The great Great GREAT Doctor is Me !   作:東京<アズマ キョウ>

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◆博士、空前絶後の大発明(いつものご都合チート)に着手する。

◆本話では源石及び【鉱石病】やチェルノボーグの都市構成などについて作者独自の設定や解釈などが多数含まれております。
原作設定に対して極めて逸脱するような設定は施していないはずですが、万が一致命的な解釈ミスを見つけた方がいらっしゃいましたらご指摘頂けますと助かります……。

◆活動報告にて枠を設けておりましたが、新話投稿時に述べるほうがいいかと思い、この場にて改めてこれまでの誤字報告の御礼申し上げます。
・赤犬 様
・MAXIM 様
・106951 様
・鋼鉄重工 様
・リョウ23 様
誤字報告ありがとうございます。


IR-05.Call From Chernobog

『世界』に挑もうとする侵略者

『貧困』を凌ぐ強者(したたかもの)、『何か』に苛まれる少女

『圧制者』を踏み殺そうとする者、『圧殺』からの助けを求める者

 


1096年11月。

 

◆エッグマンタウン◆

 

 ワシの名はDr.エッグマン。

時の早さすらコントロールし、類まれなる技術を以て世界をこの手に収めんとする世紀の大科学者じゃ。

 

 家畜をエッグプラントの畜産ベースに入舎させて数日経過したが、施設は諸々の設定を調整した時間加速装置によって順調に稼働している。

家畜の健康状態も問題なく、乳製品程度なら量産も安定する見通しになった。

同時進行で養蜂と製糖も開始しており、糖分類の生産も滞りなく進んで言うこと無しじゃ。

生産物の品質については改善の余地は十分あるが、【アーク】ではなくエッグマンタウンでポタージュやコンソメ等のスープ類やエネルギーバーを生産できるようになったのは大きな進歩と言えよう。

今後外部の勢力と何らかの取引をする場合、食糧不足の地域については飯の世話をすれば大分話がスムーズに進むようになる。

そしてそうした地域はこの惑星にはごまんとあるため大抵の文無し、食い詰め共相手ならこれで片が付く。

ましてやワシには量産できる()()があるので、がめつい連中相手でも札束で殴ることも十分可能じゃ。

それでもワシの力を理解できずに歯向かってくるのであれば、ワシのロボット大軍団で薙ぎ払うまでよ。

 なお、肉類についてはまだ輸入*1で賄っているが、いずれ食肉も自家生産できるようになるじゃろう。

さすれば我がエッグマンタウンで穀物・野菜・肉類が全て揃い、より文化的な食事を楽しむことができるというわけだ。

その暁にはロボットシェフを採用して出来立てホヤホヤのフルコース料理を作らせてくれようか、冷凍食品と保存食を食材にした料理からのオサラバ記念じゃ。

そこまでくればロボットに暫く施設の運営を任せておいても問題なかろう。

或いはチェルノボーグのスラムから人員を引っ張ってきてもいいやもしれぬな。

 


 

 食糧供給が一段落ついたところで、今のワシにとって重要な課題となるのは

〔如何に【鉱石病】の対処をするか〕

になる。

 

 現在除染に効果を発揮しているECRは源石由来のエネルギーや成分をバリア発生技術によって無効化するという画期的な発明じゃが、源石成分自体を消滅させているわけではない。

源石の働きを抑制・阻害し、空調などで粉塵を吸入して外部や専用の隔離室等に排出しているに過ぎん。

 

 これは由々しき問題である。

 

 ワシはこれまで源石の取り扱いについて細心の対策を施しているとはいえ、絶対に【鉱石病】に罹患しないとは限らん。

ECRで【鉱石病】の侵食を抑えることは出来ても、部屋から出れば病の進行が再開するのは言うまでもない。

 ならばより効果的で、ワシだけの特効策を得ておくことに越したことはない。

外科手術等で【鉱石病】患部を除去することも出来なくはないが、この惑星のこれまでの医療・実験記録を調べてみる限りでは、

〔露出する源石を取り除いたとしても再度体表に源石が現れ、多少の抑制は可能でも病気の完治に対して有効な影響が見られなかった〕

というデータばかりであったことから、【鉱石病】は癌のような増殖と他の臓器や器官への転移が非常に起こりやすく、また体内に僅かでも源石が残っていればそれを起点として病が進行する性質を持つようじゃ。

こうなると血液から源石成分が検出できるこの惑星の住民では成分を一旦ゼロにでもしなければ根治の目途は立たんじゃろうな。

だからといって外科手術のために一々全血液の透析なぞするのは現実的ではない。

 

 ではどうするか。

 

 並の、いや、世界のあらゆる医者であれど、出来る事と言えばいつか来る医療技術の進歩を待ちわびながら延命措置を続けること位しかなかろう。

 

しかし。

 

 I'm( ワシは) 

 The EGGMAN!( Dr.エッグマン様じゃぞ!) 

