、暴徒とロボットによる混乱の渦中にはいなかった。
自宅のある地区が暴徒と感染者によって占領されたこと、高校生の妹が避難中に逸れてから見つからないことを診療所に逃れてきた父母から聞いた時はもう一本の足が無くなったかのように崩れ落ちて泣いてしまったが、後にあの空中移動都市から救助を受けて無事だったと妹からの手紙で知った時は父母と共に声を大にして泣き出してしまったものだ。
但し、救助の際に掛かった費用を聞いて絶句し、その返済と生活費のためにゲットランド一家は取り急ぎ金を稼ぐ必要にかられた。
妹は給食場の配膳、父は暴動で破損した住宅の修繕、母は針子として各々が勤める中、トキオタンゴはせめて事務員の端くれにでもなれないかと都市に新設された『カモンワーカー職業紹介所』に申し込んだのだった。
1097年1月。
◆エッグマンボーグ・『カモンワーカー職業紹介所』内面談室◆
『シカクをおモちのようですね。ごショウカイできるシゴトがございますがいかがでしょうか?』
『えっ?』
チェルノボーグの頃にはなかった施設。
出来立てで壁に煙草の脂も机に傷も椅子に錆も一つ無い面談室にて。
求職を尋ねたトキオタンゴが面接担当のCASEALにそう返答された時、彼女は自身の耳を疑った。
『シゴトナイヨウはカイシュウしたイドウトシにノコされたカグやケンチクブツのサテイです。ゲットランドさんのバアイはゲンバでジカにサテイをしてイタダくことになります。ショウサイはこちらのシリョウをごランクダさい』
『いや、その、私、私確かに資格ありますけど私なんかで大丈夫ですか?』
面接CASEALにそう尋ねる一方で、トキオタンゴの内心は自らそのような問いを思わず投げかけてしまったことに忸怩たる思いが湧き上がっていた。
貴族の揉め事に関わった彼女は実情がどうであれ、周囲からは『貴族の一騎討ちの引き金になった鑑定師』『貴族の機嫌を損ねて手足を無くした女』として同業者から敬遠されている。
万が一彼女を取り持てば、彼女を恨む貴族が難癖をつけてくるかもしれなかったからだ。
その悪評がチェルノボーグの建築家具業界に広まっているので彼女は本職に復帰できず、実家の工務店に戻り隠れ潜むように内務にあたっていたのだ。
トキオタンゴは今までの職歴が、培ってきた技術が誰の目にも留まることなく腐っていくのを無くした手足と共に黙って受け入れるしかない事実に絶望していた。
『自分はもう、誰にも求められることがないのだ』と。
そんな自分が、実際の仕事内容はこれから検めるにしても、チェルノボーグでかつて奪われた職務と近いものに再び就けるというのは彼女にとって縋りたくも信じがたい話だった。
しかしCASEALは、言葉を翻すことなく淡々と業務を進めているに過ぎない様子で回答する。
『シカクがシッコウしておらず、またゲンザイもショクとしてカンテイシをモっているためモンダイありません。ナイヨウにフフク、マタはホカのシゴトをキボウするバアイはキボウジコウをショルイにキニュウしてテイシュツするようネガいます。そのサイ、ゲットランドサマのキボウをミたすギョウムがカナラずしもショウカイされるとはカギらないことをゴリョウショウネガいます』
『あっ……』
トキオタンゴは履歴書を持参した鞄の中ポケットを思わず触れると、そこにはあの日以来付けなくなった鑑定師の証明バッジが入っていた。
チェルノボーグで鑑定師の仕事は二度と出来ないと諦めていたが、それでも資格とバッジは手放さず、なけなしの荷物と共に焼け落ちた事務所から持って帰っていたのだ。
父の工務店で働くようにしてからは、父の客からの相談程度に持ちかけられた家具の話で鑑定師の知見を活かしてはいたが、逆にいえばもうそれ以外での使い途がない技能になったとしても、彼女が努力して掴み取ったソレを手放すことだけは出来なかった。
相手はロボット、ただ単に条件が合っただけで彼女に提示しているのだろうことはトキオタンゴとて理解できた。
しかし、喩え相手が無感情に画一的に業務処理をしているのだとしても、そのチャンスを逃すのはトキオタンゴにとって有り得ない選択だった。
1097年2月。
◆エッグマンシップ内・食堂スペース◆
