The great Great GREAT Doctor is Me !   作:東京<アズマ キョウ>

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OPERATION
 TW-B2 赤壁迫る 

  ♟️ 10  Allies 
   Enemy  ≫(◎◎)≪ 400  


TIPS:物理防御力の高い敵に対しては術攻撃が有効です。
TIPS:Dr.エッグマンに対しては自尊心を満たす行動が有効です。

※ロボットのイメージはシャドゲの量産型エッグマンロボット兵士となっています。
エッグマンの一列AAってないかな?


TW-B2.ウォルモンド大議事塔前防衛戦

 民兵団とその家族が使い物にならない廃材や家財道具、瓦礫に土嚢を大議事塔前に積んで急場のバリケードを造り上げる。

都市外周に設置予定だったバリスタを強引に馬車や大議事塔の廊下から窓縁に据え付けて発射台をでっち上げる。

弓やクロスボウを持つ狙撃隊員が虎の子の蓄音機の側に立って防衛システムを起動させる。

 

 本来都市防衛の主力を担うべき貴族の憲兵隊が居ない中で、セベリンは士官長の肩書きに恥じない指揮を執って仮組の防衛ラインを築き上げた。

それでもこれから対峙するであろう相手に対してはどうしても拭えぬ不安を感じていた。

 

「あれが音に聞く空中移動都市の浮遊艦隊……まさか、本当に実在していたとは」

 

 セベリンはその役職の立場上、ある程度は他の移動都市の防衛技術といった情報を集めていた。

誇張や隠蔽などで情報の内容には真偽や軽重が入り乱れるものの、手に入れた情報の内十に一つでも有意義なものがあれば充分だったのだが、ここ数ヶ月に渡って特に情報が流れてきたのがウォルモンドより更に北東にあるウルサスの移動都市チェルノボーグに関するものだった。

いや、正確には分裂したチェルノボーグ一角を占領したというレユニオンやエッグマンランドに関するものである。

しかしエッグマンランドについては入手した情報はいずれも眉唾物だったりセベリンの常識を越えたような物ばかりで、まだ感染者が興したというレユニオンに関する情報のほうが信用できた。

 

 そんなエッグマンランドの情報で特に頻繁に資料に挙がったのが、チェルノボーグを襲撃した際に投入したという浮遊艦隊だった。

それはいくつもの飛行船によって構成され、そのいずれもが今までに見たことがない巨大さの上、中に大量のロボットを抱えて移動できるという常識を遥かに超えた話だった。

セベリンも貴族が個人所有する遊覧用飛行船については見たことがあったが、それでも規模は貴族の一族数名が空から領地を眺めるためのいわば空飛ぶ馬車のような代物だったため、チェルノボーグ分裂後に初めてこの情報に触れた時の彼は何か独特な言い回しでもあっただろうかと何度も資料を読み返した程だ。

しかし、虚報と見るには出回っている話の数が多く、かといって確報と見るはあまりに常識外れだったため、セベリンは『軍事用飛行船は存在するが、積載量については不明』と判断していた。

 

「いざ現物を目の当たりにしてしまえば、これまで調べた話はなまじ誇張表現ではないのかもしれんな」

 

 セベリンは頭上を飛ぶ現実(飛行船)を見て、己の判断が甘かったことを認めた。

 

「士官長。民兵の配置及び市民の避難、警察隊員の配置が完了しました!」

 

 部下の警察隊員がセベリンに報告した。

 

「御苦労。傭兵団はどうなっている?」

「俺達ならもう準備できている」

 

 セベリンと警察隊員の後ろから剥き出しの岩のような男が現れた。

『マドロック小隊』というリーダーの名を冠した傭兵団の副長を務めるサルカズ傭兵は、腰に鉄板の如き片刃剣を携えてセベリンにそう伝える。

彼の他に傭兵やリーダー格で厚手の防護服を装備したサルカズ人は居なかった。

 

「リーダーの()や他の者はどうした?」

「向こうに伏せている。アンタらが正面を守るならこっちは敵を横から殴り付ける」

「我々を囮にするつもりか、サルカズ?」

 