 

 I Got( ワシになら) 

 The MASTER PLAN!( その手段がある!) 

 

 源石という明確な原因が判っている以上、【鉱石病】などワシにかかればただ面倒なだけの病よ。

 

というのも、源石とは『エネルギー化すれば廃棄物がほぼ出ない』程に極めてエネルギー効率の高い物質である。

()()()()()()()()()*2の問題はあるが、つまり体内の源石を『完全にエネルギーに変換しきって』しまえば結果的に体内に源石や残留物は残らないことになる。

 

 しかし、生半可な方法では体内源石を全てエネルギーに変換出来ぬ理由が二つある。

 

 一つ目が先に述べたようにその効率性の高さじゃ。

仮に体内源石を元手にアーツを用いたとしても、アーツによるエネルギー消費よりも呼吸による空気中の源石粉塵の取り込みによって消費分が賄われ、体内から源石が減ることはないと思われる。

これは『アーツを使えば使う程【鉱石病】に(かか)りやすくなる』というこの惑星における情報から判ることじゃ。

むしろ呼吸程度で消費分以上の供給が、或いは……それも【()()()()()()()()()】に依るところであろうか。

もしも無菌室のような源石汚染のない空間でアーツを終わりなく行使すればそのうち何とかなるかもしれんが、まぁまず無理じゃろうな。

 二つ目が体内成分が消え去る程のエネルギー消費を行うのは身体的な危険を伴うことじゃ。

もしも血流に乗って体中を巡る源石を全て消費できるようエネルギー化を行えば、いわば全身の至る所で火力発電を起こすようなものであるため自殺行為に等しい。

術者が普通にアーツを使用する場合でも過度の行使が身体に多大な負担を与えるのはそのせいじゃろうな。

それ以上の行使となれば最早自傷行為と言っても差し支えなかろう。

 

 よって

『エネルギー化の時に源石を供給させない』

『エネルギー化の時に発生する負担を無くす』

必要がある。

 そこでワシが考えたのは()()()()()()()()()外部から()()()()()()()()()ぶつけて相殺することじゃ。

源石に依らないエネルギーであれば『アーツ行使によって【鉱石病】が進む』時のような源石の増加が起こることはなく、且つ外部からエネルギーを与えることによって体内での源石反応が調節しやすくなるため、身体の安全を確保できるという狙いじゃ。

 

 その源石反応を引き起こすためのエネルギーも特別なものが必要になる。

体内から起こる強力なエネルギーを消すのだ、弱いエネルギーを使っても何の意味もない。

そのため、相殺側には源石エネルギーに匹敵するほどのパワーが不可欠となる。

この惑星では源石に優るエネルギー資源はまだ発見されてはおらんが、ワシには最高のエネルギーを誇る【カオスエメラルド】がある、源石エネルギーの相殺も可能じゃろう。

【カオスエメラルド】はそうホイホイと持ち出せるものではないので、ダウングレード版の【Ee】を中核として製造を行うことにする。

【Ee】出力の信頼性はECRで既に確認済みじゃからの。

 

 こうやって【Ee】エネルギーによって体内を巡る源石成分を消滅させることができれば、万が一【鉱石病】に罹っても進行や重篤化は防げるはずじゃ。

惑星の至るところに源石が散らばっている以上【鉱石病】の撲滅は現状不可能じゃが、それでも罹患によるQOLへの悪影響は抑えることができるであろう。

 

 ふむ……源石エネルギー相殺の技術が完成したら次は全源石の消滅をテーマに研究するというのも課題としては悪くないかもな。

 

 何せこの惑星は源石が文明の基礎であり、あらゆるエネルギーを源石に依存している。

それだけに源石産業を握る企業や鉱山を持つ貴族や国家は隔絶した権力を握っておる。

状況的には剥き出しの放射性物質を素手で取り扱っているようなものだが、それでも源石のもたらす富は全ての上層部がデメリットを黙殺して余りある程じゃ。

まぁ【天災】なんぞがあるせいで手放せないというのもあるが、その【天災】も源石由来という調査結果もあるしの。

 ならばワシの才知が源石を一掃できれば、残るは空の宝箱にしがみつく無力な連中しか残らんわけだ。

ワシはエネルギーを火力・光力・原子力・【カオスエメラルド】から得られるので、そのアドバンテージは言うまでもない。

 

 フッフッフッフッフ。

 

 ワシに歯向かう相手を正面から叩き潰すのは大好物じゃが、そやつらの力の根底にある技術全てをひっくり返して洗いざらいかっとばすのも悪くない。

武力も、技術力も、全てがワシのほうが勝ると全世界に知らしめるのは、何とも心踊るな!