トキオタンゴの向かった食堂では既に複数の職人が調理師ロボットからの配膳を受け取っており、今朝の新聞の内容についてや昨日の仕事について、次回の給金で何を買いたいかなどを食べながら話している。
トキオタンゴも今日の朝食を受け取って空いている席に座った。
「親方さん、おはようございます。今日の朝は?」
「おはようトキさん、今日はハズレだぜ。野菜と豆団子炒めに魚のポトフ、セサミパンで肉がどこにもありゃしない」
「私はその献立で全然問題ないんですけどねー。まぁ親方さん達は肉体労働がメインだからがっつり食べたいのはよく判るんですが」
契約期間内でトキオタンゴと共に働くこのフォルテ人の男は元々別の移動都市を拠点に工事を請け負う集団の親方であった。
業績は可もなく不可もなくだったが、苦楽を共にした妻が【鉱石病】に感染したことで移動都市を追い出されることとなった。
一部の職人、そして実は【鉱石病】を隠していた職人は親方の都市追放に同行することを選び、【鉱石病】への差別が比較的少ないとされるクルビアの開拓地へ向かおうとしたのだが、その矢先に人材募集を大々的に銘打つエッグマンランドの飛行船を目撃したのだ。
物珍しさと折角だからという冒険心で親方が都市郊外に停泊した飛行船に売り込みをかけた結果、古巣の都市での実績が認められ、『【廃都市】再利用プロジェクト』の参加団体として働くことになっていた。
「せめて酒さえありゃなぁ、ここが契約の時点で朝昼の飲酒禁止なんてなけりゃ俺だってこれ以上文句は言わねぇよ」
「そういえば親方さんは奥さんからお酒を飲んじゃいけないとか言われてませんでしたっけ?」
「ああん?、誰がそんなこと言ってるんだよ?俺から酒を取り上げるなんてカミさんにだって容赦しねぇよ」
「トキちゃんトキちゃん、その話はちょっと違うよ」
「あ、金庫番さんおはようございます。どういうことです?」
「『お酒を飲むな』じゃなくて『あたしに分けずにお酒を飲むな』だよ。だいぶ昔親方が給金で奮発した上等な酒を奥さんに内緒で全部飲んじゃったんだよ。しかも飲み過ぎて家の床で爆睡したもんだから空の瓶は転がってるわツマミは散らばってるわでもうバレバレ。奥さんがカンカンになって親方をとっちめたってわけ。その後は約束でお酒を買ったら必ず奥さんと一緒に飲むことになったんだよ」
「オイコラテメェ、その話どこで聞きやがった?!」
「奥さん本人からです。給料が出たら睨みを利かせておいてくれって頼まれましたんで」
「はぁーあ?!」
食堂は親方の社員達とトキオタンゴの笑いで満たされた。
「ああは言ってるけど、奥さんも親方もお互いのこと大好きだからねぇ。奥さんのソレは、まぁ、一緒に居たいってことの裏返しみたいなもんだし」
「詳しいですね、金庫番さん?」
「そりゃ酔いが回れば嫁自慢夫自慢する二人だから言わなくたって皆判ってるさ。そんな親方達だから俺たちもここまで一緒に来たわけだしね」
◆エッグマンボーグ外・廃都市外縁部◆
「これは……ヴィクトリア系の建築形式ですね」
「ずいぶんと遠い国のやつじゃねぇか。つい先日も移動都市を拾って来たって言うし、あの領主様は一体どうやって見つけてくるんだ?」
「見つけられたとしても、そもそも拾う事自体ができっこないんですけどね」
棄てられ、そして拾われた移動都市に上陸したトキオタンゴと親方達は、森に覆われたかつての生活基盤の成れの果てを見ながら嘆息した。
崩れた家屋や何らかの用途があったであろう石柱、今となってはそれらより倍の丈はある樹木に呑まれてしまっている。
綺麗に磨かれていたであろう石畳の道、何の種類か判らない雑草の根にすっかり耕されて石板と石ころの区別がつかない。
大通りの入口か或いは公園の門だったのかもしれない金属のアーチ、蔓植物の支柱に生まれ変わってしまい、絡み合った蔓の量が厚過ぎて地金の部分はどこにも見えない。
奥の広場のような場所、広場というには低木が生えすぎて狭い場所になった。
かつては循環システムによって水を湛えていたと想像できる一段下がった水路、とうの昔に水の供給が途絶えているものの、都市が生きていた頃に積もったであろう藻の絨毯が時折降る雨を吸い取る役目を果たし、今は水路に生い茂る草木へ水を分け与えている。