 顎で指すサルカズ副長に警察隊員が喰ってかかる。

 

「アンタらが俺達の手綱を握れるのか?第一俺達の戦い(やり)方を良く知らないだろ。そんな状態でアンタらの指揮下に入っちまえば途中で味方討ちだって起こりかねん。俺達だって案山子になりたくて此処に来たんじゃないんだ、精々アンタらの足を引っ張らないようにするつもりだ。だからアンタらも俺達の足を引っ張らないようにしてくれよ」

「貴様……!」

「よせ、今は戦時だ。傭兵団の裁量は認める、報酬も準備する。言いたいことは判るな?」

「アイアイサー、士官長殿。仕事はちゃんとやるさ。俺達だって『マドロック』の名前を()()()泥で汚したくはないんでね」

 

 そう言うとサルカズ副長は、その巨躯に反して速やかにその場から立ち去り路地裏の陰へと消えていった。

 

「実力は確かなようだな」

 

 セベリンは傭兵団が少なくとも当てにできそうな味方であったことに内心安堵すると、大議事塔正門前に移動しその先の大広場を睨んだ。

 

 空の艦隊から一つのドローンがセベリンの前に降りてきた。

ドローンにはモニターが付いており、それには艦隊の司令官であろう老人が映っていた。

 

《この移動都市のリーダーはオヌシか?》

 

 老人はやや古風な発音のリターニア語でセベリンに話しかけて来た。

 

()()()。私が今このウォルモンドをあずかっているセベリンだ」

《ならば話は早い。ワシの名はDr.エッグマン。ワシはこの都市にある『蓄音機』とやらを頂戴しに来た。大人しく差し出せばそれ以上は何もせずに帰ってやるわい。答えは?》

「(まさか浮遊艦隊の主自らお出ましとは……)」

 

 セベリンはよもやチェルノボーグ(北の大地)における渦中の人物がウォルモンドに直接出向いて来るなど夢にも思っていなかった。

それも数隻の大型飛行船を伴っての略奪行為だ、仮に情報の半分以上が真実であるならばウォルモンド防衛は苛酷なものとなるやもしれない。

しかし。

 

「断る。ウォルモンドは盗人に銭を遣る程愚かではない。古来から盗人には首にかかる縄をくれてやるのが決まりとなっている」

 

 セベリンはDr.エッグマンの要求を一蹴した。

 

 Dr.エッグマンが口約束の通り引き上げるとは信用できなかったのもあるが、此処はウォルモンドである。

蓄音機はウォルモンドを治める貴族の所有物であり、それを差し出す権限など彼にはなく、そもそも士官長の役目としてウォルモンドの財産を侵略者に差し出すつもりは一切なかった。

 付け加えるならばこのような大規模の攻撃があった場合はその都市を治める貴族に指示を仰ぐのが正規の手続きとなっているが、今回は全くその手順を踏んでいない。

軍用飛行船による奇襲のため手順を踏む暇などなかったのが実情だが、仮にこの奇襲を凌げたとしても後の沙汰にて貴族から独断専行に対する咎が警察隊に下りる可能性があった。

そこでセベリンは彼が貴族を自称したかのように見せることで、隊員達にかかるやもしれない罰を一身に向けさせるための布石を打った。

実際、先の発言でDr.エッグマンはセベリンをウォルモンドを治める貴族だと勘違いしているためセベリンを交渉相手として認識していた。

これで後に市民らが憲兵隊に証言をする際、いかにもセベリンが独断で強権を働いたと貴族が受け取れるようになりやすくなった。

 最後に、このような非常事態において堂々と火事場泥棒を仕掛けてきた相手に対して僅かでも意地を見せてやりたいという思いも否定できなかった。

 

《フッフッフ、その威勢がどこまで続くかな?よかろう、交渉は決裂じゃ。ならばオヌシらの立て籠るその施設の塔に我がエッグマンランドの旗を立ててから再度話をするとしよう!》

 

