因縁の相手は階段   作:さくらいJAN

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30話 オロチ&モブ住人視点

【オロチ視点】

 

 

 

おでんの残党が戻ってくるまであと2年。

カイドウもおれの部下でさえも信じやがらねえが、あいつらは必ず帰ってくる。

スパイも一緒に消えたから確信は持てないが、おれは復讐者というモノをよくわかっている。

 

おれがそんな恐怖を抱えていることを知ってか知らずか、

カイドウが小娘を連れてきた。

なんでも海軍の元中将で霜月家の人間らしい。

将軍である俺の下で大名として働くという。

 

どうやら以前聞いてきた霜月コウ三郎の孫らしい。

ワノ国の外で育った人間だ。

おれの言うことを聞くなら構わないと思ったが、どうやらカイドウの指示で動くらしい。

しかも九里を治めるときた。

 

おれは激怒した。

あそこはおれの国だ。

桃源農園だってある。

当然反対したが、カイドウに凄まれると反対できない。

今のおれがあるのはカイドウが居るからだ。

 

カイドウもワノ国を必要としているが、

そこにおれが必ず必要というわけではないということは分かっている。

こいつを怒らせたら首を挿げ替えられる可能性だってある。

 

しかし、だからといって文句の一つも言わないようじゃあ舐められる。

おれはその女が死んだ場合はどうする?と聞いた。

つまり、暗殺したら罰はあるのかという意味だ。

 

 

カイドウはニヤリと笑い、元通りだと言った。

おれでは殺せないとでも言いたいのか。

海軍中将の実力は、懸賞金で3億程度が基準だと聞いたことがある。

いいだろう、目にモノをみせてやる。

 

 

おれは福ロクジュと狂死郎を呼び、霜月の娘の暗殺計画を練った。

福ロクジュは忍者による暗殺を。

狂死郎は侍による襲撃を提案してきた。

 

カイドウが連れてくるようなやつだ。

襲撃は失敗する可能性があるし、犯人も丸わかりだ。

 

おれは福ロクジュの案を取った。

なるべく強いやつを、バレないようにと念をおして。

 

 

 

 

なのに、バレやがった。

あの化け物女は忍者の首を持っておれの城を襲撃しやがった。

カイドウの監視がいるはずなのに正気かこいつは!?

 

白を切ったが、それでも脅してきやがった。

おれはイライラしてヤマタノオロチの姿に成った。

軽い脅しだ。

やるならやるぞ。おれとカイドウは対等だ。

 

そう言おうとしたら突然真下から衝撃が。

おれは宙に浮いていた。

そして小娘の手が燃え上がる。

悪魔の実の力だ。

 

ヤバい!と思ったが福ロクジュが間に入った。

 

よくやったと思い笑みを浮かべると、

次の瞬間、城の壁ごと福ロクジュが吹っ飛んだ。

おれでは目視できないほど遠くへ。

あんな一撃を食らっては生きていたとしても1年は動けまい。

 

なんだこの怪物は。

せいぜい真打ち、強くても飛び六胞程度だろうと思っていたが、格が違う。

まるでおでんだ。

今のおれの手駒にはバリバリの実は無い。

 

おれは怯え、身をすくめてた。

そこにあいつは容赦なく爆炎を放った。

 

全身に火傷を負い、息も絶え絶えのおれを見下す様に一瞥してから去っていった。

僅かながらに期待したカイドウからの罰もくだらなかった。

 

それ以来、おれが恐怖する対象がひとつ増えたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ワノ国おこぼれ町の住人視点】

 

 

 

 

最近、新しい大名が現れた。

霜月水雉。

霜月コウ三郎の孫らしい。

 

霜月の家柄とはいえ、オロチの部下。

俺たちは何も期待などしていなかった。

 

しかし、彼女はオロチとは違った。

大名に成ってすぐにおこぼれ町を視察し、博羅町も視察した。

 

そしてカイドウの部下を追い出し、博羅町の士族の一部にも農場での仕事を課した。

俺が直接目撃したわけではないが、逆らった士族の相撲取りが指先一つで泡吹いて倒れたらしい。

 

そして1週間後には俺たち下人に食料も届けてくれた。

久しぶりに食べる新鮮な飯は涙が出るほど美味しかった。

 

更にその翌週、オロチを襲撃したという話も聞いた。

俺たちの境遇に怒ってだろう。

そんなことをしたらカイドウに罰を受けることなど目に見えているのに。

 

どうして俺たちなんかの為にここまでしてくれるんですか?と問うと、

下人の俺たちにも笑顔を浮かべて答えてくれた。

 

 

「この町に、生きてる人、いますか?」

 

 

と。

意味が分からず首をかしげると、彼女は続けた。

 

 

「私はいないと思います。あなたたちは生きていません。

下人とはいえ、よく食べ、よく働き、よく眠る権利があります。

それが満たされて初めて、人は生きていると言うのです」

 

 

そんなことが許されるのか。

下人の俺たちに。

俺は涙を流しながら問うた。

 

もうみんな知っているのだ。

彼女が度々海に出て外の世界の敵と戦っているのを。

そのおかげで俺たちの生活が少しずつマシになっているのを。

 

カイドウの部下が教えてくれたのだ。

俺たちなんかの為に、彼女の服の下は傷だらけなのだと。

 

彼女は笑みを浮かべ、言った。

 

 

「人はただ、いてくれるだけでいいのです。

場所も、性質も、性別も問わない。

居て欲しいのです。

より近くに感じたい。

手を伸ばした先に、誰かがいるという安心。

それを得たい。

だから私は助けるのです。

あなたたちを。

命を賭して。

明日、またひとりでも生き残れますように。

そう願って」

 

 

その時から俺たちは水雉様の為に働こうと誓った。

一生懸命、農場を大きくしようと。

この恩は必ず返すのだ。

明日も明後日も生きて。

必ず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




原作のオロチだったら暗殺なんてするかな?
と思いつつ書きました。
でもカイドウには逆らえないだろうし、九里をくれてやることを許すとも思えないので。

くいなは士族平民下人という身分制度を変えるつもりはありません。
理由はその方が便利だから。
下人の生活レベルを上げて労働意欲を向上することが目的です。
農場と工場の生産力が上がるのであれば、カイドウもそれを容認してます。

ちなみに、服の下が傷だらけなんてことはありません。
くいなをリスペクトするウェイターズに伝えて、九里の人達にも伝えるようにそれとなく指示しました。つまり自作自演です。
理由は支持率を上げる為です。

くいなが言った感動的なセリフは私の好きなゲームから。
今回は馬車馬のごとく働いてもらう為に使った矛盾も孕んだ言葉ですが、
原作は素晴らしいです。
ぜひぜひ。

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