さすれば、世紀の天才大科学者であるワシの名が惑星全土により一層響きわたるのは間違いない!

 

 まずは装置じゃ。

とはいってもECRで源石反応に関する検証はできておるからの。

ある程度のブラッシュアップをこなせば装置自体はすぐに製造できるはずじゃ。

エネルギー相殺効率については新たに研究せねばな。

 

◆◆◆

 

1096年12月。

 

◆エッグマンタウン・司令塔◆

 

 秘密基地のあるチェルノボーグではワシの以前見立てた通り暴動が始まった。

構成員は殆どが【鉱石病】罹患者で、それを互助組織のトップや軍人崩れ、傭兵団が指揮を執っているようじゃ。

 遅かれ早かれ騒乱が起きようことは衛星写真で撮った貴族連中の夜逃げ姿だのスラム街の連中の様子だのから十分に察知できたことだった。

加えて暴動の少し前にはスラムに白面を着けた『レユニオンムーブメント』とかいう連中が姿を現しており、スラムの住人を扇動せんと接近していたようだしの。

あやつら、このスラムにも【鉱石病】患者が紛れ込んでいることを掴んでおった様じゃ。

そやつらはワシのECR稼働実験の過程で源石部分が目立たなくなったから然したる騒ぎには至らなかったが、それでも情報を持っていたとなると中々に謀略の手が長いようじゃ。

或いは前もってこの辺りと当たりをつけて調べておったのやもしれん。

それで罹患者に決起を促せば、東部の此処でも暴動が起こると考えていたんじゃろうな。

 

 尤も、ワシを差し置いて余所者の指図に従うようなことはこのワシが許さん。

『感染者がどうのこうの』以前にスラムの連中は我が傘下なのだ、あやつらにあれこれ言われる筋合いはない。

顔役もそのことは()()()()()()()*3分を弁えていたため、『スラムでなけなしの』物資提供をすることでレユニオンの下っ端をうまく誤魔化しておった。

 

 ぬかしおるわ。

 

 あの顔役は接触してきた潜入工作員に『去年で最低限必要だった分を残して物資を提供する』と言って、年季の入った倉庫小屋の鍵を開けて保管していた物資をそっくりそのまま引き渡した。

ワシは顔役のアジトに引っ付けた監視ロボット虫からそのやり取りを見ていたが、スラムにはワシとの取引で去年の数倍以上物資に余裕があるのをワシはとっくに把握しておる。

連中に見せた倉庫も古いほうのもので、ワシが提供してきた物資のほうは別の所に備蓄しておるからな。

故に去年基準で物資を渡したところで然したる出費にはならん。

全く食えぬ輩よ。

暴動の矢面に立たないまま、そこそこの心証稼ぎをするには良い手であったのは認めてやるがな。

 

 ともあれ、そういうことがあったと浮浪児(小間使い)共がちゃんとワシに連絡越してきたので、そやつらに褒美*4をとらせつつ、改めてスラム街の連中には顔役を通じてワシの別荘には手出しせぬよう忠告しておいた。

暴動はともかくワシの場所まで巻き込まれるのは御免じゃからの。

……そう伝えると顔役のやつめ。

『スラムの縄張りであると思わせるために拠点を別荘周辺に移動させる』

とか理屈を捏ねてテントだの掘っ立て小屋だのをワシの別荘の敷地に引っ越しさせおった。

見え見えじゃ、護衛料とか言って見返りをせびるつもりじゃろうし、何だったら別荘はワシがいない間は子供達に管理を任せておるから体のいい避難先にでもする腹積もりじゃろう。

あやつはクマ(ウルサス人)じゃなくてタヌキの類ではなかろうか。

まぁワシの別荘を荒らさない限りは大目に見てやるわい。

 

 別荘と言えば、子供たちのリーダー格の小娘が弟分や妹分達をうまく舵取りしているので別荘周りのトラブルは予想以上に少ない。

子供達がワシの別荘を『自分達の根城(もの)』と認識しているせいか、部屋の手入れも不届き者の追い出しもロボットと共に率先して行っておるため此方としては思いの外手間がなくていい。

やんちゃ坊主や利かん坊、お転婆も男勝りも小娘が舵を取って切り盛りをしてくれておるからよい拾い物をしたものじゃ。

 