 ドローンが後方へ下がると、飛行船の中から笑顔のデザインがされたように見えるロボットが一斉に大広場へと降下してくる。

それだけ見ればある意味メルヘンチックな光景かもしれなかったが、ロボットのいずれもが槍や銃、長い筒状のものを担いでいるためウォルモンドへの無機質な敵意を持つのは明らかだった。

最後に恐らく国旗であろう旗の付いた棒を持つロボットが降り立ったとき、ロボットの数は100に達していた。

 

 視界と大広場を占める赤と橙の兵士を前にして民兵の間に動揺が広まりそうになるが、セベリンは本来なら大声を出すのも苦痛を伴うにも構わず銅鑼を鳴らしたかのような大声で一喝した。

 

「警察隊、民兵団、構え!盗人にウォルモンドを守る我々の力を見せ付けてやれ!」

 

ウォーーーーーー!

 

 警察隊は有らん限りの雄叫びを挙げ、屋上や路地裏に潜む狙撃担当の警察隊員も戦意を滾らせクロスボウを構えた。

 

《b《エッグマン・レギオン、進撃開始じゃ!》《/b》

「矢を放て!」

 

 Dr.エッグマン(侵略者)ウォルモンド防衛軍(守護者)の戦いの火蓋が切られた。

 

 一斉に放たれた鏃の雨が降り注ぎ、槍を振って無防備に歩くロボット達に次々と突き刺さる。

その矢の勢いに押されて先頭列のロボット達はその場に転がり倒れた。

 

オオーッ!!……ッ?!

 

 一斉射の目に見える結果に民兵団から歓声が挙がるも、その声は直ぐに収まることとなった。

 

[[[ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン]]]

 

 ロボット達は体が針鼠状態になってもお構い無しに立ち上がると、大議事塔に向けて再び進行を開始した。

 

 無表情に笑う赤い鋼鉄の壁が少しずつ迫り始め、民兵団に動揺が走る。

 

「怯むな!目を狙え!相手はロボット、矢が刺さって回路の一つでも壊れれば止まる!動く的だと思ってとにかく射ち続けろ!ウォルモンド重装隊、敵が蓄音機(所定)のラインまで来たら盾と丸太を構えて奴らを抑え込め!」

 

 セベリンは民兵団と警察隊を鼓舞するように指示を下す。

相手がロボットであるため矢の射撃は効果が薄いと想定していた彼は既に暴徒鎮圧に長けた重装隊員に次の戦術の準備を命令してあった。

流石にここまで効果がないとは予想だにできなかったが、いずれにせよ本命は蓄音機射程圏による弾幕であった。

 鉄のように硬い鞣し革で出来た鎧と身の丈を隠すほどの大盾を備えた重装隊員が壁と足止めをしている間に、蓄音機とクロスボウ狙撃隊員がロボットにダメージを与えるという作戦をいかに味方の損耗少なく継続できるかが重要だった。

 

《ヌワーハッハッハッハッハ、我がエッグマン・レギオンを阻む者はおらんのじゃ!》

「(今は笑っているがいい、その慢心を私は強く望む……!)」

 

 Dr.エッグマンが意気揚々と笑い声をあげる中、セベリンはロボットの行進を見つめてタイミングを測る。

狙撃隊員の矢や民兵団の投石が運良く重要な回路を破壊して機能を停止したロボットも少しはあったが、ほぼ全数を保った赤の鉄壁は徐々に大議事塔前へと迫り、そしてある石畳の線を越えた。

 

「トール、やれ」

「重装隊、突撃!」

 

 セベリンの号令の後、トールワルドは与った重装隊と共に出撃し、自ら先陣をきると得物のアーツケインに力を込め始めた。

ケインの先が急速に霜が降り音を立てて凍りついたその時、トールワルドは霜を払うかのようにアーツケインを横薙ぎに振り抜いた。

 

[[[ガッシャン ガッシャン]]]

[[[ガッシャ……]]]

 

 その瞬間、先頭列のロボットの足が次々と凍り始めて進行の勢いが強制的に停められた。

進むロボット達が次々とその場でよろけ、お互いでぶつかり合って留まった。

 

「かかれーッ!」

ウォーーーーーーッ!