都市ブロックの境目を見張る物見塔と思わしき尖塔、頂上には屋根も早鐘台もきれいさっぱりなくなった代わりに青々とした広葉樹とヤドリギが瓦替わりになっている。
どうやら付近に巣があるらしく、羽獣の番がヤドリギ周辺を飛び交っていた。
誰かが趣味で育てていたのかもしれない鉢植え、既に真っ二つに割れてその使命を終えているが、その鉢で育てられていた植物は今もなおその生命を謳歌しておりかつての鉢植えでは収まらない程に生息域を広げている。
都市のシンボルだったろう豊かな鬣を蓄えた猛獣の石像、一段高い台に据え付けられているが、石像自体は比較的状態はいいものの台の周りを色とりどりの花草が囲むように咲いているせいでかつての威光に可憐さが追加されていた。
他の廃都市ではまだ人が住んでいるという業務連絡を受けていたが、彼女たちが上陸したこの廃都市は完全に人の営みが消え植物と野生動物が都市の主に成り代わった場所だった。
「移動基部や大まかな建物は領主様のロボットとやらがもうチェックを済ませたってよ。トキさん、今日もよろしくな」
「はい、お願いします」
彼女たちの
工事作業員というよりも探検家のような姿だ。
そんな親方達の仕事は先に査定して居住可能とみなした建造物の再チェックとランク付けを行い利用再開に必要な資材の見積を出すこと、トキオタンゴの仕事は物件価値の審査と遺された家財道具類の鑑定である。
そして現場監督としてCASTとCASEALが一体ずつ、荷物運搬用の駄獣が帯同するのが職場のスタイルだった。
「全員いるなー、『E-クラッパー』*1にスイッチを入れろ!」
「「はい!」」
「よーし、時計のモニターはちゃんと動いてるな?出発!」
トキオタンゴ一同は廃都市の奥へ歩き出した。
トキオタンゴと親方達は状態のいい大型建造物の査定と未開の樹林に先祖返りした街並みの開拓に午前中一杯を費やした。
「やれやれ、さっきのでようやく五軒目か……。伸びに伸びた草木が邪魔で内部調査が思うように進まんな。仕方ない、昼飯の時間だしここで休憩にしよう。午後はこの建物の中に入って査定してみるか」
「「うーっす」」「わかりましたー」
一行は元がどこかの貴族か有力者の住まいだったであろう建物の前で休むことにして、休憩用としての簡易的な拠点を設営し始めた。
トキオタンゴも駄獣に水を与えながら、彼らの背に乗る食料箱を下して昼餉の準備を手伝う。
駄獣が昼食として食む雑草が辺り一面に生える広場には、かつての噴水が土台を残して崩れ、過ぎ去りし当時の栄光を物語っていた。
「いよっこい、しょ……この噴水は確かヴィクトリアで二世代前に流行した建築様式に似てるなぁ。となると……この移動都市はその頃から廃都市になったのか、それとも元の持ち主の趣味だったのか……」
噴水の縁を台にして、箱の中のランチパックを人数分並べながら、面影残す噴水に対し想像を巡らせる。
建物の見た目は比較的損傷が少ないように見えるが、外壁を蔓植物と苔が広く覆っておりかつては綺麗な赤煉瓦の様相だったであろう外装は蔦の葉の隙間から少し見える程度だ。
「状態次第じゃ、修繕さえすればすぐに住めるようになるかも。中の家具類は……木製家具とか鉄製品じゃなければ可能性あり?密閉された倉庫とかがあれば期待できるかな」
《PiPiPi!》
トキオタンゴがそう独り言ちたその時、彼女のE-クラッパーから新しい反応を検知したことを知らせる音が鳴った。
「えっどこ?」
「トキさん!気をつけろ、俺たちのほうじゃ鳴ってない!あんたのとこから50m向こうだ!」
トキオタンゴはあたりを見回し、親方が自身のE-クラッパーを見てからそう警告する。
腕のモニターを確かめると、彼女が思索を向けて建物の方角に白い反応が六つあり、それがトキオタンゴに近づくにつれ親方達のE-クラッパーにも反応が出始めていた。
「建物のほうに何かいるぞ!注意しろ!」
親方達は雑草や低木を払うための鉈や手斧に作業道具の大木槌や梯子を構え、トキオタンゴは親方達の許へ避難しようとする。
しかしこれは建物の潜伏者を刺激するかたちになってしまい、彼女の遠ざかる背を見た潜伏者が姿を現して一気に走り出した。
「鎧蛮獣*2だと?!密林の獣がなんでここにいやがる!」
「どっかのボンボンが飼ってたのが野生化したのか?!」