 ただし、あの小娘……リーダーというよりかは姐貴分、いやあれは姉役というのか、自分の事を含めて大凡の出来事に対して淡泊なレベルで反応が薄いが年下の子供、それも弟分達相手になると反応が妙に乱高下する傾向があり、過保護になったかと思えば突き放したかのように距離を取ることもある。

低年齢の男子に距離感を掴みかねている、というものではなく、その年齢層に対する()()()()()()()()に依るところがありそうじゃな。

何があやつの言動を不安定にしているかは知らんが、きっちり己の職分を果している以上ワシがあやつに態々どうこう言うつもりは無い。

ただ暴動が起きてから情緒不安定が激しくなったと弟分共が言っておったな、『心配だから何とかしてくれ』とも。

まぁ、あの小娘は日頃真っ当に働いておるからその見返りになにかくれてやる程度には構わん。

結局のところは小娘次第じゃ。

 

 さて、暴動の震源地は都市の西からのようじゃが、確かあの辺りは行政やインフラの主要設備が集中している重要ブロックがあったな。

そうした機能が西側に集中している理由を調べてみたところ、都市ブロックの建設順というのもあるが大義名分としては『首都の方角に近いから』とかいう何ともくだらないものじゃった。

 一応ここチェルノボーグがウルサス帝国とやらの勢力圏において最東部にある規模の大きな都市であることと、近辺に仮想敵国である炎国の所属都市龍門があることから東部にそうした施設を置きたくなかったであろうことは理解できるが、重要機構を一極集中させたら何かのトラブル時に一気におじゃんになるのは思い至らんかったのだろうか?

まぁ、政治的正統性として『この場所になければならない』という無益な必要条件は世の中にはしばしば発生するものではあるが。

 

 ともあれ、暴動が始まった以上は何もかも燃やし尽くすまでは収まらん。

折を見てワシがこの都市を速やかに奪い取れるように艦隊の準備をしておく。

 

……それにしても、潜伏型偵察カメレオンロボットに暴動の最前線を録画させておるが、この惑星特有の技術である『アーツ』とは何ともデタラメなものじゃな。

一個人が繰り出すにしては攻撃力が桁違いじゃ。

 

 目立つ働きをしている白いコータス人率いる軍団は一人一人が威力のあるアーツを使っておるのもそうじゃが、頭目自身も凄まじい冷気で辺り一面を凍らせておる。

暴動前に隊員が施設や道路等に予め何等かの仕込みをしていたようだが、それを踏まえても武装警察の矢玉が届く前に停止させるとは俄に信じがたい性能じゃ。

 

 加えて前線で指揮を執っている龍族人も、あれは()()か?

ブロック一帯を炎で焼き尽くす一方、洪水のごとき水を叩きつけることで熱で傷んだ金属や建物が水の質量と急速冷却で凄まじい勢いで破壊されておる。

更には水蒸気爆発も起こっておるからあの地域は熱風と熱水の駄目押しで見る陰もない。

ワシが暴徒共と対峙するならアヤツがワシの覇道を遮る壁になるのは間違いない、対策が必要じゃ。

例えばエッグキャリアーのメガキャノンでロングレンジから吹っ飛ばすとか、か。

じゃがそれを行えば都市の機関部にもダメージが及ぶだろうから非現実的じゃな。

奴の知覚を超えるスピードでの単騎狙いか……これは周囲全体の掃射攻撃をどうにかすれば何とかなるか?

 

 まずは出撃準備じゃ。

 


 

 ()()()に渡しておった調査用カプセルの非常コールが作動した。

 

 発信源は……チェルノボーグか。

 

 あやつは暴動の真っただ中にいるようじゃが、どうやら話がワシにあるようじゃな。

 

*1
CASEALロボットを畜産業のある地域に派遣して仕入れ、飛行船にてエッグマンタウンまで輸送する

*2
源石の性質に関する分析や考察について詳細はここでは述べず、別紙【エッグマンズリポート】にて言及する予定

*3
顔役は当初縄張り問題や面子などの問題でDr.エッグマンに対抗しようとしていたが、彼の部下ではない破落戸やはみ出し者が別荘やロボット、備品等に手を出して文字通り『都市外に捨てられた』のをその目で目撃している

*4
エッグマンタウンで製造したエネルギーバー。おやつとして人気が高く、一番人気は蜂蜜味、次にメープル味、次にチーズ味となっている




◆その時、運命(トロッコ)が動いた。
子供達が歩まされる『末路』のレールは既に歪んでいる。

◆感想や改善点などございましたら是非コメントお願いします。
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