ぶっ飛ばすぞブリキ共!

その鉄剥いでヤカンの穴に充ててやる!

 

 荒ぶる感染生物の駆除や移動都市への輸送ルートを脅かす野盗討伐などで鳴らした強者達が盾を片手に丸太を抱えてロボット達を突き崩す。

 

重装隊に続け!

仲間の負担を減らすんだ!

 

 時を同じくして、発動を開始した蓄音機が青い光輪と共にロボット目掛けて光弾を発射し、クロスボウを構えた狙撃隊員がもたつくロボットの頭部を狙い撃ちした。

重装隊員もロボットの槍を防ぎつつ、抑え込み用の丸太を叩きつけてロボットを攻撃する。

 

 警察隊の反撃によってロボットの方から戦闘不能機が続出した。

 

 これはウォルモンド防衛軍が漸く手に入れた有効打であった。

 

《やるではないか、ではこれならどうかな?》

 

 Dr.エッグマンは列の後方に控えるロボット達に命令を下すと、銃や筒を持ったロボットが先頭列の頭上を越えるように狙いを定め、一斉に引き金を引いた。

 

「来るぞ!頭上防御、遮蔽物に隠れろ!」

 

 セベリンが号令し、狙撃隊員や重装隊員は各々防御姿勢をとった。

セベリン達の頭上に毒々しい緑色をした弾丸が降り注ぐ。

 

「ぎゃあっ!」

 

 流れ弾に運悪く当たった警察隊員がその場に崩れ落ちた。

 

「救護隊ーッ!」

 

 セベリンの指示に警察隊の救護班及び臨時召集されたロドスアイランド所属の医者が遮蔽物から駆け出し、被弾者を引き摺って安全圏で手当てをする。

 

「負傷なし!痙攣、いえ、電気ショックのような麻痺です!」

「麻痺弾か、面倒なことをする……」

 

 報告を受けたセベリンは先の攻撃で死者が出なかったことを安堵しつつも、Dr.エッグマンの仕掛けてきた妨害戦術の厄介さに歯噛みした。

 非情なことを言えば、目に見えて()()()と判る負傷であれば処置に割く人員は一人位でいい。

しかし負傷なしの麻痺のみとなれば救援のための人員が最低三人は必要になる。

まして無傷だからといって安心と言うわけには決してならず、誤ればロボットに踏み潰されたり味方の攻撃を無防備に浴びたりしかねない。

今はまだ戦死者が出ていないだけ士気も高いが、もしもそのようなことが起こってしまえば味方の士気は崩壊し、防衛線などあっという間に消え去るだろう。

 

《当たった者は運が悪かったの!さぁ次は誰かな!》

 

 Dr.エッグマンは後方ロボットに更に命令を下そうとした。

 

 沃土よ、巌よ、立ち上がれ 

 

 後方ロボット達の足元にある石畳が隆起する。

石畳はまるで風船が膨らむかのように一気に周囲を持ち上げ、そして石を巻き散らして破裂した。

 

《源石エネルギー反応を感知》

《な、何が起きたんじゃ?!》

 

 Dr.エッグマンは驚愕の後に土埃舞う震源地を見ると、そこには巨大な石像が三体聳え立っていた。

 

 友人たちよ、私の声に応えろ 

 

 石像は転ぶロボット目掛けてその厚く重い足で踏み抜き、太く硬い腕で打ち抜いた。

 

「マドロック小隊突っ走れ!ロボットの足を狙え!転がしさえすりゃ後は石の下敷きだ!」

 

   ROCK  YOU!  