「トキさん、そいつらに背中を見せちゃだめだ!」
建物から出てきたのは暗所で潜むに向いた暗い緑の体、鱗のように固い皮膚と体毛が変形して出来た棘、肉食獣の証である鋭い牙を備えた四つ足の獣だった。
鎧蛮獣と呼ばれるソレは狩りの生き物らしい俊敏な走りで距離を詰め、合図のように大きく咆哮して背を向けるトキオタンゴ目掛けて一斉に飛び掛かる。
「うぉあぁっ!!?」
慌てて体をひねって向きを変えようとしたトキオタンゴだったが、義足の感覚が処理しきれずにその場で足をもつれて倒れてしまう。
無防備を晒す彼女の眼前に、一番早く駆け出した鎧蛮獣が牙をむき出しにして迫った。
「うわあぁぁぁ?!」
[フセロ/アタマをカバってクダさい]
獣の敵意がトキオタンゴをかみ砕こうとしたその時、親方達のほうから聞こえる二つ機械的な声を信じて彼女は咄嗟に頭を抱えて伏せた。
瞬間、彼女の真上を緑の光弾が複数飛び越え、その全てが襲い掛かる鎧蛮獣たちに叩き込まれた。
突然光るものが飛んできたうえ、それに当たって痺れるような痛みに見舞われた鎧蛮獣たちは忽ち戦意を喪失し、散り散りになって建物のあるほうとは違う森の中へと逃げ出していった。
「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」
間一髪だったトキオタンゴは腕をついて向こう側を見ると、親方達の横で弦のないクロスボウのようなもの二つ*3と攻城弓のようなもの一つ*4を構えているCASTとCASEALの姿があった。
「無事か?災難だったな」
「ええ、はい。びっくりしました」
駆け寄ってきた親方の手を取ってトキオタンゴは立ち上がった。
「あんなのが棲みついてたなら建物の調査は一旦中止だ。雇い主に報告して先に駆除と追っ払いをしてもらうとしよう」
「ええ、そうですね……ひょっとするとこの都市には動物園とかがあったのかもしれません。飼われていた獣が都市放棄の際にそのまま捨てられたのかも」
「だな。それにあいつら以外の野生動物もいてもおかしくない。前調査では大型生物はいなかったらしいがこの様子じゃうまく隠れてる場合だってある」
親方は建物のほうを見ながらため息を吐いた。
「とりあえず飯が先だ。俺たちが獣の昼飯にならなかったことを感謝しながら食うとしよう」
「あの、あれは何でしょうか?」
「なんだ?サンドイッチ片手に空を見て。輸送船が何かぶら下げ……ああ、なるほど。トキさん、あれは石像だよ」
「石像?!」
「領主様がいろんなところに自画石像おったててるんだよ。自分の都市の所にはどこにもな。少し前に一緒に働いた石工が組合に仕事が来すぎて目が回るって言ってたぜ」
「ここみたいなまだ未探検の都市にも置くんですか?!」
「置くらしいぜ。まぁ自己主張は強いが目印にしては判りやすいのは間違いないな」
正式名称『エッグクラッパー』は携帯式のレーダー装置で手首の腕時計型モニターとセットで運用する道具。
装置内のカオスドライブがパワー切れするまで周囲の動物や人間といった動く物、源石反応を持つ物質等を検知してモニターに送信、利用者に知らせる用途を持つ。
半径最大50m以内のそれぞれ【同じ利用者:黄色】【他の動く物:白】【源石系:赤】で反応を示すため、廃都市に棲みついた野生動物や都市建物を根城にする野盗、放置され爆発の危険がある源石家電を事前に察知することが可能だ。
加えてエネルギーが残っている限り源石粉塵などの被爆を防ぐバリアを発生させることができるため、廃都市において特に警戒すべき不安定化した源石物質を事前に察知できる点が現場において支持されている。
なお、この装置について国外から多数の問い合わせが殺到しているが現時点では国外販売は認められていない。
技術漏洩防止故、ではなく単に問い合わせ窓口がパンクして対処ができない事とバッテリーがカオスドライブなので国外利用に制限がかかるからである。
◆感想や改善点などございましたら是非コメントお願いします。
(ちょっと文字数と内容的に閑話というか遠回り感が否めない……)
◆なお廃都市フェーズのイメージはPSOep1の森林ですがカービィディスカバリーっぽくもあるなと後で気づきました。
ですがBGMはPSOの