因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

11 / 53
11話 センゴク視点

【センゴク元帥視点】

 

 

私は頭を抱えていた。

最近入隊したとある海兵のせいだ。

 

 

最初見た時は気骨のある若者が入ってきたと喜んだものだ。

天性の才能で覇気を覚え、私の覇王色にも涼しい顔をしていたからだ。

 

採用したヤマカジ中将の独断で少佐待遇で入隊させたが、

むしろ低いと感じたほどだ。

待遇に不満を感じて辞められぬように軽く研修がてら戦闘に同行させ、

座学も行い、将来の大将候補として育てるつもりだった。

 

とりあえず、と思いモモンガ中将庇護のもと、新世界に研修へ行かせると、

一人で先走って百獣海賊団傘下を潰したという報告を受けた。

 

詳しく聞くと現場の大佐が冗談でけしかけたらしいが、

あやつはそれを真に受けて単身で、無傷で、しかもたった数分で壊滅させたらしい。

 

傘下とはいえ四皇。

しかも新世界を根城にする海賊だ。

当然弱くもない。

億を超える賞金首も居た。

 

この報告を受けたとき、正直私は困った。

実力があるのはありがたい。

海軍はいつだって人手不足だ。

 

しかし、あまりに向こう見ずすぎる。

CP9(胡散臭い殺し屋集団)じゃああるまいし。

海軍は部下を率いて動く必要がある。

戦闘狂では無駄に海兵の命を散らす可能性が高いのだ。

 

これはしっかり教育しなければ、と思い呼び戻してみると、

毅然とした態度で海軍のパワハラに苦言を呈してきた。

 

真に受けたわけではなく、理解した上で告発する為に殲滅を行ったらしい。

 

戦闘行為を行う組織である以上、乱暴な者も増える。

これに関しては謝罪の上是正を約束した。

そして、本人に非は無いので大佐へと昇進させた。

 

武力は問題ないし、頭も悪くはない。

問題は年の割に強すぎるが故の好戦的思考だ。

だとすればそんなに問題は無いか、と思った。

歳をとって、格上に負けた経験さえあれば勝手に落ち着くだろう、と。

負ける相手はガープあたりが良いか。

 

よって、まずは20歳を超えるまで待つことにした。

あと2年だ。

それまでは部下を持たせない。

海兵の命を守る為だ。

 

 

とりあえず前半の海に配属しよう。

こやつなら前半の海で苦戦することは無いだろう。

 

もし偶然格上と会っても逃げる技術もあるようだし、

能力者でもないから海に飛び込めば逃げられる。

 

 

そういえば最近アラバスタから奇妙な報告があったな。

雨がどうとか。

 

コブラ王は有能な王だ。

違法行為など行わないだろうから、ただの偶然だろう。

 

調査という名目でアラバスタに配属させて雑魚海賊でも狩ってもらおう。

あそこにはクロコダイルが居るから監視にもなる。

 

奴は能力こそ強力だが前半の海特有のロギア病だ。

くいな大佐なら負けることは無いだろう。

 

私はそう判断し、危険だったら逃げるようにと

口を酸っぱくして伝えたあと送り出した。

これで一安心、と思った私は彼女を見くびっていたのかもしれない。

 

 

くいな大佐がアラバスタ到着後3日に

バロックワークスなる賞金稼ぎ組織に潜入した。

 

 

当然報告はあった。

事後報告だが。

 

 

思わず電伝虫ごしに怒鳴った。

そしたら電波が遠いふりをして切りおった。

優しくしておれば舐めやがって!

 

そして翌日。

奴がジャヤの賞金首を根絶やしにして賞金を請求しているという報告があった。

 

あやつは潜入捜査の意味わかっとるのか?

そんなに目立ってどうする。

 

だがまあ、戦果は上々だ。

バロックワークスなる組織が怪しいというのも分かる。

無駄足だとしても当初の予定からしたら問題ない。

だが相変わらず好戦的すぎる。

歳で治る問題だと良いが・・・。

 

 

と思っていたら直接報告があった。

飛び六胞を名乗る海賊を捕まえた、と。

 

本当だとしたらとんでもない成果だ。

しかも特に怪我はしていないとのこと。

素晴らしいと褒めた後、大きすぎる戦果だから潜入先の組織には伝えるなと言うと、

もうすでに報告しちゃったとのこと。

 

どこの世界に潜入先の組織に先に報告するやつがいる!

と怒鳴ったらまた電波が遠くなった。

 

慌てて待てと言い、

賞金は渡すが適当なこと言って金は渡すなと伝えた。

決して小さくない額だ。

できれば回収したい。

 

数日後、くいな大佐が帰ってきた。

スパイだとバレたらしい。

当然だ。

 

しかも能力者になったらしい。

幹部も捕縛してきた。

せめて事前に報告をしろ!と怒鳴ったら素知らぬ顔でそっぽを向いた。

 

 

 

私は勘違いをしていた。

確かにこいつは頭は悪くない。

しかし、致命的に自己中心的だ。

やりたいことしかやらんし、思い込んだら即行動だ。

海軍という組織に致命的に合わない。

 

ガープも似たようなもんだが、奴は若いころはもう少し真面目だった。

だから自分で育てた強い部下が多い。

だがこいつは未だ18歳。

どれだけ力があっても、付いていく奴なぞおらんだろう。

 

しかし戦力として惜しい。

海賊にでもなられたら厄介だ。

だからといってサイファーポールにくれてやるのもしゃくだ。

 

 

私は決意した。

こいつは七武海と同じ扱いにする。

好きにうろうろさせてゴミどもを捕まえさせれば良い。

 

最年少中将にでもしてマスコミに売り込んで広告塔にしよう。

見た目も悪くないから民衆のヒーローにでもなってくれればラッキーだ。

死んだら死んだで諦める。

あんな自己中に部下を持たせることはできん。

 

そう決断した私は最低限の法の知識を学ばせて海へ放流した。

あとは知らん。適当にやってくれ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そういえば何故か何度も階段から落ちる姿が目撃された。

手すりをしっかり握っているのにだ。

なんかの呪いか?

悪魔の実の呪いならともかく、階段の呪いなんぞ聞いたことないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




元帥って大変。
世界徴兵のタイミングならまた違ったかもですが、
今は白ひげのおかげで安定しているので厄介者扱いです。
転生者特有の自己中だからね。
仕方ないね。


ワクチンの副反応で死んでます。
数話は予約投稿してるのですが感想に返信は厳しいです。
すいません、よろしくお願いします。




▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。