 

 建物の裏通りに潜み続けていた傭兵団が石像の前に躍り出た。

 

 警察隊とやり取りしたサルカズ副長は得物の大剣を牧草を刈る鎌のようにロボットの足を薙ぎ払って狙転倒させる。

他の傭兵は副長同様に足元を狙ったり、倒れて無防備な首や胴の接続部を晒す個体があればそこを突いたりして着実にロボットを行動不能にさせていく。

 そして傭兵の後ろから石像が、いやそれのみならず、石像と比べれば一回り小さいものの己の腰程の長さを有する鉄鎚を振り回す『マドロック小隊』のリーダー・マドロックが、石像顔負けのパワーで石像と共にロボット達を叩き潰した。

ロボットの槍兵や麻痺弾兵がターゲットをマドロック小隊に変更して反撃を行うも、傭兵団はそれらを熟練の体捌きで回避し、マドロックと石像に到っては避けることもなく受けきり全く意に介さずにロボットの陣を押し潰した。

傭兵団の剣やアーツが敵を倒し、マドロックが鉄鎚を大きく振り回して敵を壊し、石像の四肢が唸って敵を潰す。

 

「警察隊、傭兵団に続け!防衛陣地から打ってでるぞ!」

「「「イエッサー!!」」」

 

 セベリンはマドロック小隊の快進撃を好機とみて積極攻勢に乗り出した。

息子のトールワルドのみならず、セベリン自身も武器アーツフレイルを握り締めて前に出る。

槍兵の一部が反転してセベリン達を迎撃しようとするが、先頭を進むセベリンはフレイルの棍をアーツで赤熱させると走る勢いを乗せてフレイルをロボットに叩きつけた。

過熱と打撃に見舞われたロボットは糸の切れた人形のように倒れ、セベリンはその横をすり抜けて前進しする。

 

「士官長に遅れるな!バリスタ発射!」

 

 セベリン達警察隊の進軍に呼応して大議事塔のバリスタ隊員が高所からバリスタを発射する。

ロボットがいかな鋼鉄の体とはいえ、元々が都市防衛用に調達された剛弓であったためその鏃は速度と重さを以て鉄板を貫き内部回路を破壊した。

 

オオオオオオオーッ!

 

 警察隊の士気が更に上がる。

そして重装隊を率いていたトールワルドが旗を持つロボットに肉薄してアーツケインを渾身の力でその頭部に叩き込むと、ケインの打撃とロボットの装甲の内側に発生した氷結の相乗効果によって旗のロボットはその頭部を大きく裂かせて沈んだ。

 

[[[ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン]]]

 

 掲げられていた旗が地に落ち、旗持が討ち取られたためか、ロボット達は後退を始めた。

それを見た警察隊は歓喜の雄叫びを揚げた。

警察隊の声に合わせて大議事塔に立てこもっていた民兵団も喝采を揚げる。

 

Hail!Hail!Hail!

見たか盗人め!

ウォルモンドの誇りを舐めるなよ!

 

 セベリンは一息ついてモニタードローンの方を見た。

しかし、モニターに映るDr.エッグマンの顔には何ら陰りはなく、むしろ感心したとばかりににやついていた。

 

「(自軍が撃退されたのに、焦りの色なしだと……?)警察隊、態勢を整えろ!まだ気を抜くな!」

《やるではないか……オヌシらの奮闘、褒めてやろう。じゃが、()()はどうかな?》

 

 セベリンはDr.エッグマンの様子を警戒して次の指令を発したが、それより先にDr.エッグマンはモニターの中で腕を振り下ろした。

 

ガシャーンッ!

 

 何か()()()()()()()()()()()()()が、セベリン達ウォルモンド防衛軍の正面と左右から響き渡った。

 

「な、なんだ?」

 

 警察隊がざわめく中、一番早く行動を起こしたのはマドロック。

 

「全員、来るぞ。 友人たちよ、彼らを守れ 

 

 マドロックがアーツを発動させると、三体の石像よりもはるかに小型な鳥の石像が無数に現れ警察隊の頭上を覆った。

その瞬間、あの緑色の弾丸が辺り一面に降り注いだ。

 

「な、なに?!」

 

 石像が弾丸を受けきって壊れた。

そのお蔭で幸運にも被弾者はいなかったものの、突然の強襲に警察隊は混乱は困惑し立ち止まらざるをえなかった。

それに追い打ちをかけるように、大議事塔にある鐘楼から戦場を見ていた偵察隊員が前線のセベリン達に急報をもたらした。

 

