因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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20話 幼馴染との戦い

向かい合うゾロとくいな。

幼いころから何度も向かい合った2人。

あのころと違うのは、その実力。

 

東の海で名を轟かせ、超人CP9のカクを瞬殺した男。

世界でも有数の強者、海軍中将 刀鬼。

 

その戦いの始まりの合図は刀鬼が発した爆音だった。

 

 

「剃【爆】」

 

 

音速を超える速度で迫るくいな。

しかしゾロは剃を使うCP9との連戦であったので目が慣れていた。

問題なく反応している。

しかし、

 

 

「剃【爆】」

 

 

くいなはゾロの制空圏手前で上空に跳ねる。

 

 

「月歩・剃【爆】」

 

 

そのまま空中を跳ね、ゾロの後方へ。

もう一度空を駆け、前傾姿勢のままゾロの背後を取った。

 

 

「居合[等活]」

 

「ぐっ!」

 

 

ゾロは二本の刀で背後を守り、何とか凌いだ。

くいなは嬉しそうに笑う。

 

 

「流石だね。

これを防ぐのは億越えでもそういないよ」

 

「抜かせ。

そんなもんが俺の目標じゃねーよ」

 

 

先程の一撃はかわせなければ確実に致命傷であった。

しかし、それでも笑う。

それは信頼がゆえか。

それとも別の何かか。

 

 

「どんどんいくよ!」

 

 

くいなが再び地を蹴り、剣技を繰り出す。

 

 

「黒縄!」

「鬼斬り!」

 

 

くいなの袈裟斬りに対しゾロは三刀流で答える。

 

 

「衆合!」

「虎狩り!」

 

 

そのまま、くいなは一文字斬り。

刀3本での攻撃でやっと相殺だ。

両者の力量の差は明白である。

しかし、食らいつく。

 

 

「叫喚!」

「牛針!」

 

 

突き攻撃に突き攻撃で答えれば、

 

 

「大叫喚!」

「龍巻!」

 

 

ボムボムの実の能力を使用した強力な突きに対しては風を生み出して距離をとる。

 

 

「炎熱!」

「三十六煩悩鳳!」

 

 

距離を詰めての真向斬りには、距離を維持したまま飛ぶ斬撃で応え、

 

 

「大炎熱!」

「百八煩悩鳳!!」

 

 

ボムボムの実の能力を使用した強力な真向斬りには近距離から放つ

飛ぶ斬撃で応戦する。

 

 

「阿鼻!」

「ぐあっ!」

 

 

しかし、返す刀での逆風。

これには体力が持たなかったのか何とか刀を当てて防ぐ形になった。

よろけるゾロ。

 

 

「そして、無間」

 

 

しかし、くいなはその隙を見逃して納刀した。

肩で息をするゾロ。

笑みを浮かべるくいな。

両者の距離は未だ遠い。

 

 

「これが私の技の全て。

大体は等活だけで勝っちゃうから全部見たのはゾロで3人目だよ」

 

「そうかよ。

3人も居るんじゃあ自慢にはならねえな」

 

 

肩で息をしながらも強がるゾロ。

当然だ。

ゾロの目標は目の前の女に勝つこと。

防いだことなんて何の自慢にもならない。

 

 

「そうでもないと思うけどね。

1人は海軍大将だし、もう1人は8億超えの怪物だしね」

 

 

海軍大将黄猿。

ビッグ・マム海賊団スイート4将星 シャーロット・クラッカー。

どちらもこの世界でも有数の強者だ。

 

 

「でも、この一連の技には裏があってね」

 

 

言って、くいなは再び前傾姿勢を取る。

先程の居合技、等活の体勢だ。

 

 

「今の九つの技をほぼ同時に放つ。

ボムボムの実の能力を使ってね。

それが私の必殺技」

 

「・・・ははっ」

 

 

衝撃の事実に驚愕するゾロ。

しかし、勝つと決めた。

この女からは引かないと決めたのだ。

 

 

「これを出して倒れなかった人は、

未だいない」

 

 

くいなから感じる威圧感が段違いに上がる。

まさに必殺。

 

 

「死なないでね、ゾロ」

 

 

ニコリと笑うくいな。

まるで遊ぶ約束でもするかのように、願う。

それを、

 

 

「舐めんじゃねえぞ!!

かかってこい!!」

 

 

同じく笑いながら応えるゾロ。

呼応するように両の手の刀を風車のように回す。

 

 

「無間大紅蓮地獄」

 

 

ドドドドドドドドドという爆音と共に必殺の九撃が繰り出される。

足、腰、腕、連動するように爆発する。

その姿は、爆発による炎も伴って地獄の閻魔のようであった。

 

それに応えるは奥義。

鷹の目には通じなかったが、あれから休まず鍛え、進化した。

目の前の女に勝つために。

 

 

「三刀流奥義 三千世界!」

 

 

衝突した2人。

激しい技の応酬に土煙が立ち込める。

 

 

 

 

数秒して、風が吹き、土煙が晴れた。

 

立っていたのはくいな。

倒れているのはゾロ。

 

ゾロの持っている刀のうち、一本が折れていた。

雪走だ。

 

下剋上は、起きなかった。

 

 

「ふう、生きてるよね?」

 

「・・・あ、たり、まえ、、だ」

 

「よかった」

 

 

息も絶え絶えに答えるゾロ。

一方くいなは余裕そうだ。

これが、今の両者の差であった。

 

 

「当分、会うことは無いと思う。

私は新世界に行くからね」

 

 

ゾロは黙って聞いていた。

声を出す余裕も無いだろうが。

 

 

「次会う時は、多分互角以上の戦いになると思う」

 

 

言って、くいなはその場を離れる。

役目は果たした。

そういうことだろう。

 

 

「ゆっくりでいいから、

もっと強くなってね」

 

 

楽しい時間をもっと楽しみたい。

そんな純粋な思いから出た言葉かもしれない。

それとも奮起させるためか。

 

 

「頼れるものは何でも頼って」

 

 

私に勝つために、と言葉を残して姿を消した。

未来を知る彼女は、ゾロが今以上に強くなる方法を知っていた。

そうなる未来が確実に来ることも。

 

残されたゾロは鷹の目との負けとは違い、どこかすっきりしていた。

負けた。

だが、確実に近づいていた。

 

 

「すまねえ、ルフィ。

負けちまった」

 

 

二度と負けないと約束した己の船長に謝る。

しかし、今は目標に近づいた満足感に浸りたかった。

 

 

「強くなるさ、必ずな」

 

 

 

 

 

 

 

 




下手なりに戦闘シーンを書いてみました。
暖かい目で見守ってください。
次からはいつも通りに戻ります。

ちなみに必殺技は連発可能です。
現状十連発まで。
その為、無間は納刀になってます。
等活から阿鼻までの地獄が無間に続く。みたいな。
厨二ですいません。

ゾロは少し休んでから根性でロビンの元へ行きました。

ちなみに裏設定として、
くいなの見聞色が極まった結果、時間を停止したかのように感覚を研ぎ澄ますことができます。ほぼ同時に放つ九連撃ですが、くいなは相手を観察しながら丁寧に制御できます。
「ジョルノに殴られたブチャラティの感覚が暴走した」みたいな状態を任意で発動できる感じです。

原作でシュウに壊される雪走はここで折れました。
シュウは覇気パンチでKOしました。




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