「ろ、ロボット軍団出現!増援です!正面奥、及び左右の通りに降下してきました!」

「数は?!」

「各方向、ひゃ、百以上!先の規模と同数です!」

「なんだと?!」

 

 セベリンは戦況が一気に覆ったことを、いや端から戦況が有利になってなどいなかったことを理解した。

 

[[[ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン ガッシャン]]]

 

 大広場とつながる通りの奥から、建物の壁に反射して金属の足音が一斉に向かってくる。

音がいずれこの場にいる警察隊を呑み込むであろうことは隊員の誰もが理解させられた。

警察隊は浮足立ってその場で後ずさりした。

 

「落ち着け!警察隊、一旦後退し態勢を立てなお

 

 ゴホッゴホッゴホッ ゲフッ

 

 最悪なタイミングで、いや、【天災】などにとっては最高のタイミングでか、統率を保って後退するべく号を発しようとしたセベリンは大きく咳き込みその場に蹲った。

 

「士官長?!」

 

 彼の隣にいた警察隊員が色を失ってセベリンを抱えようとする。

()()()()()()、セベリンは咳に苛まれながらもあと数ヶ月は士官長の任を務めていただろう。

しかし、Dr.エッグマンによる襲撃で急遽防衛戦の指揮を執ることとなり、彼は警察隊や民兵団への号令で何度も大声を出していた。

更に、彼は最前線でアーツフレイルを利用したことでこれまで抑え込んでいた病魔の箍が外れてしまった。

喉の酷使とアーツ利用が相まって、彼の体は病魔によって甚大な負担を一気に受けることとなった。

セベリンの咳は止まらず、喀血が土で汚れた白の手袋を赤黒く染め上げていく。

 

怯むな、私のことはいい、隊列を、

 

 セベリンの声は吐き出される咳と血で搔き消されていく。

彼はフレイルを支えに立ち上がろうとするも、その姿が最前線で指揮をするには自殺行為そのものであるのは最早明らかだった。

 

「士官長を援護しろ!」

 

 隊員たちはセベリンを戦線から離脱させようと必死に後退するが、初戦よりもはるかに多い数の鉄が彼らの向かう大議事塔へと進行しようとする。

 

「下がれ……私は 友人たちと共に戦線を食い止める 

「【Sarkazo Slang】!これじゃあ正規の報酬じゃ割に合わねぇぞ!お前ら、とにかく転ばせろ!壁にぶつけて奴らの体自身で障害物にするんだ!こんなので死んだら大損だ!」

 

 マドロックの鉄鎚と石像らが潰すのではなく吹き飛ばす形でロボットを攻撃し、より多くのロボットが転倒や衝突などして互いの行動を阻害するように仕向ける。

マドロック小隊が迎撃して三方から迫るロボット軍団を攪乱しているとはいえども、警察隊の統率は見る影もなく民兵団の士気も大きく落ち込み始めた。

 

 防衛軍の戦意は最早維持できなくなりつつあった。

 

 

 

 

 その時、()は直感した。

ここが犠牲を最小限にする(レールを切り替える)時なのだと。




MISSION FAILED・・・?


◆感想や改善点などございましたら是非お願いします。
(これイベント終了までに終わらないなぁ……)
それと文章表記についてアンケート設けましたのでよろしければお目通しお願いします。


※途中で没にした文章
(流石に話の流れ的にふざけすぎた。なお数行までは本当に入れようかと思ってた)

「かかれーッ!」
ウォーーーーーーッ!
ぶっ飛ばすぞブリキ共!
その鉄剥いでヤカンの穴に充ててやろうか!

頭引き千切ってオモチャにしてやる!
異鉄ヨコセオラァ!
マンガンあるなら優しく潰してあげよう!
大型建造で鉄が足りねぇんだ!
主力がスナイプ大破で修理資材ががが!
卵みてぇな体してるなら真理のほうを出せ!
炉心、炉心はないのか!
蹄鉄、蹄鉄があればチケットが!
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